54 / 134
2章
情愛 2
しおりを挟む
両親から折檻された数々の傷痕が残っていて、身体を見られるのが怖かった。
だけど、私よりも沢山の傷痕を持つユリシーズの身体が美しくて、傷痕を恥ずかしいと思うのはもう止めようと思う。
ユリシーズは、どんな私も受け入れてくれる。
生涯で私だけを愛する人狼として、この先もずっと。
「アイリーン。今まで生きてきた中で一番幸せです」
「幸せ?」
「アイリーンは、違いますか?」
「私は、自分が自分でなくなっていくようで、怖い」
男の人が苦手だった私が、夫の前に素肌を晒して、触れられて、乱れていく。
こんなのは、知らない。こんな声を上げるのは、私ではない。
「恐れずに受け入れてください。私をこんなに幸せにできるのはこの世で貴女ひとりですから」
微笑みながら余裕なく私に触れる。
何が何だか分からなくなりそうな中、ユリシーズが幸せならこれで良いのかもしれないと思った。
初めてのことはよく分からない。
ユリシーズが、ただ愛おしいだけ。
***
ああもう。こんなはずじゃなかった。
お互い寝不足だからゆっくり眠ろうと寝室に来て、ユリシーズは私を抱きしめて眠ると言ったのに、別の意味で抱き合って「寝て」しまった。
明るい時間から、ちょっとだけそんなことをしたらすぐに眠るのだと思っていたのに、陽が暮れるまで終わることは無く……結局ノクスが出てきて……。
「寝不足だって言ってたじゃないの……」
「ばーか。この状況で優先順位が睡眠になるわけねーだろ」
そんなわけで、もうすぐ明け方になる。二人で横になってこれから寝ようと思っているけれど、外では鳥がさえずり始めていて、これから朝を迎えるのを喜んでいるようにも聞こえた。
さすがに私はへとへとで、徹夜明けでこんな目に遭うなんて不本意も甚だしい。
「私、人狼の妻は務まらないかも……」
「はあ?!」
「昼と夜の別人格を相手にする体力がないわ」
「弱気になるなアイリーン。お前はその……すごく……良かった」
「何が?」
「あのなあ……」
言い淀んでから、「わざと純情ぶってるんじゃないかと疑うぞ」と鼻をつままれた。そんなわけないでしょ。無知なのが恥ずかしいくらいよ。
「俺、最低5人は欲しい」
「?」
「子どもの話」
「えっ?? そんなに?!」
ひとりだって命がけだというのに、5人「は」ってどういうこと?
「大丈夫、狼は安産だ」
「残念ながら、私は人なのよ」
「子ども側は安全に生まれて来るだろ」
まるで他人事に聞こえて、ちょっとムッとした。戻って早々夫婦喧嘩になりそう。
「ごめんなさい、そんなに必要なら側室を迎えてくれないかしら?」
「はあ?! 冗談言うな。俺はアイリーン以外とこんなことしたくない」
ノクスの言う「こんなこと」は、人間社会だとパートナーを変えて行われることも普通にある。
「側室を迎えろなんて二度と言うな」
「子どもが必要なら、別の女性がいても気にしないわ」
「俺がアイリーン以外と寝るのは嫌だ」
人狼はどうしてそんなに一人のパートナーに固執するのかしら。
人間の世界では、男性が複数の妻を持つことも、不貞も日常茶飯事なのに。
「どうして、他の人と寝たくないの?」
「そんな暇があるなら、一秒でも長くアイリーンといたい」
「そう……」
「重くて悪かったな」
耳の垂れたノクスにぎゅう、と抱きしめられて全身で彼の重みを感じる。
愛が重いのは、別に構わない。
側室が要らないと断言されるのも悪くないと思う。
ただ、こうなってみて急に現実が襲ってきたの。未知の体験だからか、出産が怖い。
私に何かあったら、あなたは後を追ってきてしまう。
そうしたら、親のいない子が残されてしまうのに……。
「私と離れている間、泣いた?」
「……そりゃ、泣くだろ」
「寂しくて?」
「アイリーンを傷つけたまま会えなくなって、情けなかった。こんなに好きで一生守るつもりだったのに、あっさり攫われて自己嫌悪もあった」
昼も夜も、泣いたのね。
どれだけ涙を流したのか分からないけれど。
「それで? 私が戻ったら家族を増やそうと思ったってこと?」
「そこまで考える余裕なんかなかった。公爵家の敷地に忍び込んでアイリーンに会えた時、狼の姿じゃなかったら嬉しくてこうなってたかもしれないなとは思う」
「えっ? あの状況でそんなこと考えられる??」
「あのなあ、伴侶が好いてくれていたら、自然にそういう気持ちが湧くもんだろ?」
信じられない。あんな敵の中枢みたいな場所でもこんなことをしようとか思えるわけ?
満月の時にノクスが狼化していて良かった。あの環境だったら本気で嫌だった。
「公爵様は、あなたを諦めていないと思う」
「うん、そうだろうな」
「ディエスにそれを言う勇気が無くて、ノクスに言ってるの」
「大丈夫だ。ディエスもアイリーンが攫われて公爵家に対しての認識の甘さを思い知った。遠慮をしていたらアイリーンが奪われる。だから、素直な気持ちを優先して深い関係になったんだろ」
当初、ディエスは私や自分の子どもを人質に取られたくないと言っていた。
子どもを作るのは心配がなくなってから、なんて言っていたのに。
私が攫われたことで方針を変えたのね。
「まあ、ただ単に理性に限界がきてただけかもしれないけどな」
「理性に限界?」
「人間のふりをした獣だからな、あいつ」
よく分からないけれど、要するにディエスもノクスもこれまで会った男性たちと同じような目で私を見ていたってことよね。
「どうして、ユリシーズなら平気だったのかしら」
「何が?」
「私、男の人に見られることすら苦手だったのに」
「この流れで、そんなことも分からないのか?」
「?」
「アイリーンは俺しか愛せないってことだろ。人狼と何が違う?」
え……? それって……つまり……。
「嘘……」
全然意識していなかった。自分もユリシーズにこだわっていた?
そうかもしれない。
いいえ、そうでなければ辻褄が合わない。
ユリシーズに対する「好き」が男性に対する情欲を含んでいなければ、触れられて嬉しいなんて思うわけがないし、夫婦の情を交わしたりもしなかったはずだ。
「嘘って何だよ、素直に認めたらどうだ?」
「だって、私、これまで誰かに愛されたこともなかったし……」
「うん。それで?」
ノクスはぎゅうっと私を抱きしめる。
「好きとか、愛とか、恋とか、全部知らなかったもの」
「じゃあ、これから答え合わせをしていけばいい。ユリシーズ・オルブライトは、昼も夜もアイリーンを愛しているし、恋焦がれてもいる。アイリーンの気持ちがそれと同じなのか、ゆっくり検証していけばいい」
うなずくと、ノクスはそっと唇に触れるキスをくれる。
この人のためなら、なんでもしたいと思う。
この気持ちは、愛と呼ばれるものだろうか。
だけど、私よりも沢山の傷痕を持つユリシーズの身体が美しくて、傷痕を恥ずかしいと思うのはもう止めようと思う。
ユリシーズは、どんな私も受け入れてくれる。
生涯で私だけを愛する人狼として、この先もずっと。
「アイリーン。今まで生きてきた中で一番幸せです」
「幸せ?」
「アイリーンは、違いますか?」
「私は、自分が自分でなくなっていくようで、怖い」
男の人が苦手だった私が、夫の前に素肌を晒して、触れられて、乱れていく。
こんなのは、知らない。こんな声を上げるのは、私ではない。
「恐れずに受け入れてください。私をこんなに幸せにできるのはこの世で貴女ひとりですから」
微笑みながら余裕なく私に触れる。
何が何だか分からなくなりそうな中、ユリシーズが幸せならこれで良いのかもしれないと思った。
初めてのことはよく分からない。
ユリシーズが、ただ愛おしいだけ。
***
ああもう。こんなはずじゃなかった。
お互い寝不足だからゆっくり眠ろうと寝室に来て、ユリシーズは私を抱きしめて眠ると言ったのに、別の意味で抱き合って「寝て」しまった。
明るい時間から、ちょっとだけそんなことをしたらすぐに眠るのだと思っていたのに、陽が暮れるまで終わることは無く……結局ノクスが出てきて……。
「寝不足だって言ってたじゃないの……」
「ばーか。この状況で優先順位が睡眠になるわけねーだろ」
そんなわけで、もうすぐ明け方になる。二人で横になってこれから寝ようと思っているけれど、外では鳥がさえずり始めていて、これから朝を迎えるのを喜んでいるようにも聞こえた。
さすがに私はへとへとで、徹夜明けでこんな目に遭うなんて不本意も甚だしい。
「私、人狼の妻は務まらないかも……」
「はあ?!」
「昼と夜の別人格を相手にする体力がないわ」
「弱気になるなアイリーン。お前はその……すごく……良かった」
「何が?」
「あのなあ……」
言い淀んでから、「わざと純情ぶってるんじゃないかと疑うぞ」と鼻をつままれた。そんなわけないでしょ。無知なのが恥ずかしいくらいよ。
「俺、最低5人は欲しい」
「?」
「子どもの話」
「えっ?? そんなに?!」
ひとりだって命がけだというのに、5人「は」ってどういうこと?
「大丈夫、狼は安産だ」
「残念ながら、私は人なのよ」
「子ども側は安全に生まれて来るだろ」
まるで他人事に聞こえて、ちょっとムッとした。戻って早々夫婦喧嘩になりそう。
「ごめんなさい、そんなに必要なら側室を迎えてくれないかしら?」
「はあ?! 冗談言うな。俺はアイリーン以外とこんなことしたくない」
ノクスの言う「こんなこと」は、人間社会だとパートナーを変えて行われることも普通にある。
「側室を迎えろなんて二度と言うな」
「子どもが必要なら、別の女性がいても気にしないわ」
「俺がアイリーン以外と寝るのは嫌だ」
人狼はどうしてそんなに一人のパートナーに固執するのかしら。
人間の世界では、男性が複数の妻を持つことも、不貞も日常茶飯事なのに。
「どうして、他の人と寝たくないの?」
「そんな暇があるなら、一秒でも長くアイリーンといたい」
「そう……」
「重くて悪かったな」
耳の垂れたノクスにぎゅう、と抱きしめられて全身で彼の重みを感じる。
愛が重いのは、別に構わない。
側室が要らないと断言されるのも悪くないと思う。
ただ、こうなってみて急に現実が襲ってきたの。未知の体験だからか、出産が怖い。
私に何かあったら、あなたは後を追ってきてしまう。
そうしたら、親のいない子が残されてしまうのに……。
「私と離れている間、泣いた?」
「……そりゃ、泣くだろ」
「寂しくて?」
「アイリーンを傷つけたまま会えなくなって、情けなかった。こんなに好きで一生守るつもりだったのに、あっさり攫われて自己嫌悪もあった」
昼も夜も、泣いたのね。
どれだけ涙を流したのか分からないけれど。
「それで? 私が戻ったら家族を増やそうと思ったってこと?」
「そこまで考える余裕なんかなかった。公爵家の敷地に忍び込んでアイリーンに会えた時、狼の姿じゃなかったら嬉しくてこうなってたかもしれないなとは思う」
「えっ? あの状況でそんなこと考えられる??」
「あのなあ、伴侶が好いてくれていたら、自然にそういう気持ちが湧くもんだろ?」
信じられない。あんな敵の中枢みたいな場所でもこんなことをしようとか思えるわけ?
満月の時にノクスが狼化していて良かった。あの環境だったら本気で嫌だった。
「公爵様は、あなたを諦めていないと思う」
「うん、そうだろうな」
「ディエスにそれを言う勇気が無くて、ノクスに言ってるの」
「大丈夫だ。ディエスもアイリーンが攫われて公爵家に対しての認識の甘さを思い知った。遠慮をしていたらアイリーンが奪われる。だから、素直な気持ちを優先して深い関係になったんだろ」
当初、ディエスは私や自分の子どもを人質に取られたくないと言っていた。
子どもを作るのは心配がなくなってから、なんて言っていたのに。
私が攫われたことで方針を変えたのね。
「まあ、ただ単に理性に限界がきてただけかもしれないけどな」
「理性に限界?」
「人間のふりをした獣だからな、あいつ」
よく分からないけれど、要するにディエスもノクスもこれまで会った男性たちと同じような目で私を見ていたってことよね。
「どうして、ユリシーズなら平気だったのかしら」
「何が?」
「私、男の人に見られることすら苦手だったのに」
「この流れで、そんなことも分からないのか?」
「?」
「アイリーンは俺しか愛せないってことだろ。人狼と何が違う?」
え……? それって……つまり……。
「嘘……」
全然意識していなかった。自分もユリシーズにこだわっていた?
そうかもしれない。
いいえ、そうでなければ辻褄が合わない。
ユリシーズに対する「好き」が男性に対する情欲を含んでいなければ、触れられて嬉しいなんて思うわけがないし、夫婦の情を交わしたりもしなかったはずだ。
「嘘って何だよ、素直に認めたらどうだ?」
「だって、私、これまで誰かに愛されたこともなかったし……」
「うん。それで?」
ノクスはぎゅうっと私を抱きしめる。
「好きとか、愛とか、恋とか、全部知らなかったもの」
「じゃあ、これから答え合わせをしていけばいい。ユリシーズ・オルブライトは、昼も夜もアイリーンを愛しているし、恋焦がれてもいる。アイリーンの気持ちがそれと同じなのか、ゆっくり検証していけばいい」
うなずくと、ノクスはそっと唇に触れるキスをくれる。
この人のためなら、なんでもしたいと思う。
この気持ちは、愛と呼ばれるものだろうか。
0
お気に入りに追加
104
あなたにおすすめの小説

雪解けの白い結婚 〜触れることもないし触れないでほしい……からの純愛!?〜
川奈あさ
恋愛
セレンは前世で夫と友人から酷い裏切りを受けたレスられ・不倫サレ妻だった。
前世の深い傷は、転生先の心にも残ったまま。
恋人も友人も一人もいないけれど、大好きな魔法具の開発をしながらそれなりに楽しい仕事人生を送っていたセレンは、祖父のために結婚相手を探すことになる。
だけど凍り付いた表情は、舞踏会で恐れられるだけで……。
そんな時に出会った壁の花仲間かつ高嶺の花でもあるレインに契約結婚を持ちかけられる。
「私は貴女に触れることもないし、私にも触れないでほしい」
レインの条件はひとつ、触らないこと、触ることを求めないこと。
実はレインは女性に触れられると、身体にひどいアレルギー症状が出てしまうのだった。
女性アレルギーのスノープリンス侯爵 × 誰かを愛することが怖いブリザード令嬢。
過去に深い傷を抱えて、人を愛することが怖い。
二人がゆっくり夫婦になっていくお話です。

できれば穏便に修道院生活へ移行したいのです
新条 カイ
恋愛
ここは魔法…魔術がある世界。魔力持ちが優位な世界。そんな世界に日本から転生した私だったけれど…魔力持ちではなかった。
それでも、貴族の次女として生まれたから、なんとかなると思っていたのに…逆に、悲惨な将来になる可能性があるですって!?貴族の妾!?嫌よそんなもの。それなら、女の幸せより、悠々自適…かはわからないけれど、修道院での生活がいいに決まってる、はず?
将来の夢は修道院での生活!と、息巻いていたのに、あれ。なんで婚約を申し込まれてるの!?え、第二王子様の護衛騎士様!?接点どこ!?
婚約から逃れたい元日本人、現貴族のお嬢様の、逃れられない恋模様をお送りします。
■■両翼の守り人のヒロイン側の話です。乳母兄弟のあいつが暴走してとんでもない方向にいくので、ストッパーとしてヒロイン側をちょいちょい設定やら会話文書いてたら、なんかこれもUPできそう。と…いう事で、UPしました。よろしくお願いします。(ストッパーになれればいいなぁ…)
■■

【完結】消された第二王女は隣国の王妃に熱望される
風子
恋愛
ブルボマーナ国の第二王女アリアンは絶世の美女だった。
しかし側妃の娘だと嫌われて、正妃とその娘の第一王女から虐げられていた。
そんな時、隣国から王太子がやって来た。
王太子ヴィルドルフは、アリアンの美しさに一目惚れをしてしまう。
すぐに婚約を結び、結婚の準備を進める為に帰国したヴィルドルフに、突然の婚約解消の連絡が入る。
アリアンが王宮を追放され、修道院に送られたと知らされた。
そして、新しい婚約者に第一王女のローズが決まったと聞かされるのである。
アリアンを諦めきれないヴィルドルフは、お忍びでアリアンを探しにブルボマーナに乗り込んだ。
そしてある夜、2人は運命の再会を果たすのである。
傲慢令嬢は、猫かぶりをやめてみた。お好きなように呼んでくださいませ。愛しいひとが私のことをわかってくださるなら、それで十分ですもの。
石河 翠
恋愛
高飛車で傲慢な令嬢として有名だった侯爵令嬢のダイアナは、婚約者から婚約を破棄される直前、階段から落ちて頭を打ち、記憶喪失になった上、体が不自由になってしまう。
そのまま修道院に身を寄せることになったダイアナだが、彼女はその暮らしを嬉々として受け入れる。妾の子であり、貴族暮らしに馴染めなかったダイアナには、修道院での暮らしこそ理想だったのだ。
新しい婚約者とうまくいかない元婚約者がダイアナに接触してくるが、彼女は突き放す。身勝手な言い分の元婚約者に対し、彼女は怒りを露にし……。
初恋のひとのために貴族教育を頑張っていたヒロインと、健気なヒロインを見守ってきたヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は、別サイトにも投稿しております。
表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。
【完結】双子の伯爵令嬢とその許婚たちの物語
ひかり芽衣
恋愛
伯爵令嬢のリリカとキャサリンは二卵性双生児。生まれつき病弱でどんどん母似の美女へ成長するキャサリンを母は溺愛し、そんな母に父は何も言えない……。そんな家庭で育った父似のリリカは、とにかく自分に自信がない。幼い頃からの許婚である伯爵家長男ウィリアムが心の支えだ。しかしある日、ウィリアムに許婚の話をなかったことにして欲しいと言われ……
リリカとキャサリン、ウィリアム、キャサリンの許婚である公爵家次男のスターリン……彼らの物語を一緒に見守って下さると嬉しいです。
⭐︎2023.4.24完結⭐︎
※2024.2.8~追加・修正作業のため、2話以降を一旦非公開にしていました。
→2024.3.4再投稿。大幅に追加&修正をしたので、もしよければ読んでみて下さい(^^)
将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです
きぬがやあきら
恋愛
「聖女になれなかったなりそこない。こんなところまで追って来るとはな。そんなに俺を忘れられないなら、一度くらい抱いてやろうか?」
5歳のオリヴィエは、神殿で出会ったアルディアの皇太子、ルーカスと恋に落ちた。アルディア王国では、皇太子が代々聖女を妻に迎える慣わしだ。しかし、13歳の選別式を迎えたオリヴィエは、聖女を落選してしまった。
その上盲目の知恵者オルガノに、若くして命を落とすと予言されたオリヴィエは、せめてルーカスの傍にいたいと、ルーカスが団長を務める聖騎士への道へと足を踏み入れる。しかし、やっとの思いで再開したルーカスは、昔の約束を忘れてしまったのではと錯覚するほど冷たい対応で――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる