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第19話

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「久しぶりの雨だな」

 オレはあまり雨が好きじゃない。
 ネヨッタとともにオレは部屋から窓の外を眺めていた。

「雨といえば、あの聖女は何やら雨を自在に操れる、みたいなことを言っていましたわよね」

 くすくす、とネヨッタが笑いだす。
 オレもリアーナがそんなことを話していたのを思い出して、噴き出した。

「そうだな。それなら、実際にやってみろと言ったら、現地で様子を確認しないと無理とかほざいていたな」
「そうでしたわね。なんでしたっけ? その土地にあった雨を降らせる必要があるとかなんとか」
「何もできない聖女なのに、変な嘘だけは迫真の演技で言えるんだからな、面白いものだ」
「そういえば、こんなことも話していませんでしたか? 魔強雨を止めておきました、とかなんとか!」
「ははっ、そういえばそうだったな!」

 変な言葉を作っては、オレたち上級貴族を不安にするような適当なことばかりを言うのが、リアーナだった。
 まったく、どうして父上はあんな奴を聖女だなんて崇めていたのだろうか。

 もっといえば、聖女を数世代に渡って崇めている国自体が問題だ。
 
「もしかしたらリアーナは、人を洗脳する魔法も使えたのかもしれないな」
「……確かにそうですわね。そして、ブレイル王子は立派な方ですから、そんな魔法は効かない! というわけですね」
「ああ、そうだな! オレにはそんな小手先の技など通用しないんだ!」
「凄いですわ、ブレイル王子!」

 嬉しそうなネヨッタを見て、オレも気分が良くなってくる。
 リアーナはこの城では何も仕事をしていなかったけど、今は立派にオレたちの役に立ってくれているな。

 あんな人間でもこうして話のネタにはなってくれるようだ。

「そういえば、リアーナにはアイテムボックスの製造もお願いしていたと聞きました。あれは一体どういう原理だったのでしょうか?」
「どうやら、聖女たちはアイテムボックスを隠し持っていたらしい。奴は、城から追い出されないように必死にそのアイテムボックスを提出していたようだな。まあ、それもこの前提出できなくなって、いよいよ彼女の使い道がないとはっきりしたんだがな」
「ふふ、それはまた。隠し持っているなんて最低ですわね」
「まったくだ」

 これだから平民は。そう考えていた時だった。
 オレたちの部屋を叩きつけるように扉がノックされた。
 無礼な奴だ。一体なんだというのか!

「おい、どうした!」

 オレが扉を開けると、騎士がびくりと慌てた様子で声をあげた。

「そ、それが! アイテムボックスに入れていた倉庫の荷物が溢れて、倉庫が壊れてしまったんです!」
「なに!?」







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