ツイノベ倉庫〜1000文字程度の短編集

兎騎かなで

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26.第二性別検査の話

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第二性別の検査で、オメガだと判明した小柄な中二男子。

ああやっぱりね、両親にはグズな子だと言われていたし予想通りだ。

けれど気になるのは両親の失望より、意中の彼の反応で。

幼馴染の彼は、虐められそうになるとさりげなくいじめっ子を違う遊びに誘ったりと、要領の悪いオメガくんを助けてくれた。

あいつがアルファだったら、番になりたい。

凄いヤツだし絶対にアルファに違いないだろう、検査が終わったら速攻告白する……!

気持ちを伝えたくてうずうずしていると、検査室から出てきた幼馴染は、オメガくんを見て悲しそうにする。

なんで? まさか……と嫌な予感を抱きつつ問いかける。

「どうだった? やっぱりアルファか?」
「いや、ベータだった」

もう頭が真っ白になって、返事ができなくなる。

頭もいいし友達も多くてなんでも卒なくこなすから、絶対にアルファだろうと思っていたのに愕然としちゃう。

ベータの彼は、きっと自分のことを恋愛対象とは見てくれないだろう。

それどころかオメガだと告白したら避けられるかもしれない。

蒼白になるオメガくんの横で、彼もとても残念そうにしている。

「あーあ。残念だなあー、アルファだったらよかったのに」
「そう……だな」
「お前は?」
「……」
「別に何も気にしないから言えよ、俺とお前の仲じゃんか。オメガなの?」

頷くと、はあってため息を吐かれる。

「だよな、わかってた。俺アルファになりたかったなあ」
「……やけにアルファにこだわるね」
「だって、そしたらお前のこと一生守ってやれるだろ」
「え」

いや待って聞き間違い? と思ったけど、幼馴染はまっすぐにオメガくんの事を見ている。

「ずっとお前が好きだった。お前のことを守りたくて、勉強も人間関係も運動もがんばったんだ。結局番にはなれそうにないけど」

自重するように笑う彼の腕を思わず掴む。

「僕も、お前の番になりたかったよ」
掴んだ腕を握り返されて、思い切り抱きしめられる。熱烈に舌を絡めあうキスをして、息が上がったところで幼馴染が一言。
「ベータでもよかったら、つきあってくれ」
「ベータとかアルファとか関係ない。僕はお前がいいんだ」

両思いなことを確かめあい、晴れて結ばれる二人。

きっとつきあいはじめても幼馴染はオメガくんを将来養いたいとがんばるし、発情期で辛そうにしてたら献身的にお世話してくれる。

そんな幼馴染くんの態度が嬉しすぎて、オメガくんも幼馴染を健気に支える。

そうやっていつまでも、ラブラブカップルをしてくれてるといいな。
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