会社の後輩が諦めてくれません

碧井夢夏

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第3章

一緒にいられれば

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 ベッドで横になっていると、風呂上がりの赤堀がこの間一緒に買いに行った例のルームウェアで現れた。ふくらはぎまで隠れる長め丈。パステルグリーンのワンピースは、なんだか赤堀を華奢に見せる。
 昼間とは印象が違っていて随分リラックスしているようにも見えるから、これはこれでいな、とじっと眺めた。

「あの、お風呂・・いただきました。で、お湯も捨てておきました」
「おう」

 やっぱり赤堀には緊張が見える。これは今日も無理だろうなと何となく思った。強がっているわけじゃなく、無理でも良かった。一緒にいららればそれで、充分幸せだからだ。
 どちらからということもなく自然にキスをして、自然にベッドに身体を預け、自然に身体を寄せる。

「その服、かわいい。似合うな」
「ほ、ほんとです・・?」
「思ってねえのにわざわざ言うかよ」

 困った顔で照れる赤堀に、なんだか癒される。今日も一日頑張ったな、俺。  
 こうやって癒されるなあと思うってことは、それなりに傷んでたんだなとも実感する。
 青木にも心労食らわされるし、赤堀を堪能して心の中で青木を嘲笑ってやろう。青木に赤堀は触れないんだ。赤堀の、この見事なまでのうっとり顔を知っているのは俺だけだからな。はははははは。

「どうしたんですか? 茶谷さん、ニヤニヤして」
「え? ニヤニヤしてた?」
「してました。何か良いことあったんですか?」
「今から良いことがあるかなと思ったんだよ」

 昨日より自然に触れ合った。赤堀は相変わらず俺の身体をやたら触る。そうして意識がこっちに向いている間に、昨日知った赤堀の身体を確かめるように探っていく。
 力が抜けていた。今、怖くないのかもしれない。

「どうした? 大分身体ほぐれてるけど・・」
「嫌じゃないから・・です。茶谷さんのことが・・大好きだからじゃないですか・・?」
「嬉しい事言ってくれるじゃねえの・・」

 なんかびっくりして、ちょっと泣きそうになった。
 赤堀が、必死に自分を変えようとしている。

「今日は、やめないで下さい。お願いです・・」
「・・ああ、分かった」

 彼氏彼女の正解なんてない。赤堀が無理なら、それでいいと思った。
 でも、赤堀は違うらしい。必死に、乗り越えようとしてんだ、今。
 
 過去のトラウマなんて、全部忘れさせてやりたい。
 嫌だと思った行為を全部、塗り替えてやりたい。
 お前を傷付けて貶した過去の男は、結局何だったんだろうなって、一緒に笑おう。
 
 全然良くないとお前に言ったやつを、真っ向から否定してやる。
 今から全部、証明してやるから――……。
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