上 下
44 / 46
表彰式

44★

しおりを挟む
 背中にまわった後お尻を鷲掴みにした手は、奥の窄まりに触れてくる。

「ぅ、うんん!」

 性急な動きに驚いて口を開けると、すかさず肉厚の舌が口内へと侵入してきた。じゅるりと音を立てて唾液を吸われて、じんと腰周りが熱くなる。

 しばらく指先でお尻の穴を撫でていた指は、浴室に備えてあった、髪用の油分をまといながら中に入ってきた。

 カッと頬に熱がのぼり、触られてもいない前が硬くなりはじめる。

 舌をなぶられながら、お尻を弄られるだけでも息を荒げているのに、俺が抵抗せずに身を任せているとわかったヴァレリオは、尻尾を握ってきた。

「んん!? ぅ、んっふぅ!」

 さっきの仕返しとばかりに尻尾の根元を執拗にくすぐられて、腰が砕けそうになった。俺が体勢を崩しそうになったのを感じとったのか、ヴァレリオがやっと唇を離す。

「は、はぁ……もう、急に盛って、どうしたのさ」
「今のは貴方が悪い」
「ええ? そう、かなあ」

 俺のイタズラがそんなに気に入っちゃったのかな、だったらもっとしてあげようかとにんまり笑うと、緑に燃える瞳と目があう。

 あまりにも熱く燃えたぎる、情欲のほとばしる瞳に気づく。ああまずいかもしれないと、その時になってはじめて、理性が警鐘を鳴らしはじめた。

 しかし、すでに逃げるには遅すぎた。ヴァレリオは切羽詰まった顔で俺を壁際に追い詰めて、両手を壁につく。

「クイン」
「……なに?」
「後ろを向け」
「嫌だよ。なんか今の君、ムラムラしすぎてて怖いし」
「いいから、向け」

 あ、これ本気で理性がプッツリいっちゃったヤツだ。言葉で諭してもどうにもならないと察した俺は、怖々と……だけど少し期待もしながら、壁に腕をついた。

「これでいい?」
「ああ」

 低く艶のある声でそう告げたヴァレリオは、俺の胸を弄りながらお尻の蕾に手を伸ばした。ヌルつく胸は敏感に快感を拾い上げ、あえかな声を漏らす。

「は、ぁ……っあぁ!」

 力が緩んだ隙を逃さず一気に二本入れられた指は、前回よりも性急に中を解そうとしていた。圧迫感に息を詰める。

「ぅく、」
「はあ、早く貴方の中に入れさせてくれ……」

 余裕なくそう背後から囁かれて、きゅんと胸が高鳴る。歓迎するようにヴァレリオの腕に尻尾を絡めると、彼は見つけた中のしこりを、コリコリと指先で転がしはじめた。

「あっ! はぁ……っ!」

 水気を帯びた浴室内に、隠微な音が響き渡る。きゅうんと腹の奥が切なくなって、腰を揺らした。

「あ、来て、ヴァレリオ……」
「まだ、もう少し……」
「いいから……ねえ、これちょうだい……?」

 向きあうようにして振り向き、誘うようにガチガチに硬くなった屹立を撫でると、ヴァレリオはギラギラとした瞳で俺を射抜く。

 言葉もなく俺の片足をグッと持ち上げ、狙いを定めて怒張を後孔に押し当てた。うわ、こんな格好で……! 懸命に片足で立ち、彼を受け入れようとする。

「あ、ぁ……っ」
「クッ……」

 まだ狭い肉襞をかき分けて、雄が胎内に潜りこんでくる。はー、と口で息を吐きながら、なんとか力を抜こうと試みた。

 メリメリと隘路を割りひらき、ヴァレリオの黒い茂みが俺の股間に当たる。ふぅ、と一息ついていると、すぐに彼は腰を動かしはじめた。

「あ、はっ」

 ずんっずんっと力強く怒張に貫かれて、俺の腰も一緒になって揺れた。前立腺をカリの太い部分で擦られると、たまらなく気持ちがいい。

「あぁー、すご、きもちいぃ……!」
「くっ、俺もだ……搾りとられる……っ!」

 ガツガツとお尻を掘られて、膝がガクガクと震えはじめた。ヴァレリオの肩に手をかけて、倒れないようにしがみつく。

 いつもより余裕なく責められて、気持ちいいのが止まらない……!

「はぁっ! も、イきそ……!」
「イッても、いいぞっ」
「あ、く……ぅあぁっ!」

 一際強く奥に鬼頭を押しつけられて、頭の中で火花が弾けた。ぶしゃっとヴァレリオの腹を精液が濡らし、きゅんきゅんと彼の熱杭を締めつける。

「うっ、俺もイク……!」

 ヴァレリオの熱い飛沫が、腸の中に放出されたのを感じて、ぶるりと背を震わせた。

 すぐに鬼頭球が大きくなる気配を感じて、快感に痺れたままの腰を引こうとするが、ヴァレリオは逃すまいと腰を押しつけてきた。

「ひ……っ、や、また抜けなく……っ」
「クイン、ずっと貴方と繋がっていたい……」
「冗談っ……ああやめて、揺すらないでくれっ」

 抵抗虚しく、腰を両手で掴まれて固定される。みるみる太くなる陰茎の根本は俺の下の口を圧迫し、栓をされてしまった。

「ああ、もう……こんなとこで、繋がったままなんて……風邪を引いてしまうよ」
「それもそうだな……移動しよう。クイン、捕まってくれ」
「え、なにを……ぅあっ!?」

 ヴァレリオが俺のお尻を抱えて、抱っこするみたいにして持ち上げた。

 嘘だろう!? 足が床につかないっ、こっわ……! ギュッと手と足に力を込めて、彼の背に縋りつく。

「や、やめてくれ……っ!」
「こうしないと浴室から出れないだろう? いいから大人しくしていてくれ」
「だからって、こんなっ、あ、ぅっ!」

 ヴァレリオが歩きだしてしまった。歩くたびに振動が中にダイレクトに伝わって、怖いのにゾクゾクと快感に侵されてしまう。

 彼は成人男性を抱えているとは思えない、しっかりとした足取りで浴室を出た。タオルを二枚持って二階に上がっていく。

「あ、あっ、あんっ」

 階段を上るときの振動は腰にきた。再び前が勃ちあがってきて、ヴァレリオの腹に当たるその刺激にさえも、劣情を煽られてしまう。

 ヴァレリオはタオルを一枚ベッドの端に敷いて、その上に座る。ぐったりと力を抜いて彼の膝に座る俺の全身を、タオルで拭いてくれた。

「まったくもう、君ってば、信じられない……」
「何がだ?」
「そういうところが、だよ……うぅ」

 丁寧に耳まで拭われて、ぶるりと頭を振った。ヴァレリオ自身も全身をざっと拭くと、タオルを脇に置いて俺に向き直った。

 溢れんばかりの情熱を宿した緑の瞳が、腕の中に囚われた憐れな獲物を射抜く。

「今夜は心ゆくまで貴方を愛したいんだ」

 まだまだ夜は終わりそうになかった。



 

 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

死に戻り騎士は、今こそ駆け落ち王子を護ります!

時雨
BL
「駆け落ちの供をしてほしい」 すべては真面目な王子エリアスの、この一言から始まった。 王子に”国を捨てても一緒になりたい人がいる”と打ち明けられた、護衛騎士ランベルト。 発表されたばかりの公爵家令嬢との婚約はなんだったのか!?混乱する騎士の気持ちなど関係ない。 国境へ向かう二人を追う影……騎士ランベルトは追手の剣に倒れた。 後悔と共に途切れた騎士の意識は、死亡した時から三年も前の騎士団の寮で目覚める。 ――二人に追手を放った犯人は、一体誰だったのか? 容疑者が浮かんでは消える。そもそも犯人が三年先まで何もしてこない保証はない。 怪しいのは、王位を争う第一王子?裏切られた公爵令嬢?…正体不明の駆け落ち相手? 今度こそ王子エリアスを護るため、過去の記憶よりも積極的に王子に関わるランベルト。 急に距離を縮める騎士を、はじめは警戒するエリアス。ランベルトの昔と変わらぬ態度に、徐々にその警戒も解けていって…? 過去にない行動で変わっていく事象。動き出す影。 ランベルトは今度こそエリアスを護りきれるのか!? 負けず嫌いで頑固で堅実、第二王子(年下) × 面倒見の良い、気の長い一途騎士(年上)のお話です。 ------------------------------------------------------------------- 主人公は頑な、王子も頑固なので、ゆるい気持ちで見守っていただけると幸いです。

王子様のご帰還です

小都
BL
目が覚めたらそこは、知らない国だった。 平凡に日々を過ごし無事高校3年間を終えた翌日、何もかもが違う場所で目が覚めた。 そして言われる。「おかえりなさい、王子」と・・・。 何も知らない僕に皆が強引に王子と言い、迎えに来た強引な婚約者は・・・男!? 異世界転移 王子×王子・・・? こちらは個人サイトからの再録になります。 十年以上前の作品をそのまま移してますので変だったらすみません。

悪役令嬢と同じ名前だけど、僕は男です。

みあき
BL
名前はティータイムがテーマ。主人公と婚約者の王子がいちゃいちゃする話。 男女共に子どもを産める世界です。容姿についての描写は敢えてしていません。 メインカプが男性同士のためBLジャンルに設定していますが、周辺は異性のカプも多いです。 奇数話が主人公視点、偶数話が婚約者の王子視点です。 pixivでは既に最終回まで投稿しています。

祝福という名の厄介なモノがあるんですけど

野犬 猫兄
BL
魔導研究員のディルカには悩みがあった。 愛し愛される二人の証しとして、同じ場所に同じアザが発現するという『花祝紋』が独り身のディルカの身体にいつの間にか現れていたのだ。 それは女神の祝福とまでいわれるアザで、そんな大層なもの誰にも見せられるわけがない。  ディルカは、そんなアザがあるものだから、誰とも恋愛できずにいた。 イチャイチャ……イチャイチャしたいんですけど?! □■ 少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです! 完結しました。 応援していただきありがとうございます! □■ 第11回BL大賞では、ポイントを入れてくださった皆様、またお読みくださった皆様、どうもありがとうございましたm(__)m

仮面の兵士と出来損ない王子

天使の輪っか
BL
姫として隣国へ嫁ぐことになった出来損ないの王子。 王子には、仮面をつけた兵士が護衛を務めていた。兵士は自ら志願して王子の護衛をしていたが、それにはある理由があった。 王子は姫として男だとばれぬように振舞うことにしようと決心した。 美しい見た目を最大限に使い結婚式に挑むが、相手の姿を見て驚愕する。

【完結】前世は魔王の妻でしたが転生したら人間の王子になったので元旦那と戦います

ほしふり
BL
ーーーーー魔王の妻、常闇の魔女リアーネは死んだ。 それから五百年の時を経てリアーネの魂は転生したものの、生まれた場所は人間の王国であり、第三王子リグレットは忌み子として恐れられていた。 王族とは思えない隠遁生活を送る中、前世の夫である魔王ベルグラに関して不穏な噂を耳にする。 いったいこの五百年の間、元夫に何があったのだろうか…?

薬師は語る、その・・・

香野ジャスミン
BL
微かに香る薬草の匂い、息が乱れ、体の奥が熱くなる。人は死が近づくとこのようになるのだと、頭のどこかで理解しそのまま、身体の力は抜け、もう、なにもできなくなっていました。 目を閉じ、かすかに聞こえる兄の声、母の声、 そして多くの民の怒号。 最後に映るものが美しいものであったなら、最後に聞こえるものが、心を動かす音ならば・・・ 私の人生は幸せだったのかもしれません。※「ムーンライトノベルズ」で公開中

【完結】マジで滅びるんで、俺の為に怒らないで下さい

白井のわ
BL
人外✕人間(人外攻め)体格差有り、人外溺愛もの、基本受け視点です。 村長一家に奴隷扱いされていた受けが、村の為に生贄に捧げられたのをきっかけに、双子の龍の神様に見初められ結婚するお話です。 攻めの二人はひたすら受けを可愛がり、受けは二人の為に立派なお嫁さんになろうと奮闘します。全編全年齢、少し受けが可哀想な描写がありますが基本的にはほのぼのイチャイチャしています。

処理中です...