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しおりを挟む女は悲鳴をあげ、それに気づいた他の盗賊が迫ってくる。
ちょうど崩れかけていた建物の角から、人陰が見えたので、盗賊が持っていたナイフを投擲する。
「ぐああ!?」
「おっ、当たったー」
タイミング完璧で、盗賊の喉を捉えた。
後ろからさらにもう一人の盗賊が来たのだが、レベル2か。
つーか、俺のレベルは上がらないのかね?
「てめぇ、よくもオレの仲間を殺しやがって!」
「そいつは悪かった。お詫びにすぐ仲間のところに送ってやるよぉ!」
盗賊が短剣を振りぬいてきたが、すべて捌ききる。そして、足の腱を試しに切ってみたら……
「ぐあ? あ、足がうごかねぇ……!」
「……ほぉ?」
結構しっかりしてるんだな。
実験終了。絶望に染まった盗賊の顔を見ながら、首を跳ねた。
『称号【連続キラー(Gランク)】を獲得しました。ステータスポイントを1獲得しました』
キラーって……まさか。俺今人殺し扱いなのか?
MMOでプレイヤーを殺した場合、PKなどと呼ばれることがある。
そういったプレイヤーは何かしらの制限をうけることがあるのだが、まあチュートリアルだし大丈夫なのかね?
ていうか、称号は手に入るが経験値は手に入らないようだ。チュートリアルだからなんだろうな。
……ただ、ちょっと待て。
人を殺す系の称号って、たぶんあんまり簡単には手に入らないよな?
俺別に対人戦をメインで遊ぶつもりはないし。
俺のメインコンテンツは舞への貢ぎだし。
……だったら、今のうちに稼がせてもらおうか。
それに暗殺者の職業の解放条件にあるかもしれないし。
そもそも、暗殺者などないのかもしれないが、普通のゲームならあるよな?
そこからは、勇者時代を思い出すように隠密行動で盗賊を狩りまくっていった。
その途中だった。盗賊レベル5を発見した。たぶん、この盗賊団のドンだろう。
さらに左右に盗賊レベル3もいる。……普通に考えたらかなりの強敵なのだろうが。
――隙だらけだな。
俺は盗賊たちからかき集めたナイフを投擲する。
「ぐあああ!?」
「なんだ!?」
すぐに距離を詰めて盗賊の首をかっさばく。
「てめぇが、さっきからちょこまか俺の仲間を殺していやがるやつか!?」
「あっ、挨拶遅れてすんませーん、初めまして。んじゃさよなら!」
「舐めてんじゃねぇぞ!」
盗賊が持っていた短剣を振り下ろしてきたが、俺はそれをかわす。すぐに追撃のナイフが迫る。
さすがにレベル差もある無駄な動きをすれば、すぐにやられそうだ。
ああ、くそ、魔法が使えればなぁ。
俺は両手の短剣を交差させるようにして攻撃を受け流す。
すぐに隣にいた盗賊が迫ってきたが、
「足元がおるすだな」
攻撃をかわしつつ、足払いでよろめかせる。その体を肩から突進し、吹き飛ばす。
「ぐっ!?」
「くそ!」
盗賊のドンへとぶつけると、ドンは味方だからかそれを受け止めた。
隙だらけだ。俺はナイフを投擲し、ドンの目に投げた。
「ぐあああ!?」
「悲鳴上げてる暇があるのか?」
さっさとその喉へと短剣を振りぬいて仕留めた。
その瞬間だった。
『称号【村の英雄(ランクS)】を獲得しました! ボーナスステータスポイントを獲得しました! 村エリア、村周辺で戦闘を行う場合、ステータス、獲得経験値が上昇します。この称号はすべてのプレイヤーで一人のみ獲得可能です』
『称号【殺し、始めました(ランクB)】を獲得しました! ボーナスステータスポイントを獲得しました。また、対人との戦闘において、ステータスが上昇します』
『職業解放の条件を満たしました。【暗殺者】、【剣闘士】の職業が解放されました。近くの転職神殿で転職が可能です』
「……おお、また称号が手に入ったのか」
ここまでも様々な称号を入手していた。
今回のように、ステータスなどに反映されるような称号は初めてだったが、これは便利だな。
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