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あー、だけど本人はいないんだよね……森栄と書かれた表札の家を見上げながら思案する。
僕ら親子の住んでいるボロアパートと比べると、ずいぶん立派な一軒家だ。
小さな庭にはセンスよく植木が配置されていて、門までの道も綺麗に清掃されている。
ジロジロと人の家を眺めていたら、モダンな玄関扉が開いて人が出てきた。
知的な印象を抱く、背の高い美丈夫だった。
着ているシャツはしっかりとアイロンがかけられていて、しかしラフなチノパンを身につけていることから、休日スタイルだと思われた。
眼鏡の奥の目元には細かな皺が寄っているが、彼の整った甘い容姿を損なうものではなく、むしろ大人の色気を兼ね揃えている。
僕より少し年上ってところだろうか。
和泉にまで、お父さんてちょっと抜けてるよねと言われる僕だから、こんなダンディな男には憧れてしまうな。
少しクセのある黒髪をワックスで整えた彼は、僕を見つけると目を細めて、にこやかに微笑みかけた。
「おや、おはようございます」
「あ、おはようございます……」
「うちになにか御用ですか?」
別に御用なんてないけれど……待てよ。この際、お宅の息子さんが僕の息子を誑かしている、くらいの文句はつけてやってもいいんじゃないか。
大事に育てた一人息子を傷物にされるなんて、僕には耐えられない。
そうだ、大吾くんが和泉と交際をやめるように、この人からも伝えてもらおう。
じっと僕に視線を注ぐ彼を、キッと挑むように睨みつけた。
「森栄さん、ですよね」
「ええ」
「森栄大吾さんのお父様でしょうか」
「そうですよ」
「大吾さんと、僕の息子の関係についてお話があります。今お時間をいただいても、よろしいでしょうか」
彼は意外そうに目を瞬いたが、すぐに親しみやすい笑顔に戻って、外門を開いた。
「構いませんよ。どうやらこみ入った話になりそうですから、中へどうぞ」
「あ、ではお言葉に甘えてお邪魔します」
確かに、往来でうちの息子の彼氏がどうたら、と話すわけにはいかない。
突然来たのに、玄関内は掃除が行き届いていた。うちとはえらい違いだ……
僕ら親子の住んでいるボロアパートと比べると、ずいぶん立派な一軒家だ。
小さな庭にはセンスよく植木が配置されていて、門までの道も綺麗に清掃されている。
ジロジロと人の家を眺めていたら、モダンな玄関扉が開いて人が出てきた。
知的な印象を抱く、背の高い美丈夫だった。
着ているシャツはしっかりとアイロンがかけられていて、しかしラフなチノパンを身につけていることから、休日スタイルだと思われた。
眼鏡の奥の目元には細かな皺が寄っているが、彼の整った甘い容姿を損なうものではなく、むしろ大人の色気を兼ね揃えている。
僕より少し年上ってところだろうか。
和泉にまで、お父さんてちょっと抜けてるよねと言われる僕だから、こんなダンディな男には憧れてしまうな。
少しクセのある黒髪をワックスで整えた彼は、僕を見つけると目を細めて、にこやかに微笑みかけた。
「おや、おはようございます」
「あ、おはようございます……」
「うちになにか御用ですか?」
別に御用なんてないけれど……待てよ。この際、お宅の息子さんが僕の息子を誑かしている、くらいの文句はつけてやってもいいんじゃないか。
大事に育てた一人息子を傷物にされるなんて、僕には耐えられない。
そうだ、大吾くんが和泉と交際をやめるように、この人からも伝えてもらおう。
じっと僕に視線を注ぐ彼を、キッと挑むように睨みつけた。
「森栄さん、ですよね」
「ええ」
「森栄大吾さんのお父様でしょうか」
「そうですよ」
「大吾さんと、僕の息子の関係についてお話があります。今お時間をいただいても、よろしいでしょうか」
彼は意外そうに目を瞬いたが、すぐに親しみやすい笑顔に戻って、外門を開いた。
「構いませんよ。どうやらこみ入った話になりそうですから、中へどうぞ」
「あ、ではお言葉に甘えてお邪魔します」
確かに、往来でうちの息子の彼氏がどうたら、と話すわけにはいかない。
突然来たのに、玄関内は掃除が行き届いていた。うちとはえらい違いだ……
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