息子の彼氏にクレームをつけにいったら、そのパパに美味しくいただかれました

兎騎かなで

文字の大きさ
上 下
5 / 41

5☆?

しおりを挟む
 まるで自嘲するような微笑み方だった。

「いい親子関係を築かれていらっしゃるんですね。私のところは、連絡事項程度しか話してくれませんよ」
「そうですか……ちょっと寂しいですね」
「花屋敷さんのお人柄がよいのでしょうね」
「そうなんでしょうか? ありがとうございます」

 なぜか褒められてしまったが、話の筋がズレてしまったので本題に戻す。

「それで僕としては、なんとか二人におつきあいをやめさせたくてですね」
「何故ですか?」
「え?」

 森栄は、心底不思議だと言いたげに意見を述べた。

「彼らはすでに高校生です。恋の一つや二つしたい年頃でしょうし、節度をもったおつきあいであれば、親が交際をやめさせる必要はないでしょう」

 彼は上品な仕草でコーヒーを一口含むと、続きを話す。

「双方に恋愛感情があり同意があるのなら、私は構わないと思いますよ」
「貴方は構わなくとも僕は構うんです!」
「まあまあ、落ち着いてください花屋敷さん。息子さんが心配なお気持ちは、よくわかります。私だって妻と別れてから、息子が真っ当に育ってくれるか不安でしたから」
「あ、貴方も奥さんがいらっしゃらないのですか?」
「ということは、花屋敷さんも?」

 偶然にも同じ境遇だったようだ。こんな風に出会わなければ、同じシングルファザーとして協力できる仲になっていたかもしれない。今更遅いけれど。

 しかし森栄はそうは思わなかったみたいで、眼鏡の奥の瞳を細めて、華やかな笑顔になる。少し身を乗りだして、僕を見つめた。

「そうでしたか。よろしければ、郁巳さんとお呼びしても? 私のことも巽でいいですよ」
「いや、呼び方はどうでも、というか今その話をしているのではなくてですね。僕は息子が心配なんです、今朝も首に……キ、キスマークをつけていて」
「そうなんですか? どのあたりに?」

 森栄は立ち上がって僕に歩み寄ってきた。僕はうなじの後ろを指先で指し示す。

「この辺りですよ」
「ここですか」

 ヒヤリとした指先が首と肩の境界線を突く。なっ、なんで触ってくるんだよこの人。

「いえ、もう少し上ですが」
「この辺かな?」
「……っ、あの、触らないでいただけますか」
「おや、感じてしまいましたか? 敏感なんですね」

 つつつ……と首を指先でなぞられて、肩を竦める。身動いだ拍子にコーヒーカップに触れてしまい、中身を溢してしまった。

「あっ!」

 慌ててコーヒーカップを掴む。よかった、高級カップは無事だ。その代わり、僕の服は悲惨なことになってしまった。

 腹から下腹部にかけて、黒い染みがぐっちょりと服の色を変えている。
しおりを挟む
感想 19

あなたにおすすめの小説

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式の話

八億児
BL
架空の国と儀式の、真面目騎士×どスケベビッチ王。 古代アイルランドには臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式があったそうで、それはよいものだと思いましたので古代アイルランドとは特に関係なく王の乳首を吸ってもらいました。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

処理中です...