僕に溺れて。

ヨツロ

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すぐに部屋に戻ってきたジュンは、鼻歌を歌いながら僕に近づいた。その手には、白色の液体の入った小さな瓶がある。
「千佳ちゃん、お口開けて?」
あーん、と蓋を開けた瓶を口元に近づけてくる。その瓶からは、くどいくらいの甘い匂いがし、僕は依然として頑なに口を閉じた。しばらくジュンを睨みつけていると、説得を諦めたらしいジュンが僕の鼻をつまんだ。
(く、苦しい…)
少し心配そうにこちらを見つめるジュンと目があう。絶対に口を開けないように我慢していたが、とうとう耐えきれずに口を大きく開けてしまった。
「がぼっっ、うぐ、あがっっ…」
そのタイミングを見計らったように、瓶を傾けられる。一気に飲み込めない量の液体を注がれ、溺れながら必死に飲み込んだ。変なところに入って鼻から液体が垂れてきて、口から鼻にかけてむせるほどの甘ったるい匂いに満たされた。
「大丈夫?千佳ちゃん。ごめんね、苦しかったよね」
そう言いながら、飲みきれずに口の端から溢れた液体を拭う。
「も、もう何もしないで!!……今はもう、僕に近づかないで……。何もわかんないよ。どうしてこんなことするの?」
かろうじて自由な右手で、ジュンの腕を払う。顔を背け、精一杯拒絶を表現した。すると、ジュンはあろうことか、その右手までベッドに拘束した。
「ジュン‼︎ねえ、ジュン!ちゃんと僕に説明して。とにかく、こんなこと間違ってるよ…!!!」
これ以上酷いことをされてたまるか、と僕は今までにないくらい声を荒げた。とにかくジュンと話し合わなきゃいけない。彼が何をしたいのか全くわからない。でも、ジュンのやってることが間違ってるのはわかる。僕の訴えが効いたのか、ジュンは悲しそうに僕から離れていった。
「……わかった。もう千佳ちゃんには触らないよ。でも、俺のやってることは何にも間違ってない……。ひとまず、俺はここで千佳ちゃんを眺めてるね」
馬鹿げたことを言ったと思ったら、ジュンはベッド横にある椅子に腰をかけ、何かをするわけでもなく、ただ僕を見つめはじめた。
(気にしたら駄目だ…)
僕は、もう何か言うのもやめ、なんとか気にしないように、そっぽ向いたまま目を閉じた。自分の呼吸だけに集中して乱れる心を落ち着ける。
ーーーーーー、ーーー………!?
すぅ、すぅと、やっと心が落ち着いてきた頃、脈拍が急激に上がっていくのに気づいた。
「……ぅ……ぁ…ぅ……んっっ…」
声を出さないように気をつけても、息と同時に喘ぎ声が漏れ出てしまう。皮膚が異常に敏感になって、腰がぞわぞわする。触ってもいないのに、自分のペニスが勃っていくのがわかった。身体はどんどん敏感になっていき、血流も早くなる。痛いくらいに勃起して、すぐに頭の中が射精でいっぱいになった。熱い、熱い。身体が疼いてしょうがない。今すぐにでもペニスを擦って、精子を吐き出したい。でも、両手を拘束されどうすることもできない。快楽を求めてただ腰が動いた。
「ぅっ、ぐっ、んっ……あっひっ…ぅ、ぅぅ~」
イきたい、イきたい、イきたい…!!
普段はこんなに性欲は強くないはずなのに、今はただイくことしか考えられなかった。
「千佳ちゃん。どうしたの?熱いの?苦しいの?」
頭のすぐ後ろで声がする。見られていた羞恥で顔がカアっと熱くなる。でも、そんなの気にしてられないくらい、とにかく身体が疼いて、もう限界に近かった。
「千佳ちゃん、顔見せて」
優しくお願いされ、なぜか僕は素直に従ってしまった。顔の向きを変える時でさえ、シーツに耳が擦れ、腰に甘く響く。
「……はは、溶けちゃいそうな顔してる。千佳ちゃん、発情してるの?」
恍惚とした表情で、ジュンに見つめられる。さらにジュンは目線を下に移し、張り詰めているであろう僕のペニスを眺めた。
「さっきから、ずっと腰が動いてるよ。千佳ちゃんのペニス、イきたそうだね。でも、このままじゃ、ずぅぅっとイけないね。可哀想」
「うひゃぁぁっっっ」
僕の髪を撫でるのと同じように、ペニスを優しく撫でられ悲鳴が漏れた。と同時に、待ち続けていた刺激に喜んで、こぽっと先走りが溢れた。
「あっ、うっ、ふぅっ、あぁっ…………?」
だが、そんな快楽も束の間、すぐにジュンの手は離れていってしまった。
「な、なんで……」
「ごめんね。俺、もう千佳ちゃんに触っちゃダメなんだよね。もう触らないね、ごめんね」
中途半端に触られたペニスが、さっきよりも痒く、疼きを訴える。もはや止められない先走りがこぽこぽ溢れ、僕の太ももを濡らす。
「ここにいると触っちゃいそうだから、部屋から出ていくね。明日の朝、また来るね」
そんなのはお構いなしに、すっと立ち上がったジュンは扉の方へ歩き出した。今が何時かもわからないが、明日の朝がすぐじゃないことはわかる。今が夜だとして、僕はどれくらい耐えればいいんだ…?
この後おこる地獄を予想して、ぞっとした。もうはち切れそうなペニスがドクドクと脈をうっている。
「ぁ、ぁ、じゅん。じゅんぅ。た、たすけて。お願い、いかないで…」
耐えきれずに、僕はジュンを引き止めてしまった。汗だくの僕とは対照的に、汗ひとつかいてないジュンが落ち着いた足取りで僕に近づく。
「でも、何もしちゃダメって言ったのは、千佳ちゃんだよ?俺は別にいいけど、千佳ちゃんはいいの?」
ベッド横にしゃがんで、目線を合わせてくる。その目は僕を射抜くようで、またぞわっと腰が引いた。
「あっ、いぃっ、いいからぁっ。触っていいからぁ!」
こうしている間にも、身体の熱はどんどん上がっていく。尿道口がひくひくして早く次の刺激を待っている。
「俺、悲しかったんだよ?お嫁さんに“近づくな!”って言われて」
「ごめ、ごめんなさいぃぃっ、許して、もぅゆるしてぇ……」
腰を振りながら必死に懇願する。じゃらじゃらと音を立てながら、ひたすらペニスを揺らす。自分の情けなさに涙が止まらなかったが、でも、飲み込めないほどの快感が思考を奪って、もうどうしようもなかった。
「じゃあ、約束して。俺と千佳ちゃんは夫婦なんだから、これから、千佳ちゃんのことは全部俺が管理するからね?」
顎をこしょこしょとくすぐられ、ふぅっと声が漏れる。ただのくすぐりさえもキツくて、涙が溢れた。
「トイレも、お風呂も着替えも、それからオナニーも。自分でやっちゃダメ。約束できる?」
唇をふにふにと摘まれる。さっき甘噛みされたことを思い出して、口から唾液が溢れた。
「んっ、で、できうぅ、できうからぁ!約束するからぁ、だから、ふっ、ぅぅんっ、もぅ、もぅ無理ぃ……」
「うん。いい子」
頭を撫でられたと思ったら、次の瞬間、パンツを脱がされペニスを思い切り扱かれた。びちゃびちゃのそれは音を立てながら、待ちにまった刺激を享受する。包皮をカリ上でスライドされ、皮を剥かれたペニスがより強く扱かれる。
「ぅあぅぅぅっ、ひっ、ひうっっ、んっ、も、もぅイく、出ちゃうぅ」
ペニスが一際痙攣し、びゅるっと白濁液が飛び出す。身体をベッドに預けたまま、強い快感に浸る。イッたあともしばらく痙攣がおさまらなかった。
「いっぱい出たね。えらいね、千佳ちゃん」
肩で息をする僕に、精液のかかった手を広げて見せてきた。そして、次の瞬間、信じられないことにその手にかかった精液を舐め始めた。
「はっ、あ、何して…」
「んー、ちょっと濃いかな。今度は薄いのつくってみようね」
言いたいことはいろいろいったが、もうヘトヘトで何も言えなかった。おまけに、ジュンが“身体は僕が拭いておくから、千佳ちゃんは寝てていいよ”なんて言うものだから、そのまま目を閉じてしまった。ああ、一体僕はどうなるんだろう……。
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