捨てられた私が聖女だったようですね 今さら婚約を申し込まれても、お断りです

木嶋隆太

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第9話

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 恐らく、私は指名手配されるだろう。
 だから、まず『認識誤認』の魔法を使用する。

 これはかなりの能力だった。この魔法を使用した私は、早速城内を歩いていく。
 すると、当たり前のようにメイドたちは私を一メイドと誤認して挨拶をしてくれるのだ。

 これは本当に便利ね。
 これを常に使っていれば、まず私が捕まるなんてことはないと思う。
 まあ、でも掴まっても問題ないと思うけど。

 例えば、魔法を封じる手錠などはあるが、聖女の力には無効。
 不意打ちで殺されても死ぬことはない。
 これだけの条件が整って、一体誰が何をできるというのかしら?

 そもそも、先ほど神の間にいたのがこの国の実力者たちばかりだ。それが皆猿に変えられた今、出来ることなんて何もないと思う。

「お、おい! 何か神の間で大変なことが起きているらしいぞ!?」
「せ、聖女にみんなが化け物に変えられたんだって! い、急げ!」
「はあ!? い、一体どういうことだ!?」

 徐々に、城内にもそんな話が上がってきていた。
 ……とりあえず、しばらくは、城の様子でも眺めていましょうか。
 私は近くにあったメイド服に着替えてから、全身を確認する。

 魔法で体の汚れを排除し、それから洗浄も行う。
 ……お風呂とかもあとで入ろうかな。
 私はジャネット達に邪魔されて風呂も入れていなかったからね。

 この城にある大浴場を時間を見つけて、利用させてもらおうかな。
 とりあえずメイドとして城内を歩いていく。

 正装に身を包んだ猿や、鎧を着た猿が続々と城へと歩いてくる。異様すぎる光景に、私は思わず笑いそうになった。
 その一番奥では、背負われたカエルがいた。カエルはひっくりかえったGを抱えていた。
 ……ジャネットだ。私が彼らを眺めるように足を止める。

「くそ……っ! すぐに騎士たちに命令をだせ! あの女を連れてきて、魔法を解除して殺させる!」
「わ、分かりました! え、えーと……ゲイル王子、ですよね?」
「ああ! 見ればわかるだろ!?」

 いえ、今のあなたゲコ王子ですよ?
 私はくすくすと笑いながら、彼らが去っていくのを見送った。

 ……さて、これで復讐の第一段階は終わった。
 けど、まだ終わっていない。
 
 私は――ケルズ王子の王政を破壊するために、ここからは動くつもりだった。

 そのためにも――私がこの国で唯一信頼できる……ケルズ王子のいとこを救出する必要があった。







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