もう1人の転生者〜悪役令嬢が逆ハーレムルートに入ったみたいですが、誰か1人選ぶのが大変そうです〜

プロローグ

　私はアーノルド公爵家の長女でシルビア・アーノルド。
　2歳年上の王太子殿下の婚約者で王立魔法学園に通っている。
　
　私は2歳の時に前世の記憶が蘇り、この世界が私が大好きだった乙女ゲーム『FOREVER LOVER』の世界だと分かった。その時、私は前世のゲーム知識を使って幸せになれると喜んだ。
　しかし、喜びも束の間、自分がこの乙女ゲームの悪役令嬢であるシルビア・アーノルドだということが分かり、私の希望はどん底に突き落とされた。
　
　それから私は破滅エンドを迎えないように、また、公爵令嬢に相応しいように必死に勉強したり、ダンスのレッスンやマナーを習得するのを頑張った。
　もちろん、人間関係はそれ以上に頑張った。
　
　ゲームのシルビアのように平民の生徒やヒロインたちをいじめたりしないと心に決め、前世のように誰にでも優しく親切にして仲良くなろうと小さな頃から心がけていた。また、ヒロインや攻略対象者たちにあまり近づかないようにしようと決めていた。
　しかし、そううまくいかず、小さな頃から攻略対象者たちやその姉や妹たちと接する機会がとても多くあった。
　しかし、いざ話してみたら皆んな良い子たちですぐに仲良くなった。
　
　このような感じで月日は流れ、ヒロインたちや攻略対象者たち、男女関係なく皆んなと仲良くなり、私は断罪の日である、王太子殿下たち3年生の卒業式を迎えた。

　断罪の日ということで何があるか分からないため、朝からずっと恐怖に怯えていた私を置いて式は無事に終わった。
　私は断罪イベントが無事に終わった安堵感と嬉しさで声を出して喜んだ。

　しかし、その日はそれだけでは終わらなかった。
　式が終わった後、王太子殿下に屋上に呼ばれた私はとても驚いた。
　なぜなら、王太子殿下以外にも攻略対象者たちやヒロインなどの女友達たちが皆んな揃っていたからだ。
　そして、男性の方々は私に求婚してきて、女性の方々は国を出て一緒に暮らしましょうなどと意味の分からないことを言ってきた。
　私は（え、攻略対象者たちはヒロインが好きじゃなかったの？）と思いながら頭が混乱してしまった。

　そんな時にあの方が「一度じっくり考える時間をあげられてわ？」と助けてくださった。
　その方こそ、私の初恋の人で現在進行形で片想いをしているウィリアム・ルーレント様。

　彼は昔から王太子殿下の護衛騎士として私たちのそばにいた。
　彼は私が困っている時に素早く助けてくれたり、色々な相談にのってくれたりした。
　私は最初、頼りになってカッコいいお兄ちゃんだなと思っていたが、しだいに気持ちが大きくなり彼のことが大好きになっていた。

　たぶん、彼は私の気持ちを知らない。私のことは可愛い妹くらいに思っている。
　だけど、私は彼のことが大好きで、恋愛結婚したいと思っていたけど、どこかで諦めていた。
　しかし、今日の皆んなの告白を聞いて私も一歩踏み出さなければならないと思った。
　
　もう私は、彼を、ウィリアム・ルーレント様のことを絶対に諦めないと強く心に決めた。



　

　その日、シルビア・アーノルドは新たな誓いを立てるのであった。