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第3章
朝がつらい
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朝が来て、赤堀より先に目が覚めた。時間を見るとまだ6時前。夕飯をそのままにしてたのとか、シャワー浴びたいとか、まあ色々やることはあるしそっと起きて活動を始める。
夕食を片付けて洗い物を済ませ、シャワーを浴びて裸で歩いていたら赤堀が起きて来た。
「ちゃ、茶谷さん・・」
「おう、起きたか」
「朝から何て格好してるんですか」
パンツ履いてんだけどそういう問題じゃねえのかな。
「やだもう、目のやり場に困ります!」
「ガン見しながら言うセリフか?」
「茶谷副部長・・身体が良い・・」
「へーへー、サンキュ。赤堀もシャワーすれば?」
実は、4月頭に昇進して営業2部の副部長になった。昨日は寝る前に散々副部長呼びされて、やめろと言いながら案外嬉しかった。
赤堀はそのまま近づいて来て無言で抱き付いて来る。
「朝からカッコいいとか、悔しい・・」
「へえ? そんなに?」
満更でもない俺はくっついてきた赤堀と何度もキスをした。これから仕事に行くのかと思うと、今日くらいは休みてえなあと残念な気分だ。
「明日は土曜だから・・今晩からずっとイチャイチャできるな」
「あ・・は、はい・・」
なんかダメそうな雰囲気で言うなよ。やっぱりガチガチじゃねえか。
「無事に、帰って来て下さいね?」
「何だよ、急に」
赤堀は、時々妙に心配そうにする。俺が行くのは単なる仕事だっていうのに、今生の別れみたいな雰囲気だ。
「帰って来るよ。そんなに昨日の続きがしたいのか・・」
「ち、違いますー!」
「違うのか・・」
不満気な顔で言うと、赤堀が慌て始める。さて、どうフォローしてくれるんだ?
「何がしたいとかじゃなくて、茶谷さんと一緒にいるのが良いんです・・」
「へえ?」
まあ、合格だろう。今日は急いで帰ってこようと思うほどには。
反応を確かめたくなって、赤堀の耳に舌を当ててワザと音を立ててみる。ちょっとだけ色っぽい声が漏れた。
「いいな。昨日より、慣れたな」
「やめてください・・からかわないで」
「からかってねえよ。欲求不満なんだよ」
「やっぱり・・欲求不満なんですか?」
思い詰めた顔で悲しそうな声をしていた。これはまた、自分を責めてるやつだな?
「朝から彼女がかわいいと欲が沸くんだよ・・」
「裸で言わないで下さいよ・・」
「身体が良いって言ったのはどこの誰でしたっけ??」
「わ、私ですっ・・けど・・」
そんなわけで、朝っぱらから俺は赤堀を堪能し、セクハラまがいの絡み方で言葉攻めをしたりと、大いに嫌がられながら楽しんだ。ひと通り赤堀を困らせてから解放すると、見事に頭をはたかれて「最低」とまで言われる羽目になる。
「もう! 茶谷さんてかっこいいのに、おやじっぽいんですよ、時々!」
なんか二十歳そこそこの女に言われると、すげーショックなんだけど。
そりゃ、赤堀の同年代に比べたら一回り近く年食ってるし、おやじっぽいのかもしれない。
自信無くすようなこと言うなよ。俺、これから仕事行くんだぞ・・。
「どうせおやじだよ。姪っ子や甥っ子にも叔父さんって言われてるし」
「なんで落ち込んでる風なんですか?」
「いや、実際落ち込んでる」
「茶谷さんって落ち込むんですか?」
おい、人を何だと思ってる。それなりに繊細なんだよ、こう見えてな。
「彼女におやじ呼ばわりされたら、そりゃ落ち込みますよ」
「そ、そうなんですか・・」
「自信を取り戻してえなあ・・」
裸で何言ってんだろと思う。おやじ以前に人として。服を着たい。
「茶谷さん・・私、茶谷さんの見た目、世界一好きです」
「見た目だけって意味か?」
「あと、仕事ができるところが世界一好きです」
「おお」
「口調は冷たいのに、実際は優しいっていうギャップとか最高です」
「・・うーん・・」
そんなギャップはないんだけどな、優しいとも思えないし。赤堀の恩人補正だろうな。
「あと、昨日からなんか別人みたいに甘いっていうか・・」
「・・ごめん、それ自信につながらない」
「ますます好きです。私には、茶谷さん以上の人なんていません」
「おお」
早く服を着ろよ、俺、なんて思いながら赤堀と抱き合うと、赤堀は相変わらず目の前の胸筋に興味を示している。
「お前、相当筋肉好きだな」
「筋肉っていうか、茶谷さんの身体が好きなんですよ」
「俺も赤堀が好きだよ。見た目も、中身も」
すっかり自信を取り戻して、とにかく赤堀を残して仕事に行く朝はつれえなあなんてつくづく思った。
夕食を片付けて洗い物を済ませ、シャワーを浴びて裸で歩いていたら赤堀が起きて来た。
「ちゃ、茶谷さん・・」
「おう、起きたか」
「朝から何て格好してるんですか」
パンツ履いてんだけどそういう問題じゃねえのかな。
「やだもう、目のやり場に困ります!」
「ガン見しながら言うセリフか?」
「茶谷副部長・・身体が良い・・」
「へーへー、サンキュ。赤堀もシャワーすれば?」
実は、4月頭に昇進して営業2部の副部長になった。昨日は寝る前に散々副部長呼びされて、やめろと言いながら案外嬉しかった。
赤堀はそのまま近づいて来て無言で抱き付いて来る。
「朝からカッコいいとか、悔しい・・」
「へえ? そんなに?」
満更でもない俺はくっついてきた赤堀と何度もキスをした。これから仕事に行くのかと思うと、今日くらいは休みてえなあと残念な気分だ。
「明日は土曜だから・・今晩からずっとイチャイチャできるな」
「あ・・は、はい・・」
なんかダメそうな雰囲気で言うなよ。やっぱりガチガチじゃねえか。
「無事に、帰って来て下さいね?」
「何だよ、急に」
赤堀は、時々妙に心配そうにする。俺が行くのは単なる仕事だっていうのに、今生の別れみたいな雰囲気だ。
「帰って来るよ。そんなに昨日の続きがしたいのか・・」
「ち、違いますー!」
「違うのか・・」
不満気な顔で言うと、赤堀が慌て始める。さて、どうフォローしてくれるんだ?
「何がしたいとかじゃなくて、茶谷さんと一緒にいるのが良いんです・・」
「へえ?」
まあ、合格だろう。今日は急いで帰ってこようと思うほどには。
反応を確かめたくなって、赤堀の耳に舌を当ててワザと音を立ててみる。ちょっとだけ色っぽい声が漏れた。
「いいな。昨日より、慣れたな」
「やめてください・・からかわないで」
「からかってねえよ。欲求不満なんだよ」
「やっぱり・・欲求不満なんですか?」
思い詰めた顔で悲しそうな声をしていた。これはまた、自分を責めてるやつだな?
「朝から彼女がかわいいと欲が沸くんだよ・・」
「裸で言わないで下さいよ・・」
「身体が良いって言ったのはどこの誰でしたっけ??」
「わ、私ですっ・・けど・・」
そんなわけで、朝っぱらから俺は赤堀を堪能し、セクハラまがいの絡み方で言葉攻めをしたりと、大いに嫌がられながら楽しんだ。ひと通り赤堀を困らせてから解放すると、見事に頭をはたかれて「最低」とまで言われる羽目になる。
「もう! 茶谷さんてかっこいいのに、おやじっぽいんですよ、時々!」
なんか二十歳そこそこの女に言われると、すげーショックなんだけど。
そりゃ、赤堀の同年代に比べたら一回り近く年食ってるし、おやじっぽいのかもしれない。
自信無くすようなこと言うなよ。俺、これから仕事行くんだぞ・・。
「どうせおやじだよ。姪っ子や甥っ子にも叔父さんって言われてるし」
「なんで落ち込んでる風なんですか?」
「いや、実際落ち込んでる」
「茶谷さんって落ち込むんですか?」
おい、人を何だと思ってる。それなりに繊細なんだよ、こう見えてな。
「彼女におやじ呼ばわりされたら、そりゃ落ち込みますよ」
「そ、そうなんですか・・」
「自信を取り戻してえなあ・・」
裸で何言ってんだろと思う。おやじ以前に人として。服を着たい。
「茶谷さん・・私、茶谷さんの見た目、世界一好きです」
「見た目だけって意味か?」
「あと、仕事ができるところが世界一好きです」
「おお」
「口調は冷たいのに、実際は優しいっていうギャップとか最高です」
「・・うーん・・」
そんなギャップはないんだけどな、優しいとも思えないし。赤堀の恩人補正だろうな。
「あと、昨日からなんか別人みたいに甘いっていうか・・」
「・・ごめん、それ自信につながらない」
「ますます好きです。私には、茶谷さん以上の人なんていません」
「おお」
早く服を着ろよ、俺、なんて思いながら赤堀と抱き合うと、赤堀は相変わらず目の前の胸筋に興味を示している。
「お前、相当筋肉好きだな」
「筋肉っていうか、茶谷さんの身体が好きなんですよ」
「俺も赤堀が好きだよ。見た目も、中身も」
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