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心は動揺と羞恥と、それから期待が入り混じっていて身動きが取れなくなっている。ベルクードが上着と丸首のシャツを脱ぎ去るのを、ただ食い入るように見つめていた。
(すごい、後ろにボタンがついているんだ)
羽が生えているラインに沿って縦にボタンがついており、後ろのボタンを外して脱ぐ服なんだなと興味深く見守った。筋肉質で引き締まった体は、ニコルの貧弱な体とは全然違い見応えがある。
寒がっていることに気がついたのか、ベルクードは脱がせたニコルのシャツを再び肩へとかけてくれる。ベルクードと比べるとあまりにも細くて頼りない体をしているので、隠してもらえたことで安堵の息を吐いた。
「暖炉の火を強めるか?」
「大丈夫です」
「無理はするな」
「いえ、本当に……男女の交わりは本で習ったことがありますが、抱きしめあって事を成すのですよね?」
あっているか不安に思いながらも、ニコルは彼の背へと控えめに手を伸ばした。天国のような肌触りの羽と共に、がっしりとした温かい背中に手が触れる。
ほんのりとした笑みが自然と顔に乗った。
「ベルクード様の体は、そのお心と同じように温かいです」
抱き合っていれば大丈夫だと伝えるように、胸元に擦り寄る。
「僕は貴方のことを信頼しています。だからきっと何をされたって大丈夫です」
「……っ、ニコル」
彼も力強く抱き返してくれて、ニコルは嬉しくて声を出して笑った。ぐうっと呻くような声が笑い声にかき消される。
「だめだ、耐えろ、初めてなんだ、手加減しなければ」
「ははっふふふ……ん? 何かおっしゃいました?」
「い、いや。なんでもない……触るぞ」
抱擁を解いたベルクードは、確かめるようにニコルの素肌に触れた。脇腹に触れた手は温かく、ニコルはホッと吐息を漏らす。
細い腰や薄い腹を形を確かめるように一通り撫でられて、恥ずかしさから肩口を覆うシャツを引っ張ると苦笑された。
「何をそんなに恥ずかしがる必要がある」
「だって……僕はベルクード様みたいに立派な体をしていないし、綺麗でもないので」
「何を言う、シミ一つない絹のように美しい肌をしているではないか」
将軍の審美眼にかかれば、ニコルは十分に魅力的に映るらしい。ホッとすると同時に太ももの下に固く触れる感触を感じて、ぎくりと肩を強張らせる。
(ベルクード様、本気で僕に魅力を感じてくれているんだ)
まだ半裸になっただけなのに、期待で昂ってくれているなんてと嬉しく思うのと同時に、本当に満足してもらえるのかと不安にもなる。
ニコルは首を横に振って悪い考えを振り払った。
(ベルクード様は不器用な方だけど、嘘はつかないと言っていた。彼の言葉を疑わずに信じると決めたんだ)
絹のようだと褒められた肌を、思いきって彼の体にくっつけてみる。裸の胸が彼の鳩尾に触れ合う感覚は、すべての悩みが溶けてしまうほどに心地よかった。心地よい森林の香りを肺いっぱいに吸い込む。
「ベルクード様と触れ合うのは、気持ちがいいです」
「ああ、ニコル……私もだ」
彼は驚いたせいか、一瞬羽の根元がぶわりと広がったがすぐにおさまった。胸元に頭を擦り寄せると、鼓動が伝わってくる。
(あ……ベルクード様の心臓の音、すごく速い)
将軍もニコルと触れあうことに対して緊張しているらしい。
鳥人だとか領主だとか関係なく、ただの人だということを、この時にはじめて体感した。
きっとベルクードにとっては、ニコルが領主になれるくらい優秀であるかどうかは好意と関係ないんだと、本心から理解をする。
(そうか、そうなんだ……ベルクード様に遠慮したり、気後れしたりする必要なんてどこにもないんだ。僕も思ったことを素直に伝えよう)
少し身体を離して微笑みかけると、彼もわずかに口の端を持ち上げた。不器用な笑みが愛おしくてときめいてしまう。
ベルクードは真下にあるニコルの鎖骨から胸元へと、両手を撫で下ろす。
乳首で一度止まった指先は、桃色に色づく尖りを入念につまみはじめる。つままれたり押されたりするうちに固くなってきて、ニコルは未知の感覚に興奮し息を乱した。
「ここは感じるか?」
「あ、わからないです……でも、なにか」
優しく先端を擦られると、お腹に熱がこもるような感覚がした。まだ気のせいだと誤魔化せてしまえる程度の刺激だが、ずっと続けられるとおかしくなってしまいそうだ。
「気持ちいい、かも……しれません」
「そうか、ではもっとだ」
「……あ、あの。あまりここばかり責めるのは……」
控えめに抗議しながら体を離すと、ますます先端を熱心に嬲られる。腹の奥に熱が燻っていき、息が荒くなっていく。
「ふ、う……」
「よさそうだな」
「あっ」
前触れもなく片手が離されて、股間で硬くなりはじめた陰茎を布越しに探られる。反応しているのを指先で確認したベルクードは、ニコルのベルトを外して前をくつろげた。まろび出た雄を掴まれる。
「ひあ!」
「ニコル、存分に気持ちよくなってくれ」
強すぎるくらいの力で握られて、腰が引けてしまうけれどベルクードの手は止まらない。ニコルは慌てて叫んだ。
「ベルクード様! もっと優しくしてください……!」
「ぬ、痛かったか? すまない」
今度は真綿を包むように緩く擦られて、もどかしくてどうにかなってしまいそうだ。もっと刺激がほしくて自然と腰が揺れた。
「ん、んっ」
「気持ちいいか?」
低く色を含んだ声が頭上から振り注いでくる。ニコルは快感で潤む瞳をベルクードに向けた。
「あ、もっと、もっと擦ってくださ……あ、あっ、はぁ!」
程よい圧で刺激をされて、喉をのけ反らせる。頭に星が飛びそうなほどに爆発的な気持ちよさが、腰を伝って背骨を駆け抜けていく。
「まっ、だめ、だめっ、でちゃ……!」
「出していいぞ」
ますます扱く速度が早くなり、ニコルは堪らず射精した。
「出る、出ちゃう、やっ、……っああぁ! ……っ、うっ」
ビクビクと背を震わせながら吐精する。ベルクードの腹筋に思いきり精液をかけてしまって、ニコルは途切れ途切れに謝った。
「あ、すいませ……かけてしまい、ました」
「構わない」
ベルクードはサイドテーブルから持ち出した手拭いで白濁を拭う。ニコルは息を乱しながら、くたりとベッドの上に横向きに寝転んだ。
「ふ、はあ……」
「ニコル、身を起こせそうか?」
「あ、ちょっと待ってくださ……」
緩慢な動作で起きあがろうとすると、いきなり下肢にまとわりついたままのズボンを脱がされた。驚きながら振り向く。
「いや、やはりそのままでいい。この体勢の方が負担が少ないだろう」
「え、あ」
腰を後ろから持ち上げられて、お尻を突き出すような格好を取らせられる。明るい日差しがカーテンの隙間から飛び込んできているのが視界に入り、意識が遠くなりそうなほどの羞恥に苛まれた。
誰にも晒したことのない秘部を、ベルクードにあますところなく見られている……意識した途端顔を上げられなくなり、枕で目元を隠した。
サイドテーブルの方から引き出しを開けるような音が聞こえて、足にぎゅっと力を込めながらベルクードの動向をうかがう。
「ニコル……今から解していくから、痛ければすぐに教えてほしい」
「な、なにを……ひぁ!」
ぬるりとした感触が尻の狭間を滑って、わずかに穴を掠っていった。片方の尻たぶを押し広げられて露わにされた蕾に、指の腹で潤滑油を塗りたくられる。
「ひ……ぃ」
「感触が気持ち悪いだろうか、少し耐えてくれ……傷つけたくないんだ」
気持ち悪いなんてとんでもない、真逆だった。誰にも触られたことのない穴の周りを指先でなぞられるだけで、肩が跳ねそうなほどの快感が走る。
気持ち悪いと誤解されている方がまだ恥ずかしくないと枕にしがみついていたが、それじゃ伝わらないと思い直す。
(恥ずかしくてもちゃんと言わなきゃ……もう二度と、ベルクード様に思い違いをしてほしくない)
ニコルはありったけの気力を振り絞って声に乗せた。
「いえ、その……ベルクード様の指が、すごく気持ちよくて、ずっと撫でていてほしくなるくらいで、その……」
「……っ、そ、そうか。教えてもらえて助かる」
ベルクード様のお役に立てたと喜んだのも束の間、更なる快楽がニコルを襲った。遠慮がちに穴の周りを撫でさすっていた指先が、縁を押し広げて中へと侵入してくる。
時々孔の入り口に指を差し入れながら、執拗に蕾を愛でられてあえかな声が漏れてしまう。
「ぅっ、あ……ぁっ」
「狭いな……痛みはないか?」
「はい、ん……っあの、縁のところが擦れると、じんじんします……」
「ここか」
「やぅっ」
ぐるりと指を回転させながら撫でられて、高い声が喉からほとばしる。ベルクードはますます熱心に中を探り、丸く整えられた爪先で内壁を引っ掻いた。
「ん、あっ」
焦ったいほどの時間をかけて中が解されていく。指が三本に増える頃には、ニコルの声はとろとろに溶けていた。
「はぁ……うぅん」
「そろそろだろうか……」
背後で服を脱ぐ気配がする。いよいよだと緊張感が高まっていく。どうしても気になったニコルは、そっと顔を上げて背後をのぞき見た。
筋肉がみっちりついた太ももの上、股座には立派な逸物が天を突くほどにそり返っているのが目に入り、内心叫ぶ。
(うわ、あ、あんな大きなモノが僕の中に……?)
熱い肉棒が尻の狭間に添えられて、ぎゅっとシーツを握り締めた。緊張で肩を強張らせるニコルに気づいたのか、ベルクードは肩甲骨の上に口づけを落とす。
「ニコル、怖いのならやめてもいい。繋がらなくとも満足する方法は他にもある」
将軍は肩甲骨の境目に沿って、順にキスをしていく。翼がないことを不思議がっているような行動に、思わず笑みが溢れた。
「いえ、ベルクード様……僕を伴侶だと言ってくださるのであれば、抱いてください。ちゃんと貴方の伴侶になりたいんです」
恐ろしい傷跡の残る顔を見上げて告げると、彼は内面を映し出すような穏やかな顔をしてみせた。
「ああ、私も貴方と正式な伴侶になりたい」
鈴口が穴の中央に当てられて、ゆっくりと押しつけられた。柔らかくほころんだ肉壁はきっ先を呑み込んでいく。息を荒げながら受け入れた。
「は、はあ、う……」
(大きい、圧迫感がすごい……でも、やめてほしくない)
みちみちと隘路を押し広げて入ってくる熱杭を、腕を突っ張って背をしならせながら受け入れた。お腹の奥の方まで押し広げられて、うっと息を詰める。
「あ、ぅうっ」
彼と一つになったという達成感がじわじわと腹の底から溢れだし、多幸感が頭の天辺まで駆け上っていく。
「ふ……熱いな」
「ん、ベルクード様のが、大きくて……お腹がいっぱいになって、あったかくてなんだか幸せで……っ、あっ? ん!」
引き抜かれて、再び中へと突き入れられる。カリの部分が穴の入り口を行き来すると、目の前に火花が散った。
「……っ、あまり、煽るな」
「え、煽ってなんて……だって本当に、ベルクード様が逞しくてっあ、やめてくださっ、あ、あ!」
熱杭に何度も中を穿たれて、満足に話せなくなる。腰に手を添えられてもっと奥に入りたいとでも言うように突き入れられて、与えられる強烈な刺激で頭がいっぱいになってしまう。
「あ、ぅあ、あ……っ」
「くっ、ニコル……!」
切羽詰まった声が鼓膜を揺らす。彼は今、どんな表情をしているんだろう。ニコルはベルクードが見えないことが唐突に切なく感じて、きゅんと中を締めつけた。安心感を感じる香りを、縋るような気分で吸い込む。
「ベルクード、様……っ、んっ、お願いです、お顔が……っ、お顔が見たい、です」
「……わかった、膝に乗れ」
「え、うやぁっ」
繋がったまま体を反転させられて、胡座をかいたベルクードの股の間に座らされた。重力がかかり、より最奥を穿たれ背中を縮こませた。
「ひっ……う、深い……」
「この体勢なら、ここも愛してやれる」
胸に手を添えられて、ニコルは嫌々と弱々しく首を横に振った。二箇所同時に責められたら、一体どうなってしまうのかと期待と不安で鼓動が速まっていく。
「あ、あぁっ!」
何度も奥へと差し入れられ胸をつねられて、ニコルは堪らなくなってベルクードの腰に足を巻きつかせた。下から揺さぶられてみっともなく竿が揺れて、彼の鍛えられた腹筋をぺちんと叩く。羞恥で耳まで赤く染まった。
「あ、もう、許してください……!」
「く……私も限界が近い。一緒にいこう、ニコル」
大きな手がニコルの雄芯を捕えて、力強く擦り上げた。ニコルは高い声を上げながら達する。一度目よりも力なく流れ出た精液が、ベルクードの手と腹を濡らしていく。
「いっあ、あ! あぁ!」
「っ、もう少しだ」
「あっ、やだっ、今擦られたら……っ!」
思いきり中を擦られて視界が歪む。絞りとるようにギュッと雄を締めつけながら、ニコルは何度も甘イキを繰り返す。
(ずっと出てる、怖いっ、壊れちゃうぅ)
とろとろと溢れ続ける残滓はニコルの蕾まで伝っていき、グチュグチュと耐え難い音が耳を犯す。
深い森のような神秘的な匂いが濃い甘さを孕んで、脳まで痺れてしまいそうだ。壊れたようにひっきりなしに声を上げながら何度も揺さぶられているうちに、熱い飛沫が腹の奥で弾けるのを感じた。
「……っ、う……」
「……あ、っぁん」
ベルクードの動きが止まり、やっとニコルの鈴口からの放出が止まった。しばらくの間胸筋にもたれかかって息を整えた後、上気した顔を上げる。
将軍は米神から汗を流して、凛々しい顔でニコルを見下ろしていた。傷痕は褐色から濃い桃色へと色を変えていて、彼の興奮の深さを物語っている。
愛おしさが胸の奥底から溢れ出て、首を伸ばしてキスをした。
「ん……ふ、ぅん……っ」
舌を絡めあい、柔らかくなりかけていた彼の屹立が再び硬さを取り戻し始める。もう言葉はいらないとばかりに、夢中でキスを繰り返した。
(すごい、後ろにボタンがついているんだ)
羽が生えているラインに沿って縦にボタンがついており、後ろのボタンを外して脱ぐ服なんだなと興味深く見守った。筋肉質で引き締まった体は、ニコルの貧弱な体とは全然違い見応えがある。
寒がっていることに気がついたのか、ベルクードは脱がせたニコルのシャツを再び肩へとかけてくれる。ベルクードと比べるとあまりにも細くて頼りない体をしているので、隠してもらえたことで安堵の息を吐いた。
「暖炉の火を強めるか?」
「大丈夫です」
「無理はするな」
「いえ、本当に……男女の交わりは本で習ったことがありますが、抱きしめあって事を成すのですよね?」
あっているか不安に思いながらも、ニコルは彼の背へと控えめに手を伸ばした。天国のような肌触りの羽と共に、がっしりとした温かい背中に手が触れる。
ほんのりとした笑みが自然と顔に乗った。
「ベルクード様の体は、そのお心と同じように温かいです」
抱き合っていれば大丈夫だと伝えるように、胸元に擦り寄る。
「僕は貴方のことを信頼しています。だからきっと何をされたって大丈夫です」
「……っ、ニコル」
彼も力強く抱き返してくれて、ニコルは嬉しくて声を出して笑った。ぐうっと呻くような声が笑い声にかき消される。
「だめだ、耐えろ、初めてなんだ、手加減しなければ」
「ははっふふふ……ん? 何かおっしゃいました?」
「い、いや。なんでもない……触るぞ」
抱擁を解いたベルクードは、確かめるようにニコルの素肌に触れた。脇腹に触れた手は温かく、ニコルはホッと吐息を漏らす。
細い腰や薄い腹を形を確かめるように一通り撫でられて、恥ずかしさから肩口を覆うシャツを引っ張ると苦笑された。
「何をそんなに恥ずかしがる必要がある」
「だって……僕はベルクード様みたいに立派な体をしていないし、綺麗でもないので」
「何を言う、シミ一つない絹のように美しい肌をしているではないか」
将軍の審美眼にかかれば、ニコルは十分に魅力的に映るらしい。ホッとすると同時に太ももの下に固く触れる感触を感じて、ぎくりと肩を強張らせる。
(ベルクード様、本気で僕に魅力を感じてくれているんだ)
まだ半裸になっただけなのに、期待で昂ってくれているなんてと嬉しく思うのと同時に、本当に満足してもらえるのかと不安にもなる。
ニコルは首を横に振って悪い考えを振り払った。
(ベルクード様は不器用な方だけど、嘘はつかないと言っていた。彼の言葉を疑わずに信じると決めたんだ)
絹のようだと褒められた肌を、思いきって彼の体にくっつけてみる。裸の胸が彼の鳩尾に触れ合う感覚は、すべての悩みが溶けてしまうほどに心地よかった。心地よい森林の香りを肺いっぱいに吸い込む。
「ベルクード様と触れ合うのは、気持ちがいいです」
「ああ、ニコル……私もだ」
彼は驚いたせいか、一瞬羽の根元がぶわりと広がったがすぐにおさまった。胸元に頭を擦り寄せると、鼓動が伝わってくる。
(あ……ベルクード様の心臓の音、すごく速い)
将軍もニコルと触れあうことに対して緊張しているらしい。
鳥人だとか領主だとか関係なく、ただの人だということを、この時にはじめて体感した。
きっとベルクードにとっては、ニコルが領主になれるくらい優秀であるかどうかは好意と関係ないんだと、本心から理解をする。
(そうか、そうなんだ……ベルクード様に遠慮したり、気後れしたりする必要なんてどこにもないんだ。僕も思ったことを素直に伝えよう)
少し身体を離して微笑みかけると、彼もわずかに口の端を持ち上げた。不器用な笑みが愛おしくてときめいてしまう。
ベルクードは真下にあるニコルの鎖骨から胸元へと、両手を撫で下ろす。
乳首で一度止まった指先は、桃色に色づく尖りを入念につまみはじめる。つままれたり押されたりするうちに固くなってきて、ニコルは未知の感覚に興奮し息を乱した。
「ここは感じるか?」
「あ、わからないです……でも、なにか」
優しく先端を擦られると、お腹に熱がこもるような感覚がした。まだ気のせいだと誤魔化せてしまえる程度の刺激だが、ずっと続けられるとおかしくなってしまいそうだ。
「気持ちいい、かも……しれません」
「そうか、ではもっとだ」
「……あ、あの。あまりここばかり責めるのは……」
控えめに抗議しながら体を離すと、ますます先端を熱心に嬲られる。腹の奥に熱が燻っていき、息が荒くなっていく。
「ふ、う……」
「よさそうだな」
「あっ」
前触れもなく片手が離されて、股間で硬くなりはじめた陰茎を布越しに探られる。反応しているのを指先で確認したベルクードは、ニコルのベルトを外して前をくつろげた。まろび出た雄を掴まれる。
「ひあ!」
「ニコル、存分に気持ちよくなってくれ」
強すぎるくらいの力で握られて、腰が引けてしまうけれどベルクードの手は止まらない。ニコルは慌てて叫んだ。
「ベルクード様! もっと優しくしてください……!」
「ぬ、痛かったか? すまない」
今度は真綿を包むように緩く擦られて、もどかしくてどうにかなってしまいそうだ。もっと刺激がほしくて自然と腰が揺れた。
「ん、んっ」
「気持ちいいか?」
低く色を含んだ声が頭上から振り注いでくる。ニコルは快感で潤む瞳をベルクードに向けた。
「あ、もっと、もっと擦ってくださ……あ、あっ、はぁ!」
程よい圧で刺激をされて、喉をのけ反らせる。頭に星が飛びそうなほどに爆発的な気持ちよさが、腰を伝って背骨を駆け抜けていく。
「まっ、だめ、だめっ、でちゃ……!」
「出していいぞ」
ますます扱く速度が早くなり、ニコルは堪らず射精した。
「出る、出ちゃう、やっ、……っああぁ! ……っ、うっ」
ビクビクと背を震わせながら吐精する。ベルクードの腹筋に思いきり精液をかけてしまって、ニコルは途切れ途切れに謝った。
「あ、すいませ……かけてしまい、ました」
「構わない」
ベルクードはサイドテーブルから持ち出した手拭いで白濁を拭う。ニコルは息を乱しながら、くたりとベッドの上に横向きに寝転んだ。
「ふ、はあ……」
「ニコル、身を起こせそうか?」
「あ、ちょっと待ってくださ……」
緩慢な動作で起きあがろうとすると、いきなり下肢にまとわりついたままのズボンを脱がされた。驚きながら振り向く。
「いや、やはりそのままでいい。この体勢の方が負担が少ないだろう」
「え、あ」
腰を後ろから持ち上げられて、お尻を突き出すような格好を取らせられる。明るい日差しがカーテンの隙間から飛び込んできているのが視界に入り、意識が遠くなりそうなほどの羞恥に苛まれた。
誰にも晒したことのない秘部を、ベルクードにあますところなく見られている……意識した途端顔を上げられなくなり、枕で目元を隠した。
サイドテーブルの方から引き出しを開けるような音が聞こえて、足にぎゅっと力を込めながらベルクードの動向をうかがう。
「ニコル……今から解していくから、痛ければすぐに教えてほしい」
「な、なにを……ひぁ!」
ぬるりとした感触が尻の狭間を滑って、わずかに穴を掠っていった。片方の尻たぶを押し広げられて露わにされた蕾に、指の腹で潤滑油を塗りたくられる。
「ひ……ぃ」
「感触が気持ち悪いだろうか、少し耐えてくれ……傷つけたくないんだ」
気持ち悪いなんてとんでもない、真逆だった。誰にも触られたことのない穴の周りを指先でなぞられるだけで、肩が跳ねそうなほどの快感が走る。
気持ち悪いと誤解されている方がまだ恥ずかしくないと枕にしがみついていたが、それじゃ伝わらないと思い直す。
(恥ずかしくてもちゃんと言わなきゃ……もう二度と、ベルクード様に思い違いをしてほしくない)
ニコルはありったけの気力を振り絞って声に乗せた。
「いえ、その……ベルクード様の指が、すごく気持ちよくて、ずっと撫でていてほしくなるくらいで、その……」
「……っ、そ、そうか。教えてもらえて助かる」
ベルクード様のお役に立てたと喜んだのも束の間、更なる快楽がニコルを襲った。遠慮がちに穴の周りを撫でさすっていた指先が、縁を押し広げて中へと侵入してくる。
時々孔の入り口に指を差し入れながら、執拗に蕾を愛でられてあえかな声が漏れてしまう。
「ぅっ、あ……ぁっ」
「狭いな……痛みはないか?」
「はい、ん……っあの、縁のところが擦れると、じんじんします……」
「ここか」
「やぅっ」
ぐるりと指を回転させながら撫でられて、高い声が喉からほとばしる。ベルクードはますます熱心に中を探り、丸く整えられた爪先で内壁を引っ掻いた。
「ん、あっ」
焦ったいほどの時間をかけて中が解されていく。指が三本に増える頃には、ニコルの声はとろとろに溶けていた。
「はぁ……うぅん」
「そろそろだろうか……」
背後で服を脱ぐ気配がする。いよいよだと緊張感が高まっていく。どうしても気になったニコルは、そっと顔を上げて背後をのぞき見た。
筋肉がみっちりついた太ももの上、股座には立派な逸物が天を突くほどにそり返っているのが目に入り、内心叫ぶ。
(うわ、あ、あんな大きなモノが僕の中に……?)
熱い肉棒が尻の狭間に添えられて、ぎゅっとシーツを握り締めた。緊張で肩を強張らせるニコルに気づいたのか、ベルクードは肩甲骨の上に口づけを落とす。
「ニコル、怖いのならやめてもいい。繋がらなくとも満足する方法は他にもある」
将軍は肩甲骨の境目に沿って、順にキスをしていく。翼がないことを不思議がっているような行動に、思わず笑みが溢れた。
「いえ、ベルクード様……僕を伴侶だと言ってくださるのであれば、抱いてください。ちゃんと貴方の伴侶になりたいんです」
恐ろしい傷跡の残る顔を見上げて告げると、彼は内面を映し出すような穏やかな顔をしてみせた。
「ああ、私も貴方と正式な伴侶になりたい」
鈴口が穴の中央に当てられて、ゆっくりと押しつけられた。柔らかくほころんだ肉壁はきっ先を呑み込んでいく。息を荒げながら受け入れた。
「は、はあ、う……」
(大きい、圧迫感がすごい……でも、やめてほしくない)
みちみちと隘路を押し広げて入ってくる熱杭を、腕を突っ張って背をしならせながら受け入れた。お腹の奥の方まで押し広げられて、うっと息を詰める。
「あ、ぅうっ」
彼と一つになったという達成感がじわじわと腹の底から溢れだし、多幸感が頭の天辺まで駆け上っていく。
「ふ……熱いな」
「ん、ベルクード様のが、大きくて……お腹がいっぱいになって、あったかくてなんだか幸せで……っ、あっ? ん!」
引き抜かれて、再び中へと突き入れられる。カリの部分が穴の入り口を行き来すると、目の前に火花が散った。
「……っ、あまり、煽るな」
「え、煽ってなんて……だって本当に、ベルクード様が逞しくてっあ、やめてくださっ、あ、あ!」
熱杭に何度も中を穿たれて、満足に話せなくなる。腰に手を添えられてもっと奥に入りたいとでも言うように突き入れられて、与えられる強烈な刺激で頭がいっぱいになってしまう。
「あ、ぅあ、あ……っ」
「くっ、ニコル……!」
切羽詰まった声が鼓膜を揺らす。彼は今、どんな表情をしているんだろう。ニコルはベルクードが見えないことが唐突に切なく感じて、きゅんと中を締めつけた。安心感を感じる香りを、縋るような気分で吸い込む。
「ベルクード、様……っ、んっ、お願いです、お顔が……っ、お顔が見たい、です」
「……わかった、膝に乗れ」
「え、うやぁっ」
繋がったまま体を反転させられて、胡座をかいたベルクードの股の間に座らされた。重力がかかり、より最奥を穿たれ背中を縮こませた。
「ひっ……う、深い……」
「この体勢なら、ここも愛してやれる」
胸に手を添えられて、ニコルは嫌々と弱々しく首を横に振った。二箇所同時に責められたら、一体どうなってしまうのかと期待と不安で鼓動が速まっていく。
「あ、あぁっ!」
何度も奥へと差し入れられ胸をつねられて、ニコルは堪らなくなってベルクードの腰に足を巻きつかせた。下から揺さぶられてみっともなく竿が揺れて、彼の鍛えられた腹筋をぺちんと叩く。羞恥で耳まで赤く染まった。
「あ、もう、許してください……!」
「く……私も限界が近い。一緒にいこう、ニコル」
大きな手がニコルの雄芯を捕えて、力強く擦り上げた。ニコルは高い声を上げながら達する。一度目よりも力なく流れ出た精液が、ベルクードの手と腹を濡らしていく。
「いっあ、あ! あぁ!」
「っ、もう少しだ」
「あっ、やだっ、今擦られたら……っ!」
思いきり中を擦られて視界が歪む。絞りとるようにギュッと雄を締めつけながら、ニコルは何度も甘イキを繰り返す。
(ずっと出てる、怖いっ、壊れちゃうぅ)
とろとろと溢れ続ける残滓はニコルの蕾まで伝っていき、グチュグチュと耐え難い音が耳を犯す。
深い森のような神秘的な匂いが濃い甘さを孕んで、脳まで痺れてしまいそうだ。壊れたようにひっきりなしに声を上げながら何度も揺さぶられているうちに、熱い飛沫が腹の奥で弾けるのを感じた。
「……っ、う……」
「……あ、っぁん」
ベルクードの動きが止まり、やっとニコルの鈴口からの放出が止まった。しばらくの間胸筋にもたれかかって息を整えた後、上気した顔を上げる。
将軍は米神から汗を流して、凛々しい顔でニコルを見下ろしていた。傷痕は褐色から濃い桃色へと色を変えていて、彼の興奮の深さを物語っている。
愛おしさが胸の奥底から溢れ出て、首を伸ばしてキスをした。
「ん……ふ、ぅん……っ」
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無口で無愛想な彼の優しい一面を知り、任務とは裏腹にラインハルトに惹かれていくユリウスであったが、働き始めて3カ月が過ぎたところで第3王弟殿下が辺境伯令嬢の婿養子になるという噂を聞き、従僕も解雇される。
【完結】たとえ彼の身代わりだとしても貴方が僕を見てくれるのならば… 〜初恋のαは双子の弟の婚約者でした〜
葉月
BL
《あらすじ》
カトラレル家の長男であるレオナルドは双子の弟のミカエルがいる。天真爛漫な弟のミカエルはレオナルドとは真逆の性格だ。
カトラレル家は懇意にしているオリバー家のサイモンとミカエルが結婚する予定だったが、ミカエルが流行病で亡くなってしまい、親の言いつけによりレオナルドはミカエルの身代わりとして、サイモンに嫁ぐ。
愛している人を騙し続ける罪悪感と、弟への想いを抱き続ける主人公が幸せを掴み取る、オメガバースストーリー。
《番外編 無垢な身体が貴方色に染まるとき 〜運命の番は濃厚な愛と蜜で僕の身体を溺れさせる〜》
番になったレオとサイモン。
エマの里帰り出産に合わせて、他の使用人達全員にまとまった休暇を与えた。
数日、邸宅にはレオとサイモンとの2人っきり。
ずっとくっついていたい2人は……。
エチで甘々な数日間。
ー登場人物紹介ー
ーレオナルド・カトラレル(受け オメガ)18歳ー
長男で一卵性双生児の弟、ミカエルがいる。
カトラレル家の次期城主。
性格:内気で周りを気にしすぎるあまり、自分の気持ちを言えないないだが、頑張り屋で努力家。人の気持ちを考え行動できる。行動や言葉遣いは穏やか。ミカエルのことが好きだが、ミカエルがみんなに可愛がられていることが羨ましい。
外見:白肌に腰まである茶色の髪、エメラルドグリーンの瞳。中世的な外見に少し幼さを残しつつも。行為の時、幼さの中にも妖艶さがある。
体質:健康体
ーサイモン・オリバー(攻め アルファ)25歳ー
オリバー家の長男で次期城主。レオナルドとミカエルの7歳年上。
レオナルドとミカエルとサイモンの父親が仲がよく、レオナルドとミカエルが幼い頃からの付き合い。
性格:優しく穏やか。ほとんど怒らないが、怒ると怖い。好きな人には尽くし甘やかし甘える。時々不器用。
外見:黒髪に黒い瞳。健康的な肌に鍛えられた肉体。高身長。
乗馬、剣術が得意。貴族令嬢からの人気がすごい。
BL大賞参加作品です。
悪役令息ですが破滅回避で主人公を無視したら、高潔な態度だと勘違いされて聖人認定。なぜか溺愛ルートに入りました
水凪しおん
BL
BL小説『銀の瞳の聖者』の悪役令息ルシアンに転生してしまった俺。
原作通りなら、主人公ノエルをいじめ抜き、最後は断罪されて野垂れ死ぬ運命だ。
「そんなの絶対にお断りだ! 俺は平和に長生きしたい!」
破滅フラグを回避するため、俺は決意した。
主人公ノエルを徹底的に避け、関わらず、空気のように生きることを。
しかし、俺の「無視」や「無関心」は、なぜかノエルにポジティブに変換されていく。
「他の人のように欲望の目で見ないなんて、なんて高潔な方なんだ……!」
いじめっ子を視線だけで追い払えば「影から守ってくれた」、雨の日に「臭いから近寄るな」と上着を投げつければ「不器用な優しさ」!?
全力で嫌われようとすればするほど、主人公からの好感度が爆上がりして、聖人認定されてしまう勘違いラブコメディ!
小心者の悪役令息×健気なポジティブ主人公の、すれ違い溺愛ファンタジー、ここに開幕!
事故つがいの夫が俺を離さない!
カミヤルイ
BL
事故から始まったつがいの二人がすれ違いを経て、両思いのつがい夫夫になるまでのオメガバースラブストーリー。
*オメガバース自己設定あり
【あらすじ】
華やかな恋に憧れるオメガのエルフィーは、アカデミーのアイドルアルファとつがいになりたいと、卒業パーティーの夜に彼を呼び出し告白を決行する。だがなぜかやって来たのはアルファの幼馴染のクラウス。クラウスは堅物の唐変木でなぜかエルフィーを嫌っている上、双子の弟の想い人だ。
エルフィーは好きな人が来ないショックでお守りとして持っていたヒート誘発剤を誤発させ、ヒートを起こしてしまう。
そして目覚めると、明らかに事後であり、うなじには番成立の咬み痕が!
ダブルショックのエルフィーと怒り心頭の弟。エルフィーは治癒魔法で番解消薬を作ると誓うが、すぐにクラウスがやってきて求婚され、半ば強制的に婚約生活が始まって────
【登場人物】
受け:エルフィー・セルドラン(20)幼馴染のアルファと事故つがいになってしまった治癒魔力持ちのオメガ。王立アカデミーを卒業したばかりで、家業の医薬品ラボで仕事をしている
攻め:クラウス・モンテカルスト(20)エルフィーと事故つがいになったアルファ。公爵家の跡継ぎで王都騎士団の精鋭騎士。
愛しい番に愛されたいオメガなボクの奮闘記
天田れおぽん
BL
ボク、アイリス・ロックハートは愛しい番であるオズワルドと出会った。
だけどオズワルドには初恋の人がいる。
でもボクは負けない。
ボクは愛しいオズワルドの唯一になるため、番のオメガであることに甘えることなく頑張るんだっ!
※「可愛いあの子は番にされて、もうオレの手は届かない」のオズワルド君の番の物語です。
※他サイトでも連載中
2026/01/28 第22話をちょっとだけ書き足しました。
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