ゲームの悪役に転生した俺が、影の英雄ムーブを楽しんでたら、俺のことが大嫌いな許嫁にバレてしまった

木嶋隆太

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 戦力を補強しておいて、悪いことはないだろう。

 とりあえず、新しい武器を入手する方法はいくつかある。
 まずは、宝物庫を漁ること。……いくつか候補はあるのだが、俺は領内は自由に移動できるがそれ以外はまだ動けないからな。
 今の俺のゲーム知識で、安全に今より優秀な武器を手に入れる手段はそんなにないんだよな。
 
 次は、街で購入すること。まあ、これが一番なのだが……現状のこの街で手に入る装備品だと、そこまで良くないんだよな。
 ゲームでは、街での品揃えはストーリーの進行度に合わせて上がっていった。
 まだ物語が始まっていないからか、店売りの装備品はどれも微妙だ。

 そして、今やっている特殊モンスター討伐。これで多少装備品を補強していくことはできているが、効率は決して良くはない。
 狙った武器が手に入るわけでもないしな。

 最後は、鍛冶師に依頼するのだが……有名なところはどいつも金がかかるんだよな。
 なのに、あまりいい腕の鍛冶師はいない。ゲームでは、自分で育成した鍛冶師じゃないと最高装備は作れない仕様だった。

 ……そうだな。ちょうど、ヴァリドールならあの子をスカウトできるかもしれない。
 スカウトできれば、兵士たちの武器のメンテナンスも格安でお願いできるかもしれないし……今の俺ならあの依頼も達成できるだろう。

 俺がこれからやろうとしていることは一応、ゲームが始まってからのイベントになるため、少し原作に影響が出るかもしれないが……悪影響ではないはずだ。

 そうなるあrと、まずは冒険者ギルドにいく必要がある。
 ……まあ、そもそもダンジョンに入るための依頼が出現しない可能性もあるから、期待しすぎないようにしないとな。

 冒険者ギルドへと向かった俺は、早速依頼を確認していく。

「あれ? レイス様? 本日は素材の売却ではないのですか?」
「ああ。今日は依頼を探していてな」

 すでに何度かこちらのギルドは利用しているので、ギルド職員とは顔馴染みだ。
 俺が笑顔で応対すると、向こうも笑顔で答えてくれる。

「どのような依頼ですか?」
「たぶんだが、ヴァリドー家が格安でだしてしまった『廃坑の調査』の依頼が残ってなかったか?」
「……あー、はい。ありますね……」

 うちの親が料金をケチって出した依頼であり、たぶん誰も受けていないだろう。
 案の定、なんとも答えにくそうな様子のギルド職員に苦笑を返す。

「このまま放置しておくのもよくないからな。どうせうちの家族が報酬を見直すことはないし、俺が処理しておこうと思ってな」
「……ありがとうございます、レイス様。それでは、早速依頼受領の手続きを行いますね」

 ギルド職員とともに受付へと向かう。俺は持っていた冒険者カードを差し出すと、ギルド職員は受付に置かれたパソコンのような機械へとそれを差した。
 これらは魔道具らしく、依頼の情報や冒険者の情報を管理しているそうだ。

 まあ、パソコンとほとんど同じような性能のものだと思っていいだろう。

 依頼などの情報の記入が終わったようで、魔道具から俺の冒険者カードが出てきた。
 ギルド職員がそれをこちらに差し出してくる。

「では、どうぞ。お気をつけてくださいね」
「ああ、分かってる」

 依頼を無事受注した俺は、早速目的のダンジョンへと向かおうと思ったのだが、そこで冒険者に声をかけられた。

「レイス様。最近の領内の噂話知っていますか?」
「え? どんな話だ?」
「領内に現れる謎の冒険者、リョウについてですよ。特殊モンスターとかをバンバン狩ってくれてるみたいで、救われた冒険者もいるみたいで……実は俺もその一人なんですけど……ギルドに登録されてないし、何かヴァリドー家が知っていたらな、と思いまして。あっ、お礼とかしたいので!」

 ……ああ、そうだったのか。
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