寂しい竜の懐かせ方

兎騎かなで

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 懐かしの藁でできたベッドに降ろされた。ゆっくりとのしかかってくるスピネルは、慎重にジルの衣服を脱がせる。

 クラバットを抜き取り上着のボタンを一つづつ外される度に、心臓の鼓動がうるさくなっていく。

 シャツの前を開けられると、寒さで鳥肌が立った。スピネルはジルごと包むように自身の背中に毛布をかけ、冷たい空気に晒されて尖った乳首を口に含む。

「……っ!」

 じん、と疼くような震えが胸から腰へと伝わり、体を捩らせた。二股の舌で挟みこむようになぶられて、むずがゆい感じがずっと続いている。

 胸を舐めながらも、スピネルはジルの下衣を器用に脱がしていく。はだけられた前は既に勃ち上がっていて、彼の手に包まれるとより大きくなった。

「……ぁ、」

 少し冷えた手に握りこまれて、動揺して息を詰めた。

 思えばスピネルは、友達以上に仲良くなりたいと言い始めた頃から、恋人同士になりたいと思っていてくれたのか……

 最初の触れ合いを思い出して顔を赤らめていると、屹立に添えられた手が明確な意思を持って動き始める。

「ぅ、んっ」

 前を擦られると腰がジンジンして、勝手に揺らめいてしまう。スピネルは怖いくらいに真剣な表情でジルの反応をつぶさに観察している。

 快感からか、それとも怯えからか、背筋に震えが走った。

 スピネルは懐から見覚えのある瓶を取り出した。どこで見たものだったか、そうだ、手袋を買った店で購入した香油だと思い出す。

 スピネルはキリリと表情を引き締め、瓶の蓋を開けた。

「ジル、今からお前の腹の中を探るから、痛かったら教えてくれ」
「え……? あっ!?」

 足を腹側に折り曲げられて、尻の狭間に油をまぶされた指が滑り込む。ぬち、と生々しい音を立てながら侵入してきた指は、ぐにぐにと内壁を揉みほぐしながら奥へ奥へと割って入ってくる。

 かつてない感覚に身構えて、指を押し出そうと力が入ってしまう。眉根までぎゅっと寄せたジルの眉間に、スピネルは案じるように指先を当てた。

「痛いのか?」
「いたくは……ない、が。ここ……っ、探る必要が、あるのかっ?」
「この孔に私の逸物を納めたい」
「うぇ!?」

 驚愕に顔を引き攣らせながらスピネルの下半身を見る。こんもりと布を押し上げる質量は、素晴らしく大きい。

「それ……」

 ジルの視線を受けたスピネルは、一度孔から指を引き抜くと下衣を下ろした。そこには高い身長と筋肉質な体に見合った、立派なモノが兆していた。

「ひぇ」
「ほぐせば入るはずだ……私はお前を番にしたい。なあ、いいのだろう? ジル」

 番になりたい、スピネルと一緒にいたいという気持ちは本物だったから、ジルは肩を思いきり強張らせ頬を真っ赤に染めながら、唇を引き結んで頷いた。

 再びスピネルが指を後孔に埋めてくる。前を擦られながら腹の奥を探られると、だんだん息が上がってきた。少しづつ指をくわえこむのにも慣れて、異物感もましになってくる。

「う……ぅ、あ、あ……あっ?」

 触られると、体が跳ねてしまうくらい気持ちいい場所があった。スピネルはその周辺を丹念に探り、やがて見つけたしこりをもう一度ノックする。

「あぁ!」
「いいのか?」
「ぁ、そこ……ビリビリする」
「良さそうだな」
「う、っあ! んぁあ!」

 身体中に響く感覚を逃そうと腰を捻っても、スピネルの指先は逃がすまいと執拗に追いかけてきた。足を思い切り開かされて、思う様になぶられる。

「っひ! ぁあ!」
「美しいな、ジル……もっと乱れてよいぞ」
「あぁん!」

 自分が自分でなくなってしまうような怖さと、もっと気持ちよくして欲しいと叫ぶ貪欲な気持ちが入り混じって、わけがわからなくなる。与えられる刺激に反応するままに喘いだ。

 指が二本になり、三本になった頃には、寒さなんて忘れるくらいに体が火照っていた。腹の奥をこねられると、逐情できないまま熱がこもって仕方がない。

「ふ、ぅん……っ」
「そろそろいいだろうか……」

 スピネルの逞しいモノは、触ってもいないのにはち切れそうなほど勃っていた。くちりと孔に亀頭を当てると、隘路を割り開き奥へ奥へと入り込んでくる。

「く……ぅ」

 予想よりは抵抗なくスムーズに入ったようだ。あんなに大きな物が体内に入るなんてと、驚いていられたのも最初のうちだけだった。

「んっ、あ!」

 腹側のしこりを硬いカリで擦られると、とてつもなく気持ちがよかった。勃ち上がったジルの雄がふるりと震え、鈴口から蜜を垂らす。

「く……っ」

 スピネルは襲いくる快楽に顔を歪ませながら腰を進めた。二人して言葉もなく熱い吐息を漏らす。

 生理的な涙で潤んだ瞳に、血のように赤い瞳が映る。美麗な顔面が視界いっぱいに迫ってきて、ゆっくりと口づけを施される。

「ん、っふ……ぅ」

 舌を絡められて吸われながら、律動が始まった。下からも上からも刺激が与えられて、受け止めるだけで精一杯になる。口の端からは無意識のうちに嬌声が漏れ出ていった。

「は、ぁん」
「ふ……ジル、ジル……私の番だ」
「ん、スピネル……お前の、番にして……っ!」
「ああ……!」

 彼は繋がったままでジルをうつ伏せにする。前立腺を押し潰しながら剛直が移動していき、ジルは叫びながら感じいった。

「ひっ、ああぁ!」

 スピネルはジルの悲鳴混じりの嬌声に余裕を無くしたように、抽送を速めてジルの奥を突いた。

 シーツを握り締めて必死に快感に耐える。一際奥を突かれてのけぞったタイミングで、頸に牙を突き立てられた。

「いっ……あ!」

 痛みに驚いて硬直する。すぐに熱い魔力が体の中に注がれる感覚がして、体中の細胞がざわめいた。

 おぞましくて総毛立つような心地と、気持ちが良すぎてどうにかなりそうな感覚が交互に押し寄せ、気がつくとシーツを精液で濡らしていた。

「う、あっ、ひん……っ」

 目の奥がチカチカと点滅する。体の隅々まで、あますことなく熱を持ったように感じる。

 自分が自分じゃなくなる感覚にガタガタと震えていると、スピネルの力強い腕が背後から抱きしめてくれた。

 ああ、大丈夫。彼に与えられる物なら、受け入れられる……

 ジルの体がびく、びくんと何度か跳ね、それが止まった頃にやっとスピネルは口を離した。傷口を舐めて治療される間も感じてしまって始末におえない。

「あ、ぁ、……っこれで……、つがい……?」
「まだだ」
「ひゃあぁ!」

 スピネルは腰の抜けたジルの体を自身の上に座らせると、下から突いた。お腹の中を熱杭でかき混ぜられて、強すぎる快楽に足をばたつかせたが彼は止まらない。

「もう少しだけ……うっ、そろそろだっ」
「や、あ! ぁっ、ああ、っあぁ!」

 グッと雄を押し込まれて、お腹の奥に先端を擦りつけられる。何度か塗りこめるように腰を動かすと、ジルの後孔からたらりと白濁液が溢れ出た。

「ふ、あ……」

 温かいものが腹の奥から全身へと巡っていく感じがする。今度は眠ってしまいそうに気持ちがいい。全身の力を緩めてスピネルに体をもたれさせると、彼はものともせず抱き止めてくれた。

「終わったぞ。これでお前は私の番となった」
「う、ん……ふふ、嬉し……」

 褐色の胸板にもたれかかりながら微笑むと、まだ中に含んだままの雄が大きくなる。

「んっ! え……?」
「すまない、お前の笑顔が愛らしすぎてな……もう少しつきあってもらってもよいか?」
「や、待って……んっあ、あ!」

 そのまま揺さぶられて、スピネルの気が済むまで存分に貪られた。
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