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32 恋心の発露
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話しあいの後、アルトにレイのことを少し聞いた。まだレイは法術を視れていないらしいが、アルトはレイの熱意を認め、もうしばらくの間師匠と呼ぶことを許したらしい。
この旅が終わったら、アルトもレイを見る暇がなくなりそうとのことなので、また改めて処遇を考えるそうだ。
せっかく友達になったんだし、近いうちに発動のコツとか伝授した方がいいのかな? とミリアが思案していたところ。
「ミリア、おいで」
微笑むアルトに誘われて、暖炉の前に移動する。ラジェは部屋に戻り、レイとフェルは積もりだした雪を見に外へ出かけたらしい。宿の一階にいるのはミリアとアルトの二人きりだ。
ソファに隣同士腰かけると、そっと手を握られた。
「手、冷えてるね」
「アルトはあったかいね」
大きなアルトの手に温められていると、ミリアの心臓は騒がしくなってきた。
こんなにも自然と手を繋がれちゃったけど、なんだか最近のアルトは妙に距離が近いよね?
最初の頃はミリアの許可なく触らないように遠慮していたはずなのに、だんだんとアルトは自然とミリアに触れるようになってきた。
ミリアの冷えていた手は、着々と温まってくる。
「俺さ、ミリアに伝えたいことがあって。本当はこんな大変な時に言うべきことじゃないかもしれないけど……でも、どうしても今伝えたい」
パチパチと燃える炎に照らされて、アルトの若草色の瞳は不思議な色に彩られていた。
「俺……ミリアが好きだ」
その瞬間、暖炉の火の音も、寒さも、なにもかもを忘れてミリアは彼の瞳に魅入った。まるでしんしんと降り積もる雪の中に閉じこめられて、世界で二人きりになったような感覚がした。
「えっ……」
それきり言葉にならないミリアに、アルトはギュッとミリアの手を握りしめると言葉を続けた。
「最初は、想像していたよりいい子で助かったな、くらいの思いだった。けれどだんだん、君の優しいところや、頑張り屋なところ、前向きなところとかかわいいところを見ているうちに、すごくいいなって……こんな子が俺の婚約者だったらいいのになって、そう思った」
ミリアも同じようなことを考えていた。アルトみたいな人が婚約者だったらよかったのにって。
「それで、君が消えてしまって……もう二度と会えないかもしれないって、そう思ったら。絶対に、嫌だと思ったんだ。君に触れたいと、そう思って……だから、その時はじめて、こんなにも君のことを好きになっていたんだなって、気づいた」
いつも流暢にアーガル語を話すアルトが、訥々と語る言葉にミリアは聴きいった。紡がれる言葉のその一つ一つから、アルトの想いが溢れでて伝わってくるようだった。
「だから今、こうして無事にミリアと会えて、本当に嬉しいよ」
「あの、その……私も、アルトと会えて嬉しい」
ミリアはなんとかそれだけ返事を返したが、心の中はさっきの告白でいっぱいいっぱいだ。
好きって、え? アルトが私のことを、好きって、恋愛的な意味でいいんだよね!? どどど、どうしよう……!
ミリアは顔が火照って真っ赤になった。アルトはそんなミリアを愛おしげに見つめている。
「ミリアは? 俺のこと、少しは意識してくれてるって自惚れてもいいのかな?」
「そんな、そんなのわかんないよ……!」
ただひたすらに恥ずかしくて、困惑して、そして嬉しかった。その気持ちを抱えているだけで精一杯なミリアには、それ以上のことは今は考えられない。
「あの、えっと、その……っ! 今はちょっと、考えられないというかその、アルトの気持ちは嬉しいんだけどびっくりしちゃって!」
「そうか、焦りすぎたね、ごめん。俺の気持ちを押しつけるつもりはないんだ。今は、俺がミリアを好きだってことを知ってもらえたら満足だから」
アルトはミリアの頭をぽんぽんと撫でて、本当に嬉しそうに笑った。こうやって触れられることが嬉しいと、瞳から感情が伝わってくる。
「女王を止めて、ミリアの父と兄を助けだそう。またその後にでも、俺の言ったことを考えてくれると嬉しい」
「う、うん……」
最早ミリアはアルトの顔を見ることすらできなくて、火照った頬を両手で包んだ。
*
ミリアは煙を噴きだしそうなくらい真っ赤になりながら、へろへろと部屋に戻った。すると、それを見たラジェに怪訝そうな顔をされる。
「どうしたの、その顔」
「えっ、変かな」
「とても」
ミリアはちょっぴりショックを受けて、おかげで少し平静さを取り戻した。ラジェの心配そうな視線とぶつかる。
「アルトになにかされた? お仕置きが必要?」
「おしおき!? いらない、いらないよ!」
ミリアはわたわたと手を振る。どちらかというと失礼なのは、しどろもどろになってちゃんと返事を返せなかったミリアの方だ。
でもまさかそんな、アルトが私のこと好きだなんて。そりゃまあ、いいなとは思っていたけれど。
他国の公爵子息だし、私は護衛対象だろうから恋愛対象にはならないかもと思っていたし、家のこととか今の状況とかを考えると、実際に結ばれることがない人なんじゃないかと勝手に想像していた。
だからアルトに好意を抱いていても、ちょっとドキドキすることがあっても、その気持ちを深く掘り下げてみることはしなかった。
そう、だからそういうものを全部気にしないで私を好きになってくれて告白してくれるなんて、思ってもみなかった。
どうしよう……嬉しい……けど、ほんとにどうしたらいいんだろう、私が告白を受けいれたらもしかして、婚約者に……? でもでも、そんなことってあり得る!?
顔を赤くしながら百面相を披露するミリアを見て、ラジェはピンときたようだった。
「アルト、もう告白したんだ。早い」
「うきゃあぁー!! 今その話しないでっ、心臓が破れちゃう!!」
ラジェは珍しく、大きな目をさらに丸くして、ミリアの大げさな反応に驚いていた。
「なぜそこまで恥ずかしがる? 私はアルトとミリアはお似合いだと思う。祝福する」
「だからその話は今駄目なのっ、なんかアルトのことを考えると頭が爆発しそうで叫びだしたくなっちゃうから!!」
「爆発? それは困る」
ラジェは真面目な顔でそう呟くと、やっと話題を変えてくれた。
「今はリリエルシアのことを考えよう」
「そうだね……そういえば気になっていたんだけど、どうして女王様のことを名前で呼ぶの?」
ラジェは真顔でミリアの顔を数秒見つめ、ミリアがたじろぐ頃にやっと口を開いた。
「…………正気?」
「えっ? 正気かと言われるとちょっと今微妙かもしれないけど、なんで?」
「リリは私の妹。本気で気づいていなかった?」
「えっ?」
沈黙が部屋に満ちる。
……えっ? 本当に?
記憶の中の女王様の顔と、ドレスで着飾った時のラジェの顔を照らしあわせる。確かに似ている、というかそっくりだ。
髪も顔も同じ、違うのは目の色と雰囲気だけ。というか、雰囲気が違いすぎてわからなかったらしい。かたやキラキラ女王様、かたやボサボサ頭のラジェ。
「えええぇー!?」
「ミリア……頭大丈夫?」
「だ、大丈夫爆発はまだしてないから、だけど本当に気づかなかった……! えっ、ほんとに瓜二つじゃない! なんで気づかなかったんだろう」
そういえば、ラジェって名前も、前の女王様だった姉陛下……ラジエルシア陛下の愛称そのままじゃない! いくらなんでも私鈍すぎると、ミリアは頭を抱えた。
「ミリアはリリと一年前にデビュッタントで会っているはず。私のドレス姿を見たからには、まさか気づいていないはずがないと思っていた」
「あはは……あの日はキルフェス兄様と一緒に美味しいご飯を食べるのに忙しかったから……女王陛下の顔が見えないくらい遠くにいたんだよね、はは……」
「アルトはとっくに気がついていた。フェルもミリアがいない間に気づいてる。レイはまだ知らないだろうけど」
「そうだったんだ……」
さっきの晩餐会でのアルトとフェルの様子を思いだしてみる。
アルトはラジェに対していつも通りだったけど、フェルは確かに前よりラジェに気を使っていた感じがした。ラジェが食べるからって、自分の作ったご飯を最初にラジェのところに持っていっていたし。
「ミリア、ここのところ疲れが溜まっているんだと思う。今日はもう寝た方がいい」
「そ、そうだね……本当に頭が爆発しちゃいそうだから、もう寝るよ……」
ミリアがよろよろと身支度をはじめようとした時、鋭いノックの音と共にフェルの声が扉越しに響いた。
「すまない二人とも、起きているか? 緊急事態だ」
ミリアはラジェと顔を見合わせ、扉を開けた。どうやらまだ寝られそうにはないようだ。
この旅が終わったら、アルトもレイを見る暇がなくなりそうとのことなので、また改めて処遇を考えるそうだ。
せっかく友達になったんだし、近いうちに発動のコツとか伝授した方がいいのかな? とミリアが思案していたところ。
「ミリア、おいで」
微笑むアルトに誘われて、暖炉の前に移動する。ラジェは部屋に戻り、レイとフェルは積もりだした雪を見に外へ出かけたらしい。宿の一階にいるのはミリアとアルトの二人きりだ。
ソファに隣同士腰かけると、そっと手を握られた。
「手、冷えてるね」
「アルトはあったかいね」
大きなアルトの手に温められていると、ミリアの心臓は騒がしくなってきた。
こんなにも自然と手を繋がれちゃったけど、なんだか最近のアルトは妙に距離が近いよね?
最初の頃はミリアの許可なく触らないように遠慮していたはずなのに、だんだんとアルトは自然とミリアに触れるようになってきた。
ミリアの冷えていた手は、着々と温まってくる。
「俺さ、ミリアに伝えたいことがあって。本当はこんな大変な時に言うべきことじゃないかもしれないけど……でも、どうしても今伝えたい」
パチパチと燃える炎に照らされて、アルトの若草色の瞳は不思議な色に彩られていた。
「俺……ミリアが好きだ」
その瞬間、暖炉の火の音も、寒さも、なにもかもを忘れてミリアは彼の瞳に魅入った。まるでしんしんと降り積もる雪の中に閉じこめられて、世界で二人きりになったような感覚がした。
「えっ……」
それきり言葉にならないミリアに、アルトはギュッとミリアの手を握りしめると言葉を続けた。
「最初は、想像していたよりいい子で助かったな、くらいの思いだった。けれどだんだん、君の優しいところや、頑張り屋なところ、前向きなところとかかわいいところを見ているうちに、すごくいいなって……こんな子が俺の婚約者だったらいいのになって、そう思った」
ミリアも同じようなことを考えていた。アルトみたいな人が婚約者だったらよかったのにって。
「それで、君が消えてしまって……もう二度と会えないかもしれないって、そう思ったら。絶対に、嫌だと思ったんだ。君に触れたいと、そう思って……だから、その時はじめて、こんなにも君のことを好きになっていたんだなって、気づいた」
いつも流暢にアーガル語を話すアルトが、訥々と語る言葉にミリアは聴きいった。紡がれる言葉のその一つ一つから、アルトの想いが溢れでて伝わってくるようだった。
「だから今、こうして無事にミリアと会えて、本当に嬉しいよ」
「あの、その……私も、アルトと会えて嬉しい」
ミリアはなんとかそれだけ返事を返したが、心の中はさっきの告白でいっぱいいっぱいだ。
好きって、え? アルトが私のことを、好きって、恋愛的な意味でいいんだよね!? どどど、どうしよう……!
ミリアは顔が火照って真っ赤になった。アルトはそんなミリアを愛おしげに見つめている。
「ミリアは? 俺のこと、少しは意識してくれてるって自惚れてもいいのかな?」
「そんな、そんなのわかんないよ……!」
ただひたすらに恥ずかしくて、困惑して、そして嬉しかった。その気持ちを抱えているだけで精一杯なミリアには、それ以上のことは今は考えられない。
「あの、えっと、その……っ! 今はちょっと、考えられないというかその、アルトの気持ちは嬉しいんだけどびっくりしちゃって!」
「そうか、焦りすぎたね、ごめん。俺の気持ちを押しつけるつもりはないんだ。今は、俺がミリアを好きだってことを知ってもらえたら満足だから」
アルトはミリアの頭をぽんぽんと撫でて、本当に嬉しそうに笑った。こうやって触れられることが嬉しいと、瞳から感情が伝わってくる。
「女王を止めて、ミリアの父と兄を助けだそう。またその後にでも、俺の言ったことを考えてくれると嬉しい」
「う、うん……」
最早ミリアはアルトの顔を見ることすらできなくて、火照った頬を両手で包んだ。
*
ミリアは煙を噴きだしそうなくらい真っ赤になりながら、へろへろと部屋に戻った。すると、それを見たラジェに怪訝そうな顔をされる。
「どうしたの、その顔」
「えっ、変かな」
「とても」
ミリアはちょっぴりショックを受けて、おかげで少し平静さを取り戻した。ラジェの心配そうな視線とぶつかる。
「アルトになにかされた? お仕置きが必要?」
「おしおき!? いらない、いらないよ!」
ミリアはわたわたと手を振る。どちらかというと失礼なのは、しどろもどろになってちゃんと返事を返せなかったミリアの方だ。
でもまさかそんな、アルトが私のこと好きだなんて。そりゃまあ、いいなとは思っていたけれど。
他国の公爵子息だし、私は護衛対象だろうから恋愛対象にはならないかもと思っていたし、家のこととか今の状況とかを考えると、実際に結ばれることがない人なんじゃないかと勝手に想像していた。
だからアルトに好意を抱いていても、ちょっとドキドキすることがあっても、その気持ちを深く掘り下げてみることはしなかった。
そう、だからそういうものを全部気にしないで私を好きになってくれて告白してくれるなんて、思ってもみなかった。
どうしよう……嬉しい……けど、ほんとにどうしたらいいんだろう、私が告白を受けいれたらもしかして、婚約者に……? でもでも、そんなことってあり得る!?
顔を赤くしながら百面相を披露するミリアを見て、ラジェはピンときたようだった。
「アルト、もう告白したんだ。早い」
「うきゃあぁー!! 今その話しないでっ、心臓が破れちゃう!!」
ラジェは珍しく、大きな目をさらに丸くして、ミリアの大げさな反応に驚いていた。
「なぜそこまで恥ずかしがる? 私はアルトとミリアはお似合いだと思う。祝福する」
「だからその話は今駄目なのっ、なんかアルトのことを考えると頭が爆発しそうで叫びだしたくなっちゃうから!!」
「爆発? それは困る」
ラジェは真面目な顔でそう呟くと、やっと話題を変えてくれた。
「今はリリエルシアのことを考えよう」
「そうだね……そういえば気になっていたんだけど、どうして女王様のことを名前で呼ぶの?」
ラジェは真顔でミリアの顔を数秒見つめ、ミリアがたじろぐ頃にやっと口を開いた。
「…………正気?」
「えっ? 正気かと言われるとちょっと今微妙かもしれないけど、なんで?」
「リリは私の妹。本気で気づいていなかった?」
「えっ?」
沈黙が部屋に満ちる。
……えっ? 本当に?
記憶の中の女王様の顔と、ドレスで着飾った時のラジェの顔を照らしあわせる。確かに似ている、というかそっくりだ。
髪も顔も同じ、違うのは目の色と雰囲気だけ。というか、雰囲気が違いすぎてわからなかったらしい。かたやキラキラ女王様、かたやボサボサ頭のラジェ。
「えええぇー!?」
「ミリア……頭大丈夫?」
「だ、大丈夫爆発はまだしてないから、だけど本当に気づかなかった……! えっ、ほんとに瓜二つじゃない! なんで気づかなかったんだろう」
そういえば、ラジェって名前も、前の女王様だった姉陛下……ラジエルシア陛下の愛称そのままじゃない! いくらなんでも私鈍すぎると、ミリアは頭を抱えた。
「ミリアはリリと一年前にデビュッタントで会っているはず。私のドレス姿を見たからには、まさか気づいていないはずがないと思っていた」
「あはは……あの日はキルフェス兄様と一緒に美味しいご飯を食べるのに忙しかったから……女王陛下の顔が見えないくらい遠くにいたんだよね、はは……」
「アルトはとっくに気がついていた。フェルもミリアがいない間に気づいてる。レイはまだ知らないだろうけど」
「そうだったんだ……」
さっきの晩餐会でのアルトとフェルの様子を思いだしてみる。
アルトはラジェに対していつも通りだったけど、フェルは確かに前よりラジェに気を使っていた感じがした。ラジェが食べるからって、自分の作ったご飯を最初にラジェのところに持っていっていたし。
「ミリア、ここのところ疲れが溜まっているんだと思う。今日はもう寝た方がいい」
「そ、そうだね……本当に頭が爆発しちゃいそうだから、もう寝るよ……」
ミリアがよろよろと身支度をはじめようとした時、鋭いノックの音と共にフェルの声が扉越しに響いた。
「すまない二人とも、起きているか? 緊急事態だ」
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