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第2章
鶏を食べる鶴を眺める
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佐久さんの店に着いて席に案内されると、コートを受付で預かります、と店員さんが声を掛けてくれる。冬は厚着になるからな、と何気なくコートを預けて目の前にいる赤堀に、本日2度目に驚いた。普段は身体のラインを拾わない服しか着ないあの赤堀が、ニットのワンピースを着てる。
しまった。目のやり場に困る。恐らく、この手の服を着た女が前にいたら、誰だって本能で見るだろう。おい、お前・・いつも隠しているスタイルの全貌が、モロに出てるぞ。
「赤堀って、ワイン飲めんだっけ?」
「そんなに飲んだこと無くて、美味しさを分かってない感じです」
「おっ。だそうですよ、大将」
席の目の前で、串を焼いていた大将の佐久さんに話しかけた。
「ああーいっすねえ。今日、新しい扉が開いちゃいますねえ」
佐久さんのノリが良くて助かった。つい意識を逸らそうとしてしまった。そうしてないと、無意識にガン見しそうだ。大将はうまく話を振ってくれて、赤堀を会社の後輩だろうと当てた。まあ、大将は俺が年上好きなの知ってるし、赤堀が若すぎることも分かったんだろう。
「茶谷さん、最近ちょっとご無沙汰だったじゃないですか。寂しかったなあ」
「なんか忙しかったんですよねえ。ここんとこ」
「大変すね。会社での茶谷さんってどうなんですか?」
なんか、目の前で俺の話をされるのは恥ずかしい。赤堀、変なこと言うなよ。
「茶谷は・・弊社の中では成績トップです」
何故か堂々と言い切った赤堀。いや、まあ、事実だとしてもさ、もう少し言い方ねえのかな・・。
「うわ、マジっすか。やるじゃないですか。えっ、マジっすか」
「いやいや、大したことないです」
俺が謙遜している間、赤堀が何故かドヤ顔をしている。お前、一体どういうポジションなんだ。呆れていたら、最初のビールが来たので、乾杯をする。
「それでは、茶谷さん・・一年間お疲れ様でした」
「おう、赤堀もお疲れ」
中身はいつもの赤堀なのに、見た目が全く違う赤堀とグラスを掲げ合う。あーちくしょう。なんだよ、いい女を連れている気分になる・・けど、相手は赤堀だぞ? 鶴だぞ?
こうなると、大将と赤堀をいじって意識しないように努めるしかない。赤堀は楽しそうにしながら、大将の焼く串焼きに感動したり、飲みやすいワインに感動したりしていた。
「茶谷さん、銀座のお店って、みんなこんなに洗練されてるんですか? 何食べても美味しいし、すごく綺麗だし」
「さあ、銀座の店をそれほど知ってるわけじゃねえけど・・大将は前からやっぱすごかったよ」
「へえー。大将さんも、大将さんを見抜いた茶谷さんも、流石ですね」
あー・・認めたくねえけど、鶴女・・。お前、相当かわいいのな。
しまった。目のやり場に困る。恐らく、この手の服を着た女が前にいたら、誰だって本能で見るだろう。おい、お前・・いつも隠しているスタイルの全貌が、モロに出てるぞ。
「赤堀って、ワイン飲めんだっけ?」
「そんなに飲んだこと無くて、美味しさを分かってない感じです」
「おっ。だそうですよ、大将」
席の目の前で、串を焼いていた大将の佐久さんに話しかけた。
「ああーいっすねえ。今日、新しい扉が開いちゃいますねえ」
佐久さんのノリが良くて助かった。つい意識を逸らそうとしてしまった。そうしてないと、無意識にガン見しそうだ。大将はうまく話を振ってくれて、赤堀を会社の後輩だろうと当てた。まあ、大将は俺が年上好きなの知ってるし、赤堀が若すぎることも分かったんだろう。
「茶谷さん、最近ちょっとご無沙汰だったじゃないですか。寂しかったなあ」
「なんか忙しかったんですよねえ。ここんとこ」
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なんか、目の前で俺の話をされるのは恥ずかしい。赤堀、変なこと言うなよ。
「茶谷は・・弊社の中では成績トップです」
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「うわ、マジっすか。やるじゃないですか。えっ、マジっすか」
「いやいや、大したことないです」
俺が謙遜している間、赤堀が何故かドヤ顔をしている。お前、一体どういうポジションなんだ。呆れていたら、最初のビールが来たので、乾杯をする。
「それでは、茶谷さん・・一年間お疲れ様でした」
「おう、赤堀もお疲れ」
中身はいつもの赤堀なのに、見た目が全く違う赤堀とグラスを掲げ合う。あーちくしょう。なんだよ、いい女を連れている気分になる・・けど、相手は赤堀だぞ? 鶴だぞ?
こうなると、大将と赤堀をいじって意識しないように努めるしかない。赤堀は楽しそうにしながら、大将の焼く串焼きに感動したり、飲みやすいワインに感動したりしていた。
「茶谷さん、銀座のお店って、みんなこんなに洗練されてるんですか? 何食べても美味しいし、すごく綺麗だし」
「さあ、銀座の店をそれほど知ってるわけじゃねえけど・・大将は前からやっぱすごかったよ」
「へえー。大将さんも、大将さんを見抜いた茶谷さんも、流石ですね」
あー・・認めたくねえけど、鶴女・・。お前、相当かわいいのな。
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