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第二章 陰謀恋愛編
189 契約
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薄明かりの下で葡萄色に見えるカイルの瞳は、光の加減なのか揺らめいているように感じる。
「……そうだな。お前にも話をしておくべきか」
カイルはもたれていた壁から離れて、しっかりと地面に両足をつけた。
迷いながらも、魔人の王子は言葉を選んで話しはじめた。
「どこから話すか……ダンジョンは……魔力を集めるための巨大装置だ」
「装置?」
「施設と言い換えてもいいだろう。侵入した獣人の魔力を吸いとり、死骸を吸収する。そうして集めた魔力を、ダンジョンの主が魔人國プルテリオンに送っている」
驚きの事実に内心舌を巻きつつ、今までの不可解な出来事がパズルのように、パチリとハマったように感じた。
ダンジョンに入った時に感じた、魔力を吸いとられる感覚。まるでゲームのような人為的な仕組み。
それに初めてボスを倒した時、カイルは聞き取れないくらいの声で、虚空に向かって何かを呟いていた。あの時は独り言かと思っていたが……
クレミア母さんは、ダンジョン内のことを全て把握できると言っていた。
奴隷でもないのにダンジョン内に侵入した魔人の同胞に、興味を持ったダンジョン主が、カイルにちょっかいをかけたり、したのかもしれない。
「魔人は獣人の魔力を喰らって生きている。この秘密が獣人国に漏れるとまずいんだ、わかるな?」
「そうか……だがダンジョンからは獣人側も、魔石や宝箱で恩恵を受けているんだから、意外とバレても問題ないんじゃないか?」
「問題はある、確実に。だが、これ以上はそいつが契約を結んでからでないと、話す気になれない」
エイダンを確認すると、彼はしっかりと頷いた。
「いいよ。今すぐ契約する」
彼の決意は固かった。是が非でも母親をここから連れだしたいようだ。
俺はサラサラと契約陣を紙に書きこむと、文言を唱える。カイルのフルネームは、前回交わした契約文から引用した。
「カイル・ウィルプス・ルド・プルテリオンは、エイダンに魔人の秘密を共有する。エイダンは魔人の秘密を、他の獣人に話さないことを誓う」
もし破った場合、彼は土魔法を使えなくなる。カイルがその条件を出した。かなり重い罰則だが、エイダンは文句一つ言わずに受けいれた。
滞りなく契約を終えると、カイルは俺の方を一瞬チラ見した後、目を伏せたまま口を開いた。
「……ダンジョンを作成するためには、大量の魔力が必要となる。それこそ、村四つ分の命だ。これを、魔人は魔物を操ることで蓄える」
先日見た、スタンピードに滅ぼされた村のことを思いだす。やはりあれは、魔人が引き起こしたもので間違いなかったんだな。
「……そうだな。お前にも話をしておくべきか」
カイルはもたれていた壁から離れて、しっかりと地面に両足をつけた。
迷いながらも、魔人の王子は言葉を選んで話しはじめた。
「どこから話すか……ダンジョンは……魔力を集めるための巨大装置だ」
「装置?」
「施設と言い換えてもいいだろう。侵入した獣人の魔力を吸いとり、死骸を吸収する。そうして集めた魔力を、ダンジョンの主が魔人國プルテリオンに送っている」
驚きの事実に内心舌を巻きつつ、今までの不可解な出来事がパズルのように、パチリとハマったように感じた。
ダンジョンに入った時に感じた、魔力を吸いとられる感覚。まるでゲームのような人為的な仕組み。
それに初めてボスを倒した時、カイルは聞き取れないくらいの声で、虚空に向かって何かを呟いていた。あの時は独り言かと思っていたが……
クレミア母さんは、ダンジョン内のことを全て把握できると言っていた。
奴隷でもないのにダンジョン内に侵入した魔人の同胞に、興味を持ったダンジョン主が、カイルにちょっかいをかけたり、したのかもしれない。
「魔人は獣人の魔力を喰らって生きている。この秘密が獣人国に漏れるとまずいんだ、わかるな?」
「そうか……だがダンジョンからは獣人側も、魔石や宝箱で恩恵を受けているんだから、意外とバレても問題ないんじゃないか?」
「問題はある、確実に。だが、これ以上はそいつが契約を結んでからでないと、話す気になれない」
エイダンを確認すると、彼はしっかりと頷いた。
「いいよ。今すぐ契約する」
彼の決意は固かった。是が非でも母親をここから連れだしたいようだ。
俺はサラサラと契約陣を紙に書きこむと、文言を唱える。カイルのフルネームは、前回交わした契約文から引用した。
「カイル・ウィルプス・ルド・プルテリオンは、エイダンに魔人の秘密を共有する。エイダンは魔人の秘密を、他の獣人に話さないことを誓う」
もし破った場合、彼は土魔法を使えなくなる。カイルがその条件を出した。かなり重い罰則だが、エイダンは文句一つ言わずに受けいれた。
滞りなく契約を終えると、カイルは俺の方を一瞬チラ見した後、目を伏せたまま口を開いた。
「……ダンジョンを作成するためには、大量の魔力が必要となる。それこそ、村四つ分の命だ。これを、魔人は魔物を操ることで蓄える」
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