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第27話

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 それ以上深く聞いてこなかったのは、カイルくんなりの優しさだと思う。
 その気遣いになんだか心がほっとしながら、私はともに迷宮を進んでいく。
 ……まあ、カイルくんならいいかと思って、そのあとも特に支援魔法に関して制限をすることはしていない。

 だって、命をかけての戦闘だしね。ここで手を抜いて大けがなんてしたら大変だからね。
 私たちはあっという間に十階層まで到達してしまった。

「……正直言って、ここまで二人だけで来れるとは思っていませんでしたね」
「そうなの?」
「……だって普通迷宮って複数人で攻略するんですよ?」
「適正では六人だっけ?」
「はい、そうですね」

 迷宮攻略には六人が良いっていわれている。迷宮では足元から魔物がわいたり、壁から魔物が出てきたりと様々なんだけど、一緒に行動している人間が多いと、その魔物の出現数が増えてしまうんだって。
 
 問題ないのが六人までっていうのは、昔研究者が見つけた……とかそんなことを先生が話していたかな?

 私たちはまっすぐの道を進んでいき、そこでカイルくんが足を止めた。

「……この先、この迷宮の主がいるみたいですね」
 
 通路の先、ひときわ大きな広間のような部屋があった。
 ……確かに、部屋に満ちる魔力がこれまでよりもかなり強大なものだ。

「カイルくん、二人で勝てるのかな?」
「わかりませんが、最悪は逃げれば大丈夫ですね。……不安であれば、リアーナさんはここで待機していてください」
「ううん、私は別に大丈夫だよ。いこっか」

 カイルくん一人に任せたくないしね。私だって、それなりに戦えるんだから。
 その広間へと入る前に、支援魔法を使用し、私たちは中へと入っていった。
 すぐに、地面が揺れて大地から魔物が現れた。

 ……もぐら、みたいな魔物だ。ノームモール、っていう名前みたいだ。私が魔法で分析していく。
 ふんふん、火や光に弱い魔物なんだね。体を常に半分以上土の中に入れているのは、下半身が貧弱だからみたい。

 すぐに私がカイルくんの剣に火属性を付与する。

「……これは?」
「ノームモールの弱点が火属性と光属性みたいだから。私はその二属性で攻撃していくね」
「わかりました、お願いします」

 カイルくんが軽く剣を振ってから、大地を蹴ってノームモールへと一気に迫る。
 やっぱり、かなり動きは速い。私の支援魔法とか以上に、カイルくんの地力が凄いんだよね。

 駆け、剣を振りぬく姿は……かっこいい。それまでのどこか真面目で丁寧な態度から荒々しいものへと変化するんだ。
 ……これが、ギャップって奴かぁ。
 そんなことを考えながら、私も魔法で援護していった。
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