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第六章 墓参り
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僕の腰を引き寄せると、胡座をかいた股の間に座らせようとする。
「そのまま私に抱きついていてくださいね……ゆっくり腰を降ろして」
僕は興奮しきって浅い呼吸を繰り返しながら、巽の怒張を迎え入れるようにして腰を降ろした。つぷりときっ先が穴の表面に触れる。
「はあ、は……ぁ、あっあ!」
入り口がカリによって引き伸ばされ、抵抗感を感じたけれどそのまま一気に腰を落とした。ズンと奥まで抉られて、思い切り彼の背中に爪を立ててしまう。
「いっ、あ!」
「っ郁巳さん……そんなに一気に挿れて、痛くないですか?」
「……痛く、ない」
衝撃が去ると、彼と一つになっているという実感が、じわじわと腰の奥から染み込んできた。圧迫感がすごくて、脈打つ様まで感じてしまうくらいにぎゅうぎゅうに締めつけてしまう。
入っているだけなのに、締めつける度に腹の奥から快感が染みだしてきて、僕は満足げな吐息を漏らした。
「ん、きもちいい……」
「っ、煽らないでください。すぐに突き上げてしまいたくなる」
「あ……待って」
彼の衝動を宥めたくて背中を撫でさする。ああ、ちょっと赤くなっちゃってるな。カーテンから断続的に差し込む光は、爪の跡を浮かび上がらせている。
「ごめん。背中、傷つけちゃった」
「構いません。もっと跡をつけてください。私が貴方に愛されているという証を」
「ひゃっ」
巽は僕の首筋にしゃぶりついてキスマークを残す。これでおあいこだとでも言うように、蠱惑的な笑みを浮かべた。
「そろそろ動きますよ。早く貴方を堪能したい」
「あ、まだ……っ! ぁっあっ、あっ、あ!」
もう我慢の限界だとでも言うかのように、最初から容赦なく突き上げられた。中のしこりを押し潰しながら怒張が行き来する度に、グッと鍛えられた体にしがみつく。
腰から溶けてしまいそうなほどに、気持ちよさが波のように押し寄せてきた。大きすぎるほどに育ったモノで、みっちりと内壁を埋められてしまう。
「う、深い……っ」
「ああ……貴方の一番奥に迎え入れてくれませんか」
「いっ、あっ!」
逞しい熱杭が僕の体の重みを利用して、入っちゃいけないようなとこまで潜ろうとしている。結腸の入り口をノックされる度に、びくんと爪先が跳ねた。打ち上げ間隔が早まってきた花火の音が耳に入らないくらい、快感に夢中になる。
「郁巳さん、さあ……力を抜いて、私に全てを委ねてください」
巽の声が麻薬のように甘く響いて、僕の抵抗を蕩かせていく。もっと一つになろうだなんて……怖い、けれど巽の情熱を受け止めたい……彼の腰に脚を巻きつけて、下生えが僕の尻にくっつくまでじっと耐えた。
「……っぁ? っぐぅ」
腹の奥底で扉が開かれる感覚がする。ブワッとお腹の奥から熱が吹き出すような心地がして、気がつくと絶頂していた。
「……っ! ……!」
声もなく感じいって背をしならせると、余計に体内の楔に意識が向いてしまい、少しの身じろぎで何度も達しそうになる。
熱い吐息が肩口にかかるだけでも性感に結びついてしまい、もう何をされても快感に結びついてしまうみたいだった。
「うっ、中がうねって……!」
「……っぃぁあっ」
巽が腰を揺らしただけでまたイってしまった。前からは何も出ておらず、中イキを繰り返しているらしい。昇ったまま降りてこられなくて、気持ちが良すぎて怖い。
巽の背にまた爪を立ててしまったが、彼はその刺激でむしろ煽られたようで、下から腰を突き上げた。
「ぁ、ぁぐっ」
「……っ、もう、出ますっ」
続く快感に慄きながら、こくこくと頷き彼の頭を抱き抱える。ぐりゅっと奥まで亀頭を押し込んで、巽は達したようだった。熱が体内に広がって、恍惚としたため息を吐く。
「……っん」
熱杭が出ていく時にも感じいってしまい、あえかな吐息を漏らした。くたっとベッドの上に倒れ込み、息を整える。
まだ体の奥が熱くて、ずくずくと疼いて仕方がない。スキンを縛ってゴミ箱に放った巽は、僕の隣に寝転がり顔中にキスを落とす。
「ん、くすぐった……っ」
何度も何度もキスをされて、収まりかけた胸の鼓動がまた早まる。どうしよう、まだ腰の奥がうずうずする……魅惑的な目線に導かれるようにして唇を重ねると、だんだん口づけが深くなっていく。
「ん、は……」
「もう一度、貴方のことを愛したい……いいですか?」
「う……うん」
火照る顔を持て余しながら返事をすると、一際明るく空に散った花火がばっちり僕の横顔を照らした。
ああ、もう恥ずかしいな……どうせ見られているなら開き直ってしまえと、大きく股を開きながら誘う。
「もっといっぱい、奥に出してよ」
「……後悔しないでくださいね?」
スッと目を細めた巽は綻んだ媚肉に再び指を差し込む。過ぎた快楽に思考がぐずぐずになるまで蕩かされて、花火が終わった後も長い間繋がっていた。
*
夜中にパチリと目が覚めた。ハッとしながら枕元を探るが目当ての物は見つからない。
「今、何時だ……?」
「起きたんですか、郁巳さん。こちらをどうぞ」
巽に渡されたスマホを見ると、ちょうど日付が変わったところだった。
急いで起きあがろうとするが、腰に力が入らない。ベッドから滑り落ちそうになったところで巽の腕に抱えられた。
「あ、ありがとう」
「まだ寝ていてください、随分貴方の体に負担をかけてしまった」
「あ……」
腰が立たなくなるまで愛された記憶がまざまざと蘇り、恥ずかし過ぎて消え入りたくなった。後半なんてめちゃくちゃ甘えた声で、もっととねだっていた気がする……
こんな状態じゃ今夜は帰れないなと潔く諦めて、和泉にメッセージを打った。
「飲み過ぎて終電を逃したから、ホテルに泊まって帰るな、と……」
「ふふ。私達、悪い大人ですね」
「お前の方はいいのか? 大吾くんは」
「彼なら心配いりませんよ、忙しい和泉くんに会う口実ができたと喜んでいましたから」
「あ、そう……」
息子達も恋人同士の一時を過ごしたのだろうか。不思議と全く不快に思わず、むしろ和泉を支えてくれる人がいてよかったとすら思う。
和泉の恋人を許せなかったのは、僕に心の余裕がなかったせいかもなと自嘲した。
(巽のお陰で、和泉に対しても寛容になれた気がする)
人を好きだと思う心は、誰に反対されたって止められないものなんだと思い知った。僕だって巽に惹かれていく心を、何度自分を戒めても阻止できなかったもんなあ。
スマホを充電器に繋いで、隣で膝枕をしてくれている巽の肩に顔を寄せた。お互いに裸のままで、全身で触れあえるのが気持ちいい。足を絡めて抱きつくと、巽は僕の頭を撫でた。
「郁巳さん、そんなに情熱的に抱きしめられたら、まだし足りないのかと勘違いしたくなりますよ」
「馬鹿、もう無理だってば」
「おや、残念」
くすくすと上品に笑った巽は、僕の背中に片腕を回して抱きしめ返してくれる。大きな手で頭から背中にかけて撫で下ろされると、甘やかされているようで安心感が胸に満ちた。
「こんなに幸せでいいのかな」
ぽつりと素直な気持ちが口から転がり出ていく。巽に愛されている感覚は甘美で、いつまでも胸の中に抱かれていたくなった。
巽は僕の額にキスを落とすと、優しげな声音で語りかけてくる。
「いいんですよ、郁巳。誰がなんと言おうと、貴方には幸せになる権利があります」
「……はは、かっこいいなお前は。僕はダメだ、夏葉の言葉を思い出して幸せになってもいいんだってようやく思えたのに、お前にこんなことを言わせて」
どれだけ甘えたいんだよと、自分の臆病さが我ながら嫌になりそうだ。僕の眉間に皺が寄ったことに暗闇の中でも感触で気づいたらしく、指先で皺を伸ばされる。
「長年幸せになってはいけないと思い続けていたのでしょう? 急に考えを変えられなくても仕方がないと思います」
「ほらまたそうやって甘やかす。僕が巽さん無しで生きられなくなったら、どうしてくれるんだ?」
「どうしようもなにも、もしそうなったらとても嬉しいですが」
本気で喜んでいるような浮かれた声を聞いて、僕の悩みなんてちっぽけなものに思えてきた。
「なんだか悩んでいるのが馬鹿らしくなってきた」
「悩む必要なんてありませんよ。私にとっては愛した人をお世話できるのは、悦びでしかありませんから。貴方は私の側で笑ったり泣いたりよがったりして、ありのままの姿を見せてくれたらそれでいいんです」
甘やかす気満々の発言を聞いて苦笑する。巽の求めることを全て受け入れたら、ダメ人間になってしまいそうだ。あと腰が死にそう。
僕だって大人の男なんだから、全てを彼に頼りきりにするつもりはない。けれど、こんな風にひたむきに愛してもらえるのはとても嬉しくて。
自然と頬を緩ませながら、甘えるような声音で問いかける。
「……巽」
「なんですか」
「僕と一緒に幸せになってくれるか?」
言った後で、あれ、なんだかプロポーズしたみたいな言い方になってしまったなと気づく。訂正しようと口を開きかけたところで、めちゃくちゃに抱きしめられた。
「ええ、ぜひ。一緒に幸せになりましょう」
胸の中に抱きしめられて、彼の心臓の音を肌で感じた。ドクドクと鳴り響くそれはかなりの速さで、彼の興奮と感動を物語っている。
僕はゆっくりと、そしてしっかりと彼の背中を抱き返した。夏の空気は冷房をかけた部屋にいても暑さを感じさせたけれど、そんなことは気にもかけずに熱い体をぎゅっと抱き締めた。
「そのまま私に抱きついていてくださいね……ゆっくり腰を降ろして」
僕は興奮しきって浅い呼吸を繰り返しながら、巽の怒張を迎え入れるようにして腰を降ろした。つぷりときっ先が穴の表面に触れる。
「はあ、は……ぁ、あっあ!」
入り口がカリによって引き伸ばされ、抵抗感を感じたけれどそのまま一気に腰を落とした。ズンと奥まで抉られて、思い切り彼の背中に爪を立ててしまう。
「いっ、あ!」
「っ郁巳さん……そんなに一気に挿れて、痛くないですか?」
「……痛く、ない」
衝撃が去ると、彼と一つになっているという実感が、じわじわと腰の奥から染み込んできた。圧迫感がすごくて、脈打つ様まで感じてしまうくらいにぎゅうぎゅうに締めつけてしまう。
入っているだけなのに、締めつける度に腹の奥から快感が染みだしてきて、僕は満足げな吐息を漏らした。
「ん、きもちいい……」
「っ、煽らないでください。すぐに突き上げてしまいたくなる」
「あ……待って」
彼の衝動を宥めたくて背中を撫でさする。ああ、ちょっと赤くなっちゃってるな。カーテンから断続的に差し込む光は、爪の跡を浮かび上がらせている。
「ごめん。背中、傷つけちゃった」
「構いません。もっと跡をつけてください。私が貴方に愛されているという証を」
「ひゃっ」
巽は僕の首筋にしゃぶりついてキスマークを残す。これでおあいこだとでも言うように、蠱惑的な笑みを浮かべた。
「そろそろ動きますよ。早く貴方を堪能したい」
「あ、まだ……っ! ぁっあっ、あっ、あ!」
もう我慢の限界だとでも言うかのように、最初から容赦なく突き上げられた。中のしこりを押し潰しながら怒張が行き来する度に、グッと鍛えられた体にしがみつく。
腰から溶けてしまいそうなほどに、気持ちよさが波のように押し寄せてきた。大きすぎるほどに育ったモノで、みっちりと内壁を埋められてしまう。
「う、深い……っ」
「ああ……貴方の一番奥に迎え入れてくれませんか」
「いっ、あっ!」
逞しい熱杭が僕の体の重みを利用して、入っちゃいけないようなとこまで潜ろうとしている。結腸の入り口をノックされる度に、びくんと爪先が跳ねた。打ち上げ間隔が早まってきた花火の音が耳に入らないくらい、快感に夢中になる。
「郁巳さん、さあ……力を抜いて、私に全てを委ねてください」
巽の声が麻薬のように甘く響いて、僕の抵抗を蕩かせていく。もっと一つになろうだなんて……怖い、けれど巽の情熱を受け止めたい……彼の腰に脚を巻きつけて、下生えが僕の尻にくっつくまでじっと耐えた。
「……っぁ? っぐぅ」
腹の奥底で扉が開かれる感覚がする。ブワッとお腹の奥から熱が吹き出すような心地がして、気がつくと絶頂していた。
「……っ! ……!」
声もなく感じいって背をしならせると、余計に体内の楔に意識が向いてしまい、少しの身じろぎで何度も達しそうになる。
熱い吐息が肩口にかかるだけでも性感に結びついてしまい、もう何をされても快感に結びついてしまうみたいだった。
「うっ、中がうねって……!」
「……っぃぁあっ」
巽が腰を揺らしただけでまたイってしまった。前からは何も出ておらず、中イキを繰り返しているらしい。昇ったまま降りてこられなくて、気持ちが良すぎて怖い。
巽の背にまた爪を立ててしまったが、彼はその刺激でむしろ煽られたようで、下から腰を突き上げた。
「ぁ、ぁぐっ」
「……っ、もう、出ますっ」
続く快感に慄きながら、こくこくと頷き彼の頭を抱き抱える。ぐりゅっと奥まで亀頭を押し込んで、巽は達したようだった。熱が体内に広がって、恍惚としたため息を吐く。
「……っん」
熱杭が出ていく時にも感じいってしまい、あえかな吐息を漏らした。くたっとベッドの上に倒れ込み、息を整える。
まだ体の奥が熱くて、ずくずくと疼いて仕方がない。スキンを縛ってゴミ箱に放った巽は、僕の隣に寝転がり顔中にキスを落とす。
「ん、くすぐった……っ」
何度も何度もキスをされて、収まりかけた胸の鼓動がまた早まる。どうしよう、まだ腰の奥がうずうずする……魅惑的な目線に導かれるようにして唇を重ねると、だんだん口づけが深くなっていく。
「ん、は……」
「もう一度、貴方のことを愛したい……いいですか?」
「う……うん」
火照る顔を持て余しながら返事をすると、一際明るく空に散った花火がばっちり僕の横顔を照らした。
ああ、もう恥ずかしいな……どうせ見られているなら開き直ってしまえと、大きく股を開きながら誘う。
「もっといっぱい、奥に出してよ」
「……後悔しないでくださいね?」
スッと目を細めた巽は綻んだ媚肉に再び指を差し込む。過ぎた快楽に思考がぐずぐずになるまで蕩かされて、花火が終わった後も長い間繋がっていた。
*
夜中にパチリと目が覚めた。ハッとしながら枕元を探るが目当ての物は見つからない。
「今、何時だ……?」
「起きたんですか、郁巳さん。こちらをどうぞ」
巽に渡されたスマホを見ると、ちょうど日付が変わったところだった。
急いで起きあがろうとするが、腰に力が入らない。ベッドから滑り落ちそうになったところで巽の腕に抱えられた。
「あ、ありがとう」
「まだ寝ていてください、随分貴方の体に負担をかけてしまった」
「あ……」
腰が立たなくなるまで愛された記憶がまざまざと蘇り、恥ずかし過ぎて消え入りたくなった。後半なんてめちゃくちゃ甘えた声で、もっととねだっていた気がする……
こんな状態じゃ今夜は帰れないなと潔く諦めて、和泉にメッセージを打った。
「飲み過ぎて終電を逃したから、ホテルに泊まって帰るな、と……」
「ふふ。私達、悪い大人ですね」
「お前の方はいいのか? 大吾くんは」
「彼なら心配いりませんよ、忙しい和泉くんに会う口実ができたと喜んでいましたから」
「あ、そう……」
息子達も恋人同士の一時を過ごしたのだろうか。不思議と全く不快に思わず、むしろ和泉を支えてくれる人がいてよかったとすら思う。
和泉の恋人を許せなかったのは、僕に心の余裕がなかったせいかもなと自嘲した。
(巽のお陰で、和泉に対しても寛容になれた気がする)
人を好きだと思う心は、誰に反対されたって止められないものなんだと思い知った。僕だって巽に惹かれていく心を、何度自分を戒めても阻止できなかったもんなあ。
スマホを充電器に繋いで、隣で膝枕をしてくれている巽の肩に顔を寄せた。お互いに裸のままで、全身で触れあえるのが気持ちいい。足を絡めて抱きつくと、巽は僕の頭を撫でた。
「郁巳さん、そんなに情熱的に抱きしめられたら、まだし足りないのかと勘違いしたくなりますよ」
「馬鹿、もう無理だってば」
「おや、残念」
くすくすと上品に笑った巽は、僕の背中に片腕を回して抱きしめ返してくれる。大きな手で頭から背中にかけて撫で下ろされると、甘やかされているようで安心感が胸に満ちた。
「こんなに幸せでいいのかな」
ぽつりと素直な気持ちが口から転がり出ていく。巽に愛されている感覚は甘美で、いつまでも胸の中に抱かれていたくなった。
巽は僕の額にキスを落とすと、優しげな声音で語りかけてくる。
「いいんですよ、郁巳。誰がなんと言おうと、貴方には幸せになる権利があります」
「……はは、かっこいいなお前は。僕はダメだ、夏葉の言葉を思い出して幸せになってもいいんだってようやく思えたのに、お前にこんなことを言わせて」
どれだけ甘えたいんだよと、自分の臆病さが我ながら嫌になりそうだ。僕の眉間に皺が寄ったことに暗闇の中でも感触で気づいたらしく、指先で皺を伸ばされる。
「長年幸せになってはいけないと思い続けていたのでしょう? 急に考えを変えられなくても仕方がないと思います」
「ほらまたそうやって甘やかす。僕が巽さん無しで生きられなくなったら、どうしてくれるんだ?」
「どうしようもなにも、もしそうなったらとても嬉しいですが」
本気で喜んでいるような浮かれた声を聞いて、僕の悩みなんてちっぽけなものに思えてきた。
「なんだか悩んでいるのが馬鹿らしくなってきた」
「悩む必要なんてありませんよ。私にとっては愛した人をお世話できるのは、悦びでしかありませんから。貴方は私の側で笑ったり泣いたりよがったりして、ありのままの姿を見せてくれたらそれでいいんです」
甘やかす気満々の発言を聞いて苦笑する。巽の求めることを全て受け入れたら、ダメ人間になってしまいそうだ。あと腰が死にそう。
僕だって大人の男なんだから、全てを彼に頼りきりにするつもりはない。けれど、こんな風にひたむきに愛してもらえるのはとても嬉しくて。
自然と頬を緩ませながら、甘えるような声音で問いかける。
「……巽」
「なんですか」
「僕と一緒に幸せになってくれるか?」
言った後で、あれ、なんだかプロポーズしたみたいな言い方になってしまったなと気づく。訂正しようと口を開きかけたところで、めちゃくちゃに抱きしめられた。
「ええ、ぜひ。一緒に幸せになりましょう」
胸の中に抱きしめられて、彼の心臓の音を肌で感じた。ドクドクと鳴り響くそれはかなりの速さで、彼の興奮と感動を物語っている。
僕はゆっくりと、そしてしっかりと彼の背中を抱き返した。夏の空気は冷房をかけた部屋にいても暑さを感じさせたけれど、そんなことは気にもかけずに熱い体をぎゅっと抱き締めた。
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