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第2章
後輩に応えられない理由
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「やっぱ、赤堀にこんな風に期待を持たせるのは違うんじゃねーかな」
深夜のファミレスで、赤堀と向かい合っている。赤堀はさっきまでフラフラだったくせに、もうすっかり普通になっているように見えた。
「そんなの・・気にしないでくださいよ」
「応える気も無いのに、何となく距離近いし・・最低だな」
「何言ってるんですか、茶谷さんは食事奢ってくれて、別に私、何も失ってないですし」
失ってんだよ、何よりも大事な・・時間ってやつを。女の市場価値が高い今なら、どんな男だって望めるかもしれないんだぞ。こんな、結婚願望だってロクに無くて、職場も一緒の先輩なんかを選んだら後悔するに決まってる。
「楽しいよ、赤堀といる時は」
「や、やったあ」
「だから、もったいねえわ」
「それなら、もらってくれればいいじゃないですか」
「それは無理だ」
物理的に付き合えるかどうかで聞かれたら、多分付き合えると思う。赤堀を見てかわいいと思えるし、性格が好みだ。でも、それとこれとは違う。赤堀を菜帆の二の舞にさせるのだけは絶対にダメだ。
仕事にもマイナスだし、赤堀の人生にも失うものが多すぎる。
「じゃあ、賭けませんか?」
急に、赤堀が言った。
「は?」
なんでそうなったのか、全く理解ができない。
「2020年6月に入るまで、私に時間をください。それまでに全く茶谷さんの気持ちが動かなかったら、2020年6月1日、すっぱり諦めます。だから、それまで片想いさせてくれませんか」
「・・・期限切るにしちゃ長くね?」
「細かいことは気にせずに!」
「いや、細かくねえし」
なんで5ヶ月間も必要なんだろうか。こいつには、『5ヶ月で男を落とす方法』みたいな黒魔術の心得でもあるんだろうか。いや、あったら万年フリーじゃねえ。っていうか、そんなに時間作ったとこで、全然状況変わるとは思えねえ。
いや、でも、こいつに告白されてから、もうすぐ4ヶ月なのか・・。それなら、ここで条件を飲んで、完全に諦めてもらった方が確実なのかもしれない。こいつ、全然諦めねえし。
「・・分かったよ。単に時間を引き延ばしただけのような気がして、なんか微妙なんだけど」
「ありがとうございます! 私、それまでに茶谷さんの好みを把握して、愛され女子になりますね」
「え、すっげー不安」
赤堀はえへへとか言いながら嬉しそうに笑った。赤堀と愛され女子という言葉が、全く結びつかない。いや、今日の格好だけ見たら愛され女子風なんだけどさ・・。
酔いが大分醒めて来ていた赤堀を見て、最後にドリンクを一杯ずつ飲んでファミレスを出ることにした。
深夜のファミレスで、赤堀と向かい合っている。赤堀はさっきまでフラフラだったくせに、もうすっかり普通になっているように見えた。
「そんなの・・気にしないでくださいよ」
「応える気も無いのに、何となく距離近いし・・最低だな」
「何言ってるんですか、茶谷さんは食事奢ってくれて、別に私、何も失ってないですし」
失ってんだよ、何よりも大事な・・時間ってやつを。女の市場価値が高い今なら、どんな男だって望めるかもしれないんだぞ。こんな、結婚願望だってロクに無くて、職場も一緒の先輩なんかを選んだら後悔するに決まってる。
「楽しいよ、赤堀といる時は」
「や、やったあ」
「だから、もったいねえわ」
「それなら、もらってくれればいいじゃないですか」
「それは無理だ」
物理的に付き合えるかどうかで聞かれたら、多分付き合えると思う。赤堀を見てかわいいと思えるし、性格が好みだ。でも、それとこれとは違う。赤堀を菜帆の二の舞にさせるのだけは絶対にダメだ。
仕事にもマイナスだし、赤堀の人生にも失うものが多すぎる。
「じゃあ、賭けませんか?」
急に、赤堀が言った。
「は?」
なんでそうなったのか、全く理解ができない。
「2020年6月に入るまで、私に時間をください。それまでに全く茶谷さんの気持ちが動かなかったら、2020年6月1日、すっぱり諦めます。だから、それまで片想いさせてくれませんか」
「・・・期限切るにしちゃ長くね?」
「細かいことは気にせずに!」
「いや、細かくねえし」
なんで5ヶ月間も必要なんだろうか。こいつには、『5ヶ月で男を落とす方法』みたいな黒魔術の心得でもあるんだろうか。いや、あったら万年フリーじゃねえ。っていうか、そんなに時間作ったとこで、全然状況変わるとは思えねえ。
いや、でも、こいつに告白されてから、もうすぐ4ヶ月なのか・・。それなら、ここで条件を飲んで、完全に諦めてもらった方が確実なのかもしれない。こいつ、全然諦めねえし。
「・・分かったよ。単に時間を引き延ばしただけのような気がして、なんか微妙なんだけど」
「ありがとうございます! 私、それまでに茶谷さんの好みを把握して、愛され女子になりますね」
「え、すっげー不安」
赤堀はえへへとか言いながら嬉しそうに笑った。赤堀と愛され女子という言葉が、全く結びつかない。いや、今日の格好だけ見たら愛され女子風なんだけどさ・・。
酔いが大分醒めて来ていた赤堀を見て、最後にドリンクを一杯ずつ飲んでファミレスを出ることにした。
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