4 / 91
第一章 転生
激戦
しおりを挟む
戦場に、ロジーナ姫の歌声が響き渡る。
歌って踊れるのじゃロリ姫を目指し鍛えた歌唱系スキルに『王の器』の統率効果が上乗せされた結果、ウォークライを上回る集団鼓舞効果を発揮するに至った戦闘歌である。
さらにロジーナ姫は、信仰する春の女神の祝福である『生命の歌』を発動しており、友軍に対して疲労回復・魔力回復・治癒力の強化・身体能力の向上等、様々な増強効果を付与している。
ちなみに曲は昨年度の『姫様うきうき半生放送』ナンバーワンヒットとなった『恋のドラゴンブレス』である。間奏抜きで3番まで歌い切ると丁度5分となり、戦闘時間の管理にも適している。
そんなロジーナ姫に引き寄せられるようにオークウォリアーが殺到するが、20メートル程手前で急に足が止まる。オークの足元には目に見えぬほど細い糸が大量に張り巡らされており、細くても強靭な粘着性のその糸によって足を固定されてしまったのだ。
「忍法蜘蛛糸絡み」
侍女長アヤメ・ツチグモの眷属である、人の頭ほどもある数匹の蜘蛛が土中より現れ、オークに向かってさらに糸を飛ばす。そうして身動きの取れなくなったオークウォリアーを護衛騎士が次々と討ち取ってゆく。
その周囲では、数匹の蜘蛛が背中に拳大の録画魔道具を装備し、『姫様うきうき半生放送』用の動画を撮影している。あまりに過激な画像には、後日編集時にモザイクがかけられる予定である。
罠を警戒しオークウォリアーを先行させたオークナイト5体に、護衛騎士カレンが単身切り込む。自前の肉体強化魔法に加え、ロジーナ姫の戦闘歌によって引き上げられた身体能力は、あわてて盾を構えたオークナイトをその強化された盾ごと両手剣で袈裟切りにする。さらに切り込んだ剣先を逆袈裟に切上げつつ、カレンが叫ぶ。
「ロジーナ浪漫流、Vの字切り!」
ロジーナ姫が前世のアニメやゲームで見た必殺技を、カレンが恐るべき執念と努力と才能で再現した技を総称して『ロジーナ浪漫流』と呼ぶ。Vの字切りは再生能力の高い敵に対し、重要器官をまるごと体から切り飛ばす非常に効果的な技である。オークナイトの再生力をもってしても、Vの字切りを食らえば絶命は免れない。
カレンは逆袈裟に切り上げた勢いのままオークの体を蹴って宙返りをし、背後から振るわれたオークナイトの斧を避けると、振り切ったその斧の上に納刀しつつふわりと降り立つ。
一瞬、驚愕の表情で動きが止まったオークナイトの顔面に向け、カレンは両手を組むと、体を高速回転させながら突っ込んだ。
「超転身スピン!」
両手を組んだ瞬間、籠手が変形し、拳の前にドリルが形成される。エルフ銀製のドリルは、注ぎ込まれたカレンの魔力によって円錐状の力場を発生させ、高速回転によってオークナイトの頭部を完全に粉砕する。
着地の瞬間を狙い、オークナイトが両手持ちの巨大なメイスを横薙ぎに振るう。しかしその軌道は、まるでカレンを避けるかのように曲がり、反対側から迫るオークナイトの剣を粉砕する。
「マ・ワ・シ・受け」
ロジーナ姫の「なんかこう円を描くように腕を回すとどんな攻撃でも受け流せるのじゃ。水とか空気とかも。たぶん魔法もいけるじゃろ」という大雑把にも程がある説明から術理を見出し、実戦レベルにまで昇華させたカレンの努力は、たとえ『王の器』の成長補正があるとはいえ尋常ではない。
メイスを受け流され伸びきったオークナイトの両腕を、カレンは両手剣で居合抜きに切断し、そのまま肩口から背中を使った体当たりで相手を10メートル以上弾き飛ばす。身長185センチメートルのカレンが、身長1.5倍、体重に至っては6倍近いオークナイトを弾き飛ばす術理こそ、闇カラテ『アイアンマウンテン』である。ワザマエ!
剣を失ったオークナイトが盾を構えて体当たりを仕掛ける。カレンは即座にアイアンマウンテンで迎撃するが、オークナイトの全力の体当たりはアイアンマウンテンの威力に拮抗し、両者その場でたたらを踏む。
そこへ5体目のオークナイトが剣を振り下ろす。カレンは体さばきと両手剣によりオークナイトの剣をするりと受け流すと、流れるような動作でひじの内側と脇の下を切り裂きながらオークナイトの背後へと回り込む。
オークナイトが振り向いた時には、すでにカレンは剣技『シューティングスター』の態勢に入っていた。片方の手で刀身をつまみ、ストッパーとする事で力を溜め、剣速と威力を大幅に高める必殺剣である。
刹那、振り抜かれた剣先は音速をはるかに凌駕し、真っ二つになったオークナイトの体を衝撃波で吹き飛ばす。
残ったオークナイトが、飛んで来た仲間の死体を盾で振り払った時には、すでに腹部にカレンの両手剣が深々と突き刺さっていた。カレンはさらに剣をねじ込みながら、エルフ銀製の刀身に魔力を流し、爆裂魔法陣を起動する。
カレンが剣を抜きながら後方に飛び退り、オークナイトに背を向けるように半回転し、剣を下段へと振り払った瞬間、カレンの背後でオークナイトが爆散した。
ロジーナ姫の馬車と、その隣で防御陣を張っていた特級魔術師フレディと中級冒険者たちに群がっていたオークウォリアーとオークナイトは、ほぼ一掃された。
何とか撃退できるかもしれない、そんな弛緩した空気がほんのつかの間流れる。
しかし、ほのかな希望はのそりと現れたオークキャプテンによって一気に霧散してしまう。
オークキャプテンの右手には、血まみれのマーティンがぐったりとしたまま握られていた。マーティンの左腕は上腕から下が食いちぎられており、今まさにオークキャプテンに咀嚼されている。
オークキャプテンは、部下オークたちの死体が散乱しているのを見て激怒した。
「×の○○ども△ぁ! 〇〇〇ぞ××△も!」
オーク語で怒鳴るオークキャプテンの声は、冒険者には理解できない。カレンとアヤメとロジーナ姫の3人だけがオーク語を理解し、内容の下品さに顔をしかめる。
ひとしきり吠えたオークキャプテンは口に残った骨のかけらを吐き捨てると、右手に持ったマーティンを中級冒険者たちに投げつけた。
フレディは、オークキャプテンが投げる予備動作に入った瞬間に、速度制御の呪文を唱える。降下制御の上位呪文ではあるが、判断の速さからマーティンの激突前にぎりぎり発動が間に合った。もし投げられた速度のまま中級冒険者たちに突っ込んでいれば、マーティン自身だけでなく、中級冒険者にも多大な死傷者が出ていただろう。
オークキャプテンが無防備に投擲動作に入ったのを見て、ロジーナ姫とカレン、アヤメも行動を開始する。ロジーナ姫の戦闘歌『わがままプリンセス』が響き渡る中、アヤメが呪印を結ぶ。
「土遁、泥沼縛り」
アヤメの忍法が発動し、マーティンを投げたオークキャプテンの足元が泥濘と化して、その体が腰まで泥に沈む。
「忍法蜘蛛糸絡み」
さらにアヤメの眷属の蜘蛛たちがオークキャプテンを糸で縛り上げる。それだけにとどまらず、アヤメは特別製のロングスカートを一瞬で脱ぎ捨てると、ローライズの下着の尻からはみ出している、外殻に覆われた小さな噴出口から糸を発射する。
発射された糸は、一見服の装飾と見まがうように腰から生える2対4本の蜘蛛の足で操られ、オークキャプテンを強力に締め上げてゆく。
頭以外を蜘蛛糸で雁字搦めに縛り上げられ身動きが取れなくなったオークキャプテンに、カレンが必殺剣『シューティングスター』を構え肉薄する。狙うはこめかみの横断面切断である。
超音速の斬撃が放たれる刹那、オークキャプテンはその恐るべき剛力により、蜘蛛糸を固定する周りの馬車や蜘蛛ごと体をよじった。アヤメも自らの蜘蛛糸に引っ張られ宙に舞う。
ほんのわずかな動きではあったが、オークキャプテンはカレンの斬撃を頭蓋骨で受け流す。そこには生死の狭間を潜り抜けてきた、粗削りではあるが確かな術理が存在した。
軌道をそらされた斬撃は、オークキャプテンの皮膚を削り、頭蓋骨を削るも、あと数ミリ脳髄まで届かない。
オークキャプテンはそのままカウンターの頭突きをカレンの胸甲に叩き込むと、顔を振り上げ、下顎から生える巨大な牙で鎖帷子を貫いて臓腑をえぐる。
轟音とともに頭突きで跳ね飛ばされたカレンは、腸を引きずり出されながら地面に叩きつけられた。鎧が丸く陥没し、胸骨は粉砕されている。肺も傷つき、口腔から激しく吐血する。身体強化と戦闘歌の増強効果のおかげで意識こそ失わなかったものの、ダメージにより体がほとんど動かせない。
一見優勢に見えた戦況からの落差に、中級冒険者たちから悲鳴が上がる。しかしロジーナ姫は悲壮な表情のまま歌い続ける。絶体絶命など『王の試練』で何度も経験している。自分の戦闘歌による増強効果が、運命をあと一押しする可能性をあきらめない。
カレンは腰からナイフを抜くと、引きずり出された腸を躊躇なく切断し、春の女神の奇蹟『再生』を自身に使う。欠損直後なら腕さえ生える『再生』は、本来大司教レベルでなければ賜れぬ奇蹟であるが、『王の器』による成長補正と存在力の強化によって、カレンは月に一度だけ恩寵を賜ることができる。
カレンの攻撃をしのいだオークキャプテンは、自分を中心に火炎の魔法を使った。
蜘蛛の糸は引っ張る力への強度は高いものの、炎に対しては脆弱で、あっという間に燃え落ちてしまう。炎に包まれたオークキャプテンは持ち前の再生力で涼しい顔である。
上半身が自由になったオークキャプテンは泥に両手を打ち付けると、その反動で、ベルトの焼け落ちたズボンを泥中に残したまま下半身を引き抜き、逆立ちの態勢で空中に飛び上がり、一物をぶらつかせながら宙返りをする。
「なんと汚い飛翔○麗じゃ……」
たいていの事には慣れたつもりのロジーナ姫をして思わずツッコミを入れてしまう程の、オークキャプテンの醜技である。
そもそもオークはいついかなる時でも女を犯しやすいように、ベルトを緩めればストンと脱げるズボンを好む傾向にある。今回はその習性がオークキャプテンの尋常ならざる剛力に上手く作用し、このような技を成立させてしまったのだ。
しかし見た目の汚さに対しその威力は本物である。空中からの両手による手刀が、アヤメに向かって繰り出される。
それを見たフレディが魔法で防御壁をアヤメの頭上に展開する。アヤメも蜘蛛糸を使い、衝撃を和らげるためのネットを張り巡らせる。
しかしオークキャプテンの手刀はそれらを易々と打ち砕き、アヤメの両肩を砕く。
オークキャプテンは、そのままうつぶせに地面に打ち据えられたアヤメを足で踏み、腰から生えた4本の蜘蛛の足をまとめて片手で握ると、力任せに引きちぎる。
「ぎいいいいいいい!」
押し殺した悲鳴を上げながら、アヤメは痙攣し、失禁する。その悲鳴を聞きながら、オークキャプテンの一物が隆々とそそり立つ。
「ロジーナ浪漫流! 超転身!」
カレンの叫びが木霊する。残るすべての魔力を注ぎ込み、肉体のリミッターを外した最後の一撃がオークキャプテンに突撃する。
「スピィンンンンンンンンッ!」
金色に輝く円錐形の力場が、超高速の回転でオークキャプテンに迫る。しかしオークキャプテンは両手で力場を掴むと、手の平を削り飛ばされながら力任せに回転を止める。
「ぎゃあああああああっ!」
回転の反動はカレンの両腕と肩を粉砕し、腰椎も砕かれる。カレンは完全に失神し、その場にぐにゃりと落下した。もはや生きているのが不思議な状態である。
「そこまでじゃ!」
ロジーナ姫が、オークキャプテンを制止する。オーク語ではない西方共通語だが、ロジーナ姫の技能『魂の歌声』の効果により、意味するところはオークキャプテンにも伝わる。
「そりゃあ、降参するって事か雌ガキ」
オークキャプテンがニヤニヤと笑いながらオーク語で聞く。
「そうじゃ。出来ればわらわの身一つで引いてはくれぬか」
「お前みたいなちんまい雌ガキじゃ、俺たちの相手は1時間も持ちゃしねえだろ。少なくとも雌は全員連れていく。こいつらもな」
そう言って、オークキャプテンはカレンと足蹴にしたままのアヤメを指し示す。
「少なくとも女騎士の方はもうおぬしらの相手をできる状態じゃなかろうが。足元の女も手当てをせねば遠からず死ぬぞよ」
「死んだら死んだで使い道があるぜ。特にこっちの生きのイイ雌は、いたぶって泣き叫んだら興奮するだろうなァ。楽しみでしょうがねえ」
ロジーナ姫は、最悪オークどもに捕まって慰み者になるのも止む無しと考えていた。これ程の脅威ならば、遠からず勇者や軍が動くことになるだろうし、それまで数ヶ月単位で奴隷に甘んじてでも生き延びれば助かるチャンスはあると。
しかし実際には投降するタイミングを完全に見誤ってしまった。オークナイトを簡単にあしらえてしまったがゆえに、オークキャプテンの強さを過小評価してしまったのだ。
このまま捕まってしまえば、自分はともかくカレンとアヤメは死ぬだろう。護衛騎士も含め、男は全員殺され、女は捕まる。何か、何か打てる一手は無いか。ロジーナ姫は必死で考える。
「せめてその二人を治療させてくれぬか。わらわに出来る事なら何でもするゆえ」
「ほう。雌ガキにしちゃ中々肝が据わってやがるな。周りの野郎どもも見習えってんだ」
オークキャプテンはそう言うと、舌なめずりをしながら一物をしごき、
「お前が俺を楽しませてる間だけ、治療を許してやる」と笑った。
ロジーナ姫は、自分の脚ほどもあるそれをキッと見据えたまま、護衛騎士と冒険者たちに命令する。
「オークと話はついた。わらわがこ奴に奉仕している間は治療をしてもかまわんそうじゃ。カレンとアヤメをそちらへ運んで手当てをせよ」
そして、ドレスを脱ぎながらオークキャプテンに告げる。
「負傷者を向こうへ運んでからがサービスタイムじゃ。それまでわらわが脱ぐのを楽しんでおれ」
「クックック、お前すげえな。俺が指ではじいたら死んじまうぐらいのチビのくせに、この場の誰より勇敢だぜ。もっといい体してりゃ、いいオークをたくさん産んだだろうによ」
「ふん、誉め言葉ととっておこうかの」
会話をしながら時間を稼ぎつつ、ロジーナ姫はついに一糸まとわぬ姿になる。カレンとアヤメは荷馬車の陰へ運ばれた。後はどれだけ治療を施せるか、その時間を稼げるかだ。
「では、参ろうか」
ロジーナ姫が覚悟を決めて一歩踏み出したその瞬間、横合いから巨大な物体がオークキャプテンに激突し、オークキャプテンは遥か彼方へと吹き飛ばされた。
歌って踊れるのじゃロリ姫を目指し鍛えた歌唱系スキルに『王の器』の統率効果が上乗せされた結果、ウォークライを上回る集団鼓舞効果を発揮するに至った戦闘歌である。
さらにロジーナ姫は、信仰する春の女神の祝福である『生命の歌』を発動しており、友軍に対して疲労回復・魔力回復・治癒力の強化・身体能力の向上等、様々な増強効果を付与している。
ちなみに曲は昨年度の『姫様うきうき半生放送』ナンバーワンヒットとなった『恋のドラゴンブレス』である。間奏抜きで3番まで歌い切ると丁度5分となり、戦闘時間の管理にも適している。
そんなロジーナ姫に引き寄せられるようにオークウォリアーが殺到するが、20メートル程手前で急に足が止まる。オークの足元には目に見えぬほど細い糸が大量に張り巡らされており、細くても強靭な粘着性のその糸によって足を固定されてしまったのだ。
「忍法蜘蛛糸絡み」
侍女長アヤメ・ツチグモの眷属である、人の頭ほどもある数匹の蜘蛛が土中より現れ、オークに向かってさらに糸を飛ばす。そうして身動きの取れなくなったオークウォリアーを護衛騎士が次々と討ち取ってゆく。
その周囲では、数匹の蜘蛛が背中に拳大の録画魔道具を装備し、『姫様うきうき半生放送』用の動画を撮影している。あまりに過激な画像には、後日編集時にモザイクがかけられる予定である。
罠を警戒しオークウォリアーを先行させたオークナイト5体に、護衛騎士カレンが単身切り込む。自前の肉体強化魔法に加え、ロジーナ姫の戦闘歌によって引き上げられた身体能力は、あわてて盾を構えたオークナイトをその強化された盾ごと両手剣で袈裟切りにする。さらに切り込んだ剣先を逆袈裟に切上げつつ、カレンが叫ぶ。
「ロジーナ浪漫流、Vの字切り!」
ロジーナ姫が前世のアニメやゲームで見た必殺技を、カレンが恐るべき執念と努力と才能で再現した技を総称して『ロジーナ浪漫流』と呼ぶ。Vの字切りは再生能力の高い敵に対し、重要器官をまるごと体から切り飛ばす非常に効果的な技である。オークナイトの再生力をもってしても、Vの字切りを食らえば絶命は免れない。
カレンは逆袈裟に切り上げた勢いのままオークの体を蹴って宙返りをし、背後から振るわれたオークナイトの斧を避けると、振り切ったその斧の上に納刀しつつふわりと降り立つ。
一瞬、驚愕の表情で動きが止まったオークナイトの顔面に向け、カレンは両手を組むと、体を高速回転させながら突っ込んだ。
「超転身スピン!」
両手を組んだ瞬間、籠手が変形し、拳の前にドリルが形成される。エルフ銀製のドリルは、注ぎ込まれたカレンの魔力によって円錐状の力場を発生させ、高速回転によってオークナイトの頭部を完全に粉砕する。
着地の瞬間を狙い、オークナイトが両手持ちの巨大なメイスを横薙ぎに振るう。しかしその軌道は、まるでカレンを避けるかのように曲がり、反対側から迫るオークナイトの剣を粉砕する。
「マ・ワ・シ・受け」
ロジーナ姫の「なんかこう円を描くように腕を回すとどんな攻撃でも受け流せるのじゃ。水とか空気とかも。たぶん魔法もいけるじゃろ」という大雑把にも程がある説明から術理を見出し、実戦レベルにまで昇華させたカレンの努力は、たとえ『王の器』の成長補正があるとはいえ尋常ではない。
メイスを受け流され伸びきったオークナイトの両腕を、カレンは両手剣で居合抜きに切断し、そのまま肩口から背中を使った体当たりで相手を10メートル以上弾き飛ばす。身長185センチメートルのカレンが、身長1.5倍、体重に至っては6倍近いオークナイトを弾き飛ばす術理こそ、闇カラテ『アイアンマウンテン』である。ワザマエ!
剣を失ったオークナイトが盾を構えて体当たりを仕掛ける。カレンは即座にアイアンマウンテンで迎撃するが、オークナイトの全力の体当たりはアイアンマウンテンの威力に拮抗し、両者その場でたたらを踏む。
そこへ5体目のオークナイトが剣を振り下ろす。カレンは体さばきと両手剣によりオークナイトの剣をするりと受け流すと、流れるような動作でひじの内側と脇の下を切り裂きながらオークナイトの背後へと回り込む。
オークナイトが振り向いた時には、すでにカレンは剣技『シューティングスター』の態勢に入っていた。片方の手で刀身をつまみ、ストッパーとする事で力を溜め、剣速と威力を大幅に高める必殺剣である。
刹那、振り抜かれた剣先は音速をはるかに凌駕し、真っ二つになったオークナイトの体を衝撃波で吹き飛ばす。
残ったオークナイトが、飛んで来た仲間の死体を盾で振り払った時には、すでに腹部にカレンの両手剣が深々と突き刺さっていた。カレンはさらに剣をねじ込みながら、エルフ銀製の刀身に魔力を流し、爆裂魔法陣を起動する。
カレンが剣を抜きながら後方に飛び退り、オークナイトに背を向けるように半回転し、剣を下段へと振り払った瞬間、カレンの背後でオークナイトが爆散した。
ロジーナ姫の馬車と、その隣で防御陣を張っていた特級魔術師フレディと中級冒険者たちに群がっていたオークウォリアーとオークナイトは、ほぼ一掃された。
何とか撃退できるかもしれない、そんな弛緩した空気がほんのつかの間流れる。
しかし、ほのかな希望はのそりと現れたオークキャプテンによって一気に霧散してしまう。
オークキャプテンの右手には、血まみれのマーティンがぐったりとしたまま握られていた。マーティンの左腕は上腕から下が食いちぎられており、今まさにオークキャプテンに咀嚼されている。
オークキャプテンは、部下オークたちの死体が散乱しているのを見て激怒した。
「×の○○ども△ぁ! 〇〇〇ぞ××△も!」
オーク語で怒鳴るオークキャプテンの声は、冒険者には理解できない。カレンとアヤメとロジーナ姫の3人だけがオーク語を理解し、内容の下品さに顔をしかめる。
ひとしきり吠えたオークキャプテンは口に残った骨のかけらを吐き捨てると、右手に持ったマーティンを中級冒険者たちに投げつけた。
フレディは、オークキャプテンが投げる予備動作に入った瞬間に、速度制御の呪文を唱える。降下制御の上位呪文ではあるが、判断の速さからマーティンの激突前にぎりぎり発動が間に合った。もし投げられた速度のまま中級冒険者たちに突っ込んでいれば、マーティン自身だけでなく、中級冒険者にも多大な死傷者が出ていただろう。
オークキャプテンが無防備に投擲動作に入ったのを見て、ロジーナ姫とカレン、アヤメも行動を開始する。ロジーナ姫の戦闘歌『わがままプリンセス』が響き渡る中、アヤメが呪印を結ぶ。
「土遁、泥沼縛り」
アヤメの忍法が発動し、マーティンを投げたオークキャプテンの足元が泥濘と化して、その体が腰まで泥に沈む。
「忍法蜘蛛糸絡み」
さらにアヤメの眷属の蜘蛛たちがオークキャプテンを糸で縛り上げる。それだけにとどまらず、アヤメは特別製のロングスカートを一瞬で脱ぎ捨てると、ローライズの下着の尻からはみ出している、外殻に覆われた小さな噴出口から糸を発射する。
発射された糸は、一見服の装飾と見まがうように腰から生える2対4本の蜘蛛の足で操られ、オークキャプテンを強力に締め上げてゆく。
頭以外を蜘蛛糸で雁字搦めに縛り上げられ身動きが取れなくなったオークキャプテンに、カレンが必殺剣『シューティングスター』を構え肉薄する。狙うはこめかみの横断面切断である。
超音速の斬撃が放たれる刹那、オークキャプテンはその恐るべき剛力により、蜘蛛糸を固定する周りの馬車や蜘蛛ごと体をよじった。アヤメも自らの蜘蛛糸に引っ張られ宙に舞う。
ほんのわずかな動きではあったが、オークキャプテンはカレンの斬撃を頭蓋骨で受け流す。そこには生死の狭間を潜り抜けてきた、粗削りではあるが確かな術理が存在した。
軌道をそらされた斬撃は、オークキャプテンの皮膚を削り、頭蓋骨を削るも、あと数ミリ脳髄まで届かない。
オークキャプテンはそのままカウンターの頭突きをカレンの胸甲に叩き込むと、顔を振り上げ、下顎から生える巨大な牙で鎖帷子を貫いて臓腑をえぐる。
轟音とともに頭突きで跳ね飛ばされたカレンは、腸を引きずり出されながら地面に叩きつけられた。鎧が丸く陥没し、胸骨は粉砕されている。肺も傷つき、口腔から激しく吐血する。身体強化と戦闘歌の増強効果のおかげで意識こそ失わなかったものの、ダメージにより体がほとんど動かせない。
一見優勢に見えた戦況からの落差に、中級冒険者たちから悲鳴が上がる。しかしロジーナ姫は悲壮な表情のまま歌い続ける。絶体絶命など『王の試練』で何度も経験している。自分の戦闘歌による増強効果が、運命をあと一押しする可能性をあきらめない。
カレンは腰からナイフを抜くと、引きずり出された腸を躊躇なく切断し、春の女神の奇蹟『再生』を自身に使う。欠損直後なら腕さえ生える『再生』は、本来大司教レベルでなければ賜れぬ奇蹟であるが、『王の器』による成長補正と存在力の強化によって、カレンは月に一度だけ恩寵を賜ることができる。
カレンの攻撃をしのいだオークキャプテンは、自分を中心に火炎の魔法を使った。
蜘蛛の糸は引っ張る力への強度は高いものの、炎に対しては脆弱で、あっという間に燃え落ちてしまう。炎に包まれたオークキャプテンは持ち前の再生力で涼しい顔である。
上半身が自由になったオークキャプテンは泥に両手を打ち付けると、その反動で、ベルトの焼け落ちたズボンを泥中に残したまま下半身を引き抜き、逆立ちの態勢で空中に飛び上がり、一物をぶらつかせながら宙返りをする。
「なんと汚い飛翔○麗じゃ……」
たいていの事には慣れたつもりのロジーナ姫をして思わずツッコミを入れてしまう程の、オークキャプテンの醜技である。
そもそもオークはいついかなる時でも女を犯しやすいように、ベルトを緩めればストンと脱げるズボンを好む傾向にある。今回はその習性がオークキャプテンの尋常ならざる剛力に上手く作用し、このような技を成立させてしまったのだ。
しかし見た目の汚さに対しその威力は本物である。空中からの両手による手刀が、アヤメに向かって繰り出される。
それを見たフレディが魔法で防御壁をアヤメの頭上に展開する。アヤメも蜘蛛糸を使い、衝撃を和らげるためのネットを張り巡らせる。
しかしオークキャプテンの手刀はそれらを易々と打ち砕き、アヤメの両肩を砕く。
オークキャプテンは、そのままうつぶせに地面に打ち据えられたアヤメを足で踏み、腰から生えた4本の蜘蛛の足をまとめて片手で握ると、力任せに引きちぎる。
「ぎいいいいいいい!」
押し殺した悲鳴を上げながら、アヤメは痙攣し、失禁する。その悲鳴を聞きながら、オークキャプテンの一物が隆々とそそり立つ。
「ロジーナ浪漫流! 超転身!」
カレンの叫びが木霊する。残るすべての魔力を注ぎ込み、肉体のリミッターを外した最後の一撃がオークキャプテンに突撃する。
「スピィンンンンンンンンッ!」
金色に輝く円錐形の力場が、超高速の回転でオークキャプテンに迫る。しかしオークキャプテンは両手で力場を掴むと、手の平を削り飛ばされながら力任せに回転を止める。
「ぎゃあああああああっ!」
回転の反動はカレンの両腕と肩を粉砕し、腰椎も砕かれる。カレンは完全に失神し、その場にぐにゃりと落下した。もはや生きているのが不思議な状態である。
「そこまでじゃ!」
ロジーナ姫が、オークキャプテンを制止する。オーク語ではない西方共通語だが、ロジーナ姫の技能『魂の歌声』の効果により、意味するところはオークキャプテンにも伝わる。
「そりゃあ、降参するって事か雌ガキ」
オークキャプテンがニヤニヤと笑いながらオーク語で聞く。
「そうじゃ。出来ればわらわの身一つで引いてはくれぬか」
「お前みたいなちんまい雌ガキじゃ、俺たちの相手は1時間も持ちゃしねえだろ。少なくとも雌は全員連れていく。こいつらもな」
そう言って、オークキャプテンはカレンと足蹴にしたままのアヤメを指し示す。
「少なくとも女騎士の方はもうおぬしらの相手をできる状態じゃなかろうが。足元の女も手当てをせねば遠からず死ぬぞよ」
「死んだら死んだで使い道があるぜ。特にこっちの生きのイイ雌は、いたぶって泣き叫んだら興奮するだろうなァ。楽しみでしょうがねえ」
ロジーナ姫は、最悪オークどもに捕まって慰み者になるのも止む無しと考えていた。これ程の脅威ならば、遠からず勇者や軍が動くことになるだろうし、それまで数ヶ月単位で奴隷に甘んじてでも生き延びれば助かるチャンスはあると。
しかし実際には投降するタイミングを完全に見誤ってしまった。オークナイトを簡単にあしらえてしまったがゆえに、オークキャプテンの強さを過小評価してしまったのだ。
このまま捕まってしまえば、自分はともかくカレンとアヤメは死ぬだろう。護衛騎士も含め、男は全員殺され、女は捕まる。何か、何か打てる一手は無いか。ロジーナ姫は必死で考える。
「せめてその二人を治療させてくれぬか。わらわに出来る事なら何でもするゆえ」
「ほう。雌ガキにしちゃ中々肝が据わってやがるな。周りの野郎どもも見習えってんだ」
オークキャプテンはそう言うと、舌なめずりをしながら一物をしごき、
「お前が俺を楽しませてる間だけ、治療を許してやる」と笑った。
ロジーナ姫は、自分の脚ほどもあるそれをキッと見据えたまま、護衛騎士と冒険者たちに命令する。
「オークと話はついた。わらわがこ奴に奉仕している間は治療をしてもかまわんそうじゃ。カレンとアヤメをそちらへ運んで手当てをせよ」
そして、ドレスを脱ぎながらオークキャプテンに告げる。
「負傷者を向こうへ運んでからがサービスタイムじゃ。それまでわらわが脱ぐのを楽しんでおれ」
「クックック、お前すげえな。俺が指ではじいたら死んじまうぐらいのチビのくせに、この場の誰より勇敢だぜ。もっといい体してりゃ、いいオークをたくさん産んだだろうによ」
「ふん、誉め言葉ととっておこうかの」
会話をしながら時間を稼ぎつつ、ロジーナ姫はついに一糸まとわぬ姿になる。カレンとアヤメは荷馬車の陰へ運ばれた。後はどれだけ治療を施せるか、その時間を稼げるかだ。
「では、参ろうか」
ロジーナ姫が覚悟を決めて一歩踏み出したその瞬間、横合いから巨大な物体がオークキャプテンに激突し、オークキャプテンは遥か彼方へと吹き飛ばされた。
0
お気に入りに追加
108
あなたにおすすめの小説
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
なんで誰も使わないの!? 史上最強のアイテム『神の結石』を使って落ちこぼれ冒険者から脱却します!!
るっち
ファンタジー
土砂降りの雨のなか、万年Fランクの落ちこぼれ冒険者である俺は、冒険者達にコキ使われた挙句、魔物への囮にされて危うく死に掛けた……しかも、そのことを冒険者ギルドの職員に報告しても鼻で笑われただけだった。終いには恋人であるはずの幼馴染にまで捨てられる始末……悔しくて、悔しくて、悲しくて……そんな時、空から宝石のような何かが脳天を直撃! なんの石かは分からないけど綺麗だから御守りに。そしたら何故かなんでもできる気がしてきた! あとはその石のチカラを使い、今まで俺を見下し蔑んできた奴らをギャフンッと言わせて、落ちこぼれ冒険者から脱却してみせる!!
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第三章フェレスト王国エルフ編
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
前世を思い出しました。恥ずかしすぎて、死んでしまいそうです。
棚から現ナマ
恋愛
前世を思い出したフィオナは、今までの自分の所業に、恥ずかしすぎて身もだえてしまう。自分は痛い女だったのだ。いままでの黒歴史から目を背けたい。黒歴史を思い出したくない。黒歴史関係の人々と接触したくない。
これからは、まっとうに地味に生きていきたいの。
それなのに、王子様や公爵令嬢、王子の側近と今まで迷惑をかけてきた人たちが向こうからやって来る。何でぇ?ほっといて下さい。お願いします。恥ずかしすぎて、死んでしまいそうです。
悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが……
アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。
そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。
実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。
剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。
アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる