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第四章 海へ
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夏葉を置いて僕だけが幸せになるなんて、そんなことはできない……俯いて物思いに耽る僕の首筋を、巽の骨張った指がなぞる。
「消えないですね、跡。郁巳さんは肌が白いから、キスマークがよく映えます」
「それ、シャツを着たら隠れる位置にあるよな?」
「そうですね、残念なことに」
「何が残念だ、まったく」
ため息を吐いて首筋を擦ると、巽はうっとりと呟く。
「ふふ、色っぽいですね。いつか貴方の身体中をキスマークで飾ってさしあげたい」
「うわ、絶対嫌だからな?」
とんでもない願望を聞いて、僕は思わず巽を振り向いた。眼鏡をとった彼は普段の知的な印象が薄れて、生来の高貴な雰囲気の美しさが際立っている。慌てて顔を背けた。
なんでだろう、好きかもしれないと自覚した途端、巽に見られるのが恥ずかしい。意識してしまって気まずいと膝を擦り合わせていると、彼は後ろから僕の中途半端に勃ったままの陰茎を握ってきた。
「あ、何する……っ」
「まだ元気そうですね。郁巳さん、もう一戦しませんか?」
「う……でも」
こんなに発情しっぱなしになっているなんて、淫乱だと思われないだろうか。ためらっているうちに先端を指の腹でよしよしと撫でられ、どんどん芯を持って固くなっていく。
裏筋からカリにかけてをちょうどいい力で擦られて、うっと息を詰めた。ああもう、なんでコイツはこんなに上手いんだと恨みがましく睨みつける。
「また健気に勃ち上がってきましたよ。私の指を気に入ってくれているんですね」
「やめろってば。もう離せったら」
気力を振り絞り彼の手を引き剥がして風呂場に逃げこんだ。シャワーで汗を流しながら巽のことを極力忘れようとしていたのに、彼はまたしても無断でシャワー室へと入ってきてしまった。
「あ、こら! 入るの禁止」
「お手伝いに来ただけですから、気にせず汗を流してください」
絶対それだけで済むはずがないので断固拒否したと言うのに、後始末だといって尻に指を入れられて僕は喘いだ。壁に手をついて震えながら、時折前立腺を撫でていく悪戯な指にキュッと唇を噛む。
「ああ、噛まないでください。唇が荒れてしまいます」
巽は僕を正面に向かい合うように体勢を変えさせると、これ以上噛まないようにとキスを施した。口内と媚肉を同時に探られて、僕は半分ガニ股になりながらぶるぶる体を震わせる。
「ん、んぅーっ、んー!」
「っは、郁巳さん、前で達したいですか、それとも中がいいですか?」
ああもう、やっぱりこうなってしまった。けれどもう僕は止めたいなんてちっとも思えなくて、巽の欲に塗れた瞳を涙目で見上げる。
「あ、ぁっ……前が、いい」
中で昇り詰めるのは深くて怖い。誘うように腰を突き出すと、ぶるんぶるんと固く育った屹立が揺れた。巽はいやらしく頬を緩めると、僕の片足を持ち上げてバスタブの上に乗せる。
「では触ってあげますから、私に掴まっていてくださいね」
巽の剛直が僕のとろけた後孔を遠慮なく犯した。待ち焦がれた刺激に胸をときめかせながら甲高い悲鳴を漏らす。
「ひゃあぁ……っんぁん、あっ、ぅあ!」
最初から遠慮なく突き入れられて、僕はあられもない声を出してよがった。なんとか片足で突っ張って倒れないようにするけれど、足場が不安定で怖い。縋るように巽の逞しい肩に手を回した。
腹の間に押しつぶされそうになっている僕の陰茎を巽の手のひらが包みこむ。リズミカルに上下に擦られて、腰から背中にかけて電流が駆け巡る。
「ふ、あぁあーっ、いい、気持ちいいよぉっ」
気持ちがよすぎてなんだか幸せな気分になってきた。へらりと巽に笑いかけると、彼もフッと笑ってくれる。自然と唇が重なり、口蓋の裏を舐められる。口の中も腹の中も陰茎への気持ちも、何もかもがよすぎて限界が近い。
唇が離された瞬間、僕は叫ぶように懇願した。
「もう無理っ、限界……! あ、ぁあ、出る、出そうっ」
「ふふ、必死ですね。なんて可愛らしいのでしょう……貴方の体の隅々まで、愛してさしあげたい」
巽は息を荒げながら、くりくりと鈴口を指の腹で執拗に撫で回した。溢れた先走りがシャワーの水と混ざり、とんでもなく淫靡な音を立てている。
腹側を執拗に突き上げられながら鈴口の先に軽く爪を立てられた瞬間、僕は腰の奥に溜まった熱を開放していた。
「あ、あぁぁあんっ!」
「郁巳さん、郁巳……っ」
熱に侵されたように僕の名前を呼びながら、彼は僕の両腰に手を添えてガツガツと奥をなぶりはじめた。容赦のない抽送に晒されて、僕は震える手で巽に抱きつく。
「ひぃっ、いぃんっ、まって、あぁああ!」
イッたばかりの敏感な体の奥を穿たれて、震えが止まらない。ビクビクと逃げ回る腰を捕えられ、何度も何度も奥に剛直を押し込まれる。
「郁巳さん、出しますよ……! 中で達してもいいですか」
もう頭まで快楽に犯されていた僕は、息を乱しながら首を縦に振った。
「あぁあ……っ」
ぐぽっと、入ってはならない場所にまで怒張をねじ込まれたような気配を感じる。僕が息を詰めた瞬間に、腹の奥の奥で熱い飛沫が広がったような感覚がした。
肩で息をしながらくったりと片足を投げ出していると、巽の陰茎が出ていく。続いて白濁とした液体が股の間を伝っていった。中出し、されたのか。
「すみません郁巳さん、お手伝いに来たつもりだったのに最後までしてしまいましたね。今から後始末を手伝いますので、お尻をこちらに向けてください」
再びくるりと体勢を変えられて、またしても指をぬかるんだ蕾の奥に入れられてしまう。僕は腰を振って弱々しい抵抗を示した。
「あ、もうやだってば、やめろよぉ……っ」
「そんなに誘惑しないでください。また続きをしたくなってしまう」
「誘ってないぃ!」
巽と一緒にいると僕の身体は反応してしまって、何度やっても余計に欲望が吹き出してしまうようだ。結局あの後も湯船に浸かりながら一戦して、最後は気絶するようにして眠りについた。
「消えないですね、跡。郁巳さんは肌が白いから、キスマークがよく映えます」
「それ、シャツを着たら隠れる位置にあるよな?」
「そうですね、残念なことに」
「何が残念だ、まったく」
ため息を吐いて首筋を擦ると、巽はうっとりと呟く。
「ふふ、色っぽいですね。いつか貴方の身体中をキスマークで飾ってさしあげたい」
「うわ、絶対嫌だからな?」
とんでもない願望を聞いて、僕は思わず巽を振り向いた。眼鏡をとった彼は普段の知的な印象が薄れて、生来の高貴な雰囲気の美しさが際立っている。慌てて顔を背けた。
なんでだろう、好きかもしれないと自覚した途端、巽に見られるのが恥ずかしい。意識してしまって気まずいと膝を擦り合わせていると、彼は後ろから僕の中途半端に勃ったままの陰茎を握ってきた。
「あ、何する……っ」
「まだ元気そうですね。郁巳さん、もう一戦しませんか?」
「う……でも」
こんなに発情しっぱなしになっているなんて、淫乱だと思われないだろうか。ためらっているうちに先端を指の腹でよしよしと撫でられ、どんどん芯を持って固くなっていく。
裏筋からカリにかけてをちょうどいい力で擦られて、うっと息を詰めた。ああもう、なんでコイツはこんなに上手いんだと恨みがましく睨みつける。
「また健気に勃ち上がってきましたよ。私の指を気に入ってくれているんですね」
「やめろってば。もう離せったら」
気力を振り絞り彼の手を引き剥がして風呂場に逃げこんだ。シャワーで汗を流しながら巽のことを極力忘れようとしていたのに、彼はまたしても無断でシャワー室へと入ってきてしまった。
「あ、こら! 入るの禁止」
「お手伝いに来ただけですから、気にせず汗を流してください」
絶対それだけで済むはずがないので断固拒否したと言うのに、後始末だといって尻に指を入れられて僕は喘いだ。壁に手をついて震えながら、時折前立腺を撫でていく悪戯な指にキュッと唇を噛む。
「ああ、噛まないでください。唇が荒れてしまいます」
巽は僕を正面に向かい合うように体勢を変えさせると、これ以上噛まないようにとキスを施した。口内と媚肉を同時に探られて、僕は半分ガニ股になりながらぶるぶる体を震わせる。
「ん、んぅーっ、んー!」
「っは、郁巳さん、前で達したいですか、それとも中がいいですか?」
ああもう、やっぱりこうなってしまった。けれどもう僕は止めたいなんてちっとも思えなくて、巽の欲に塗れた瞳を涙目で見上げる。
「あ、ぁっ……前が、いい」
中で昇り詰めるのは深くて怖い。誘うように腰を突き出すと、ぶるんぶるんと固く育った屹立が揺れた。巽はいやらしく頬を緩めると、僕の片足を持ち上げてバスタブの上に乗せる。
「では触ってあげますから、私に掴まっていてくださいね」
巽の剛直が僕のとろけた後孔を遠慮なく犯した。待ち焦がれた刺激に胸をときめかせながら甲高い悲鳴を漏らす。
「ひゃあぁ……っんぁん、あっ、ぅあ!」
最初から遠慮なく突き入れられて、僕はあられもない声を出してよがった。なんとか片足で突っ張って倒れないようにするけれど、足場が不安定で怖い。縋るように巽の逞しい肩に手を回した。
腹の間に押しつぶされそうになっている僕の陰茎を巽の手のひらが包みこむ。リズミカルに上下に擦られて、腰から背中にかけて電流が駆け巡る。
「ふ、あぁあーっ、いい、気持ちいいよぉっ」
気持ちがよすぎてなんだか幸せな気分になってきた。へらりと巽に笑いかけると、彼もフッと笑ってくれる。自然と唇が重なり、口蓋の裏を舐められる。口の中も腹の中も陰茎への気持ちも、何もかもがよすぎて限界が近い。
唇が離された瞬間、僕は叫ぶように懇願した。
「もう無理っ、限界……! あ、ぁあ、出る、出そうっ」
「ふふ、必死ですね。なんて可愛らしいのでしょう……貴方の体の隅々まで、愛してさしあげたい」
巽は息を荒げながら、くりくりと鈴口を指の腹で執拗に撫で回した。溢れた先走りがシャワーの水と混ざり、とんでもなく淫靡な音を立てている。
腹側を執拗に突き上げられながら鈴口の先に軽く爪を立てられた瞬間、僕は腰の奥に溜まった熱を開放していた。
「あ、あぁぁあんっ!」
「郁巳さん、郁巳……っ」
熱に侵されたように僕の名前を呼びながら、彼は僕の両腰に手を添えてガツガツと奥をなぶりはじめた。容赦のない抽送に晒されて、僕は震える手で巽に抱きつく。
「ひぃっ、いぃんっ、まって、あぁああ!」
イッたばかりの敏感な体の奥を穿たれて、震えが止まらない。ビクビクと逃げ回る腰を捕えられ、何度も何度も奥に剛直を押し込まれる。
「郁巳さん、出しますよ……! 中で達してもいいですか」
もう頭まで快楽に犯されていた僕は、息を乱しながら首を縦に振った。
「あぁあ……っ」
ぐぽっと、入ってはならない場所にまで怒張をねじ込まれたような気配を感じる。僕が息を詰めた瞬間に、腹の奥の奥で熱い飛沫が広がったような感覚がした。
肩で息をしながらくったりと片足を投げ出していると、巽の陰茎が出ていく。続いて白濁とした液体が股の間を伝っていった。中出し、されたのか。
「すみません郁巳さん、お手伝いに来たつもりだったのに最後までしてしまいましたね。今から後始末を手伝いますので、お尻をこちらに向けてください」
再びくるりと体勢を変えられて、またしても指をぬかるんだ蕾の奥に入れられてしまう。僕は腰を振って弱々しい抵抗を示した。
「あ、もうやだってば、やめろよぉ……っ」
「そんなに誘惑しないでください。また続きをしたくなってしまう」
「誘ってないぃ!」
巽と一緒にいると僕の身体は反応してしまって、何度やっても余計に欲望が吹き出してしまうようだ。結局あの後も湯船に浸かりながら一戦して、最後は気絶するようにして眠りについた。
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