90 / 134
3章
エイミー合流
しおりを挟む
以前クリスティーナの挙式で泊まった宿に着き、便箋やペンを借りてクリスティーナ宛に手紙を書く。
宛名にアイリーンという自分の名前を書いたとき、クリスティーナは今でもアイリーンのまま皇室にいるのかと当然のことに気づく。
自分がユリシーズの元でアイリーンとして受け入れられていることが特別なのだけれど、相手が人狼でなかったらいまもずっとユリシーズの前でクリスティーナを名乗りながら生活していたのだろう。
しばらくするとすっかり辺りが暗くなっていて、いまごろユリシーズはノクスになっているのかと思う。
気付いたら自分が重症を負っていて倒れているなんて、なかなか大変な状況に置いてきてしまって胸が痛むけれど。
「奥様、いらっしゃいますか?」
聞きなれた声が扉のところで聞こえる。エイミーが到着したのだ。
「どうぞ、入って」
声をかけると扉が開き、エイミーと隣には料理人の男の子が帽子をとってこちらを見ている。
「ちょっとあなた、頭から耳が出ちゃっているから帽子は被っていた方がいいわよ。人間独自の礼儀より身を守る方を優先して」
「は、はい」
そう言うとハンチング帽子に茶色の耳を仕舞って申し訳なさそうにした彼は、なぜエイミーと一緒にここにいるのだろう。
「すいません、奥様。その……わたくしひとりでこちらまで来るのは危険だからと一緒に……」
ああ、女の勘ってこういうのなのかしら。二人の距離感や独特の空気感に、これ、いわゆるできてるってやつねと納得するしかない。
エイミーたちを部屋に入れて、やっぱり男の子が幼くて心配になる。未成年なのではないかしら。
「エイミー、彼はいくつなの?」
「あっ……18歳です」
「……私と同い年なのね」
15歳くらいに見えるけれど、成人していた。エイミーより2歳下ではあるけれど、歳の差というほど離れてもいない。
「付き合ったのは最近?」
「あっ、あの、付き合っておりません」
なによそれ。お付き合いはしていないけれどお互い好きですとかそういう??
「奥様が旦那様と結婚して人狼のみなさまと上手く行っているのを見習いたいと思っておりましたら、仲良くなったというか」
「仲良くなったのは別にいいのだけれど、やけに親密じゃない??」
「そんなっ、親密だなんて。ただわたくしが仲良くしていただいているので」
なんでかしら。こんなにあからさまにカップルの距離感でそんなことを言われても納得できないわね。これで付き合っていないですって……??
「ただ付き合っていないだけとか、そういう男女ってことかしら……」
「お嬢様っ! なんてことを!」
二人が真っ赤になっている。そうなのね、そういう関係ではないのね。
「事故で唇が触れた関係とか?」
「お嬢様!!」
男の子がもじもじしてしまって、エイミーが泣きそうになっている。ただ二人の関係を聞きたいだけだったのに、完全に困らせたわね。
「あ、あのっ、わたくしの片想いですからっ」
エイミーが必死に弁解するのを、部屋の中で帽子を脱いで両手で持ちながら男の子の方はハラハラしながら見ている。ふさふさした耳がときどき動いていて可愛いわね。
「エイミー、見苦しいわよ。距離が近すぎるわ。ただの友達じゃないでしょう??」
「お、奥様……実は僕も片想いだと思っていたのですが……」
「えっ……」
まさかのお互いが鈍すぎるパターン?! ここまで二人きりで来たのに? お互い片想いを抱えながら??
「な、なんかごめんなさい……」
とりあえず、二人が思った以上にプラトニックだったことが判明した。その秘めた想いや積み上げてきた諸々は、私がぶち壊してしまったらしい。
「もうっ、酷いです。お嬢様ったら」
「エイミー、お嬢様じゃなくて奥様よ。ごめんなさい、てっきり付き合っているのかと思ったから……」
「異性と仲が良いだけで付き合っていると思うなんて」
「エイミーさん、奥様なりの観察眼があったんですよ、きっと」
茶色の髪に茶色の耳を持つ人狼の男の子は、ウェーブがかった茶髪の可愛らしい雰囲気が印象的。
エイミーはどうやら可愛い系が好きなのね。
「友人同士はそんなにくっついて歩かないわ」
「えっ」
「人狼は距離が近いから麻痺しやすいけれど、人間は何とも思っていない異性とそんなにぴったり密着しないでしょ」
「そんなに、近かったですか?」
「つい数分前は指を絡めていたのかしら、くらいの距離感だけれど」
二人は恥ずかしそうに下を向いて照れていた。なんだか初々しいというか、思った以上にピュアね。
「お互いが育ててきた気持ちをあっさりと私が暴露してしまったのは謝るわ。とりあえず、いまはエイミーが持ってきているオルブライト伯爵家の印を借りたいのだけれど」
「あ、はいっ」
エイミーは肩から斜め掛けをしていた革製のバッグから白い布に包まれたものを取り出した。
「こちらです」
受け取った布を開くと、金でできた印が出てきた。狼の家紋が彫られている。
「封蝋印を押したら、クリスティーナに手紙を出すの。彼女に会って公爵様のことを色々聞き出さなくちゃ」
「すみません、ご主人様が毒に倒れたと聞いたのですが……」
料理人の男の子が、心配そうにこちらを見ている。
「ええ、バートレットとシンシアがついているわ。ノクスの回復力があれば命に心配はないのだと聞いたけれど」
「それでも、奥様の心中を思うと泣けてきます……」
人狼の男の子は耳を折りたたんで目を潤ませていたから、つられて泣きそうになって咄嗟に視線を外した。
キラキラとした澄んだ目で泣かれると、もらい泣きをしそうになる。
「悔しいけれど、私が狙われたせいでユリシーズが切られてしまったの。だから、こうやって彼から離れて行動しているのよ」
「はい。奥様の行動がご主人様に届くよう、僕も精一杯仕えます」
ピンと耳を立てて胸を張ってくれる。
やっぱり人狼の子はみんな可愛いわね。エイミーが惹かれるのが理解できる。
……って、私と同い年だったんだ。つい見た目の幼さに引っ張られて年下だと思ってしまうわね。
「ありがとう。早くユリシーズのところに行けるように、協力してもらえたら嬉しいわ」
「はいっ! 耳と鼻の良さを生かして、公爵家関係者となるべく出くわさないように帝都をご案内します!」
「……ちょっと待って。公爵関係者かどうかを知るためにどうするつもり? あと、もしかして帝都には公爵家関係者が何人もいるの??」
「申し上げにくいのですが……公爵家の親戚の方々は帝都で要職についている方ばかりですし、公爵様自身も成人されるまで帝都のお城に住んでいた方ですし……」
「……」
お城の前で丁寧に約束の取り方を教えてもらえたのも、私が公爵家のクリスティーナを名乗ったからなのかもしれない。
公爵家関係者の多くは現在のアイリーン妃がクリスティーナであることを知っている気がする。
私がクリスティーナに会おうとすれば、そのうち公爵様に伝わってしまうと考えた方がいいのかも……。
宛名にアイリーンという自分の名前を書いたとき、クリスティーナは今でもアイリーンのまま皇室にいるのかと当然のことに気づく。
自分がユリシーズの元でアイリーンとして受け入れられていることが特別なのだけれど、相手が人狼でなかったらいまもずっとユリシーズの前でクリスティーナを名乗りながら生活していたのだろう。
しばらくするとすっかり辺りが暗くなっていて、いまごろユリシーズはノクスになっているのかと思う。
気付いたら自分が重症を負っていて倒れているなんて、なかなか大変な状況に置いてきてしまって胸が痛むけれど。
「奥様、いらっしゃいますか?」
聞きなれた声が扉のところで聞こえる。エイミーが到着したのだ。
「どうぞ、入って」
声をかけると扉が開き、エイミーと隣には料理人の男の子が帽子をとってこちらを見ている。
「ちょっとあなた、頭から耳が出ちゃっているから帽子は被っていた方がいいわよ。人間独自の礼儀より身を守る方を優先して」
「は、はい」
そう言うとハンチング帽子に茶色の耳を仕舞って申し訳なさそうにした彼は、なぜエイミーと一緒にここにいるのだろう。
「すいません、奥様。その……わたくしひとりでこちらまで来るのは危険だからと一緒に……」
ああ、女の勘ってこういうのなのかしら。二人の距離感や独特の空気感に、これ、いわゆるできてるってやつねと納得するしかない。
エイミーたちを部屋に入れて、やっぱり男の子が幼くて心配になる。未成年なのではないかしら。
「エイミー、彼はいくつなの?」
「あっ……18歳です」
「……私と同い年なのね」
15歳くらいに見えるけれど、成人していた。エイミーより2歳下ではあるけれど、歳の差というほど離れてもいない。
「付き合ったのは最近?」
「あっ、あの、付き合っておりません」
なによそれ。お付き合いはしていないけれどお互い好きですとかそういう??
「奥様が旦那様と結婚して人狼のみなさまと上手く行っているのを見習いたいと思っておりましたら、仲良くなったというか」
「仲良くなったのは別にいいのだけれど、やけに親密じゃない??」
「そんなっ、親密だなんて。ただわたくしが仲良くしていただいているので」
なんでかしら。こんなにあからさまにカップルの距離感でそんなことを言われても納得できないわね。これで付き合っていないですって……??
「ただ付き合っていないだけとか、そういう男女ってことかしら……」
「お嬢様っ! なんてことを!」
二人が真っ赤になっている。そうなのね、そういう関係ではないのね。
「事故で唇が触れた関係とか?」
「お嬢様!!」
男の子がもじもじしてしまって、エイミーが泣きそうになっている。ただ二人の関係を聞きたいだけだったのに、完全に困らせたわね。
「あ、あのっ、わたくしの片想いですからっ」
エイミーが必死に弁解するのを、部屋の中で帽子を脱いで両手で持ちながら男の子の方はハラハラしながら見ている。ふさふさした耳がときどき動いていて可愛いわね。
「エイミー、見苦しいわよ。距離が近すぎるわ。ただの友達じゃないでしょう??」
「お、奥様……実は僕も片想いだと思っていたのですが……」
「えっ……」
まさかのお互いが鈍すぎるパターン?! ここまで二人きりで来たのに? お互い片想いを抱えながら??
「な、なんかごめんなさい……」
とりあえず、二人が思った以上にプラトニックだったことが判明した。その秘めた想いや積み上げてきた諸々は、私がぶち壊してしまったらしい。
「もうっ、酷いです。お嬢様ったら」
「エイミー、お嬢様じゃなくて奥様よ。ごめんなさい、てっきり付き合っているのかと思ったから……」
「異性と仲が良いだけで付き合っていると思うなんて」
「エイミーさん、奥様なりの観察眼があったんですよ、きっと」
茶色の髪に茶色の耳を持つ人狼の男の子は、ウェーブがかった茶髪の可愛らしい雰囲気が印象的。
エイミーはどうやら可愛い系が好きなのね。
「友人同士はそんなにくっついて歩かないわ」
「えっ」
「人狼は距離が近いから麻痺しやすいけれど、人間は何とも思っていない異性とそんなにぴったり密着しないでしょ」
「そんなに、近かったですか?」
「つい数分前は指を絡めていたのかしら、くらいの距離感だけれど」
二人は恥ずかしそうに下を向いて照れていた。なんだか初々しいというか、思った以上にピュアね。
「お互いが育ててきた気持ちをあっさりと私が暴露してしまったのは謝るわ。とりあえず、いまはエイミーが持ってきているオルブライト伯爵家の印を借りたいのだけれど」
「あ、はいっ」
エイミーは肩から斜め掛けをしていた革製のバッグから白い布に包まれたものを取り出した。
「こちらです」
受け取った布を開くと、金でできた印が出てきた。狼の家紋が彫られている。
「封蝋印を押したら、クリスティーナに手紙を出すの。彼女に会って公爵様のことを色々聞き出さなくちゃ」
「すみません、ご主人様が毒に倒れたと聞いたのですが……」
料理人の男の子が、心配そうにこちらを見ている。
「ええ、バートレットとシンシアがついているわ。ノクスの回復力があれば命に心配はないのだと聞いたけれど」
「それでも、奥様の心中を思うと泣けてきます……」
人狼の男の子は耳を折りたたんで目を潤ませていたから、つられて泣きそうになって咄嗟に視線を外した。
キラキラとした澄んだ目で泣かれると、もらい泣きをしそうになる。
「悔しいけれど、私が狙われたせいでユリシーズが切られてしまったの。だから、こうやって彼から離れて行動しているのよ」
「はい。奥様の行動がご主人様に届くよう、僕も精一杯仕えます」
ピンと耳を立てて胸を張ってくれる。
やっぱり人狼の子はみんな可愛いわね。エイミーが惹かれるのが理解できる。
……って、私と同い年だったんだ。つい見た目の幼さに引っ張られて年下だと思ってしまうわね。
「ありがとう。早くユリシーズのところに行けるように、協力してもらえたら嬉しいわ」
「はいっ! 耳と鼻の良さを生かして、公爵家関係者となるべく出くわさないように帝都をご案内します!」
「……ちょっと待って。公爵関係者かどうかを知るためにどうするつもり? あと、もしかして帝都には公爵家関係者が何人もいるの??」
「申し上げにくいのですが……公爵家の親戚の方々は帝都で要職についている方ばかりですし、公爵様自身も成人されるまで帝都のお城に住んでいた方ですし……」
「……」
お城の前で丁寧に約束の取り方を教えてもらえたのも、私が公爵家のクリスティーナを名乗ったからなのかもしれない。
公爵家関係者の多くは現在のアイリーン妃がクリスティーナであることを知っている気がする。
私がクリスティーナに会おうとすれば、そのうち公爵様に伝わってしまうと考えた方がいいのかも……。
0
お気に入りに追加
104
あなたにおすすめの小説
ツンデレ王子とヤンデレ執事 (旧 安息を求めた婚約破棄(連載版))
あみにあ
恋愛
公爵家の長女として生まれたシャーロット。
学ぶことが好きで、気が付けば皆の手本となる令嬢へ成長した。
だけど突然妹であるシンシアに嫌われ、そしてなぜか自分を嫌っている第一王子マーティンとの婚約が決まってしまった。
窮屈で居心地の悪い世界で、これが自分のあるべき姿だと言い聞かせるレールにそった人生を歩んでいく。
そんなときある夜会で騎士と出会った。
その騎士との出会いに、新たな想いが芽生え始めるが、彼女に選択できる自由はない。
そして思い悩んだ末、シャーロットが導きだした答えとは……。
表紙イラスト:San+様(Twitterアカウント@San_plus_)
※以前、短編にて投稿しておりました「安息を求めた婚約破棄」の連載版となります。短編を読んでいない方にもわかるようになっておりますので、ご安心下さい。
結末は短編と違いがございますので、最後まで楽しんで頂ければ幸いです。
※毎日更新、全3部構成 全81話。(2020年3月7日21時完結)
★おまけ投稿中★
※小説家になろう様でも掲載しております。

「君を愛するつもりはない」と言ったら、泣いて喜ばれた
菱田もな
恋愛
完璧令嬢と名高い公爵家の一人娘シャーロットとの婚約が決まった第二皇子オズワルド。しかし、これは政略結婚で、婚約にもシャーロット自身にも全く興味がない。初めての顔合わせの場で「悪いが、君を愛するつもりはない」とはっきり告げたオズワルドに、シャーロットはなぜか歓喜の涙を浮かべて…?
※他サイトでも掲載中しております。

「君の為の時間は取れない」と告げた旦那様の意図を私はちゃんと理解しています。
あおくん
恋愛
憧れの人であった旦那様は初夜が終わったあと私にこう告げた。
「君の為の時間は取れない」と。
それでも私は幸せだった。だから、旦那様を支えられるような妻になりたいと願った。
そして騎士団長でもある旦那様は次の日から家を空け、旦那様と入れ違いにやって来たのは旦那様の母親と見知らぬ女性。
旦那様の告げた「君の為の時間は取れない」という言葉はお二人には別の意味で伝わったようだ。
あなたは愛されていない。愛してもらうためには必要なことだと過度な労働を強いた結果、過労で倒れた私は記憶喪失になる。
そして帰ってきた旦那様は、全てを忘れていた私に困惑する。
※35〜37話くらいで終わります。

雪解けの白い結婚 〜触れることもないし触れないでほしい……からの純愛!?〜
川奈あさ
恋愛
セレンは前世で夫と友人から酷い裏切りを受けたレスられ・不倫サレ妻だった。
前世の深い傷は、転生先の心にも残ったまま。
恋人も友人も一人もいないけれど、大好きな魔法具の開発をしながらそれなりに楽しい仕事人生を送っていたセレンは、祖父のために結婚相手を探すことになる。
だけど凍り付いた表情は、舞踏会で恐れられるだけで……。
そんな時に出会った壁の花仲間かつ高嶺の花でもあるレインに契約結婚を持ちかけられる。
「私は貴女に触れることもないし、私にも触れないでほしい」
レインの条件はひとつ、触らないこと、触ることを求めないこと。
実はレインは女性に触れられると、身体にひどいアレルギー症状が出てしまうのだった。
女性アレルギーのスノープリンス侯爵 × 誰かを愛することが怖いブリザード令嬢。
過去に深い傷を抱えて、人を愛することが怖い。
二人がゆっくり夫婦になっていくお話です。
傲慢令嬢は、猫かぶりをやめてみた。お好きなように呼んでくださいませ。愛しいひとが私のことをわかってくださるなら、それで十分ですもの。
石河 翠
恋愛
高飛車で傲慢な令嬢として有名だった侯爵令嬢のダイアナは、婚約者から婚約を破棄される直前、階段から落ちて頭を打ち、記憶喪失になった上、体が不自由になってしまう。
そのまま修道院に身を寄せることになったダイアナだが、彼女はその暮らしを嬉々として受け入れる。妾の子であり、貴族暮らしに馴染めなかったダイアナには、修道院での暮らしこそ理想だったのだ。
新しい婚約者とうまくいかない元婚約者がダイアナに接触してくるが、彼女は突き放す。身勝手な言い分の元婚約者に対し、彼女は怒りを露にし……。
初恋のひとのために貴族教育を頑張っていたヒロインと、健気なヒロインを見守ってきたヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は、別サイトにも投稿しております。
表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。
子持ちの私は、夫に駆け落ちされました
月山 歩
恋愛
産まれたばかりの赤子を抱いた私は、砦に働きに行ったきり、帰って来ない夫を心配して、鍛錬場を訪れた。すると、夫の上司は夫が仕事中に駆け落ちしていなくなったことを教えてくれた。食べる物がなく、フラフラだった私は、その場で意識を失った。赤子を抱いた私を気の毒に思った公爵家でお世話になることに。
【コミカライズ決定】魔力ゼロの子爵令嬢は王太子殿下のキス係
ayame@コミカライズ決定
恋愛
【ネトコン12受賞&コミカライズ決定です!】私、ユーファミア・リブレは、魔力が溢れるこの世界で、子爵家という貴族の一員でありながら魔力を持たずに生まれた。平民でも貴族でも、程度の差はあれど、誰もが有しているはずの魔力がゼロ。けれど優しい両親と歳の離れた後継ぎの弟に囲まれ、贅沢ではないものの、それなりに幸せな暮らしを送っていた。そんなささやかな生活も、12歳のとき父が災害に巻き込まれて亡くなったことで一変する。領地を復興させるにも先立つものがなく、没落を覚悟したそのとき、王家から思わぬ打診を受けた。高すぎる魔力のせいで身体に異常をきたしているカーティス王太子殿下の治療に協力してほしいというものだ。魔力ゼロの自分は役立たずでこのまま穀潰し生活を送るか修道院にでも入るしかない立場。家族と領民を守れるならと申し出を受け、王宮に伺候した私。そして告げられた仕事内容は、カーティス王太子殿下の体内で暴走する魔力をキスを通して吸収する役目だったーーー。_______________
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる