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トウカちゃんと合流
しおりを挟む「はーいみんなおはよう~。今日も元気にやっていきますよっと」
『がおつー』
『がおつー』
『(「・ω・)「がおーつー』
『がおーー』
『がおーつー』
翌日。朝の用事を済ませた私は、素早くInfinite Creationの世界にログインしていた。
慣れた手つきで画面を操作し、配信を開始する。
大量に流れ始めるコメント。
もはや、がおつー程度じゃ何とも思わなくなってきた自分が辛いよ。
「えーと、今日はなんと、新ゲストというか、新しいお友達がいるんですよっ!」
『マ?』
『嘘だー』
『ぼっち少女のはずでは』
『カナ以外遊ぶ友人いないと思ってた』
『ソロ勢だからね仕方ないね』
『そもそもトップ層だし立ち回りおかしいしでついてこられる人がまず居ない件』
「だーーれがボッチだ。誰が!
まあ、新ゲストと言っても、出会ったのは昨日の配信中だったけどね」
『あー』
『あの子かw』
『そう言えば言ってたねぇ』
『ユキについてこれそうな数少ない子』
『むしろ振り回しそう』
『現状ソロでドゥーバ到達する時点で普通ではない』
「はいはい察してる人も多いとは思うけど、紹介するよ。
トウカちゃんです。どうぞっ!」
自分でもよくわからないテンションだと自覚しながら、トウカちゃんを手で示す。
すると、空気を読んだカメラドローン。期待通りに彼女を正面から映すアングルをとってくれた。
「っ! え、えっと、トウカです。宜しくお願いします!」
『おー』
『初々しいw』
『なんか、あれだね。思い出すね』
『↑ユキの初配信』
『↑それ』
『すっかり慣れたもんで』
『古参アピやめれww』
『犬耳っ子だ』
『動物耳いいぞ』
なかなか上々な反応を返してくれるコメント欄に、ちょっとにんまり。
トウカちゃんは、少し緊張しているのが犬耳がぴくっと動いている。
「……それ、本物?」
『草』
『どんな問いだよw』
『本物www』
『まあ、気持ちはわかる』
『動いてるもんなぁ』
あまりにも唐突な問いかけに、きょとんとした表情をしてみせた彼女。
けれど、すぐに言わんとするところを察したのか、にまーっと笑って見せた。
「これ、ですよね。
えーっと、本物ではない……になるのかな? 結論をいえば、頭装備の部類に入ります。
試供品だけど、似合うと思うから……と頂きましたっ」
ぴょこぴょこと耳を跳ねさせながら、そう答えてくれるトウカちゃん。
へぇ、ただの装備品でこんなに動くんだ…………良いね。
「うん、似合ってる。可愛い」
「えへへ……私も気に入ってるんです」
『かわいい』
『ユキも付けよう?』
『猫』
『ネコがいい』
『わかるなぁ』
『今日はなにするん?』
「付けないよ。私はつけないからね!?
んー。実はまだ決めてないんだよねぇ。トウカちゃん、やりたいことある?」
「私ですか。
えーっと、出来るなら、ここから西のほうに行きたいな……と!」
「ん。何かあるの?」
「はい。荒野が広がっているらしいんですけれど、そこに出てくるゴーレムの素材が欲しくて。
武器の素材として非常に有用で、かつ供給が少ないのできっとユキさんにも得があると思います!」
ほうほう。たしかに、皆が求める素材は、そのぶん値段が高くなるって言うもんね。
需要と供給の概念、わたしはちゃんと理解できるよ。
だからそこ! あんまり脳筋脳筋いうんじゃない!!
……コホン。
まあつまり、ドゥーバ周辺で強敵素材を集めることが、良い金策になるってわけ。
それなら、断る理由もないよね。
「なるほどおっけー。じゃあ行こうか」
「はいっ!」
さあさあ、トウカちゃんと初冒険に行ってみよー!
◇◇◇◇◇◇◇◇
「……という訳で、荒野にやって参りました。結構歩いたね」
「動画撮影でもしてるんです?」
「ううん。何となく言ってみたかっただけ。 配信はしてるけどねー」
「カメラドローン……でしたっけ。実際、目の当たりにすると可愛いですよね。なんかこう、動きが」
配信用の小型カメラ。私からちょっと引いたような視点を撮りながら、ふよふよと浮かんでいる。
無いはずなんだけど、まるで意志を持っているかのような気の効かせ方もしてくれるんだよね。
「わかるー。このカメラにすっごい助けられてる。
不気味な地下墓地探索のときも、配信があると心細さが緩和されるなぁって」
「たしかに。一人だけど一人じゃないって感じが良いですね」
「そうそう! お陰でなんとか最深部まで行けたよー」
「ビームが爽快だった回、アーカイブで観てきましたよ! あれは楽しそうで……あっ!」
不意に話をとめたトウカちゃん。前方を確認して、私も合点がいった。
見上げる程に大きな、岩の巨人。体長3mはあろうかという巨体が、視界の先に現れる。
◆◆◆◆◆◆◆◆
名前:ロックゴーレム
LV:32
状態:通常
◆◆◆◆◆◆◆◆
両腕をガンガンと叩きつけ、こちらを威嚇してくるその姿には確かな威圧感。
私も負けじと杖を取り出して、構えた。
「ふっふっふー。いっくよー!」
具現化させた巨大ハンマーをぶんぶんと振り回し、トウカちゃんがニッコリと笑う。
うーん。なんとなくだけど、これ私の出番は無い気がするよ?
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