ツイノベ倉庫〜1000文字程度の短編集

兎騎かなで

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29.ヤンキーとおっさんの話

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「おいおっさん、ちょっとツラ貸せや」

仕事で疲れてとぼとぼ帰宅途中のおっさん、若いヤンキーに声をかけられる。勘弁してくれよと足早に通りすぎようとするが「待てよ」と腕を取られて路地裏に連れこまれ壁ドンされる。

危機感を感じて引き攣った顔で見上げると、同じく引き攣った顔をしたヤンキーが「テメェ、俺とつきあえ」って言ってきた。

「えええぇ……あ、罰ゲームかな? お友達と賭けで負けちゃったとか」
「ちげえよ、ダチの話はおっさんに関係ねえだろ」

いやある、まさに今巻き込まれてると思いながら、図星をさされたせいか真っ赤になってる彼を諭す。

「まあまあ、で、お友達は見てるのかな。これでもう帰っていい?」
「帰っていいわけねえだろうが!」

あれよあれよという間にホテルに連れ込まれて、戸惑っているうちにお尻を気持ちよくされちゃう。

逃げだそうとしたけれど力も強いし妙に真剣だし、迫力に気圧されて結局逃げられない。
口は悪いものの意外にも丁寧にほぐしてくれて、初心者なおじさんも感じいっちゃう。

「あ、そこ、いい……っ」
「も、しゃべんな」

何か言う度に愛撫が激しくなり、最後は気絶するように寝落ちする。

朝起きてもまだヤンキーは側にいて、眉間に皺を寄せつつ謝ってくる。

「昨日は、その、悪かったな」
「それは急に身体を暴いたことに対して?」
「そうだ。まだ伝えてなかったから、さ……」

ヤンキーくんはたっぷり一分は黙り込んだ後、迫力ある表情に見合わぬ、か細い声で一言。

「好きだ」
「ええええぇ!?」

実はこのヤンキー、十年前に仲良くしていた近所の子どもだった。

当時からずっと好きだったと言われて目を剥く。

「こんなおじさんが好きなの?」
「おじさんって言うんじゃねえ、アンタはもう俺の恋人だ。そうだろ?」
「ええええぇぇ……」

驚いたものの、強引だけど照れ屋で可愛げのある彼に振り回されるうちに、だんだんとおじさんもヤンキーのことを恋人として好きになっていく。

そんな二人の出会いの物語。
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