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第二章 陰謀恋愛編

177 対抗戦本戦開始

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 ついに本戦の日がやってきた。半月ぶりくらいに顔をあわせた三人は、俺達に生暖かい視線を送ってきた。

 クインシーが代表して、声をかけてくる。

「やあ、君達。つかの間の休暇はゆっくりできたかな?」
「まあな」
「それはよかった」

 特に詳しいことを聞かれたりもせず、やり過ごせた。テオはチラチラと俺達を気にしていたが、カイルが視線を向けるとピャッとそっぽを向いていた。

 レジオットとも和やかに挨拶を交わした後は、周りのパーティを観察した。

 俺達の他にも、ヴァレリオとやらのチーム、チーター獣人のチーム、虎獣人のチームなど五組が揃っている。

 パッと見た感じ、あのヴァレリオとかいうヤツのチームが一番強そうだよな。

 やつのチームに所属している、鼠獣人のナダルってヤツも魔力持ちだ。レジオットと同程度の魔力量を保持している。アイツも魔法が使えそうだ。

 身を切るような寒さの中、一般人が入れないよう封鎖されたダンジョン前で待っていると、前に王子と一緒にいた、強そうな虎獣人が顔を見せた。

「待たせたな。殿下は所用のため、この場は俺が取り仕切るぞ」

 虎獣人の貴族のおっさんは、本戦のルール説明をした。期間内に、一番最奥の階層を攻略できた者が優勝となるらしい。

「現在王都ダンジョンの最奥攻略階は、五十七階だ。獣人史上初の、ダンジョン踏破もあり得るかもしれない。はりきって競ってくれ」

 ダンジョンの最奥か、いったい何階層あるんだろうな。そしていったい何が待ちうけているのか。

 個人的にも大変興味がある。優勝したらクインシーからの追加報酬もあることだし、いっちょ気合いを入れてがんばるか。

 クインシーが虎の偉そうなおっさんから、発信機のような物を受けとっていた。これでどこまで降りたかわかるらしい。

 期間は十日間、その間に一番深く潜って、期限内に地上に帰ってこれたチームが優勝となるらしい。

 予選順位の高かった者から、ダンジョン内へと侵入を果たした。

 あの強そうな狼獣人ヴァレリオと、鼠獣人のナダルがいるチームから順に潜って、俺達は四番目に突入した。

「さあ、行こうか。最短ルートで駆け抜けよう」

 どうしても体力で劣る俺は、こっそり自身の体力を風魔法を使って補いながら走った。

 本戦では不自然でない程度に、魔法を積極的に使っていきたい。

 今は宿暮らしだが、やっぱり自分の家があった方が落ちつけると思うんだよ。

 家を買ってカイルと二人暮らしとかできたら、楽しそうじゃないか? すごくやってみたい。

 そのためには、優勝目指してがんばらないとな。追加報酬の一ハンを、ぜひゲットしたいんだ。

「イツキ、そろそろ疲れたんじゃない? 休憩をとろうか」
「まだいける、大丈夫だ」
「そう? 疲れたらすぐに教えてくれよ」

 クインシーに返事した通り、まだまだ平気だ。ズルして体を軽くしているからな。

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