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13.テーマ:茜色の空

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本日は高校の卒業式前日。通学路の坂道を二人で帰る。

日が落ちるのが遅くなってきて、夕暮れにはまだ早いそんな時間。

俺は隣で歩く彼に三年間ずっと片想いをしてきた。

進路は別々だし、今後こんな風に通学路を一緒に帰ることもないだろう。

今日こそ告白するんだ。もし気持ち悪がられたらそのままサヨナラすればいい。

当たって砕けろ的な思考で彼に声をかけた。

「なあ、丘公園に寄っていかん?」
「いいな、ちょうど行きたいと思ってたんだ」

誘いに乗ってくれたとホッと一息ついた。町で一番景色のいい公園へと連れだっていく。

告白するならあそこがいいと思ってたんだ。二人でたくさんのことを語り合った、思い出の公園だから。

何度も歩いた道をゆっくりと、噛み締めるように登る。

もうここに来ることも早々ないだろうと思うと、胸が切なくなった。

「着いたな。俺達が一番乗りみたいだ」

公園には誰もいなかった。見晴らし台まで登って町を見下ろす。

太陽がゆっくりと降りてきて、空の端が茜色に変わろうとしていた。

塗装の剥げかけた手すりにもたれかかって、空の色が移り変わるのをただ眺めていた。
どうやって切りだそうか……

暖かくなりはじめた空気を感じながら風に髪をくすぐられていると、不意に彼が低い声を出す。

「好きだ」
「え?」

ハッと振り向くと真剣な瞳と目があう。
思わず口をついて出てしまったのだろうか、彼はパッと口元を覆って目を逸らした後、もう一度俺を真っ直ぐに見つめる。

「嘘じゃない。お前のことを愛してる……軽蔑するか?」

俺は自分の耳が信じられなくて、口を金魚みたいにパクパクさせることしかできなかった。

どうしても声が出てこず、咄嗟に抱きついた。彼は力強い腕で受け止めてくれる。

「……そんなん、めっちゃ嬉しい……!」
「ほ、本当か?」
「ホンマや! 俺も今日、お前に告白しようと思うとってん!」
「えっ!? そうなのか……俺達、両思いだったってことか」

苦しいくらいに背中を抱かれて、胸の中が喜びで満ちていく。

火で炙られたみたいに頬が赤い。
でもきっと、こんなに空が赤いからこいつには恥ずかしい顔を見られずにすむだろう。

二人の学ランを、燃える太陽が茜色に照らしていた。

この後お互いに三年前から好きだったと知り、過ぎた時間をなんでやねんって悔やんでいると、これから思い出をつくればいいだろって頭を撫でられる。

そやなって返答して、二人で手を繋いで帰る。

大学に入ってもいっぱい会おうって、人目を忍んで約束のキスをしているといいな。
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