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27 逃げるミリアと留まるキルフェス
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赤い石のはまった装置は鉄格子の外側にかけられていて、手を回せば触れることができた。
ミリアが赤い石に触ると、なんとなく嫌な感じがした。冷たいような、ピリピリと痛いような……
普通じゃない距離の瞬間移動をしたことや、ガヴィーノが赤い石をやたらとありがたがっていた様子から考えて、この石は法石の一種だろうとミリアは予想した。
そういえば、王城や王都は法術の使用が阻害されるってアルト達が言ってたよね。それって、この石によるものなのかな?
ミリアの胸元にあるペンダントと違って、冷たくて嫌な感じの法石だけれど……この石をなんとかできれば、ここを脱出できるかもしれない。
ミリアが脱出手段について検討していると、キルフェスがミリアの胸元のペンダントを見つけて青の目を細めた。
「ミリア、それ母上の形見じゃないか?」
「そうだよ。お兄様、知ってたんだ」
「ああ。あの人はまるで自分の死を知っていたかのように、俺には短剣を、マルセロにはペンを、エスメラルダには指輪を、そしてお前にはペンダントを遺したんだったか」
「そうだったんだ。私小さかったから覚えてなかったけど、お兄様達も形見の品をもらっていたんだね」
「そうだな。あの短剣が手元にあれば勇気づけられただろう……武器だから牢の中には持ちこめなかっただろうがな。ドレンセオに置いてきたから、今も無事に残っているといいが」
「マルセロお兄様がドレンセオを守ってくれてるから、きっと大丈夫だよ」
「そうだな」
キルフェスはそう言ったきり、また黙りこんでしまった。ミリアは再び赤い法石に意識を戻す。
これをどうにかするには……そうだ! ちょっと怖いけど、このペンダントをかざしてみよう。
ミリアは胸元のペンダントを赤い石に触れさせてみたけれど、特になにも起きなかった。
これじゃダメなのかあ。女王様はこの法石のことを鍵って言ってたけど、なにか別の用途があるのかな?
とにかく、できることはなんでも試してみよう。うーん、これが法術阻害用の法石だとしたら、予見は使えないのかな。
試しにミリアは予見を使ってみようとしたが、時の糸は一向に像を結ばなかった。
……ダメみたい。それじゃ、亜空庫は使える?
次にミリアは亜空庫を開こうと意識を集中させた。亜空庫は、あたりに漂う時の糸を使うわけではなく、空間に作用することさえできれば使うことができる。
本には詳しく書いてあったが、簡単にまとめると予見と亜空庫は全く違う術であり、違う力が必要になる。
赤法石は予見に使う時の要素を阻害するものだったらしく、亜空庫を開くための空間は抵抗があったものの開くことができた。
「やった、できた!」
ミリアが宙空から一枚のコインを取りだしてみせると、キルフェスは目を見張った。
「ミリア、今なにをしたんだ? 手品か?」
「手品じゃないよお兄様、これは法術だよ」
「法術……」
ミリアは亜空庫に指輪とコインしか入れていなかったので、役に立つかはわからなかったけれど一応指輪も出してみた。
「亜空庫が使えたところで、大したものは入ってないんだけどね……って、あれ? よく見るとこのエメラルド、光ってる……?」
ほとんど光のささない暗闇の中で改めて確認したエメラルドは、見覚えのある黄色く温かい光を帯びていた。まさかこれって……法石なの!?
ミリアは一縷の望みをかけて、エメラルドを赤法石に翳してみた。すると、赤法石はバチッと音をたてて衝撃を発生させ、装置から飛びだしてミリアの足元に転がり落ちた。
「わっ!? とれた……これ、触っても大丈夫なの?」
恐る恐るミリアが赤い石を手にとる。血のように赤い石は、わずかな月明かりの中でどす黒く不気味に見えた。あまり持っていて気持ちのいいものじゃない。
「えい。あ、入っちゃった」
持っているのもここに置いておくのも嫌だったので、亜空庫に入れてみたら問題なく収納することができた。嫌な感じも消えて、ミリアはホッと安堵の息を吐いた。
「思いだした。法術とは、母上が使っていた不思議な力の別称じゃないか。ということは……ミリアも別の場所に飛んだりできるのか!?」
キルフェスの瞳が、希望の色を帯びて輝きを取り戻す。
「私は……ううん、できる。できるよ。私は、ここから瞬間移動して、外に出ることができる」
ミリアは深く集中した。予見する。安全な空間を見つけて、そこに時の糸を繋いで、体を滑りこませる……きっと、今ならできる!
目を閉じたミリアは、風に包まれたような心地がした。そして次の瞬間には、牢の外の廊下に立っていた。
「やった、できた。……できたよ、お兄様!!」
「ミリア、すごいな。まだまだ幼いと思っていたお前がこんなに立派になって、俺は嬉しいよ」
鉄格子の向こう側から伸びてきた兄の指先を、ミリアは両手で包んだ。
やっと触ることができた、会いたいとずっと願っていたお兄様が、生きて触れられる距離にいる。
ミリアは嬉しくて涙ぐんだ。この調子で、お兄様を連れて安全な場所まで飛ぶんだ!
ミリアはもう一度瞬間移動を発現させようとした。けれど何かに邪魔される感覚がして、上手くいかない。
「あれ? おかしいな。お兄様を連れて飛ぼうとすると上手くできない」
「もしかすると、これが原因か?」
キルフェスが手錠を掲げてみせると、腕の内側の部分に赤い石がはまった装置が存在していた。ミリアの牢についていた石よりも大きく重く、禍々しい感じがする。
「ここにも赤い石がある。今亜空庫に入れるね……って、入らない」
さっきの赤法石は装置から取れたから、機能を停止したのかもしれない。そう思ってもう一度指輪を翳してみたが、今度はなにも起こらなかった。
「え、どうして?」
エメラルドの指輪をよく観察すると、黄色の光が見るからに弱々しくなっていて、今にも消えそうな有様だった。
「力が足りないの? そんな……」
ミリアは躍起になって、石同士をぶつけてみたり、鍵穴にコインが入らないか試したり、予見をしてなんとか石を取る方法を考えてみたが、どうしても取ることができなかった。
「……どうやら、俺はここから出られないようだな」
「そんなことないよ! きっとなにか、絶対になにか方法があるはず……!!」
すでに考えを固めたらしいキルフェスは、真剣な表情でミリアに言いきかせる。
「いいかミリア、よく聞きなさい。お前はこの王城から脱出して、お前の仲間と合流するんだ。そして彼らに守ってもらいながら、別の国に亡命しなさい」
とんでもないことを言いだしたキルフェスに、ミリアは大きく横に首を振った。
「できないよ! そんなの、絶対に嫌!!」
「俺も父上も大丈夫だ、まだ持ち堪えられる。だからお前は聞き分けて……」
ミリアは毅然とした態度で兄の言葉を遮る。
「いいえ、お兄様。私は決めているの。絶対に、お父様とお兄様を見捨てたりしない。必ず助けだすから。例え今できないとしても、必ずまた迎えに行く。だから、信じて待ってて。お願い」
ミリアの目は潤んで、今にも涙が溢れそうになっていたけれど、グッと堪えて諦観に身を浸す兄の言葉を遮った。
キルフェスはそんなミリアの姿に胸を打たれたようだった。一度口をつぐんだ彼は、やがて静かに微笑んだ。
「お前がそこまで言うなら、信じて待つよ」
「お兄様、諦めないで。ちゃんとご飯食べてね。あったかくして寝てね」
「ああ、心配するな。お前こそ、女王の動向には気をつけろ」
「うん、気をつける。そうだお兄様、お姉様の指輪を預かっていてほしいの」
ミリアは身につけていたマフラーの端を少し解いて糸を作ると、それに指輪を通してキルフェスの首に結んだ。
「ほんの少しの力しか残っていないけど、ないよりマシだと思う」
「これがあると、母上とエスメラルダが側にいてくれるように感じて心強いよ。ありがとうミリア」
「本当はお父様にもお会いしたいけど、予見してもどこにいるかわからないの……」
「父上はああ見えて強かな人だから大丈夫だ。母上を亡くした後も、悲しみながらも俺達四人を愛情深く育てあげた人だぞ」
「うん、そうだね。お父様は心の強い人だもの。そうだ、あとこのマフラーも持っていて」
「いや、いい。流石にそんなに物が増えたら取り上げられる可能性が増える。俺にはこの指輪があるから大丈夫だ」
「そっか、それもそうだね。じゃあ後は……」
兄と離れがたいミリアはなるべく話を引き伸ばそうとしたが、もうこれ以上かける言葉が出てこない。キルフェスは苦笑して、ミリアの髪を一房撫でた。
「そろそろ行った方がいい。夜が明けるまでに城を出た方が、見咎められずに済むだろう」
「……うん。それはわかってるんだけど、私……」
ミリアは俯いた後、キルフェスにお願いをした。
「お兄様、私がんばるから。だから、昔みたいに頭を撫でてほしいの。ダメ?」
「全く、仕方ないな。髪が汚れるぞ?」
「いいの。お願い」
キルフェスはミリアの願いに応えて、優しく髪を撫でてくれた。
「さあ、もういいだろう」
「うん、ありがとうお兄様。じゃあ……もう行くね」
「ああ。ミリア、また会える日を心待ちにしておく」
「……っ、うん!」
ミリアはぐいっと目元を乱暴に拭くと、呼吸を整えて集中する。できるだけ安全なところへ……ここだ!
一筋の風がキルフェスの髪を揺らし、宙に溶けて消えていった。
「……ミリア。お前に神のご加護があらんことを」
ミリアが赤い石に触ると、なんとなく嫌な感じがした。冷たいような、ピリピリと痛いような……
普通じゃない距離の瞬間移動をしたことや、ガヴィーノが赤い石をやたらとありがたがっていた様子から考えて、この石は法石の一種だろうとミリアは予想した。
そういえば、王城や王都は法術の使用が阻害されるってアルト達が言ってたよね。それって、この石によるものなのかな?
ミリアの胸元にあるペンダントと違って、冷たくて嫌な感じの法石だけれど……この石をなんとかできれば、ここを脱出できるかもしれない。
ミリアが脱出手段について検討していると、キルフェスがミリアの胸元のペンダントを見つけて青の目を細めた。
「ミリア、それ母上の形見じゃないか?」
「そうだよ。お兄様、知ってたんだ」
「ああ。あの人はまるで自分の死を知っていたかのように、俺には短剣を、マルセロにはペンを、エスメラルダには指輪を、そしてお前にはペンダントを遺したんだったか」
「そうだったんだ。私小さかったから覚えてなかったけど、お兄様達も形見の品をもらっていたんだね」
「そうだな。あの短剣が手元にあれば勇気づけられただろう……武器だから牢の中には持ちこめなかっただろうがな。ドレンセオに置いてきたから、今も無事に残っているといいが」
「マルセロお兄様がドレンセオを守ってくれてるから、きっと大丈夫だよ」
「そうだな」
キルフェスはそう言ったきり、また黙りこんでしまった。ミリアは再び赤い法石に意識を戻す。
これをどうにかするには……そうだ! ちょっと怖いけど、このペンダントをかざしてみよう。
ミリアは胸元のペンダントを赤い石に触れさせてみたけれど、特になにも起きなかった。
これじゃダメなのかあ。女王様はこの法石のことを鍵って言ってたけど、なにか別の用途があるのかな?
とにかく、できることはなんでも試してみよう。うーん、これが法術阻害用の法石だとしたら、予見は使えないのかな。
試しにミリアは予見を使ってみようとしたが、時の糸は一向に像を結ばなかった。
……ダメみたい。それじゃ、亜空庫は使える?
次にミリアは亜空庫を開こうと意識を集中させた。亜空庫は、あたりに漂う時の糸を使うわけではなく、空間に作用することさえできれば使うことができる。
本には詳しく書いてあったが、簡単にまとめると予見と亜空庫は全く違う術であり、違う力が必要になる。
赤法石は予見に使う時の要素を阻害するものだったらしく、亜空庫を開くための空間は抵抗があったものの開くことができた。
「やった、できた!」
ミリアが宙空から一枚のコインを取りだしてみせると、キルフェスは目を見張った。
「ミリア、今なにをしたんだ? 手品か?」
「手品じゃないよお兄様、これは法術だよ」
「法術……」
ミリアは亜空庫に指輪とコインしか入れていなかったので、役に立つかはわからなかったけれど一応指輪も出してみた。
「亜空庫が使えたところで、大したものは入ってないんだけどね……って、あれ? よく見るとこのエメラルド、光ってる……?」
ほとんど光のささない暗闇の中で改めて確認したエメラルドは、見覚えのある黄色く温かい光を帯びていた。まさかこれって……法石なの!?
ミリアは一縷の望みをかけて、エメラルドを赤法石に翳してみた。すると、赤法石はバチッと音をたてて衝撃を発生させ、装置から飛びだしてミリアの足元に転がり落ちた。
「わっ!? とれた……これ、触っても大丈夫なの?」
恐る恐るミリアが赤い石を手にとる。血のように赤い石は、わずかな月明かりの中でどす黒く不気味に見えた。あまり持っていて気持ちのいいものじゃない。
「えい。あ、入っちゃった」
持っているのもここに置いておくのも嫌だったので、亜空庫に入れてみたら問題なく収納することができた。嫌な感じも消えて、ミリアはホッと安堵の息を吐いた。
「思いだした。法術とは、母上が使っていた不思議な力の別称じゃないか。ということは……ミリアも別の場所に飛んだりできるのか!?」
キルフェスの瞳が、希望の色を帯びて輝きを取り戻す。
「私は……ううん、できる。できるよ。私は、ここから瞬間移動して、外に出ることができる」
ミリアは深く集中した。予見する。安全な空間を見つけて、そこに時の糸を繋いで、体を滑りこませる……きっと、今ならできる!
目を閉じたミリアは、風に包まれたような心地がした。そして次の瞬間には、牢の外の廊下に立っていた。
「やった、できた。……できたよ、お兄様!!」
「ミリア、すごいな。まだまだ幼いと思っていたお前がこんなに立派になって、俺は嬉しいよ」
鉄格子の向こう側から伸びてきた兄の指先を、ミリアは両手で包んだ。
やっと触ることができた、会いたいとずっと願っていたお兄様が、生きて触れられる距離にいる。
ミリアは嬉しくて涙ぐんだ。この調子で、お兄様を連れて安全な場所まで飛ぶんだ!
ミリアはもう一度瞬間移動を発現させようとした。けれど何かに邪魔される感覚がして、上手くいかない。
「あれ? おかしいな。お兄様を連れて飛ぼうとすると上手くできない」
「もしかすると、これが原因か?」
キルフェスが手錠を掲げてみせると、腕の内側の部分に赤い石がはまった装置が存在していた。ミリアの牢についていた石よりも大きく重く、禍々しい感じがする。
「ここにも赤い石がある。今亜空庫に入れるね……って、入らない」
さっきの赤法石は装置から取れたから、機能を停止したのかもしれない。そう思ってもう一度指輪を翳してみたが、今度はなにも起こらなかった。
「え、どうして?」
エメラルドの指輪をよく観察すると、黄色の光が見るからに弱々しくなっていて、今にも消えそうな有様だった。
「力が足りないの? そんな……」
ミリアは躍起になって、石同士をぶつけてみたり、鍵穴にコインが入らないか試したり、予見をしてなんとか石を取る方法を考えてみたが、どうしても取ることができなかった。
「……どうやら、俺はここから出られないようだな」
「そんなことないよ! きっとなにか、絶対になにか方法があるはず……!!」
すでに考えを固めたらしいキルフェスは、真剣な表情でミリアに言いきかせる。
「いいかミリア、よく聞きなさい。お前はこの王城から脱出して、お前の仲間と合流するんだ。そして彼らに守ってもらいながら、別の国に亡命しなさい」
とんでもないことを言いだしたキルフェスに、ミリアは大きく横に首を振った。
「できないよ! そんなの、絶対に嫌!!」
「俺も父上も大丈夫だ、まだ持ち堪えられる。だからお前は聞き分けて……」
ミリアは毅然とした態度で兄の言葉を遮る。
「いいえ、お兄様。私は決めているの。絶対に、お父様とお兄様を見捨てたりしない。必ず助けだすから。例え今できないとしても、必ずまた迎えに行く。だから、信じて待ってて。お願い」
ミリアの目は潤んで、今にも涙が溢れそうになっていたけれど、グッと堪えて諦観に身を浸す兄の言葉を遮った。
キルフェスはそんなミリアの姿に胸を打たれたようだった。一度口をつぐんだ彼は、やがて静かに微笑んだ。
「お前がそこまで言うなら、信じて待つよ」
「お兄様、諦めないで。ちゃんとご飯食べてね。あったかくして寝てね」
「ああ、心配するな。お前こそ、女王の動向には気をつけろ」
「うん、気をつける。そうだお兄様、お姉様の指輪を預かっていてほしいの」
ミリアは身につけていたマフラーの端を少し解いて糸を作ると、それに指輪を通してキルフェスの首に結んだ。
「ほんの少しの力しか残っていないけど、ないよりマシだと思う」
「これがあると、母上とエスメラルダが側にいてくれるように感じて心強いよ。ありがとうミリア」
「本当はお父様にもお会いしたいけど、予見してもどこにいるかわからないの……」
「父上はああ見えて強かな人だから大丈夫だ。母上を亡くした後も、悲しみながらも俺達四人を愛情深く育てあげた人だぞ」
「うん、そうだね。お父様は心の強い人だもの。そうだ、あとこのマフラーも持っていて」
「いや、いい。流石にそんなに物が増えたら取り上げられる可能性が増える。俺にはこの指輪があるから大丈夫だ」
「そっか、それもそうだね。じゃあ後は……」
兄と離れがたいミリアはなるべく話を引き伸ばそうとしたが、もうこれ以上かける言葉が出てこない。キルフェスは苦笑して、ミリアの髪を一房撫でた。
「そろそろ行った方がいい。夜が明けるまでに城を出た方が、見咎められずに済むだろう」
「……うん。それはわかってるんだけど、私……」
ミリアは俯いた後、キルフェスにお願いをした。
「お兄様、私がんばるから。だから、昔みたいに頭を撫でてほしいの。ダメ?」
「全く、仕方ないな。髪が汚れるぞ?」
「いいの。お願い」
キルフェスはミリアの願いに応えて、優しく髪を撫でてくれた。
「さあ、もういいだろう」
「うん、ありがとうお兄様。じゃあ……もう行くね」
「ああ。ミリア、また会える日を心待ちにしておく」
「……っ、うん!」
ミリアはぐいっと目元を乱暴に拭くと、呼吸を整えて集中する。できるだけ安全なところへ……ここだ!
一筋の風がキルフェスの髪を揺らし、宙に溶けて消えていった。
「……ミリア。お前に神のご加護があらんことを」
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