帰還した元勇者はVRMMOで無双する。〜目指すはVTuber義妹を推して推しまくる生活~

木嶋隆太

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「嘘……だろ……っ。なんで初見のスキルを――」
「似たような技はたくさん見てきたからな。じゃっ!」

 俺は笑顔とともに短剣を振り抜き、カツキの喉を切り裂いて仕留めた。
 カツキは確かに他のプレイヤーよりは強かったな。
 
 ただガチ対戦の経験は多い、と言っていたが俺だって負けちゃいない。
 何度も命のやり取りをしてきたんだ。勝負の回数が多いだけを誇りにされたら困るってものだ。
 カツキを倒したことで、残っていた『アサシンブレイク』のメンバーは完全に戦意喪失したようだ。

「どうした! もう終わりでいいのか?」

 俺が問いかけるが、彼らは顔を見合わせたあとすぐに背中を向けて走り出した。
 どうやら、リーダーの敵討ちをしようとする人はいないようだ。
 その辺りは、魔族に比べてやりやすくていいな。あいつら、命を投げ打ってでも突っ込んできたからな……。

「お兄様、終わりでいいですか!?」
「ああ、これで終わりだ。それじゃあ、締めの挨拶頼むな。俺、ドロップしたアイテム回収してくから」

 結構いい装備が落ちてる。特にリーダーのカツキが色々アイテムを持っていたようなので、忘れないように回収だ。

「は、はい! えーと、そういうわけでお兄様と『アサシンブレイク』の戦いをお送りしました……実況は、私ルルラが務めました。それでは、皆さん、ありがとうございました! ばいばーい」

 笑顔とともに彼女が手を振ったのを見たところで、分身が配信を終了した。
 最終的な同接数は、35000人か。
 まあ、十分か?
 登録者数ももうすぐ十万人にいきそうだし、これもルルラのおかげだな。

「ルルラ、何か食べたいものあるか?」
「え? なんでですか?」
「いや、配信が調子良かったからな。食べ物じゃなくても欲しいものならなんでもいいぞ?」
「それじゃあ、お兄様の髪をください」
「……え? 食べるのか?」
「はい!」

 ……笑顔とともにこちらに顔を向けてきたルルラに、俺は初めて冗談を返せず、髪を一本あげてそれ以上突くことはしなかった。
 

 ひょっとこ兄貴について語るスレ1

 191:名無しの異邦人
 『アサシンブレイク』壊滅だなありゃ

 192:名無しの異邦人
 いやぁ、ひょっとこ兄貴マジで強かったな!

 193:名無しの異邦人
 配信めっちゃ面白かったわw

 194:名無しの異邦人
 ルルラちゃん、マジ天使

 195:名無しの異邦人
 ほんとな
 ルルラちゃんが配信で基本解説してくれてたのよかったわ

 196:名無しの異邦人
 俺はもうちょっとひょっとこ兄貴のトークも見たかったんだけどなぁ

 197:名無しの異邦人
 ルルラちゃんみて改めて早くフェアリー仲間にしたいと思ったわ

 198:名無しの異邦人
 ひょっとこ兄貴って【暗殺者】なんだよな?
 俺もチュートリアル頑張って【暗殺者】にしたいわ
 めっちゃ強いじゃん

 199:名無しの異邦人
 でも、ひょっとこ兄貴の戦い見てて思ったけど、まったくスキル使ってなかったよな?

 200:名無しの異邦人
 パッシブスキルが強いタイプの職業なのかもな

 201:名無しの異邦人
 どちらにしろ、ひょっとこ兄貴の様子を見るにナーフ対象のぶっ壊れ職業だろうなw

 202:名無しの異邦人
 『アサシンブレイク』ざまぁw

 203:名無しの異邦人
 なんであんなにいてひょっとこ兄貴一発も攻撃もらってないんだよw

 204:名無しの異邦人
 弱すぎだよなPK集団のくせに

 205:名無しの異邦人
 あれは単純にひょっとこ兄貴がやばすぎなんだわ

 206:名無しの異邦人
 ていうか、ひょっとこ兄貴はなんであんな簡単に飛び道具を見切れるし、飛び道具を当てられるんだよ?
 他ゲームの経験してるとか言ってもやばすぎないか?

 207:名無しの異邦人
 運営が送り込んだプレイヤーとかなのかね? 実は体験版とかで訓練してもらってたとか……

 208:名無しの異邦人
 いや、あれチートだわ

 209:名無しの異邦人
 ひょっとこ兄貴チート使ってるな
 さすがにありえんわ

 210:名無しの異邦人
 でも、今のところチーターはいないんだろ?

 211:名無しの異邦人
 まったくいないわけじゃないらしいぞ?
 
 212:名無しの異邦人
 一応通報しておいたわ

 213:名無しの異邦人
 いや、ひょっとこ兄貴別にチート使ってないだろw

 214:名無しの異邦人
 嫉妬乙

 215:名無しの異邦人
 自分が下手くそなだけなのに嫉妬で通報とかする哀れくんたち多いなw

 216:名無しの異邦人
 普通にゲームプレイ上手いだけだよな
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