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第10章 新しい力
副団長の力
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「よお、ロキ。久しぶり。・・で、そこに寝転がってるのが団長・・。あれ、目が開いてますね?」
シンが到着し、カイのテントに入って早々その場の雰囲気が変わる。レナは急に和やかになる空気に緊張が解けて行くようだった。
「そうそう。今は目だけが動くんだって。殺気が出ない団長って面白いよ」
「面白いって・・。まあ、確かに目しか動かない団長なんて、もはや団長じゃないところが面白いかもしれないけど・・」
シンが苦笑いをする。レナも釣られて愛想笑いを浮かべた。
「レナ様、ご無事で何よりです。ロキに雇われて来ました」
シンは胸に手を当てながら、頭を軽く下げてレナに言った。その言葉にカイの目が見開く。なんと今回は団員であるはずのロキが雇用主らしい。
「あ、団長。ロキ、かなりの高額報酬を用意してくれて。本部の仕事は残った部下たちに割り振りました。いやー俺、金の亡者になったつもりはないんですが、こんな仕事、断るわけにいかないなって」
シンは、横たわっている金の亡者に報告をする。カイは悔しそうに目を細めて眉間に皺を寄せた。目だけで舌打ちをしているようにも見える。
「今回雇用主だから・・シンは俺に忠誠を誓うわけ?」
「えっ? うーん・・そうか。そうかもな」
ロキに仕えるシンというのがしっくりこないロキとシンは、何となく気持ち悪さを抱えながら唸った。
「まあ、いつも通りでいいよ。シンが俺に頭を下げるとか、ちょっと居心地悪いし・・」
ロキがそう言ってシンを見て口角を上げると、シンはふっと表情を和らげる。
「今回は、団長が倒れるような事態に陥ってる。ポテンシアかリブニケか分からないけど、一波乱あるだろうから、動き方を考えよう」
ロキは、シンとカイに向けて言った。レナも深刻な顔で頷いている。カイはどこか遠くを見るような目をしていた。
「『ご主人様』には、秘策でもあるのか?」
「秘策なんかないよ。でも・・情報戦は得意なんだ」
シンはわざとロキに「ご主人様」を使って尋ねたが、ロキは特に気にもしていなかった。普段から社長業で敬われることに慣れ過ぎているのだろうと、レナはその光景に納得する。
「目指すのは、リブニケでもポテンシアでもない。ルリアーナにいるルイス王子だ。リブニケ兵を操ってポテンシア内で戦争を起こしているのは、誰でもなくルイス王子だからね」
「ああ、確かにそうだな。でも、ルイス王子の軍は今やポテンシア王国一の数と質を誇るらしいと聞いた」
「そうだね。調べたところによると、新しく側室に迎えた公爵家の後ろ盾で、優秀な軍が手に入っているらしいから」
ロキとシンの会話を聞きながら、レナは『ルイスの側室』という単語に、今更自分が出て行ったところで何も事態は変わらないかもしれないという不安が過る。
(ルイス様も既に新しい人生を歩んでいる。今更私が生きていたと出て行ったところで、もう何もできないのかもしれない・・)
レナは不安に押しつぶされそうになった。こんな時ほどカイと話をしたかったのにと残念に思う。
当のカイは、やはり目だけしか動いておらず、シンとロキに絡まれながら目だけで会話をしようとしていた。
シンが到着し、カイのテントに入って早々その場の雰囲気が変わる。レナは急に和やかになる空気に緊張が解けて行くようだった。
「そうそう。今は目だけが動くんだって。殺気が出ない団長って面白いよ」
「面白いって・・。まあ、確かに目しか動かない団長なんて、もはや団長じゃないところが面白いかもしれないけど・・」
シンが苦笑いをする。レナも釣られて愛想笑いを浮かべた。
「レナ様、ご無事で何よりです。ロキに雇われて来ました」
シンは胸に手を当てながら、頭を軽く下げてレナに言った。その言葉にカイの目が見開く。なんと今回は団員であるはずのロキが雇用主らしい。
「あ、団長。ロキ、かなりの高額報酬を用意してくれて。本部の仕事は残った部下たちに割り振りました。いやー俺、金の亡者になったつもりはないんですが、こんな仕事、断るわけにいかないなって」
シンは、横たわっている金の亡者に報告をする。カイは悔しそうに目を細めて眉間に皺を寄せた。目だけで舌打ちをしているようにも見える。
「今回雇用主だから・・シンは俺に忠誠を誓うわけ?」
「えっ? うーん・・そうか。そうかもな」
ロキに仕えるシンというのがしっくりこないロキとシンは、何となく気持ち悪さを抱えながら唸った。
「まあ、いつも通りでいいよ。シンが俺に頭を下げるとか、ちょっと居心地悪いし・・」
ロキがそう言ってシンを見て口角を上げると、シンはふっと表情を和らげる。
「今回は、団長が倒れるような事態に陥ってる。ポテンシアかリブニケか分からないけど、一波乱あるだろうから、動き方を考えよう」
ロキは、シンとカイに向けて言った。レナも深刻な顔で頷いている。カイはどこか遠くを見るような目をしていた。
「『ご主人様』には、秘策でもあるのか?」
「秘策なんかないよ。でも・・情報戦は得意なんだ」
シンはわざとロキに「ご主人様」を使って尋ねたが、ロキは特に気にもしていなかった。普段から社長業で敬われることに慣れ過ぎているのだろうと、レナはその光景に納得する。
「目指すのは、リブニケでもポテンシアでもない。ルリアーナにいるルイス王子だ。リブニケ兵を操ってポテンシア内で戦争を起こしているのは、誰でもなくルイス王子だからね」
「ああ、確かにそうだな。でも、ルイス王子の軍は今やポテンシア王国一の数と質を誇るらしいと聞いた」
「そうだね。調べたところによると、新しく側室に迎えた公爵家の後ろ盾で、優秀な軍が手に入っているらしいから」
ロキとシンの会話を聞きながら、レナは『ルイスの側室』という単語に、今更自分が出て行ったところで何も事態は変わらないかもしれないという不安が過る。
(ルイス様も既に新しい人生を歩んでいる。今更私が生きていたと出て行ったところで、もう何もできないのかもしれない・・)
レナは不安に押しつぶされそうになった。こんな時ほどカイと話をしたかったのにと残念に思う。
当のカイは、やはり目だけしか動いておらず、シンとロキに絡まれながら目だけで会話をしようとしていた。
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