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第11章 歴史を変える
女神ヘレナ
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その場にいたレナ以外の4人が、それぞれの武器に手をかけて息を呑む。
カイの背中にいたレナは、突然降ろされてカイの身体の後ろに隠された。
レナは覗き見るようにして前方を確認しようと動き、カイが剣のグリップを握っていたのを見て、ようやく気付いた。
敵がいるのだ。
その結論にレナが至るより早く、レオナルドが両手に短剣を構えて前方に向かって走り出した。
(早い……!)
レナはカイの背中から覗き見たレオナルドにただただ驚く。ロキは剣を抜いてその場に立ち、シンはカイの斜め前でレナを守るように立つ。手には何故か石を握っていた。
「待って!!」
レナの声が響くと、レオナルドは思わずその場に留まる。
「戦うために来たんじゃないでしょう!?」
レナの絶叫に近い声に、その場に急な静寂が生まれた。
レオナルドが向かったのは、歩いていた道から脇に入った場所だった。そこから現れたのは、すっかり痛んだ衣服に身を包んだ兵士らしい集団だ。
(5人か)
カイは相手の人数を確認すると、その姿に戦意がないらしいと一旦冷静になる。
レナがカイの前に出て歩いて行こうとしたので、慌ててカイはそのすぐ横に付いた。
「あなたたち、ルイス様の兵ではないの?」
レナが声をかけると、5人の兵士はそれぞれ顔を見合わせる。突然現れた見ず知らずの兵士たちに、身分を明かすかどうか迷っているように見えた。
レナはすかさず自身の術で炎を出すと、その炎を鳥の形に変え後ろに従わせるようにする。
煌々と光を放つ炎の勢いとその熱に、兵士たちはたじろいでいた。
「私はヘレナといいます。あなたたちは?」
向かって左にカイ、右後方に炎の鳥を従えた女性の姿に『ヘレナ』という名。兵士たちは驚いたような表情を見せるとその場に跪いた。
「女神、ヘレナ様と同じ名……」
「どうか、彼の地の呪いを解いて下さいませんでしょうか……」
「このようなお導きがあるとは……」
手を組んで震える5人の姿に、レナとカイは目を見合わせる。
「呪いですって……。案内してもらえれば、何かできることがあるかもしれないわね」
「こちらのヘレナ様は、呪いは解けるが身体は弱いからな。酷使させるなよ」
レナが力強く微笑み、隣に立つカイが鼻で笑う。その瞬間に兵士5人の前に強い向かい風が吹いて、炎の鳥が勢いを付けて空高く飛んで行った。
「伝説の通りなのですか……。呪いの地に現れ、人々を救って下さると……」
尋ねられた言葉に、レナは一度軽く首を傾げると、「そうね」と頷く。
「救えるかどうか分からないけれど、その『彼の地』に案内してもらえる?」
レナがそう言うと、カイはその肩を抱いて「行くしかなさそうだな」とレナを見つめた。
カイと視線を合わせたレナは軽く目を閉じてキスをせがむ。
レオナルドとロキはどこか不満げにその様子を眺めていたが、シンは石を脇に放ると、「じゃあ出発ですかね?」と荷物を担いで歩き出した。
人目もはばからずにくっつく2人の横に来ると、「随分堂々とするようになったんですね?」とシンは上司を揶揄っている。
「女神様の命令だ」と離れたカイが言うと、「命令じゃなくて希望って言って欲しいわ」とレナは片頬を膨らませていた。
カイの背中にいたレナは、突然降ろされてカイの身体の後ろに隠された。
レナは覗き見るようにして前方を確認しようと動き、カイが剣のグリップを握っていたのを見て、ようやく気付いた。
敵がいるのだ。
その結論にレナが至るより早く、レオナルドが両手に短剣を構えて前方に向かって走り出した。
(早い……!)
レナはカイの背中から覗き見たレオナルドにただただ驚く。ロキは剣を抜いてその場に立ち、シンはカイの斜め前でレナを守るように立つ。手には何故か石を握っていた。
「待って!!」
レナの声が響くと、レオナルドは思わずその場に留まる。
「戦うために来たんじゃないでしょう!?」
レナの絶叫に近い声に、その場に急な静寂が生まれた。
レオナルドが向かったのは、歩いていた道から脇に入った場所だった。そこから現れたのは、すっかり痛んだ衣服に身を包んだ兵士らしい集団だ。
(5人か)
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レナがカイの前に出て歩いて行こうとしたので、慌ててカイはそのすぐ横に付いた。
「あなたたち、ルイス様の兵ではないの?」
レナが声をかけると、5人の兵士はそれぞれ顔を見合わせる。突然現れた見ず知らずの兵士たちに、身分を明かすかどうか迷っているように見えた。
レナはすかさず自身の術で炎を出すと、その炎を鳥の形に変え後ろに従わせるようにする。
煌々と光を放つ炎の勢いとその熱に、兵士たちはたじろいでいた。
「私はヘレナといいます。あなたたちは?」
向かって左にカイ、右後方に炎の鳥を従えた女性の姿に『ヘレナ』という名。兵士たちは驚いたような表情を見せるとその場に跪いた。
「女神、ヘレナ様と同じ名……」
「どうか、彼の地の呪いを解いて下さいませんでしょうか……」
「このようなお導きがあるとは……」
手を組んで震える5人の姿に、レナとカイは目を見合わせる。
「呪いですって……。案内してもらえれば、何かできることがあるかもしれないわね」
「こちらのヘレナ様は、呪いは解けるが身体は弱いからな。酷使させるなよ」
レナが力強く微笑み、隣に立つカイが鼻で笑う。その瞬間に兵士5人の前に強い向かい風が吹いて、炎の鳥が勢いを付けて空高く飛んで行った。
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尋ねられた言葉に、レナは一度軽く首を傾げると、「そうね」と頷く。
「救えるかどうか分からないけれど、その『彼の地』に案内してもらえる?」
レナがそう言うと、カイはその肩を抱いて「行くしかなさそうだな」とレナを見つめた。
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レオナルドとロキはどこか不満げにその様子を眺めていたが、シンは石を脇に放ると、「じゃあ出発ですかね?」と荷物を担いで歩き出した。
人目もはばからずにくっつく2人の横に来ると、「随分堂々とするようになったんですね?」とシンは上司を揶揄っている。
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