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第二章 陰謀恋愛編
171 予選終了
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予選四日目の朝がきた。
テオやレジオットからは特に変な反応をされなかったので、昨日のアレはバレなかったみたいだ。心から安堵のため息を吐いた。
青い鍵はひょんなことから揃った。道を引き返した先で遭遇した、クインシーの知りあいらしき銀髪雪豹貴族が譲ってくれたのだ。
クインシーは鍵を手に入れ鏡に登録すると、その足でダンジョンからの脱出を図った。
十一階層付近で、三チーム十五人から襲撃を受けたが、そんなのはカイルの敵ではなかった。
「退け」
カイルが剣を突きつけると、敵わないと見た貴族やその部下達は、一目散に逃げていく。
見た目的に弱そうに見える俺を、襲おうとしてきた輩には、石粒を足に叩きつけてやった。
痛みに転げまわるやつらを置いて、ダンジョンを脱出する。
入り口のところで待機していた、騎士っぽい兄ちゃんが、俺達の順位を教えてくれた。
「おめでとうございます! マーシャル領、四位着です」
なんとか予選は突破したようだな。やれやれだ。
本戦がはじまるまで、しばらく時間がある。クインシー達と一緒に彼の邸に帰ろうとした俺は、カイルにひき止められた。
俺の腕を引いて足を止めさせたカイルは、クインシー達に宣言する。
「本戦までイツキと二人で過ごす。犬っころ、何かあれば、食べ頃の豚亭に連絡を寄越せ」
「へ? あ、はーい、わかりました旦那。ごゆっくりー!」
俺が驚いて言葉を失くしている間に、仏のような顔をしたクインシーと、微笑ましそうに手を振るレジオットが遠ざかっていく。
「おい、なに勝手に決めてんだよ」
「お前が嫌がるから離れたんだ。アイツらがいると、気になって集中できないんだろう?」
「まあ……それはそうだが」
だからって、いかにも今からヤリます! みたいな感じで連れ去られるのには、納得がいかないっていうか、単純に恥ずかしいのだが……
カイルはそこのところを、全く気にしていないようで、足取り軽く宿に向かった。
食事処を兼ねている宿は、居心地がよさそうな造りだった。マーシャルの女将がいる、白枝のせせらぎ亭に雰囲気が似ている。
ふくよかな豚獣人の女将さんと、丸々と太った子豚のような男の子が、にこやかに対応してくれた。食べ頃の豚……いや、なにも言うまい。
さすが王都と唸るような、出来のいい食事をいただいた後、カイルに部屋に連れこまれた。
まだ昼を少しばかり過ぎた時間なのに、ベッドに押し倒されてしまって、慌てて肩を押す。
「待て待てカイル、気が早い」
「どこがだ。俺は十分我慢したと思うが」
「まだ昼だろ? ダンジョンから帰ったばかりだし、俺達には休憩が必要だと思わないか?」
「思わないな。休んでいる暇があったら、イツキのことを可愛がりたい」
垂れ耳の先を持ち上げられて、キスを落とされる。キザな仕草がどうしようもなく似合っていて、胸がときめいてしまった。
「……最後まで、するのか?」
「俺はしたい。お前がどうしても嫌だと言うのなら……我慢するが」
そう口にしたカイルの眉は苦し気に寄っていて、妙な色っぽさがあった。
テオやレジオットからは特に変な反応をされなかったので、昨日のアレはバレなかったみたいだ。心から安堵のため息を吐いた。
青い鍵はひょんなことから揃った。道を引き返した先で遭遇した、クインシーの知りあいらしき銀髪雪豹貴族が譲ってくれたのだ。
クインシーは鍵を手に入れ鏡に登録すると、その足でダンジョンからの脱出を図った。
十一階層付近で、三チーム十五人から襲撃を受けたが、そんなのはカイルの敵ではなかった。
「退け」
カイルが剣を突きつけると、敵わないと見た貴族やその部下達は、一目散に逃げていく。
見た目的に弱そうに見える俺を、襲おうとしてきた輩には、石粒を足に叩きつけてやった。
痛みに転げまわるやつらを置いて、ダンジョンを脱出する。
入り口のところで待機していた、騎士っぽい兄ちゃんが、俺達の順位を教えてくれた。
「おめでとうございます! マーシャル領、四位着です」
なんとか予選は突破したようだな。やれやれだ。
本戦がはじまるまで、しばらく時間がある。クインシー達と一緒に彼の邸に帰ろうとした俺は、カイルにひき止められた。
俺の腕を引いて足を止めさせたカイルは、クインシー達に宣言する。
「本戦までイツキと二人で過ごす。犬っころ、何かあれば、食べ頃の豚亭に連絡を寄越せ」
「へ? あ、はーい、わかりました旦那。ごゆっくりー!」
俺が驚いて言葉を失くしている間に、仏のような顔をしたクインシーと、微笑ましそうに手を振るレジオットが遠ざかっていく。
「おい、なに勝手に決めてんだよ」
「お前が嫌がるから離れたんだ。アイツらがいると、気になって集中できないんだろう?」
「まあ……それはそうだが」
だからって、いかにも今からヤリます! みたいな感じで連れ去られるのには、納得がいかないっていうか、単純に恥ずかしいのだが……
カイルはそこのところを、全く気にしていないようで、足取り軽く宿に向かった。
食事処を兼ねている宿は、居心地がよさそうな造りだった。マーシャルの女将がいる、白枝のせせらぎ亭に雰囲気が似ている。
ふくよかな豚獣人の女将さんと、丸々と太った子豚のような男の子が、にこやかに対応してくれた。食べ頃の豚……いや、なにも言うまい。
さすが王都と唸るような、出来のいい食事をいただいた後、カイルに部屋に連れこまれた。
まだ昼を少しばかり過ぎた時間なのに、ベッドに押し倒されてしまって、慌てて肩を押す。
「待て待てカイル、気が早い」
「どこがだ。俺は十分我慢したと思うが」
「まだ昼だろ? ダンジョンから帰ったばかりだし、俺達には休憩が必要だと思わないか?」
「思わないな。休んでいる暇があったら、イツキのことを可愛がりたい」
垂れ耳の先を持ち上げられて、キスを落とされる。キザな仕草がどうしようもなく似合っていて、胸がときめいてしまった。
「……最後まで、するのか?」
「俺はしたい。お前がどうしても嫌だと言うのなら……我慢するが」
そう口にしたカイルの眉は苦し気に寄っていて、妙な色っぽさがあった。
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