ある満月の日、俺はあいつに抱かれた

ミルクルミ

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プロローグ

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 そこは、白に包まれた空間だった。
 壁、床、窓枠、天井。すべてが白に覆われている中、サディの頭の中も真っ白で、何も考えられないままただ目の前の男の背に手を回す。

「も……やめろ」
「やめて欲しければ手を離せ。俺を掴んでる手がある限り、俺はやめる気はねえよ」
「んなこと、できな……あっ!」

 何度も突かれ、果て、それでもまた回復し、交わって。
 やめてくれと思うのに、もうしたくないと思うのに、身体は言う事を聞いてくれやしない。
 せめてこいつから止めてくれればと声で抵抗してみても、全く効果はありやしない。逆に行為を激しくさせるこいつを恨みがましく睨んでみれば、何を勘違いしたのか顔を近づけ口づけられた。

「ちがっ、そういう意味じゃ……!」
「違くても良いんだよ、俺がしたかったんだから」

 傲慢な口調でそう言われ、突き飛ばしたいのにまた体は言う事を聞かず、縋るように背に爪を立てた。
 なぜ、こうなってしまったのだろうか。どこで二人の関係に変化が訪れたのだろう。
 ぼんやりと浮かぶ疑問も考える暇さえ与えられず、快感が頭を支配する。

(そうだ……きっと、あれのせいだ)

 ふと、サディは頭を上に向けた。
 部屋を照らす唯一の光、窓の外で二人を見守る、まん丸の月。
 きっとあれのせいだ。あれを見た時体が疼きだし、目の前の男を求める気持ちで一杯になったのだから。
 言う事を聞いてくれない身体、容赦なく攻め立てられ体力はもう尽きているはずなのに、まだまだ止む気配のない激情。
 それらに不安を募らせ、すべてを月のせいにしながらも、サディはここに至る経緯を頭に思い浮かべた。
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