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第3話
しおりを挟むこっそりと、国の災害を消すということだって考えた。せめて、キレス王が生きている間は――。
でもあそこまで言われ、そして無報酬でそこまでのことをする義理はない。あれって、結構大変なんだから!
私にとって、この国はどうでもいい……。
さっさと、安全な国に逃げ出さないと。
私も災害に巻き込まれて死んじゃうのは嫌だしね。
「うわ、何あの荷物?」
「わー、ボロ雑巾ちゃん、本当に追い出されちゃったんだ!」
……あっ、ネヨッタの取り巻きの貴族だ。
こっちを見て、ぶつぶつ何か言ってきている。無視無視!
「あの鞄の中、何かお金とか入っているんじゃない? 誰か見てきたら?」
「別にいいんじゃない? 触って、変な菌うつされても困るし」
くすくすと笑っている。
……知らない。もう本当に知らないんだから。
私は今まで、この王都だけは、特に念入りに災害を処理してきた。
だから、すぐに大きな問題が発生することはないだろう。
三日後に発生した災害だって、せいぜい嵐程度だ。。
……いや、まあ結構強い風が吹くので、家によっては吹き飛ぶかもしれないけど。
問題なのは、十日後だ。
十日後に発生する地震で……間違いなく、国内では死者も出るだろう。
「……キレス王が苦しんで亡くなるのだけは嫌なのよね」
……どうしようかなっていう迷いはあった。
今後、どうするかは……あとで考えようか。
まだ先だし、とりあえずはいいかな?
他にも、私が焼くのをやめた途端にぽつぽつと小さな災害が発生している。
……あー、これ結構まずいかも? は、早めに王都から脱出しないと……。
とりあえず、王城を脱出した私は、貴族相手のお店が並ぶ通りに来ていた。
しゅ、周囲の視線がいたい。というのも、私が身に着けているものが原因だよね。
……ひとまず、清潔にして、もう全然切れていないでぼさぼさになっている髪も切らないと。
災害処理は本当に忙しく、休む暇なんてなかった。その職務を果たすには女を捨てる覚悟が必要だった。
だから、いままでおしゃれなんてしている余裕もなかったので、今日からは少し楽しんでいこっかな。幸い、お金には困らないしね!
私はとりあえず髪を切ってもらう必要があったので、貴族なども利用しているという店に入った。
なんでも、散髪から服などまで、すべてこのお店でやってくれているらしい。
「いらっしゃいませ、お客様。本日はどのような御用でしょうか?」
「……今風の平民向けの服と髪型に整えてくれませんか?」
「かしこまりました。それでは、すぐに準備しますのでこちらの席に座ってください」
椅子に座ると、すぐに散髪が始まった。
とりあえず、トイレにも困るくらい長かった髪をバッサリ切ってもらえばいいかな?
ちょっと眠くなってきちゃった……。最近睡眠時間も少なかったからね……。
とりあえず、散髪が終わるまで寝よう。
今日から私は自由に寝てもいいんだから!
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