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緊張して変にペース早めに飲んだせいで、ただでさえ酒に弱いのに今日はダメダメだ。
「おーい知久、めちゃくちゃ酔ってんなー?」
大智が目の前で手をヒラヒラさせたので、振り払う仕草をする。
「そこまでじゃねえよ、ちゃんと座ってるだろ」
「座れなくなるほど飲むってヤバすぎ!」
「だからそこまで飲んでないって」
大智はケラケラ手を叩いて笑っている。普段ここまで大げさに笑うやつじゃないから、こいつも酔ってきてるなってわかった。
笑い疲れたように背を壁につけた大智は、ふと真顔に戻る。
「あ、てかこのままだとリップクリーム忘れて帰る気がするから、今のうちに受け取っとく」
「そうだな。はいこれ」
ポケットに無造作に突っこんだままだったリップクリームを渡す。指先が一瞬触れる、その程度の接触すら顔から火が出そうなほど意識してしまう。
「ありがとなー。俺の妹めざといからさ、唇荒れてるとせっかくプレゼントしたのにって、ぐちぐちうるさくてさ」
「いや、むしろ手間かけさせてごめん。酒まで持ってきてくれて、そんな気使わなくていいのに」
「……本当のとこ言うとさ、俺知久と二人っきりで飲んでみたかったんだよ」
ドクンと心臓が跳ねる。なにそれどういう意味? 特に意味なんてないのか、それとも俺の期待した展開なのか、どっちなんだ。
俺の返事がないのを構うことなく、大智はリップクリームを唇に塗った。あ、間接キス。
わずかばかりの罪悪感と、それ以上の興奮が俺の心をかき乱す。ビール缶をローテーブルの上に置いて、無意識のうちに大智の方に身を寄せた。
長めの前髪を耳にかけて、大智はそれはもう魅力的に微笑んだ。俺の視線は彼の唇に釘づけだ。
「知久、俺とつきあってよ」
「えっ」
グッと肩を引き寄せられ、キスをされた。嘘だろ? 大智とキスしてる。
「おーい知久、めちゃくちゃ酔ってんなー?」
大智が目の前で手をヒラヒラさせたので、振り払う仕草をする。
「そこまでじゃねえよ、ちゃんと座ってるだろ」
「座れなくなるほど飲むってヤバすぎ!」
「だからそこまで飲んでないって」
大智はケラケラ手を叩いて笑っている。普段ここまで大げさに笑うやつじゃないから、こいつも酔ってきてるなってわかった。
笑い疲れたように背を壁につけた大智は、ふと真顔に戻る。
「あ、てかこのままだとリップクリーム忘れて帰る気がするから、今のうちに受け取っとく」
「そうだな。はいこれ」
ポケットに無造作に突っこんだままだったリップクリームを渡す。指先が一瞬触れる、その程度の接触すら顔から火が出そうなほど意識してしまう。
「ありがとなー。俺の妹めざといからさ、唇荒れてるとせっかくプレゼントしたのにって、ぐちぐちうるさくてさ」
「いや、むしろ手間かけさせてごめん。酒まで持ってきてくれて、そんな気使わなくていいのに」
「……本当のとこ言うとさ、俺知久と二人っきりで飲んでみたかったんだよ」
ドクンと心臓が跳ねる。なにそれどういう意味? 特に意味なんてないのか、それとも俺の期待した展開なのか、どっちなんだ。
俺の返事がないのを構うことなく、大智はリップクリームを唇に塗った。あ、間接キス。
わずかばかりの罪悪感と、それ以上の興奮が俺の心をかき乱す。ビール缶をローテーブルの上に置いて、無意識のうちに大智の方に身を寄せた。
長めの前髪を耳にかけて、大智はそれはもう魅力的に微笑んだ。俺の視線は彼の唇に釘づけだ。
「知久、俺とつきあってよ」
「えっ」
グッと肩を引き寄せられ、キスをされた。嘘だろ? 大智とキスしてる。
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