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30 フラグの回収
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頭がふわふわする。聞いたことのある、声がする。
「もう、こうするしかありません。アレッタ嬢、恨まないでくださいね」
ふわりと花の匂いのする風が鼻腔をくすぐった。
*
目を開けたはずなのに暗くて、まだ夜なのかなとアレッタは首を捻った。なんだか妙に体が軋むしベッドが冷たい。
あれ? 違う。ここは私の部屋じゃない。
アレッタは一気に覚醒した。ドッと心臓の音がうるさくなる。かすかな痛みと冷気を訴える右半身は、石の上に横たえられていた。
なんなら右半身だけじゃなくて全体的に寒い。薄い寝衣越しに冷たい空気が伝わってくる。
常春よりも明らかに寒くて、ここは……もしかして人間界に戻ってきているの?
アレッタは起きあがろうとしたが、体が痺れた感じがして上手く動かせなかった。特に足の感覚がなく、ピクリとも動かせない。
それに後ろ手にまわされた手が紐かなにかで固定されているようだった。
怖い……どうしてこんなことに……?
アレッタは震える心を叱咤して、なんとか冷静に考えようと試みた。
誰かに捕まって、捕らえられている? 誰に? お父様は……さすがに実の娘を石の床の上に横たえたりはしないだろう。
だとしたら……ロイス?
アレッタはそろりと周りを見渡した。暗い石造りの部屋は窓も無く、壁にかけられた燭台の光だけが辺りを仄暗く照らしている。
大部分が死角にあってわかりにくいが、なにか金属の装置が机の上に鎮座している。そして装置の上部分には見覚えのあるクリスタルがあった。
あ、あれは……確かテオドール殿下とカロリーナ様を池鏡で見たときに一緒にあったものだわ。
もっとよく見ようと身を捩ったその時、コツン、コツンと石の床を歩く足音が聞こえてきた。アレッタは身を固くして音の方を振り向く。
一人じゃなさそう、少なくとも二人以上はいるみたい……アレッタはなんとかもがきながら痺れの残る上体を起こし、音の響く方向に目を凝らした。
「もう起きていらっしゃったりするかしら? あ! テオ殿下、アレッタ様がお目覚めになりましたわ」
場違いな程明るい調子で、カロリーナの高めの声が部屋中に響いた。灯りを携えたカロリーナはアレッタを楽しげに指差す。
「ああ、このノロマめ、やっと起きたか。これで面子も揃ったし実験に移れるな」
「はい! 私、この日を本当に心待ちにしていましたの。協力してくださって感謝いたしますわ、テオ殿下!」
はしゃぐカロリーナの手元のランタンを机の上に置いたテオドールは、彼女を優しく抱きとめた。
「ははは、カロリーナのためならいくらでも協力しよう。それにこれは、上手くいけば我がロストア王国の発展に結びつくことだからな」
アレッタを待っていたと言う割には彼女をそっちのけにして、二人の世界で盛り上がるテオドールとカロリーナ。
アレッタは呆然と彼らを見ていたが、ハッとして彼らの話を遮った。
「テオドール殿下とカロリーナ様が私をここに捕らえたのですか?」
なぜ、どうやって? 私は妖精界にいたはずなのに。
アレッタの心に疑問符が飛び交う。カロリーナは人差し指をたてて頬に添え、首をかわいく見える角度に傾けた。
季節はすでに夏ではないのか、桃色の長袖のドレスを着ているがそれがなんとも可愛らしくて、暗い雰囲気の地下にとんでもなくそぐわない。
「んふふ、違いますわよアレッタ様。私がアレッタ様にも実験のご協力を願えたらいいのにとお話をしていたら、親切にもお願い事を叶えてくれた方がいらっしゃるのです」
その時、暗がりに隠れて見えなかったもう一人が殿下とカロリーナの後ろから歩み寄ってきた。カロリーナはアレッタからその人物がよく見えるように半歩後ろに下がって、手で指し示した。
見慣れないフリルシャツと上着を羽織った紫髪の長身の男性が、アレッタの瞳にひたりと映る。
「紹介いたしますわ。彼はロイス・コランバイン様。妖精研究の第一人者であらせられる学者様なんですって。見てください、この稀有な髪の色! この神秘的な紫の髪は妖精の魔法によるものなんですって、素敵!」
カロリーナは両手を胸の前で揃えて興奮した様子で頬を染めた。テオドールが腕を組みながらジロリとロイスを睨む。
「フン。奇怪な髪色だ」
「もちろん私は、テオ殿下の輝く銀の御髪の方がもっと素敵だと思いますわ」
「そうか」
満更でもなさそうなテオドールはあっさり引き下がった。カロリーナは仕切り直してロイスの紹介を続ける。
「ロイス様にはこの度私達の実験に興味を持っていただき、ご協力していただけることになりましたの」
「こんにちはアレッタ嬢。地下の空気はなかなか冷えますね。そうは思いませんか?」
にこにこといつもと変わらない笑みを浮かべたロイスが、帽子を脱ぎながら一礼した。
「ロイス……あなたが私を拐ってきたのね?」
「そうですね。これ以上殿下の周りに人間がつきまとうのは我慢がならなかったので」
ロイスは薄っぺらい笑みを浮かべたままアレッタを見下ろす。
「殿下にはもっと他に相応しい妖精がいるはずです。狡猾ですぐに信頼を裏切る人間の伴侶など、私は認めません」
「私はユースを裏切ってなんていないわ! 彼の信頼を裏切ったのはあなたの方じゃないの?」
アレッタの指摘にロイスは一瞬顔を歪めた。
「……それでも、こうすることが殿下にとって一番いいはずです。たとえ貴方がたから理解が得られずともね」
二人の様子を見て、カロリーナはキョロキョロとアレッタとロイスの顔を見比べた。
「あら? アレッタ様に協力をお願いしたのですよね?」
「そうですね、ですからこの場に連れてきたでしょう?」
アレッタとの言い争いなど何事もなかったかのように、穏やかな声でロイスが返答する。
「ええ、連れてきていただいたことには感謝いたしますが、もう少しこう……こんな風に縛りあげるような真似をせずに、穏便に話しあいで協力をお願いできたらよろしかったのですけれど」
カロリーナは若干戸惑いながら、アレッタの縛られた手に目線を寄越した。
「アレッタ嬢は人間より妖精の方に愛着を持っておられるご様子ですから、話し合いでは断られる未来しか見えませんよ」
「違いない。こいつは妖精しか友達がいない根暗な女だからな」
ハハッとテオドールがアレッタを馬鹿にして笑う。やっぱりテオドール殿下のことは、人として好きになれそうにない。
……それにしても、さっきから実験だとか協力だとか、いったいなんの話をしているの?
「ねえロイス、実験ってなにをするの? 私に協力してほしいことってなに? ちゃんと協力できる内容なら大人しく協力するから、拘束を解いてほしいのだけど」
とにかく、妖精界に逃げ帰るためにもまずは動けるようにならなくちゃ。
アレッタがそう言うなり、カロリーナはよくぞ聞いてくれましたと言わんばかりに目を輝かせ、ロイスの代わりに声を張り上げた。
「私が説明いたしますわ! 私、幼い頃から妖精に魔法を使ってもらうのが夢だったのです! 小さな頃から憧れていた、絵本の中の妖精……私には妖精を見ることはできなかったけれど、どうしても妖精の魔法を使ってみたかった私は研究を重ねました」
熱弁を振るうカロリーナは、パッと手を広げて地下室の中に置いてあるクリスタルを指し示した。
「研究を続けるうちに気づきましたの。妖精にお願いするのではなく、妖精の力を引きだす方が手っ取り早いと。そしてついにその方法がわかったのですわ!」
半透明のクリスタルをもう一度よく見てみると、暗い部屋の中でぼんやりと水色に光って見えた。
あら……? 妖精さんがクリスタルの中に閉じこめられているわ!
中の妖精は青灰色のボブカットの髪を振り乱しながら、何事か叫んでいる。あれは……!
「プリーケ? プリーケなの!?」
アレッタが声をかけると、外の様子に気づいたプリーケがアレッタを見つけて泣きそうに顔を歪めた。なにかを訴えかけているが内側からの声はほとんど聞こえない。
カロリーナはクリスタルを撫でてうっとりと笑った。
「もう、こうするしかありません。アレッタ嬢、恨まないでくださいね」
ふわりと花の匂いのする風が鼻腔をくすぐった。
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目を開けたはずなのに暗くて、まだ夜なのかなとアレッタは首を捻った。なんだか妙に体が軋むしベッドが冷たい。
あれ? 違う。ここは私の部屋じゃない。
アレッタは一気に覚醒した。ドッと心臓の音がうるさくなる。かすかな痛みと冷気を訴える右半身は、石の上に横たえられていた。
なんなら右半身だけじゃなくて全体的に寒い。薄い寝衣越しに冷たい空気が伝わってくる。
常春よりも明らかに寒くて、ここは……もしかして人間界に戻ってきているの?
アレッタは起きあがろうとしたが、体が痺れた感じがして上手く動かせなかった。特に足の感覚がなく、ピクリとも動かせない。
それに後ろ手にまわされた手が紐かなにかで固定されているようだった。
怖い……どうしてこんなことに……?
アレッタは震える心を叱咤して、なんとか冷静に考えようと試みた。
誰かに捕まって、捕らえられている? 誰に? お父様は……さすがに実の娘を石の床の上に横たえたりはしないだろう。
だとしたら……ロイス?
アレッタはそろりと周りを見渡した。暗い石造りの部屋は窓も無く、壁にかけられた燭台の光だけが辺りを仄暗く照らしている。
大部分が死角にあってわかりにくいが、なにか金属の装置が机の上に鎮座している。そして装置の上部分には見覚えのあるクリスタルがあった。
あ、あれは……確かテオドール殿下とカロリーナ様を池鏡で見たときに一緒にあったものだわ。
もっとよく見ようと身を捩ったその時、コツン、コツンと石の床を歩く足音が聞こえてきた。アレッタは身を固くして音の方を振り向く。
一人じゃなさそう、少なくとも二人以上はいるみたい……アレッタはなんとかもがきながら痺れの残る上体を起こし、音の響く方向に目を凝らした。
「もう起きていらっしゃったりするかしら? あ! テオ殿下、アレッタ様がお目覚めになりましたわ」
場違いな程明るい調子で、カロリーナの高めの声が部屋中に響いた。灯りを携えたカロリーナはアレッタを楽しげに指差す。
「ああ、このノロマめ、やっと起きたか。これで面子も揃ったし実験に移れるな」
「はい! 私、この日を本当に心待ちにしていましたの。協力してくださって感謝いたしますわ、テオ殿下!」
はしゃぐカロリーナの手元のランタンを机の上に置いたテオドールは、彼女を優しく抱きとめた。
「ははは、カロリーナのためならいくらでも協力しよう。それにこれは、上手くいけば我がロストア王国の発展に結びつくことだからな」
アレッタを待っていたと言う割には彼女をそっちのけにして、二人の世界で盛り上がるテオドールとカロリーナ。
アレッタは呆然と彼らを見ていたが、ハッとして彼らの話を遮った。
「テオドール殿下とカロリーナ様が私をここに捕らえたのですか?」
なぜ、どうやって? 私は妖精界にいたはずなのに。
アレッタの心に疑問符が飛び交う。カロリーナは人差し指をたてて頬に添え、首をかわいく見える角度に傾けた。
季節はすでに夏ではないのか、桃色の長袖のドレスを着ているがそれがなんとも可愛らしくて、暗い雰囲気の地下にとんでもなくそぐわない。
「んふふ、違いますわよアレッタ様。私がアレッタ様にも実験のご協力を願えたらいいのにとお話をしていたら、親切にもお願い事を叶えてくれた方がいらっしゃるのです」
その時、暗がりに隠れて見えなかったもう一人が殿下とカロリーナの後ろから歩み寄ってきた。カロリーナはアレッタからその人物がよく見えるように半歩後ろに下がって、手で指し示した。
見慣れないフリルシャツと上着を羽織った紫髪の長身の男性が、アレッタの瞳にひたりと映る。
「紹介いたしますわ。彼はロイス・コランバイン様。妖精研究の第一人者であらせられる学者様なんですって。見てください、この稀有な髪の色! この神秘的な紫の髪は妖精の魔法によるものなんですって、素敵!」
カロリーナは両手を胸の前で揃えて興奮した様子で頬を染めた。テオドールが腕を組みながらジロリとロイスを睨む。
「フン。奇怪な髪色だ」
「もちろん私は、テオ殿下の輝く銀の御髪の方がもっと素敵だと思いますわ」
「そうか」
満更でもなさそうなテオドールはあっさり引き下がった。カロリーナは仕切り直してロイスの紹介を続ける。
「ロイス様にはこの度私達の実験に興味を持っていただき、ご協力していただけることになりましたの」
「こんにちはアレッタ嬢。地下の空気はなかなか冷えますね。そうは思いませんか?」
にこにこといつもと変わらない笑みを浮かべたロイスが、帽子を脱ぎながら一礼した。
「ロイス……あなたが私を拐ってきたのね?」
「そうですね。これ以上殿下の周りに人間がつきまとうのは我慢がならなかったので」
ロイスは薄っぺらい笑みを浮かべたままアレッタを見下ろす。
「殿下にはもっと他に相応しい妖精がいるはずです。狡猾ですぐに信頼を裏切る人間の伴侶など、私は認めません」
「私はユースを裏切ってなんていないわ! 彼の信頼を裏切ったのはあなたの方じゃないの?」
アレッタの指摘にロイスは一瞬顔を歪めた。
「……それでも、こうすることが殿下にとって一番いいはずです。たとえ貴方がたから理解が得られずともね」
二人の様子を見て、カロリーナはキョロキョロとアレッタとロイスの顔を見比べた。
「あら? アレッタ様に協力をお願いしたのですよね?」
「そうですね、ですからこの場に連れてきたでしょう?」
アレッタとの言い争いなど何事もなかったかのように、穏やかな声でロイスが返答する。
「ええ、連れてきていただいたことには感謝いたしますが、もう少しこう……こんな風に縛りあげるような真似をせずに、穏便に話しあいで協力をお願いできたらよろしかったのですけれど」
カロリーナは若干戸惑いながら、アレッタの縛られた手に目線を寄越した。
「アレッタ嬢は人間より妖精の方に愛着を持っておられるご様子ですから、話し合いでは断られる未来しか見えませんよ」
「違いない。こいつは妖精しか友達がいない根暗な女だからな」
ハハッとテオドールがアレッタを馬鹿にして笑う。やっぱりテオドール殿下のことは、人として好きになれそうにない。
……それにしても、さっきから実験だとか協力だとか、いったいなんの話をしているの?
「ねえロイス、実験ってなにをするの? 私に協力してほしいことってなに? ちゃんと協力できる内容なら大人しく協力するから、拘束を解いてほしいのだけど」
とにかく、妖精界に逃げ帰るためにもまずは動けるようにならなくちゃ。
アレッタがそう言うなり、カロリーナはよくぞ聞いてくれましたと言わんばかりに目を輝かせ、ロイスの代わりに声を張り上げた。
「私が説明いたしますわ! 私、幼い頃から妖精に魔法を使ってもらうのが夢だったのです! 小さな頃から憧れていた、絵本の中の妖精……私には妖精を見ることはできなかったけれど、どうしても妖精の魔法を使ってみたかった私は研究を重ねました」
熱弁を振るうカロリーナは、パッと手を広げて地下室の中に置いてあるクリスタルを指し示した。
「研究を続けるうちに気づきましたの。妖精にお願いするのではなく、妖精の力を引きだす方が手っ取り早いと。そしてついにその方法がわかったのですわ!」
半透明のクリスタルをもう一度よく見てみると、暗い部屋の中でぼんやりと水色に光って見えた。
あら……? 妖精さんがクリスタルの中に閉じこめられているわ!
中の妖精は青灰色のボブカットの髪を振り乱しながら、何事か叫んでいる。あれは……!
「プリーケ? プリーケなの!?」
アレッタが声をかけると、外の様子に気づいたプリーケがアレッタを見つけて泣きそうに顔を歪めた。なにかを訴えかけているが内側からの声はほとんど聞こえない。
カロリーナはクリスタルを撫でてうっとりと笑った。
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