22 / 107
22
しおりを挟む戦力を補強しておいて、悪いことはないだろう。
とりあえず、新しい武器を入手する方法はいくつかある。
まずは、宝物庫を漁ること。……いくつか候補はあるのだが、俺は領内は自由に移動できるがそれ以外はまだ動けないからな。
今の俺のゲーム知識で、安全に今より優秀な武器を手に入れる手段はそんなにないんだよな。
次は、街で購入すること。まあ、これが一番なのだが……現状のこの街で手に入る装備品だと、そこまで良くないんだよな。
ゲームでは、街での品揃えはストーリーの進行度に合わせて上がっていった。
まだ物語が始まっていないからか、店売りの装備品はどれも微妙だ。
そして、今やっている特殊モンスター討伐。これで多少装備品を補強していくことはできているが、効率は決して良くはない。
狙った武器が手に入るわけでもないしな。
最後は、鍛冶師に依頼するのだが……有名なところはどいつも金がかかるんだよな。
なのに、あまりいい腕の鍛冶師はいない。ゲームでは、自分で育成した鍛冶師じゃないと最高装備は作れない仕様だった。
……そうだな。ちょうど、ヴァリドールならあの子をスカウトできるかもしれない。
スカウトできれば、兵士たちの武器のメンテナンスも格安でお願いできるかもしれないし……今の俺ならあの依頼も達成できるだろう。
俺がこれからやろうとしていることは一応、ゲームが始まってからのイベントになるため、少し原作に影響が出るかもしれないが……悪影響ではないはずだ。
そうなるあrと、まずは冒険者ギルドにいく必要がある。
……まあ、そもそもダンジョンに入るための依頼が出現しない可能性もあるから、期待しすぎないようにしないとな。
冒険者ギルドへと向かった俺は、早速依頼を確認していく。
「あれ? レイス様? 本日は素材の売却ではないのですか?」
「ああ。今日は依頼を探していてな」
すでに何度かこちらのギルドは利用しているので、ギルド職員とは顔馴染みだ。
俺が笑顔で応対すると、向こうも笑顔で答えてくれる。
「どのような依頼ですか?」
「たぶんだが、ヴァリドー家が格安でだしてしまった『廃坑の調査』の依頼が残ってなかったか?」
「……あー、はい。ありますね……」
うちの親が料金をケチって出した依頼であり、たぶん誰も受けていないだろう。
案の定、なんとも答えにくそうな様子のギルド職員に苦笑を返す。
「このまま放置しておくのもよくないからな。どうせうちの家族が報酬を見直すことはないし、俺が処理しておこうと思ってな」
「……ありがとうございます、レイス様。それでは、早速依頼受領の手続きを行いますね」
ギルド職員とともに受付へと向かう。俺は持っていた冒険者カードを差し出すと、ギルド職員は受付に置かれたパソコンのような機械へとそれを差した。
これらは魔道具らしく、依頼の情報や冒険者の情報を管理しているそうだ。
まあ、パソコンとほとんど同じような性能のものだと思っていいだろう。
依頼などの情報の記入が終わったようで、魔道具から俺の冒険者カードが出てきた。
ギルド職員がそれをこちらに差し出してくる。
「では、どうぞ。お気をつけてくださいね」
「ああ、分かってる」
依頼を無事受注した俺は、早速目的のダンジョンへと向かおうと思ったのだが、そこで冒険者に声をかけられた。
「レイス様。最近の領内の噂話知っていますか?」
「え? どんな話だ?」
「領内に現れる謎の冒険者、リョウについてですよ。特殊モンスターとかをバンバン狩ってくれてるみたいで、救われた冒険者もいるみたいで……実は俺もその一人なんですけど……ギルドに登録されてないし、何かヴァリドー家が知っていたらな、と思いまして。あっ、お礼とかしたいので!」
……ああ、そうだったのか。
66
お気に入りに追加
2,110
あなたにおすすめの小説

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
外れギフト魔石抜き取りの奇跡!〜スライムからの黄金ルート!婚約破棄されましたのでもうお貴族様は嫌です〜
KeyBow
ファンタジー
この世界では、数千年前に突如現れた魔物が人々の生活に脅威をもたらしている。中世を舞台にした典型的なファンタジー世界で、冒険者たちは剣と魔法を駆使してこれらの魔物と戦い、生計を立てている。
人々は15歳の誕生日に神々から加護を授かり、特別なギフトを受け取る。しかし、主人公ロイは【魔石操作】という、死んだ魔物から魔石を抜き取るという外れギフトを授かる。このギフトのために、彼は婚約者に見放され、父親に家を追放される。
運命に翻弄されながらも、ロイは冒険者ギルドの解体所部門で働き始める。そこで彼は、生きている魔物から魔石を抜き取る能力を発見し、これまでの外れギフトが実は隠された力を秘めていたことを知る。
ロイはこの新たな力を使い、自分の運命を切り開くことができるのか?外れギフトを当りギフトに変え、チートスキルを手に入れた彼の物語が始まる。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います
しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

悪役貴族だけど、俺のスキルがバグって最強になった
ポテトフライ
ファンタジー
異世界ゲーム『インフィニティ・キングダム』の悪役貴族クラウス・フォン・アルベリヒに転生した俺。しかし、この世界の設定がバグっており、俺のスキルが異常な強さになっていた——『魔王級魔力(SSS)』『戦闘技術(SSS)』『経済操作(SSS)』……チートのオンパレード!?
ゲームでは主人公に敗北し、悲惨な最期を迎えるはずだった俺だが、こんなスキルを持っているなら話は別だ。侵攻してくる王国軍を迎え撃ち、領地を発展させ、俺の支配下に置く。
悪役? いや、もはや“魔王”だ。
世界を手中に収めるため、バグスキルを駆使した最強の統治が今、始まる!

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる