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第3章
ただいま
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青木に対するイライラがまだ収まり切らないものの、ようやくマンションが見えると、今日はあそこで赤堀が待ってんだなあと感慨深い。
急ぎ足で歩いて自宅の鍵を開けると、慌てて玄関に駆け付けた赤堀がいた。
「茶谷さん!!」
「おう、ただいま」
「あ、あの、手を洗ってきたら・・ですよ?」
飛びついてこないなと思ったら、そうか、と気付いて洗面所に向かう。ついでに服もスーツから着替えてTシャツとジャージにした。
「茶谷さーん! お帰りなさい!」
「ぐっ・・」
か、肩が・・赤堀の肩が・・みぞおちに入った・・。俺としたことが・・不覚。
・・そんな茶番みたいなことが起きたが、まあ、いいだろう。
「今日のご飯、どうしましょっか?」
「あるものでなんか作ろうぜー」
「茶谷シェフ、よろしくお願いします!」
今日も、昨日と同じようにキッチンに2人で立って食事を作る。結局材料も大して残っていなくて、豚肉の薄切りを包丁でたたいて挽肉を作り、マーボー茄子にした。調味料だけは揃っている。
「茶谷さん、美味しいです、マーボー茄子! すごい。挽肉から作るとか、天才じゃないですか!」
「いや・・別に・・簡単だぞ?」
赤堀は、何でもうまそうに食うなあと感心する。ああ、だから食事連れてってやろうとか思ったのかなあと前の自分を思い出したりして・・。
「今日さ、青木と話したんだけど・・。あいつ、すげえ感じ悪いんだよな」
「ええ? そうなんですか? あ、そういえば・・加南もそんなこと言ってました。怒ると結構感じの悪い言い方するんだよ、って」
「そうか、藍木が言うなら間違いないな。青木、ちょっと問題あるんだな」
俺が頷いていたら赤堀の眉間に皺が寄る。
「なんで、茶谷さんてそんな加南を贔屓するんですか?」
「言っとくけど、俺は藍木を正当に評価しているからこうなってるんだ。ちなみに、あいつの目は確かだ」
俺がそう言うと、赤堀は何だか納得していない顔をした。
「なんだか茶谷さんって、私のことより加南を評価してますよね・・」
「ええ? うーん、まあ・・藍木の方が・・現状は優秀かもな・・」
「・・そうですか・・」
落ち込んだ・・。赤堀、お前、さすがに藍木には敵わねえんじゃねえかな・・。ちょっとお前も考えてみろよ、あの藍木は・・キャリアが短い割に、仕事の出来は既に社内のトップクラスだぞ。
「あのさあ、俺の彼女は藍木ではなく赤堀結なんですが・・」
「・・あ、そうですね?」
うん、こうやってすぐに明るくなるのは、お前のいいところだな。
「なあ、夕飯食ったら一緒に風呂はいろーぜ」
「・・ごめんなさい、それはハードル高いのでお断りします」
「何でだよ。別に風呂ぐらい良いだろうよ」
「あの、私、ちょっとプライベートな空間はあんまり侵されたくない派で・・」
断られた・・。きっぱりと断られた・・。しかもなんか冷たい感じで断られた・・。
俺は寂しいなあと思いながら一人で風呂に入り、次に風呂に入った赤堀が出てくるまで寝室でスマホをいじりながら待つことになる。一緒に風呂でも入って慣れて緊張がほぐれればいいなと思ったのに、全然そういう問題じゃなかったらしい。
急ぎ足で歩いて自宅の鍵を開けると、慌てて玄関に駆け付けた赤堀がいた。
「茶谷さん!!」
「おう、ただいま」
「あ、あの、手を洗ってきたら・・ですよ?」
飛びついてこないなと思ったら、そうか、と気付いて洗面所に向かう。ついでに服もスーツから着替えてTシャツとジャージにした。
「茶谷さーん! お帰りなさい!」
「ぐっ・・」
か、肩が・・赤堀の肩が・・みぞおちに入った・・。俺としたことが・・不覚。
・・そんな茶番みたいなことが起きたが、まあ、いいだろう。
「今日のご飯、どうしましょっか?」
「あるものでなんか作ろうぜー」
「茶谷シェフ、よろしくお願いします!」
今日も、昨日と同じようにキッチンに2人で立って食事を作る。結局材料も大して残っていなくて、豚肉の薄切りを包丁でたたいて挽肉を作り、マーボー茄子にした。調味料だけは揃っている。
「茶谷さん、美味しいです、マーボー茄子! すごい。挽肉から作るとか、天才じゃないですか!」
「いや・・別に・・簡単だぞ?」
赤堀は、何でもうまそうに食うなあと感心する。ああ、だから食事連れてってやろうとか思ったのかなあと前の自分を思い出したりして・・。
「今日さ、青木と話したんだけど・・。あいつ、すげえ感じ悪いんだよな」
「ええ? そうなんですか? あ、そういえば・・加南もそんなこと言ってました。怒ると結構感じの悪い言い方するんだよ、って」
「そうか、藍木が言うなら間違いないな。青木、ちょっと問題あるんだな」
俺が頷いていたら赤堀の眉間に皺が寄る。
「なんで、茶谷さんてそんな加南を贔屓するんですか?」
「言っとくけど、俺は藍木を正当に評価しているからこうなってるんだ。ちなみに、あいつの目は確かだ」
俺がそう言うと、赤堀は何だか納得していない顔をした。
「なんだか茶谷さんって、私のことより加南を評価してますよね・・」
「ええ? うーん、まあ・・藍木の方が・・現状は優秀かもな・・」
「・・そうですか・・」
落ち込んだ・・。赤堀、お前、さすがに藍木には敵わねえんじゃねえかな・・。ちょっとお前も考えてみろよ、あの藍木は・・キャリアが短い割に、仕事の出来は既に社内のトップクラスだぞ。
「あのさあ、俺の彼女は藍木ではなく赤堀結なんですが・・」
「・・あ、そうですね?」
うん、こうやってすぐに明るくなるのは、お前のいいところだな。
「なあ、夕飯食ったら一緒に風呂はいろーぜ」
「・・ごめんなさい、それはハードル高いのでお断りします」
「何でだよ。別に風呂ぐらい良いだろうよ」
「あの、私、ちょっとプライベートな空間はあんまり侵されたくない派で・・」
断られた・・。きっぱりと断られた・・。しかもなんか冷たい感じで断られた・・。
俺は寂しいなあと思いながら一人で風呂に入り、次に風呂に入った赤堀が出てくるまで寝室でスマホをいじりながら待つことになる。一緒に風呂でも入って慣れて緊張がほぐれればいいなと思ったのに、全然そういう問題じゃなかったらしい。
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