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第四章 海へ
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海の家の側にあるシャワー室で身体の汚れを落とした後、息子達の待つパラソルの元へと戻った。
二人は莉緒さんと会話をしているようだ。美男子二人を前にして、莉緒さんは目の色を変えている。
「えー、そうなんだ、受験生……若いねー」
「この旅行が終わったら、また受験勉強に全力で取りかかる予定なんです。なあ、大吾?」
「そうだな。一緒に勉強しよう」
「ふふ、二人は仲がいいのね」
「ええまあ。つきあってるんで」
大吾がサラリと告げた発言に、莉緒さんは固まっていた。そこに僕が戻ると再起動して、なぜかしなを作りはじめる。
「あら、お兄さんも戻ってきたみたい」
「あ、父さん」
「ととと、父さん⁉︎」
あんぐりと口を開けた莉緒さんを、後ろから現れた彼女の兄が回収していった。
「ほら、これに懲りたらナンパはやめとけ」
「絶対おかしいわよ、あんな大きな子がいるなんて! あの涼しげ美男、いってて三十くらいじゃないの?」
悪かったな、童顔で……顔をしかめていると、巽はしたり顔で頷いた。
「確かに郁巳さんは若く見えますよね。そういうところも素敵です」
「ハイハイ」
軽く流して旅館へと戻った。風呂で汗を流した後、四人で食堂に集まって食事に舌鼓を打っていると、なぜか和泉がそわそわしている気配を感じて首を捻る。
「どうしたんだ和泉。何か食べられない物でもあったか」
「いや、そういうんじゃないよ。ちょっと考え事」
なんだろう、歯切れの悪い和泉なんて珍しい。普段滅多に隠し事なんてしないタイプだけど、よっぽど言いにくいことでもあったのだろうか。
親子二人で部屋に戻って、寝間着代わりの浴衣に着替えて寛いでいると、和泉が突然思い出したように立ち上がった。
「わ、大変! 僕どうしても大吾に今日中に伝えたいことがあったんだ、今から行ってくる!」
「え? 和泉?」
呼び止める前に和泉はそそくさと部屋を出ていってしまった。なんなんだ、一体……まあそのうち戻ってくるだろうと判断して、窓の外の景色を眺めた。
暗い海からは波音が絶えず流れこんでくる。波の音を聞いていると、昼間巽に岩陰に連れ込まれたことを連鎖的に思い出してしまった。
もちろん、その時された行為のことも細部まで……
「……っ」
ずくりと腰が疼く。いや、腰というよりも、お腹の底が疼いているというべきか。彼のことを思い出さないようにしていた時は、ここまで切なくならなかったのに、どうして。
思い出しただけで身体が反応しそうになり、慌ててカーテンを閉めた。あの時、本当はナカを突いてほしかったのだろうか……いやそんなはずは。
理性では欲望を否定できるのに、身体は巽を求めているのか、後孔を締めつけていやらしい気持ちになってしまう。
「はあ……水でも飲んで落ち着こう」
ペットボトルの蓋を開けて、ぬるくなった水を胃の中に流しこむ。一息ついていると、部屋をノックされた。和泉が戻ってきたのだろうか。
さてはアイツ、急いで出たからカードキーを持ち忘れたな。仕方ないなと思いながら扉を開けると、そこに立っていたのは浴衣姿の巽だった。
「え、なんで」
小さめの鞄を小脇に抱えた彼は、フッと苦笑するように笑った。
「実は、息子達に部屋を追い出されてしまいましてね。入れてもらっていいですか」
「どういうことだ?」
「話の続きは部屋の中でしましょう」
追い出されたにしては余裕そうな表情の巽だったが、廊下でする話でもないだろうと部屋の中に入れてやった。
座布団に座らせてお茶を淹れてやる。礼を告げる巽の隣に座った。
「それで、どうしたんだ」
彼は顎に手を当てて、思案げな素振りを見せた。
「高校最後の夏の思い出だから、どうしても二人で夜を過ごしたいと大吾に懇願されましてね。そういうことなら仕方がないと、協力することにしました」
「え、まじか」
アイツら、二人きりの部屋でナニをするつもりなんだ。流石に文句を言ってやろうと立ち上がろうとすると、巽に腕を引かれた。
「郁巳さん、そういうわけなので、今晩は私達も熱い夜を過ごしましょう」
「はあっ?」
部屋を乗っ取られたというのにむしろ楽しそうな巽に面食らっていると、誘うように腰を撫でられる。待て待て待て、こんな展開は予想外だ!
「ちょ、正気か!? もしも和泉が忘れ物でも取りにきたら……」
「その心配はいりませんよ。大吾と共にいたいとお願いされた時、部屋を貸す代わりに父親の泊まる部屋には決して入らないよう言い含めておいたので」
「な、なんて理由を説明したんだっ?」
「海で泳いで疲れたから休息の邪魔をしないでほしいと告げたら、納得していましたよ」
「休息って言ったなら、ちゃんと休め……ひっ!」
浮かせた腰の下に手を入れられ、両手で尻を揉まれた。狭間を指で押し広げられる。
「一月ぶりに郁巳さんに触れられたというのに、みすみすチャンスを逃すつもりはありませんよ」
ギラギラと欲望に濡れた視線を受けて、僕は咄嗟に背を向けて逃げ出そうとした。腰に手を回されて阻まれ、後ろから覆い被さるようにして抱きしめられる。
「やっ、離せよ!」
「郁巳さん、昼間は中途半端にしかお構いできませんでしたし、今晩は心ゆくまで愛して差し上げます」
「いやいやいや、そんな変な気は使わなくていいから!」
遠慮するっていうのに、巽の手は無遠慮に浴衣の中へと潜り込んできた。合わせ目から手を差し入れられて、乳首を軽くつねられる。
淡く滲んだ快感を前にして、僕は身をくねらせて逃れようとしたけれど、指先はしつこく追いかけてきて何度も尖りを押されてなぶられる。
「あ、やめろったら」
「やめろとおっしゃる割には声が甘いですよ。もう感じていらっしゃるんですね、敏感だな」
「ぁっ!」
耳を犯すような低音が流し込まれて胸元に刺激を加えられ続けると、むくむくと陰茎が固くなっていくのを自覚した。身体は巽に与えられた快感を覚えているのか、少し弄られただけで昂ってしまう。
「私と会わない間に、体が疼いたりしませんでした?」
「な、なんてことを、聞くんだ……!」
「ふふ、そうだったらいいなという願望ですよ。あなたのココは……」
巽は浴衣をかき分け太腿の隙間に手を突っ込むと、下着越しに軽く勃ち上がったモノを掴んだ。ひゅっと喉が鳴る。
「私を求めてヌいたのでしょうか」
「しっ、してない!」
「そうなんですか? どうでしょうね、貴方の口は思ってもいないことを言う時があるようですし」
「本当だってば! お前と会っていない時は、こんなに感じたりムラムラしたりしない……あ!」
ぎゅっとちょうどいい力具合で屹立を握られて、じゅわっと滲み出た快感に反応して声が出てしまう。巽は声を高揚させて情熱的にささやいてきた。
「私と会っている時だけいやらしい気分になるんですか、郁巳さん」
「え、ちが……」
違うと否定しようとして、途中で言葉が止まる。言われてみればそうかもしれないと抵抗を忘れたその隙を逃さず、巽は器用に僕のパンツを半分ほどずりおろし陰茎を露出させた。
二人は莉緒さんと会話をしているようだ。美男子二人を前にして、莉緒さんは目の色を変えている。
「えー、そうなんだ、受験生……若いねー」
「この旅行が終わったら、また受験勉強に全力で取りかかる予定なんです。なあ、大吾?」
「そうだな。一緒に勉強しよう」
「ふふ、二人は仲がいいのね」
「ええまあ。つきあってるんで」
大吾がサラリと告げた発言に、莉緒さんは固まっていた。そこに僕が戻ると再起動して、なぜかしなを作りはじめる。
「あら、お兄さんも戻ってきたみたい」
「あ、父さん」
「ととと、父さん⁉︎」
あんぐりと口を開けた莉緒さんを、後ろから現れた彼女の兄が回収していった。
「ほら、これに懲りたらナンパはやめとけ」
「絶対おかしいわよ、あんな大きな子がいるなんて! あの涼しげ美男、いってて三十くらいじゃないの?」
悪かったな、童顔で……顔をしかめていると、巽はしたり顔で頷いた。
「確かに郁巳さんは若く見えますよね。そういうところも素敵です」
「ハイハイ」
軽く流して旅館へと戻った。風呂で汗を流した後、四人で食堂に集まって食事に舌鼓を打っていると、なぜか和泉がそわそわしている気配を感じて首を捻る。
「どうしたんだ和泉。何か食べられない物でもあったか」
「いや、そういうんじゃないよ。ちょっと考え事」
なんだろう、歯切れの悪い和泉なんて珍しい。普段滅多に隠し事なんてしないタイプだけど、よっぽど言いにくいことでもあったのだろうか。
親子二人で部屋に戻って、寝間着代わりの浴衣に着替えて寛いでいると、和泉が突然思い出したように立ち上がった。
「わ、大変! 僕どうしても大吾に今日中に伝えたいことがあったんだ、今から行ってくる!」
「え? 和泉?」
呼び止める前に和泉はそそくさと部屋を出ていってしまった。なんなんだ、一体……まあそのうち戻ってくるだろうと判断して、窓の外の景色を眺めた。
暗い海からは波音が絶えず流れこんでくる。波の音を聞いていると、昼間巽に岩陰に連れ込まれたことを連鎖的に思い出してしまった。
もちろん、その時された行為のことも細部まで……
「……っ」
ずくりと腰が疼く。いや、腰というよりも、お腹の底が疼いているというべきか。彼のことを思い出さないようにしていた時は、ここまで切なくならなかったのに、どうして。
思い出しただけで身体が反応しそうになり、慌ててカーテンを閉めた。あの時、本当はナカを突いてほしかったのだろうか……いやそんなはずは。
理性では欲望を否定できるのに、身体は巽を求めているのか、後孔を締めつけていやらしい気持ちになってしまう。
「はあ……水でも飲んで落ち着こう」
ペットボトルの蓋を開けて、ぬるくなった水を胃の中に流しこむ。一息ついていると、部屋をノックされた。和泉が戻ってきたのだろうか。
さてはアイツ、急いで出たからカードキーを持ち忘れたな。仕方ないなと思いながら扉を開けると、そこに立っていたのは浴衣姿の巽だった。
「え、なんで」
小さめの鞄を小脇に抱えた彼は、フッと苦笑するように笑った。
「実は、息子達に部屋を追い出されてしまいましてね。入れてもらっていいですか」
「どういうことだ?」
「話の続きは部屋の中でしましょう」
追い出されたにしては余裕そうな表情の巽だったが、廊下でする話でもないだろうと部屋の中に入れてやった。
座布団に座らせてお茶を淹れてやる。礼を告げる巽の隣に座った。
「それで、どうしたんだ」
彼は顎に手を当てて、思案げな素振りを見せた。
「高校最後の夏の思い出だから、どうしても二人で夜を過ごしたいと大吾に懇願されましてね。そういうことなら仕方がないと、協力することにしました」
「え、まじか」
アイツら、二人きりの部屋でナニをするつもりなんだ。流石に文句を言ってやろうと立ち上がろうとすると、巽に腕を引かれた。
「郁巳さん、そういうわけなので、今晩は私達も熱い夜を過ごしましょう」
「はあっ?」
部屋を乗っ取られたというのにむしろ楽しそうな巽に面食らっていると、誘うように腰を撫でられる。待て待て待て、こんな展開は予想外だ!
「ちょ、正気か!? もしも和泉が忘れ物でも取りにきたら……」
「その心配はいりませんよ。大吾と共にいたいとお願いされた時、部屋を貸す代わりに父親の泊まる部屋には決して入らないよう言い含めておいたので」
「な、なんて理由を説明したんだっ?」
「海で泳いで疲れたから休息の邪魔をしないでほしいと告げたら、納得していましたよ」
「休息って言ったなら、ちゃんと休め……ひっ!」
浮かせた腰の下に手を入れられ、両手で尻を揉まれた。狭間を指で押し広げられる。
「一月ぶりに郁巳さんに触れられたというのに、みすみすチャンスを逃すつもりはありませんよ」
ギラギラと欲望に濡れた視線を受けて、僕は咄嗟に背を向けて逃げ出そうとした。腰に手を回されて阻まれ、後ろから覆い被さるようにして抱きしめられる。
「やっ、離せよ!」
「郁巳さん、昼間は中途半端にしかお構いできませんでしたし、今晩は心ゆくまで愛して差し上げます」
「いやいやいや、そんな変な気は使わなくていいから!」
遠慮するっていうのに、巽の手は無遠慮に浴衣の中へと潜り込んできた。合わせ目から手を差し入れられて、乳首を軽くつねられる。
淡く滲んだ快感を前にして、僕は身をくねらせて逃れようとしたけれど、指先はしつこく追いかけてきて何度も尖りを押されてなぶられる。
「あ、やめろったら」
「やめろとおっしゃる割には声が甘いですよ。もう感じていらっしゃるんですね、敏感だな」
「ぁっ!」
耳を犯すような低音が流し込まれて胸元に刺激を加えられ続けると、むくむくと陰茎が固くなっていくのを自覚した。身体は巽に与えられた快感を覚えているのか、少し弄られただけで昂ってしまう。
「私と会わない間に、体が疼いたりしませんでした?」
「な、なんてことを、聞くんだ……!」
「ふふ、そうだったらいいなという願望ですよ。あなたのココは……」
巽は浴衣をかき分け太腿の隙間に手を突っ込むと、下着越しに軽く勃ち上がったモノを掴んだ。ひゅっと喉が鳴る。
「私を求めてヌいたのでしょうか」
「しっ、してない!」
「そうなんですか? どうでしょうね、貴方の口は思ってもいないことを言う時があるようですし」
「本当だってば! お前と会っていない時は、こんなに感じたりムラムラしたりしない……あ!」
ぎゅっとちょうどいい力具合で屹立を握られて、じゅわっと滲み出た快感に反応して声が出てしまう。巽は声を高揚させて情熱的にささやいてきた。
「私と会っている時だけいやらしい気分になるんですか、郁巳さん」
「え、ちが……」
違うと否定しようとして、途中で言葉が止まる。言われてみればそうかもしれないと抵抗を忘れたその隙を逃さず、巽は器用に僕のパンツを半分ほどずりおろし陰茎を露出させた。
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