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1-1 寮の同室
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神は天界に住まい、人、天界、その地に住まう者すべてを支配・管理する。
そんな神の御使いである天使は、天界のある地域にて階級に分かれ暮らしていた。
天使は、基礎教育を六歳から八年間受けた後、三年間を固めた基礎を実際に用いる発展教育、そして天使として成就させる専門教育へと進められる。
そしてここは専門教育機関の一つ、エル天使学園。
まだ神樹が光を散らす頃、天使とは思えぬ程慌てた様相であるドアの前にサディが駆け付けた。
そのドアをコンコンと二度ノックし、返事がないのでもう一度、もう一度、としつこいノック音に部屋の中の住人が漸く動き出し、欠伸をしながらドアを開け、サディを見てぺラリと一枚の紙を渡す。
「ありがとうございます!」
サディが頭を下げる前にドアは再び閉められ、それを気にする様子のないサディは今にも鼻歌を歌いそうにウキウキと口角を上げながら、渡された紙に視線を落とした。
「さーて、俺の同室は~」
「どうやら俺のようだぞ、サディ」
「げっ、ユージェ!?」
気配無く後ろから肩を叩かれ、サディはビクリと肩を跳ねさせた。
学園から徒歩二分の位置にある寮。『まるで城みたい』と噂されるほど洒落た、けれど白一色なシンプルで雄大な見た目に、最初の頃は入る度に止まっていた足もこの寮と学校への行き来を繰り返すうちに慣れ、今となっては『非日常』から『当たり前』の光景に変わりつつある、今日この頃。
本日発表となるルームメイトに、サディは待ちきれず早起きしそのまま寮長室へと駆け付けた。
寮長から渡された紙には寮のルールと共に今日から一年ルームメイトとなる生徒の名前も載っており、まだその文字すら見つけられていなかった所で掛けられた声に、内心『げっ』と声を上げた。
「な、何でこんな時間にここにいるんだよ!?」
「そりゃ、お前と目的は同じだな」
彼は朝に弱いはず。だというのにこんな時間にここにいるという事は、サディの行動を先読みしからかいに来たのだろう。
現にまだ体に力が入らないのか、サディに肩を回し体重をかけて来た。
彼・ユージェは学園の中でも特に大きな見た目をしている。身長は百八十を優に超え、服で隠れているが腹筋だって割れている。いつもサディを『チビ』と嘲り、『よーしよしよし、サディは可愛いな~』などと高い位置からサディの髪に手を置き、わしわしと乱しからかう。そしてそう言われる度にユージェの身長が縮みやしないかと、そんな非現実的な事をサディは考えるのだ。
「それよりほら、ここ、見てみろよ」
重い、と嘆くもののいつもの如く無視するユージェは、サディが持っていた紙のある一点を指さした。
「今日からお前の世話は、俺がしてやるよ」
「は……?」
肩の位置からサディに顔を向け、自信満々ににやりと笑みを浮かべる。
その笑みを見て、サディはサーっと血の気が引いた。
そんな神の御使いである天使は、天界のある地域にて階級に分かれ暮らしていた。
天使は、基礎教育を六歳から八年間受けた後、三年間を固めた基礎を実際に用いる発展教育、そして天使として成就させる専門教育へと進められる。
そしてここは専門教育機関の一つ、エル天使学園。
まだ神樹が光を散らす頃、天使とは思えぬ程慌てた様相であるドアの前にサディが駆け付けた。
そのドアをコンコンと二度ノックし、返事がないのでもう一度、もう一度、としつこいノック音に部屋の中の住人が漸く動き出し、欠伸をしながらドアを開け、サディを見てぺラリと一枚の紙を渡す。
「ありがとうございます!」
サディが頭を下げる前にドアは再び閉められ、それを気にする様子のないサディは今にも鼻歌を歌いそうにウキウキと口角を上げながら、渡された紙に視線を落とした。
「さーて、俺の同室は~」
「どうやら俺のようだぞ、サディ」
「げっ、ユージェ!?」
気配無く後ろから肩を叩かれ、サディはビクリと肩を跳ねさせた。
学園から徒歩二分の位置にある寮。『まるで城みたい』と噂されるほど洒落た、けれど白一色なシンプルで雄大な見た目に、最初の頃は入る度に止まっていた足もこの寮と学校への行き来を繰り返すうちに慣れ、今となっては『非日常』から『当たり前』の光景に変わりつつある、今日この頃。
本日発表となるルームメイトに、サディは待ちきれず早起きしそのまま寮長室へと駆け付けた。
寮長から渡された紙には寮のルールと共に今日から一年ルームメイトとなる生徒の名前も載っており、まだその文字すら見つけられていなかった所で掛けられた声に、内心『げっ』と声を上げた。
「な、何でこんな時間にここにいるんだよ!?」
「そりゃ、お前と目的は同じだな」
彼は朝に弱いはず。だというのにこんな時間にここにいるという事は、サディの行動を先読みしからかいに来たのだろう。
現にまだ体に力が入らないのか、サディに肩を回し体重をかけて来た。
彼・ユージェは学園の中でも特に大きな見た目をしている。身長は百八十を優に超え、服で隠れているが腹筋だって割れている。いつもサディを『チビ』と嘲り、『よーしよしよし、サディは可愛いな~』などと高い位置からサディの髪に手を置き、わしわしと乱しからかう。そしてそう言われる度にユージェの身長が縮みやしないかと、そんな非現実的な事をサディは考えるのだ。
「それよりほら、ここ、見てみろよ」
重い、と嘆くもののいつもの如く無視するユージェは、サディが持っていた紙のある一点を指さした。
「今日からお前の世話は、俺がしてやるよ」
「は……?」
肩の位置からサディに顔を向け、自信満々ににやりと笑みを浮かべる。
その笑みを見て、サディはサーっと血の気が引いた。
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