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28.身代わりで嫁に行かされる話
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横暴な姉の身代わりで、双子の弟が嫁に行かせられた。
あんた私と顔同じだし、十分代わりになるでしょって、顔に傷があり醜く残虐と評判の将軍に嫁がされる。
偽物の花嫁なんて、絶対怒られるしなんなら殺されるかもってビクビクしながら行ったら、家臣総出で手厚く迎え入れてくれて。
実際に会った将軍は無表情だし雰囲気怖いけど、不自由がないようにって細やかに配慮してもらえる。
すみません男なんですと告白しても、情報の行き違いがあったのかすまないって謝ってくれる、とてもいい人。
見た目が怖いから誤解されたのかな、噂はただの噂だったのかと一安心。
実家にいるよりここにいたい、下働きでもなんでもさせてください! って頼み込んで、
対外的には君は奥様だから待遇は変えられないがって言いつつ、望めば仕事もさせてくれる。
将軍ってほんといい人だなあって好意的に接する弟に、自分の顔を見ても怯えないし働き者で素敵な人だと惹かれていく将軍。
自然と二人は恋仲になった。
そんな中姉が様子を見に来て、仲睦まじくやってる二人に顔を引き攣らせる。
「その将軍は人殺しよ! 実の兄を殺して、何人もの味方を処刑したんだから! アンタもなに呑気に幸せそうにしてんのよ、私の出来損ないみたいなヤツなのに、私より幸せにしてんじゃないわよ」
「お言葉だが姉君、兄は謀反を企てていた大罪人であり、最後まで兄の味方をしていた部下をやむおえなく処刑したという情報が抜けているようだ。私の愛しい人に暴言を吐くのであれば、例え姉君といえど容赦はしない」
ってかっこよく追い返してくれる。
その後肩を落とした将軍が傷のある片目を覆って呟く。
「この傷は私の兄によってつけられた罪の証だ。殺し合いになるまで彼を止められなかった……君も私を軽蔑するか」
「いいえ、この傷は貴方が領民を守った証です。兄君様の謀反が成立していれば、もっと多くの血が流れたでしょう。実の兄を討ってでも止めた勇気を賞賛します」
将軍は跪き、弟の手を捧げ持つ。
「ありがとう。君は私にとって太陽のような光の存在だ。君と共にいれば間違わずに歩むことができるだろう。どうか側にいてくれないか」
「僕の方こそ、居場所を作ってくれて感謝しています。貴方の側が僕の帰る場所です」
こうして二人は結ばれ、お互いを尊重しあい末長く幸せに暮らす、そんなお話。
あんた私と顔同じだし、十分代わりになるでしょって、顔に傷があり醜く残虐と評判の将軍に嫁がされる。
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実際に会った将軍は無表情だし雰囲気怖いけど、不自由がないようにって細やかに配慮してもらえる。
すみません男なんですと告白しても、情報の行き違いがあったのかすまないって謝ってくれる、とてもいい人。
見た目が怖いから誤解されたのかな、噂はただの噂だったのかと一安心。
実家にいるよりここにいたい、下働きでもなんでもさせてください! って頼み込んで、
対外的には君は奥様だから待遇は変えられないがって言いつつ、望めば仕事もさせてくれる。
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自然と二人は恋仲になった。
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「その将軍は人殺しよ! 実の兄を殺して、何人もの味方を処刑したんだから! アンタもなに呑気に幸せそうにしてんのよ、私の出来損ないみたいなヤツなのに、私より幸せにしてんじゃないわよ」
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