62 / 63
62
しおりを挟む「嘘……だろ……っ。なんで初見のスキルを――」
「似たような技はたくさん見てきたからな。じゃっ!」
俺は笑顔とともに短剣を振り抜き、カツキの喉を切り裂いて仕留めた。
カツキは確かに他のプレイヤーよりは強かったな。
ただガチ対戦の経験は多い、と言っていたが俺だって負けちゃいない。
何度も命のやり取りをしてきたんだ。勝負の回数が多いだけを誇りにされたら困るってものだ。
カツキを倒したことで、残っていた『アサシンブレイク』のメンバーは完全に戦意喪失したようだ。
「どうした! もう終わりでいいのか?」
俺が問いかけるが、彼らは顔を見合わせたあとすぐに背中を向けて走り出した。
どうやら、リーダーの敵討ちをしようとする人はいないようだ。
その辺りは、魔族に比べてやりやすくていいな。あいつら、命を投げ打ってでも突っ込んできたからな……。
「お兄様、終わりでいいですか!?」
「ああ、これで終わりだ。それじゃあ、締めの挨拶頼むな。俺、ドロップしたアイテム回収してくから」
結構いい装備が落ちてる。特にリーダーのカツキが色々アイテムを持っていたようなので、忘れないように回収だ。
「は、はい! えーと、そういうわけでお兄様と『アサシンブレイク』の戦いをお送りしました……実況は、私ルルラが務めました。それでは、皆さん、ありがとうございました! ばいばーい」
笑顔とともに彼女が手を振ったのを見たところで、分身が配信を終了した。
最終的な同接数は、35000人か。
まあ、十分か?
登録者数ももうすぐ十万人にいきそうだし、これもルルラのおかげだな。
「ルルラ、何か食べたいものあるか?」
「え? なんでですか?」
「いや、配信が調子良かったからな。食べ物じゃなくても欲しいものならなんでもいいぞ?」
「それじゃあ、お兄様の髪をください」
「……え? 食べるのか?」
「はい!」
……笑顔とともにこちらに顔を向けてきたルルラに、俺は初めて冗談を返せず、髪を一本あげてそれ以上突くことはしなかった。
ひょっとこ兄貴について語るスレ1
191:名無しの異邦人
『アサシンブレイク』壊滅だなありゃ
192:名無しの異邦人
いやぁ、ひょっとこ兄貴マジで強かったな!
193:名無しの異邦人
配信めっちゃ面白かったわw
194:名無しの異邦人
ルルラちゃん、マジ天使
195:名無しの異邦人
ほんとな
ルルラちゃんが配信で基本解説してくれてたのよかったわ
196:名無しの異邦人
俺はもうちょっとひょっとこ兄貴のトークも見たかったんだけどなぁ
197:名無しの異邦人
ルルラちゃんみて改めて早くフェアリー仲間にしたいと思ったわ
198:名無しの異邦人
ひょっとこ兄貴って【暗殺者】なんだよな?
俺もチュートリアル頑張って【暗殺者】にしたいわ
めっちゃ強いじゃん
199:名無しの異邦人
でも、ひょっとこ兄貴の戦い見てて思ったけど、まったくスキル使ってなかったよな?
200:名無しの異邦人
パッシブスキルが強いタイプの職業なのかもな
201:名無しの異邦人
どちらにしろ、ひょっとこ兄貴の様子を見るにナーフ対象のぶっ壊れ職業だろうなw
202:名無しの異邦人
『アサシンブレイク』ざまぁw
203:名無しの異邦人
なんであんなにいてひょっとこ兄貴一発も攻撃もらってないんだよw
204:名無しの異邦人
弱すぎだよなPK集団のくせに
205:名無しの異邦人
あれは単純にひょっとこ兄貴がやばすぎなんだわ
206:名無しの異邦人
ていうか、ひょっとこ兄貴はなんであんな簡単に飛び道具を見切れるし、飛び道具を当てられるんだよ?
他ゲームの経験してるとか言ってもやばすぎないか?
207:名無しの異邦人
運営が送り込んだプレイヤーとかなのかね? 実は体験版とかで訓練してもらってたとか……
208:名無しの異邦人
いや、あれチートだわ
209:名無しの異邦人
ひょっとこ兄貴チート使ってるな
さすがにありえんわ
210:名無しの異邦人
でも、今のところチーターはいないんだろ?
211:名無しの異邦人
まったくいないわけじゃないらしいぞ?
212:名無しの異邦人
一応通報しておいたわ
213:名無しの異邦人
いや、ひょっとこ兄貴別にチート使ってないだろw
214:名無しの異邦人
嫉妬乙
215:名無しの異邦人
自分が下手くそなだけなのに嫉妬で通報とかする哀れくんたち多いなw
216:名無しの異邦人
普通にゲームプレイ上手いだけだよな
304
お気に入りに追加
617
あなたにおすすめの小説

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!
椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。
しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。
身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。
そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

VRMMO~鍛治師で最強になってみた!?
ナイム
ファンタジー
ある日、友人から進められ最新フルダイブゲーム『アンリミテッド・ワールド』を始めた進藤 渚
そんな彼が友人たちや、ゲーム内で知り合った人たちと協力しながら自由気ままに過ごしていると…気がつくと最強と呼ばれるうちの一人になっていた!?

ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。
夜兎ましろ
ファンタジー
高校を卒業したばかりの少年――夜見ユウは今まで鍛えてきた自分がダンジョンでも通用するのかを知るために、はじめてのダンジョンへと向かう。もし、上手くいけば冒険者にもなれるかもしれないと考えたからだ。
ダンジョンに足を踏み入れたユウはとある女性が魔物に襲われそうになっているところに遭遇し、魔法などを使って女性を助けたのだが、偶然にもその瞬間がダンジョンの公式配信に映ってしまっており、ユウはバズってしまうことになる。
バズってしまったならしょうがないと思い、ユウは配信活動をはじめることにするのだが、何故か助けた女性と共に配信を始めることになるのだった。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】
永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。
転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。
こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり
授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。
◇ ◇ ◇
本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。
序盤は1話あたりの文字数が少なめですが
全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

異世界に転生した俺は元の世界に帰りたい……て思ってたけど気が付いたら世界最強になってました
ゆーき@書籍発売中
ファンタジー
ゲームが好きな俺、荒木優斗はある日、元クラスメイトの桜井幸太によって殺されてしまう。しかし、神のおかげで世界最高の力を持って別世界に転生することになる。ただ、神の未来視でも逮捕されないとでている桜井を逮捕させてあげるために元の世界に戻ることを決意する。元の世界に戻るため、〈転移〉の魔法を求めて異世界を無双する。ただ案外異世界ライフが楽しくてちょくちょくそのことを忘れてしまうが……
なろう、カクヨムでも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる