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第4話

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 私はニャルネの相手もあまりしたくはなかったけど、それでも仕方なくニャルネに返事する。

「それに、女癖も悪いです。……以前、他国の方を招いて行った舞踏会では隣国の王女様にも手を出そうとしたのですよ? 下手すれば国際問題ですよ?」

 ……あの時は本当に驚いた。
 いきなり隣国の王女の胸を触ろうとしたんだから。
 確かに、私と違って体つきの良い人だった。でも私が女同士で仲良く触れあうのとは違う。

「王子としてより優秀な子孫を残そうとするのは当然でしょ?」

 前向きだねぇ、私の妹は。
 というか、王子の子どもは……あんまり期待できないって。
 たぶんきっと、同じようなわがままな子どもが生まれてくるに違いない。
 
 ……まあでも、まだ年相応だからマシかもね。見た目大人の中身子どものケイナンよりは。

「でも、それは――」

 何も分かっていない妹に伝えようとすると、彼女は口元に手をあて、

「第一、それってあんたに魅力がないからじゃないの?」

 ぷっ、と噴き出した。
 それから私の全身を指さしてきた。

「髪は適当。いつ切ったの? 服装だって何それ? 平民みたいじゃない」
「……大聖女としていつでも動けるように準備をしていただけです。髪は邪魔にならない程度に切っておけばそれでいいんですよ」
「うわ、なにそれ。女捨ててる」

 ……ニャルネは大聖女としての過酷さを知らないんだろう。
 今こうしている間も私は魔力を使ってこの国を守っている。
 他の大聖女たちと違って、正統な後継者である大聖女はそれだけ大変なんだけど。

 ……ま、実際私の苦労を理解している人なんてほとんどいないんだけど。

「笑顔はまったくない。愛想だって最悪。王子と話しているどきも不機嫌そうだったじゃない」
「……」

 仕方ないでしょう。結界を維持するのに集中しているんだから、あんな理不尽なケイナン相手に愛想笑いを維持している余裕なんてないって。
 日常会話程度なら問題ないけど、本当に大変なんだからね。

「ま、時間の問題よね」

 え、何が?
 ニャルネがそうつぶやくように言った言葉が私の耳に残った。
 視線を彼女へと向けると、ニャルネはひと際意地悪い笑みを浮かべる。

「あれ? ケイナンから聞いてないの?」
「……何の話?」
「たぶん、そのうちあんた婚約破棄されるわよ?」

 え!? めっちゃ嬉しい!
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