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第十三章 代表戦
中堅戦
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宇宙空間を巨大な男性器がのろのろと進んでいる。しかしこれは宇宙というあまりに巨大なスケールによる錯覚であり、実際には秒速10万キロメートルという途方もない速度で移動していた。
よくよく近づいて観察すれば、それは本物の男性器ではなく、先端が膨らんだ棒状の推進機関とふたつの卵型のユニットによって構成された物体だと分かる。何らかの力場に守られているのか、鏡のように磨き上げられた表面には傷ひとつない。
全長1キロメートルにも達するその物体は、とある惑星系の第3惑星を目指して進んでいた。現在は第8惑星を通り過ぎ、減速を続けている。はたして恒星間航行時にはどれほどの速度で移動していたのだろうか。
第3惑星からの信号を追って飛来するこの物体は、いったい何者か。その目的が判明する時は、もうすぐそこまで迫っていた。
代表戦が行われている闘技場では、次鋒戦のプールが排水され、再び土のグラウンドが顔を表していた。3時間の休憩を終えた観客が、本日最後の戦いである中堅戦を今か今かと待ちわびている。
「さあ、後がなくなったルビオナ王国がどう巻き返すか、注目の中堅戦が始まるぞ!」
マクシミリアンの実況が響く中、闘技場のグラウンドでは蜥蜴人の“暴君”ゴガーフシュル・ズーズとキーラが対峙していた。
「賭け率は1.8倍同士で全くの互角! 体格的にはゴガーフシュル有利にも見えるが、イーダスハイム龍王国の2連勝が賭け率にも影響しているのか? さて、解説の獣兵衛さん、今回の勝負をどうご覧になりますか」
「そうさなあ、蜥蜴人は肉弾戦が得意だし、キーラの嬢ちゃんとは上手く噛み合うんじゃねえかな。体格差なんざ、この辺になってくりゃあ関係ねえしな」
美強の分析に、マイスラが補足を入れる。
「ゴガーフシュルは、先のリュテス攻城戦であんまり活躍できなかったから、鬱憤を晴らそうと張り切ってるみたいよ。キーラ卿が油断してたら瞬殺もあり得るかもね」
「果たして暴君の実力はいかほどか! 今、開始の合図が鳴る!」
マクシミリアンの実況と共に、試合開始のラッパが響き渡った。
ゴガーフシュル・ズーズは、武器も防具もなく、ただゆったりとしたケープを身にまとっていた。
通常、蜥蜴人は限定的な部分鎧や取り回しの良い丸盾などを好む。生来の硬い鱗が天然の鎧として機能するため、大げさな防具を必要としないからである。それでも全くの丸腰というのは、この代表戦という状況において、いかにも不自然であった。
かたやキーラは、銀色に光る鎖帷子に、同じく銀色に赤い縁取りを施した部分鎧を身に着けていた。右手の義手にはエルフ銀製の両手剣を携えている。
「おうおう、やる気あんのかてめー? いくらガタイがデカいからって、舐めてんじゃねーぞ!」
開幕早々、ゴガーフシュルを煽るキーラ。しかし言葉とは裏腹に、その目に油断は無い。
「なあに、手を抜くつもりはねえ。どんな獲物も全力で狩るのが流儀でな」
シューシューと息が抜けるような、蜥蜴人独特の訛りがある西方共通語で答えるゴガーフシュル。両者の間に緊張が高まり、観客たちも息をのんで見守る。
まるで呼吸を合わせたかのように、同時に雄叫びを上げ、走り寄る両者。一足一刀の間合いに入る直前、ゴガーフシュルが高く跳躍する。
次の瞬間、空中でゴガーフシュルの体が巨大化した。そのサイズ、実に全長70メートル。尾を除いた頭胴長だけでも40メートルを超える、恐るべき大きさである。
多くの蜥蜴人は祖霊信仰であり、彼らの祖先は巨大な竜だと信じられていた。そしてこの世界は、信仰により神もまた定義付けされる世界である。そしてその権能もまた、信仰により顕現するのだ。
ゴガーフシュルの巨大化も、祖竜による神聖干渉であった。
本来はリュテス攻城戦で城門の解放がかなわなかった場合、ゴガーフシュルが巨大化して城壁を破壊する手筈となっていた。しかし作戦が順調に進んだ上、望外の勇者参戦という流れもあり、ゴガーフシュルの見せ場は無くなってしまう。
その鬱憤を晴らすべく、ゴガーフシュルは巨体での圧殺という、劇的な決着を望んだ。グラウンドの広さは長径でも100メートル。この状況ではもはやキーラに逃げ場はない。
闘技場に、巨大な物体の激突する音が響き渡る。凄惨な決着を想像した観客の中には、思わず顔を背ける者もいた。
しかし見よ、ゴガーフシュルの体は地面に到達していない。それどころか、その巨体がゆっくりと上昇してゆくではないか。
「うおらああああああああ! 上等だああああああっ!」
叫びと共にゴガーフシュルを持ち上げたのは、これもまた巨大化したキーラであった。身長32メートルの巨体が、激増した筋力まかせにゴガーフシュルを投げ捨てる。
巨大化した両者の戦いに、闘技場のグラウンドはあまりにも狭かった。投げ捨てられたゴガーフシュルの巨体は、観客席を保護する『防御壁』に激突し、闘技場に轟音を響かせる。『防御壁』で守られているとはいえ、目前に迫る70メートルの巨体に観客席から絶叫が上がった。
「こっ、これは大迫力の戦いだーッ! まさか両者共に巨大化するとは、事前に申告して欲しかったーッ! 防御壁担当の皆さんお疲れ様です! しかし観客席は大興奮だーッ!」
想定外の状況に、マクシミリアンの実況にもスタッフへの配慮が混じる。
「おらっ、さっさと立ちな! お互い時間に余裕はねえだろ!」
キーラはゴガーフシュルを手招きすると、軽く背を曲げ腰を落として戦闘態勢を取った。巨大化の際に両手剣は手放しており、軽く開いた両手に武器は無い。とはいえ、その右手は黒光りする凶器の義手である。
咆哮と共に、ゴガーフシュルが起き上がった。鼻息も荒くキーラへ向かって突進すると、いきなり体を反転させて、強烈な尻尾の薙ぎ払いを見舞う。
しかしキーラは黒龍との模擬戦で、尾のある相手との戦いは熟知していた。振り抜かれる尻尾をジャンプしてかわすと、その勢いのまま、再び前を向いたゴガーフシュルの頭に手刀を振り下ろす。
鋼鉄製の義手による手刀が、ゴガーフシュルの頭を激しく揺らした。ひるむゴガーフシュルに、2度3度とキーラの手刀が叩きこまれる。
ゴガーフシュルは朦朧としながらも、巨体を生かしてキーラへと突進した。実戦により磨き上げられた術理による突進は、キーラの虚を突き、見事にその体を捉える。
キーラは咄嗟に腕を交差してガードするものの、グラウンドの端まで吹っ飛ばされ、『防御壁』へと激突した。32メートルの巨体に押しつぶされるかのような迫力が、観客席の幾人かへと新たな嗜好を目覚めさせてしまう。
ゴガーフシュルは何度か頭を振ると、大きく息を吸い込み、キーラへ向けて火炎を吐いた。立ち上がったばかりのキーラは、この思いがけない攻撃を避けられず、まともに炎を浴びてしまう。
キーラは転がって鎮火させようとするも、鎧さえも燃え上がらせるその炎は消える気配もない。キーラの動きが止まってしまい、誰もが悲惨な決着を予感する。
だが次の瞬間、燃える鎧の中から全裸のキーラが飛び出した。兜の中で結い上げられていた長い銀髪を陽光に輝かせながら、一糸まとわぬ褐色の肢体が華麗に宙を舞う。
空中で体をひねって着地したキーラは、ゴガーフシュルを睨み付け怒鳴る。
「あっちいなてめー! 一張羅が台無しじゃねーか!」
読者諸兄もご存じの通り、キーラの鎧にはすぐに脱げる細工が施されていた。巨大化で鎧は破損しないと知った後でも、わざわざその機構を無くす必要もなかったため、そのままにしていたのだ。
とはいえ、下着まで脱ぐ必要があったのか。人間、長年体に染みついた行動は、咄嗟の場合に出てしまうものである。キーラが下着まで脱ぎ捨てたのは、全くの無意識であった。
ゴガーフシュルもこの脱出劇に気を取られていたが、キーラの声に反応して攻撃を再開する。鎧を失い無防備になったキーラへ、再び火炎を吐いた。
身軽になったキーラは、この火炎を側転でかわす。脱出時に義手も外していたが、今のキーラはエルフのごとくエネルギー体の右手で体を支えていた。
キーラに避けられた火炎が『防御壁』を焦がし、観客席を照らす。その横では、巨大な臀部が観客席のすぐ目の前を通り過ぎ、観客に更なる嗜好を目覚めさせてゆく。
また、褐色の肌とまとわりつく銀髪によって目立たないが、キーラの全身には無数の小さな痣が付いていた。また、それら痣の位置は奇妙な偏りを見せている。巨大化した今、観客の中にはそれに気づいた者も多い。
「ああーっと! キーラ卿、これは大丈夫なのかーッ!? 衆人環視の中、惜しげもなく裸体を晒しているぞーッ! 昨夜はお楽しみだったようだが、本人は気付いているのかーッ?」
マクシミリアンのセクハラギリギリアウトな実況に、キーラはハッとして目線を落とす。
「おわっ! なんであたい全裸なんだよ! くっそ、いつものクセで下着までいっちまったか!」
そして実況席をエネルギー体の右手でビシッと指さし、抗議した。
「おいマックス! てめー、お楽しみは余計だろうが! あとで覚えてやがれ!」
「おおーっと、これはいけない! キーラ卿からスタッフへの暴言だ! いいんですかコレ!? 後でロジーナ王妃の説教待ったなしでしょう!」
負けじとマクシミリアンが反論する。確かに実況内容には問題があるだろうが、スタッフへの暴言は正当化されない。これはマクシミリアンに道理があった。
実況席に気を取られているキーラへ、ゴガーフシュルが追撃の火炎を吐く。キーラは慌ててこれを後方倒立回転飛びでかわす。
追撃の火炎はさらに続き、キーラは連続バック転でこれをかわしてゆく。回転と共に、形の良い乳房が上下に揺れ、観客席から歓声が上がった。円形闘技場の角度によっては、巨大なキーラの女性自身も丸見えになり、観客を新たな嗜好へと誘う。
ゴガーフシュルの吐く火炎は、生体器官由来のものではない。これは信仰する祖竜の加護による奇蹟であった。故に、一日に吐ける火炎の回数には限りがある。
最初の火炎も合わせて、計10発で火炎は打ち止めとなった。これは他の信仰ならば大司教に匹敵する回数である。金属製の鎧をも燃やす火炎は、乱戦においては恐るべき脅威となるであろう。
火炎攻撃が止まったと見るや、キーラはゴガーフシュルとの距離を詰めようと跳躍した。しかしこれはゴガーフシュルの誘いであった。空中のキーラに向け、温存していた最後の火炎を放つ。
キーラはゴガーフシュルの動きを見て、その攻撃を察知していた。跳躍しながらも、右手のエネルギー体を左手で引き延ばし、四角い半透明の壁を作り出す。これはカレンのハイパー化の外殻形成にヒントを得た、魔力と自身のエネルギー体による盾であった。
奇跡による火炎は、キーラのエネルギー体をも焼くが、この盾は辛うじて火炎を防ぎ切る。そして跳躍の勢いのまま、キーラの蹴りがゴガーフシュルの頭部に叩き込まれた。
打ち倒されたゴガーフシュルは、倒れたままの体勢で尻尾を振るう。しかし威力の乗らぬその尾を、キーラはがっしりと体の脇で受け止め、抱え込んだ。
そしてキーラはジャイアントスイングのごとく、ゴガーフシュルの巨体を振り回し始めた。キーラの驚異的なバランス感覚により、美しさすら漂わせる回転運動は徐々に速度を上げていく。
やがて十分に速度が乗ったゴガーフシュルの体を、キーラは空中へ投げ上げた。回転運動により平衡感覚を狂わされたゴガーフシュルは、空中での姿勢制御もままならない。
キーラは全魔力を右腕に集中し、エネルギー体の右手を鋭い槍状に変化させた。そして激増している筋力任せに、空中のゴガーフシュルめがけて飛び上がる。
右手を前方に突き出し、一条の光の矢と化したキーラが、落下するゴガーフシュルの腹部を貫通した。胴体にぽっかりと穴が開いたゴガーフシュルが、臓物と血をまき散らしながら、地響きを立てて地面に激突する。
ゴガーフシュルの巨大化が解けるとほぼ同時に、キーラの巨大化もタイムリミットを迎えた。グラウンドに降り立ったキーラは、自分の剣を拾ってゴガーフシュルへと駆け寄る。
キーラの行動は正しかった。普通の生物ならばとっくに絶命しているはずの傷口が、すでに出血も止まり、うねうねと再生を始めているではないか。
これはいくら種族としての生命力が高いとはいえ、通常の蜥蜴人では考えられぬ事態である。即死しなかったのはゴガーフシュルの個としての強さであり、再生は最後の力を振り絞った祈念による奇蹟であった。
蜥蜴人は、幼少の頃に手足を失っても、成長に伴って再生する場合がある。そして尻尾に関しては、成人してからでもある程度は再生する。これに加え、祖竜信仰の奇蹟には再生もあった。
それでもこの状態から回復するとなれば尋常ではない。キーラはとどめを刺すべく、両手剣を振り上げる。
そこへ、ルビオナ王国側から降伏の信号弾が上がった。
「決着! 決着だァーッ! 大迫力の戦いをキーラ卿が制した! 恐るべきは暴君の生命力! 腹をブチ抜かれてもまだ生きていたァーッ!」
マクシミリアンの実況が響き渡り、闘技場が大歓声に包まれる。そして、審判団から正式な裁定が下された。
「勝者、イーダスハイム龍王国中堅、キーラ・フォン・ジルバーンシュヴェールト!」
まさかのイーダスハイム側3連勝に、闘技場の歓声が一段と大きくなる。
全裸のキーラは、その歓声に堂々と手を上げて応えていた。もはやこうなっては恥もクソもない。国を代表している以上、堂々と振舞わない事こそが恥であろう。
義手と鎧の回収は作業員に任せ、キーラは手を振りながら入場口へと進む。ご丁寧にも、その姿は闘技場上空に大きく投影されている。煌めく銀髪をまとい、颯爽と歩くその姿は、男女を問わず観客たちを魅了した。
しかし、入場口を過ぎ、観客から姿が見えなくなった瞬間、キーラは両手で顔を覆ってその場にしゃがみ込んだ。そこへ駆け寄ったナナシが優しく毛布を掛ける。
「あーもー! あーーーもーーー! あああああああああ!」
髪の毛を掻きむしり、ひとしきり悶えたキーラは、涙目でナナシを睨み付けた。
「ナナシ! てめー、よくもひとの体をキスマークまみれにしてくれやがったな! あたいがどんだけ恥かいたと思ってやがんだ!」
「ええっ! だってキーラがもっと吸ってって……」
「うがあああああああ! いうなああああああああ! こんの唐変木があああああ!」
「ごっ、ごめんごめん。まさか全裸になるとは思わなかったし。代表戦の前日なんだから、もぅちょっと気を付ければよかったね」
「言っとくけど、今日はもう巨大化使い切ったから、夜は無しだかんな!」
「大丈夫大丈夫。今日は疲れたでしょ、ゆっくり休んでよ」
そう言って笑うナナシに、キーラも毒気を抜かれてしまう。毛布を羽織って立ち上がったキーラは、ナナシの背中をポンポンと叩いて立ち上がらせると、スッと右手を差し出した。
ナナシはエネルギー体のキーラの右手を優しく取り、通路を控室へとエスコートする。背後からは、まだ鳴りやまぬ歓声がふたりを見送っていた。
よくよく近づいて観察すれば、それは本物の男性器ではなく、先端が膨らんだ棒状の推進機関とふたつの卵型のユニットによって構成された物体だと分かる。何らかの力場に守られているのか、鏡のように磨き上げられた表面には傷ひとつない。
全長1キロメートルにも達するその物体は、とある惑星系の第3惑星を目指して進んでいた。現在は第8惑星を通り過ぎ、減速を続けている。はたして恒星間航行時にはどれほどの速度で移動していたのだろうか。
第3惑星からの信号を追って飛来するこの物体は、いったい何者か。その目的が判明する時は、もうすぐそこまで迫っていた。
代表戦が行われている闘技場では、次鋒戦のプールが排水され、再び土のグラウンドが顔を表していた。3時間の休憩を終えた観客が、本日最後の戦いである中堅戦を今か今かと待ちわびている。
「さあ、後がなくなったルビオナ王国がどう巻き返すか、注目の中堅戦が始まるぞ!」
マクシミリアンの実況が響く中、闘技場のグラウンドでは蜥蜴人の“暴君”ゴガーフシュル・ズーズとキーラが対峙していた。
「賭け率は1.8倍同士で全くの互角! 体格的にはゴガーフシュル有利にも見えるが、イーダスハイム龍王国の2連勝が賭け率にも影響しているのか? さて、解説の獣兵衛さん、今回の勝負をどうご覧になりますか」
「そうさなあ、蜥蜴人は肉弾戦が得意だし、キーラの嬢ちゃんとは上手く噛み合うんじゃねえかな。体格差なんざ、この辺になってくりゃあ関係ねえしな」
美強の分析に、マイスラが補足を入れる。
「ゴガーフシュルは、先のリュテス攻城戦であんまり活躍できなかったから、鬱憤を晴らそうと張り切ってるみたいよ。キーラ卿が油断してたら瞬殺もあり得るかもね」
「果たして暴君の実力はいかほどか! 今、開始の合図が鳴る!」
マクシミリアンの実況と共に、試合開始のラッパが響き渡った。
ゴガーフシュル・ズーズは、武器も防具もなく、ただゆったりとしたケープを身にまとっていた。
通常、蜥蜴人は限定的な部分鎧や取り回しの良い丸盾などを好む。生来の硬い鱗が天然の鎧として機能するため、大げさな防具を必要としないからである。それでも全くの丸腰というのは、この代表戦という状況において、いかにも不自然であった。
かたやキーラは、銀色に光る鎖帷子に、同じく銀色に赤い縁取りを施した部分鎧を身に着けていた。右手の義手にはエルフ銀製の両手剣を携えている。
「おうおう、やる気あんのかてめー? いくらガタイがデカいからって、舐めてんじゃねーぞ!」
開幕早々、ゴガーフシュルを煽るキーラ。しかし言葉とは裏腹に、その目に油断は無い。
「なあに、手を抜くつもりはねえ。どんな獲物も全力で狩るのが流儀でな」
シューシューと息が抜けるような、蜥蜴人独特の訛りがある西方共通語で答えるゴガーフシュル。両者の間に緊張が高まり、観客たちも息をのんで見守る。
まるで呼吸を合わせたかのように、同時に雄叫びを上げ、走り寄る両者。一足一刀の間合いに入る直前、ゴガーフシュルが高く跳躍する。
次の瞬間、空中でゴガーフシュルの体が巨大化した。そのサイズ、実に全長70メートル。尾を除いた頭胴長だけでも40メートルを超える、恐るべき大きさである。
多くの蜥蜴人は祖霊信仰であり、彼らの祖先は巨大な竜だと信じられていた。そしてこの世界は、信仰により神もまた定義付けされる世界である。そしてその権能もまた、信仰により顕現するのだ。
ゴガーフシュルの巨大化も、祖竜による神聖干渉であった。
本来はリュテス攻城戦で城門の解放がかなわなかった場合、ゴガーフシュルが巨大化して城壁を破壊する手筈となっていた。しかし作戦が順調に進んだ上、望外の勇者参戦という流れもあり、ゴガーフシュルの見せ場は無くなってしまう。
その鬱憤を晴らすべく、ゴガーフシュルは巨体での圧殺という、劇的な決着を望んだ。グラウンドの広さは長径でも100メートル。この状況ではもはやキーラに逃げ場はない。
闘技場に、巨大な物体の激突する音が響き渡る。凄惨な決着を想像した観客の中には、思わず顔を背ける者もいた。
しかし見よ、ゴガーフシュルの体は地面に到達していない。それどころか、その巨体がゆっくりと上昇してゆくではないか。
「うおらああああああああ! 上等だああああああっ!」
叫びと共にゴガーフシュルを持ち上げたのは、これもまた巨大化したキーラであった。身長32メートルの巨体が、激増した筋力まかせにゴガーフシュルを投げ捨てる。
巨大化した両者の戦いに、闘技場のグラウンドはあまりにも狭かった。投げ捨てられたゴガーフシュルの巨体は、観客席を保護する『防御壁』に激突し、闘技場に轟音を響かせる。『防御壁』で守られているとはいえ、目前に迫る70メートルの巨体に観客席から絶叫が上がった。
「こっ、これは大迫力の戦いだーッ! まさか両者共に巨大化するとは、事前に申告して欲しかったーッ! 防御壁担当の皆さんお疲れ様です! しかし観客席は大興奮だーッ!」
想定外の状況に、マクシミリアンの実況にもスタッフへの配慮が混じる。
「おらっ、さっさと立ちな! お互い時間に余裕はねえだろ!」
キーラはゴガーフシュルを手招きすると、軽く背を曲げ腰を落として戦闘態勢を取った。巨大化の際に両手剣は手放しており、軽く開いた両手に武器は無い。とはいえ、その右手は黒光りする凶器の義手である。
咆哮と共に、ゴガーフシュルが起き上がった。鼻息も荒くキーラへ向かって突進すると、いきなり体を反転させて、強烈な尻尾の薙ぎ払いを見舞う。
しかしキーラは黒龍との模擬戦で、尾のある相手との戦いは熟知していた。振り抜かれる尻尾をジャンプしてかわすと、その勢いのまま、再び前を向いたゴガーフシュルの頭に手刀を振り下ろす。
鋼鉄製の義手による手刀が、ゴガーフシュルの頭を激しく揺らした。ひるむゴガーフシュルに、2度3度とキーラの手刀が叩きこまれる。
ゴガーフシュルは朦朧としながらも、巨体を生かしてキーラへと突進した。実戦により磨き上げられた術理による突進は、キーラの虚を突き、見事にその体を捉える。
キーラは咄嗟に腕を交差してガードするものの、グラウンドの端まで吹っ飛ばされ、『防御壁』へと激突した。32メートルの巨体に押しつぶされるかのような迫力が、観客席の幾人かへと新たな嗜好を目覚めさせてしまう。
ゴガーフシュルは何度か頭を振ると、大きく息を吸い込み、キーラへ向けて火炎を吐いた。立ち上がったばかりのキーラは、この思いがけない攻撃を避けられず、まともに炎を浴びてしまう。
キーラは転がって鎮火させようとするも、鎧さえも燃え上がらせるその炎は消える気配もない。キーラの動きが止まってしまい、誰もが悲惨な決着を予感する。
だが次の瞬間、燃える鎧の中から全裸のキーラが飛び出した。兜の中で結い上げられていた長い銀髪を陽光に輝かせながら、一糸まとわぬ褐色の肢体が華麗に宙を舞う。
空中で体をひねって着地したキーラは、ゴガーフシュルを睨み付け怒鳴る。
「あっちいなてめー! 一張羅が台無しじゃねーか!」
読者諸兄もご存じの通り、キーラの鎧にはすぐに脱げる細工が施されていた。巨大化で鎧は破損しないと知った後でも、わざわざその機構を無くす必要もなかったため、そのままにしていたのだ。
とはいえ、下着まで脱ぐ必要があったのか。人間、長年体に染みついた行動は、咄嗟の場合に出てしまうものである。キーラが下着まで脱ぎ捨てたのは、全くの無意識であった。
ゴガーフシュルもこの脱出劇に気を取られていたが、キーラの声に反応して攻撃を再開する。鎧を失い無防備になったキーラへ、再び火炎を吐いた。
身軽になったキーラは、この火炎を側転でかわす。脱出時に義手も外していたが、今のキーラはエルフのごとくエネルギー体の右手で体を支えていた。
キーラに避けられた火炎が『防御壁』を焦がし、観客席を照らす。その横では、巨大な臀部が観客席のすぐ目の前を通り過ぎ、観客に更なる嗜好を目覚めさせてゆく。
また、褐色の肌とまとわりつく銀髪によって目立たないが、キーラの全身には無数の小さな痣が付いていた。また、それら痣の位置は奇妙な偏りを見せている。巨大化した今、観客の中にはそれに気づいた者も多い。
「ああーっと! キーラ卿、これは大丈夫なのかーッ!? 衆人環視の中、惜しげもなく裸体を晒しているぞーッ! 昨夜はお楽しみだったようだが、本人は気付いているのかーッ?」
マクシミリアンのセクハラギリギリアウトな実況に、キーラはハッとして目線を落とす。
「おわっ! なんであたい全裸なんだよ! くっそ、いつものクセで下着までいっちまったか!」
そして実況席をエネルギー体の右手でビシッと指さし、抗議した。
「おいマックス! てめー、お楽しみは余計だろうが! あとで覚えてやがれ!」
「おおーっと、これはいけない! キーラ卿からスタッフへの暴言だ! いいんですかコレ!? 後でロジーナ王妃の説教待ったなしでしょう!」
負けじとマクシミリアンが反論する。確かに実況内容には問題があるだろうが、スタッフへの暴言は正当化されない。これはマクシミリアンに道理があった。
実況席に気を取られているキーラへ、ゴガーフシュルが追撃の火炎を吐く。キーラは慌ててこれを後方倒立回転飛びでかわす。
追撃の火炎はさらに続き、キーラは連続バック転でこれをかわしてゆく。回転と共に、形の良い乳房が上下に揺れ、観客席から歓声が上がった。円形闘技場の角度によっては、巨大なキーラの女性自身も丸見えになり、観客を新たな嗜好へと誘う。
ゴガーフシュルの吐く火炎は、生体器官由来のものではない。これは信仰する祖竜の加護による奇蹟であった。故に、一日に吐ける火炎の回数には限りがある。
最初の火炎も合わせて、計10発で火炎は打ち止めとなった。これは他の信仰ならば大司教に匹敵する回数である。金属製の鎧をも燃やす火炎は、乱戦においては恐るべき脅威となるであろう。
火炎攻撃が止まったと見るや、キーラはゴガーフシュルとの距離を詰めようと跳躍した。しかしこれはゴガーフシュルの誘いであった。空中のキーラに向け、温存していた最後の火炎を放つ。
キーラはゴガーフシュルの動きを見て、その攻撃を察知していた。跳躍しながらも、右手のエネルギー体を左手で引き延ばし、四角い半透明の壁を作り出す。これはカレンのハイパー化の外殻形成にヒントを得た、魔力と自身のエネルギー体による盾であった。
奇跡による火炎は、キーラのエネルギー体をも焼くが、この盾は辛うじて火炎を防ぎ切る。そして跳躍の勢いのまま、キーラの蹴りがゴガーフシュルの頭部に叩き込まれた。
打ち倒されたゴガーフシュルは、倒れたままの体勢で尻尾を振るう。しかし威力の乗らぬその尾を、キーラはがっしりと体の脇で受け止め、抱え込んだ。
そしてキーラはジャイアントスイングのごとく、ゴガーフシュルの巨体を振り回し始めた。キーラの驚異的なバランス感覚により、美しさすら漂わせる回転運動は徐々に速度を上げていく。
やがて十分に速度が乗ったゴガーフシュルの体を、キーラは空中へ投げ上げた。回転運動により平衡感覚を狂わされたゴガーフシュルは、空中での姿勢制御もままならない。
キーラは全魔力を右腕に集中し、エネルギー体の右手を鋭い槍状に変化させた。そして激増している筋力任せに、空中のゴガーフシュルめがけて飛び上がる。
右手を前方に突き出し、一条の光の矢と化したキーラが、落下するゴガーフシュルの腹部を貫通した。胴体にぽっかりと穴が開いたゴガーフシュルが、臓物と血をまき散らしながら、地響きを立てて地面に激突する。
ゴガーフシュルの巨大化が解けるとほぼ同時に、キーラの巨大化もタイムリミットを迎えた。グラウンドに降り立ったキーラは、自分の剣を拾ってゴガーフシュルへと駆け寄る。
キーラの行動は正しかった。普通の生物ならばとっくに絶命しているはずの傷口が、すでに出血も止まり、うねうねと再生を始めているではないか。
これはいくら種族としての生命力が高いとはいえ、通常の蜥蜴人では考えられぬ事態である。即死しなかったのはゴガーフシュルの個としての強さであり、再生は最後の力を振り絞った祈念による奇蹟であった。
蜥蜴人は、幼少の頃に手足を失っても、成長に伴って再生する場合がある。そして尻尾に関しては、成人してからでもある程度は再生する。これに加え、祖竜信仰の奇蹟には再生もあった。
それでもこの状態から回復するとなれば尋常ではない。キーラはとどめを刺すべく、両手剣を振り上げる。
そこへ、ルビオナ王国側から降伏の信号弾が上がった。
「決着! 決着だァーッ! 大迫力の戦いをキーラ卿が制した! 恐るべきは暴君の生命力! 腹をブチ抜かれてもまだ生きていたァーッ!」
マクシミリアンの実況が響き渡り、闘技場が大歓声に包まれる。そして、審判団から正式な裁定が下された。
「勝者、イーダスハイム龍王国中堅、キーラ・フォン・ジルバーンシュヴェールト!」
まさかのイーダスハイム側3連勝に、闘技場の歓声が一段と大きくなる。
全裸のキーラは、その歓声に堂々と手を上げて応えていた。もはやこうなっては恥もクソもない。国を代表している以上、堂々と振舞わない事こそが恥であろう。
義手と鎧の回収は作業員に任せ、キーラは手を振りながら入場口へと進む。ご丁寧にも、その姿は闘技場上空に大きく投影されている。煌めく銀髪をまとい、颯爽と歩くその姿は、男女を問わず観客たちを魅了した。
しかし、入場口を過ぎ、観客から姿が見えなくなった瞬間、キーラは両手で顔を覆ってその場にしゃがみ込んだ。そこへ駆け寄ったナナシが優しく毛布を掛ける。
「あーもー! あーーーもーーー! あああああああああ!」
髪の毛を掻きむしり、ひとしきり悶えたキーラは、涙目でナナシを睨み付けた。
「ナナシ! てめー、よくもひとの体をキスマークまみれにしてくれやがったな! あたいがどんだけ恥かいたと思ってやがんだ!」
「ええっ! だってキーラがもっと吸ってって……」
「うがあああああああ! いうなああああああああ! こんの唐変木があああああ!」
「ごっ、ごめんごめん。まさか全裸になるとは思わなかったし。代表戦の前日なんだから、もぅちょっと気を付ければよかったね」
「言っとくけど、今日はもう巨大化使い切ったから、夜は無しだかんな!」
「大丈夫大丈夫。今日は疲れたでしょ、ゆっくり休んでよ」
そう言って笑うナナシに、キーラも毒気を抜かれてしまう。毛布を羽織って立ち上がったキーラは、ナナシの背中をポンポンと叩いて立ち上がらせると、スッと右手を差し出した。
ナナシはエネルギー体のキーラの右手を優しく取り、通路を控室へとエスコートする。背後からは、まだ鳴りやまぬ歓声がふたりを見送っていた。
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