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しおりを挟むそれから俺は毎朝と迷宮帰りに基礎鍛錬を行っていった。
レベルアップと日々の鍛錬によって、俺のステータスはかなり上昇した。
レウニス レベル11 職業:暗黒騎士
HP2/2(限界値) MP231/231 力221 体力234 魔力225 速度226
職業スキル【暗黒騎士:レベル5】【暗黒魔法:レベル0】【暗黒騎士強化:レベル0】【余りポイント:5ポイント】
スキル【根性】【】【】【】
装備【】【】【】【】
ステータスが低い間の成長率はかなり良い。
問題は、これがある程度まで上がってkらだ。
今の俺のステータスならば、Fランク迷宮の雑魚モンスターくらいには通用するはずだ。
だから、今日行わるGランク迷宮攻略においても大きな問題はないだろう。
今日は四月十二日。受領していた依頼の実行日だ。
言われていたとおりにギルド前へとやってきた俺は、そこに冒険者が集まっているのを見つけた。
あれが、迷宮攻略の冒険者だろうか? そう思えた理由は、彼らの装備がまだ低ランク冒険者らしい簡素なものだったからだ。
……まあ、彼らからすれば俺のほうが貧相な装備に見えているだろうけど。
その数は六名だ。
参加者が何名かは聞いていなかったが、攻略は十名程度で行うはずだ。
人数が多い方が安全ではあるが、連携などで問題が出てくるしな。無難に行えるのが十名ほどだ。
そのうち三から四名ほどが荷物持ちを務めるため、実際戦闘に参加するのは六人くらいになる。
俺がその場に到着すると、こちらへやってきたギルド職員が頭を下げてきた。
「おはようございます。Gランク迷宮攻略の参加者様でしょうか?」
「ああ。レウニスだ。荷物持ちで参加申請をしているんだけど……」
答えるとギルド職員は手元の用紙に視線を落とした。参加者の名簿だろうか。
俺の名前を見つけたのか、彼女の表情が緩んだ。
「レウニス様ですね。冒険者カードの提示をお願いします」
ギルド職員はすぐに納得した様子で頷き、俺は彼女に冒険者カードを見せた。
本人確認も終わったので、それで終わりかと思ったら冒険者の一人が近づいてきた。
彼は知っている人だ。名前までは分からないが、この前ギルドで絡んできたうちの片割れだ。
改めて見てみると、若い冒険者だ。
俺と同い年くらいだろうか? 下手をしたら、今年の成人の儀でステータスをもらった可能性もある。
「よぉ、久しぶりだな」
「ああ、久しぶり」
「おいおい。荷物持ちしかできないくせにアタッカー様にそんな口利いていいのかぁ?」
ニヤニヤ、と馬鹿にした態度を隠さない。
……たまにいるんだよな、こういう人。
冒険者は力によって立場が決まる部分はあるが、だからといってここまで横柄な態度をとらなくてもとは思うんだけど。
下手に神経を逆なでして喧嘩しても面倒だ。それに俺は別に強くないから目をつけられたら面倒だ。
「できれば気楽に楽しくやりたいと思いまして、失礼しました」
すぐに口調を丁寧なものにし、自嘲気味に笑って頭をかいた。
俺の態度に、向こうも腹を立てる様子はなく笑みを濃くした。
「まあ、それはそうだけどよぉ。荷物持ちとアタッカーは立場が違うんだよ。荷物持ちはただの腰ぎんちゃくなんだからな。オレたちがいなければ稼げないんだから、へこへこしないとダメだぜ?」
「分かりました。今後気を付けますね」
「おう。気をつけろよ。ちなみにオレは今回のパーティーのリーダーを務める、ベヨングってんだ。将来は有名な冒険者になるから一緒に組めたこと、覚えておくといいぜ」
「分かりました」
俺は適当にやり過ごしたあと、彼から少し離れた場所で待機していた。
しばらくすると、冒険者がさらに集まってきた。最終的に、二つのグループに分かれたあと、ギルド職員からの説明があるということで待機していた。
二つのグループとは、俺たち荷物持ち班と攻略班だ。 まだ担当職員は来ていなかったが、その間に俺は荷物持ち班を見た。
「二人も荷物持ちとしての参加でいいんだよな?」
「ええ、よろしくね。私はミーナだよ」
一人は若い女性だ。俺と同い年くらいにみえる。
「こちらこそよろしくね。僕はルファンだよ」
柔らかく微笑んだ男性は、失礼な言い方にはなるが少し冴えない様子の人だ。でも、自己紹介のときに浮かべた笑みには優しさが見えた。
こちらは三十くらいだろうか? がっつり冒険者をしているという雰囲気は感じられなかった。
「俺はレウニスだ。まあ、荷物持ち班同士仲良くやろうか」
攻略班の人たちは、俺たちを完全にいないものとして扱っているしな。
やがて、時間となり皆も集まったことで今回の迷宮について、ギルド職員から詳細が伝えられていく。
「今回の迷宮攻略ですが――」
説明していくギルド職員の話を聞きながら、俺は事前に調べていた情報と照らし合わせ、自分の認識に誤解がないかを確認していく。
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