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第1章
口から出ていた
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菜帆は、バッグの中にブラウスを1枚常備しているらしい。コンビニで下着と化粧品を買って、明日の出勤に備えていた。
「あのさあ、さっきの、俺が菜帆のこと・・そんなに好きじゃないって、なんでそう思う?」
そう言いながら、コンビニのうどんを生まれて初めて食べて、メーカーの企業努力に涙が出そうになる俺。
コンビニの商品って、これ、メーカーが作ってんだぜ? うどんなんかは恐らく製粉メーカー。麺類が伸びないようにするのとか、具が劣化しないようにするのとか、出汁の香りがここまで出るとか、企業努力が凄すぎんだろ。商品企画と商品開発の人間がどれだけここに情熱を懸けたのかと思っただけで、なんかくるものがある。
ちなみに、俺の勤める松味食品は食品卸業で、俺は得意先のスーパーマーケット相手に同じような仕事をやっている。スーパーマーケットの棚提案(※扱う商品の提案)や、総菜類なんかをメーカーに企画させて作らせて、店頭に卸したり・・。
ああ、そうだ、菜帆に質問してたんだった。返答が遅い。
「だってさあ、消化試合なんだもん」
「・・そんなやっつけ感あんのか・・酷えな・・」
「違うよ、酷いと思ったことは無いんだ。気持ちがあたしに無いんだなあと思うだけ」
怖え・・。女って、そんなん分かるのか・・。
「ちなみに・・それは、何でそう思った?」
「分かるよ、そんなの。何がとかじゃなくて」
ここは、普通否定するところだと思う。菜帆はかわいいと思うし、抱き合うと癒される。一緒にいて苦痛だったことは無い。
「会いたいって言って、こうやって来るのも・・あたしだけだもんね、いつも」
「そんなことないだろ」
「気付いてないんだ・・」
なんか、嘘を言って取り繕うのは違う気がした。実際、俺は2年前からマトモに恋愛なんかできてない。告白されて適当に付き合うけど、結局相手を本気では好きになれなくて、こうやって歯車が合わなくなる。
「吾郎ちゃんがあたしのこと好きじゃなくてもさ、いいと思ったんだ」
「・・・」
「でも、なんか虚しいよねえ。お互い」
ぶかぶかのスウェットを着た菜帆は、相変わらずかわいい。でも、何となく、もったいねえな、と思った。
「ごめん、もう、会うの止めよう」
気付いたら、そんな言葉が口から出てた。
「あのさあ、さっきの、俺が菜帆のこと・・そんなに好きじゃないって、なんでそう思う?」
そう言いながら、コンビニのうどんを生まれて初めて食べて、メーカーの企業努力に涙が出そうになる俺。
コンビニの商品って、これ、メーカーが作ってんだぜ? うどんなんかは恐らく製粉メーカー。麺類が伸びないようにするのとか、具が劣化しないようにするのとか、出汁の香りがここまで出るとか、企業努力が凄すぎんだろ。商品企画と商品開発の人間がどれだけここに情熱を懸けたのかと思っただけで、なんかくるものがある。
ちなみに、俺の勤める松味食品は食品卸業で、俺は得意先のスーパーマーケット相手に同じような仕事をやっている。スーパーマーケットの棚提案(※扱う商品の提案)や、総菜類なんかをメーカーに企画させて作らせて、店頭に卸したり・・。
ああ、そうだ、菜帆に質問してたんだった。返答が遅い。
「だってさあ、消化試合なんだもん」
「・・そんなやっつけ感あんのか・・酷えな・・」
「違うよ、酷いと思ったことは無いんだ。気持ちがあたしに無いんだなあと思うだけ」
怖え・・。女って、そんなん分かるのか・・。
「ちなみに・・それは、何でそう思った?」
「分かるよ、そんなの。何がとかじゃなくて」
ここは、普通否定するところだと思う。菜帆はかわいいと思うし、抱き合うと癒される。一緒にいて苦痛だったことは無い。
「会いたいって言って、こうやって来るのも・・あたしだけだもんね、いつも」
「そんなことないだろ」
「気付いてないんだ・・」
なんか、嘘を言って取り繕うのは違う気がした。実際、俺は2年前からマトモに恋愛なんかできてない。告白されて適当に付き合うけど、結局相手を本気では好きになれなくて、こうやって歯車が合わなくなる。
「吾郎ちゃんがあたしのこと好きじゃなくてもさ、いいと思ったんだ」
「・・・」
「でも、なんか虚しいよねえ。お互い」
ぶかぶかのスウェットを着た菜帆は、相変わらずかわいい。でも、何となく、もったいねえな、と思った。
「ごめん、もう、会うの止めよう」
気付いたら、そんな言葉が口から出てた。
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