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第8章 戦場に咲く一輪の花
呪いを消す歌声
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ロキの一行が駐屯地に到着すると、ロキも見知ったハウザー騎士団の団員が驚いて近寄ってきた。
「ロキさん、この仕事請けたんですか? 意外なんですけど!」
「普通は請けない。それにどちらかというと支払って、援助までしているんだよ。そこのお姫様のためにね」
ロキが示した先には、レナの姿があった。団員はいつか見たカイの連れだとすぐに気付く。
「団長の彼女さんじゃないですか!」
「なんかそれ聞くとイラっとするなあ・・みんな、その認識なんだ」
ロキは、団員にレナを紹介しているのかと、カイの行動に驚く。
(不器用な男だと思っていれば・・)
「こんにちは。報告で聞いたのだけれど、ブリステの兵士が操られたって」
「ああ、そうなんです、拘束してますけど・・正気じゃなくて」
「連れて行ってもらえる?」
レナが当然のように申し出たので、どうしてだろうと疑問に思いながらカイの部下はレナを案内した。ロキは納得いかない顔をしながらも、心配でレナの後に続く。
そこには、手枷、口枷、足枷を付け、自由を奪われた兵士の姿があった。1人ではない、3人が同じように拘束され、手枷と足枷から伸びた鎖で大木に括られている。その姿は、およそ人の扱いではなく、その顔からは焦点の合わない視線がどこかに向かっていた。
ロキは一目で、3人が普通ではない状態になっていることが分かった。危険を察知し、レナを引き寄せて近付けないようにしようとする。
「大丈夫よ、ロキ。私には術式が視えているから」
レナはロキから離れると、3人に掛けられた術を解く方法を考え始める。
「まずは第一段階・・」
レナはそう言うと、正気を失わせている術を解除する。拘束された3人の顔つきが変わった。
「周りに無差別に攻撃をしているのは・・呪詛ね」
レナは3人の姿に頷くと、ブリステで有名な歌を歌いだす。
♪
たとえば そこに花が咲いたら
きっとあなたは 思い出すはず
たとえば そこに雨が降ったら
きっとあなたは 思い出すはず
それはとても ちいさなこと
それはとても おおきなこと
ちょうど歌劇で覚えたばかりの歌の一節に、レナは呪詛を解く力を込めた。
ロキは、レナの声と共に3人の兵士の顔から殺気や狂気が消えて行ったのをはっきりと認識する。
「その歌で、術が消えるのか・・?」
歌われたのは長い歌謡曲の一部だけだったが、レナが歌っただけで奇跡のようなことが起きたのだ。
「どんな歌でも良いのよ。相手が知っている曲の方が効くと思うけれど。メッセージが術の狙いに近ければ尚良いかしらね」
レナはそう言って何てことないように笑う。
ロキとレナを連れて来た団員は、その一部始終に言葉を失っていた。このまま正気を失って死へ向かうのかと思われていた味方は、すっかり元に戻ったようだった。
レナは、「もう拘束はなくても大丈夫よ」と全員に笑顔を向けると、何でもなかったようにその場を去った。
「ロキさん、この仕事請けたんですか? 意外なんですけど!」
「普通は請けない。それにどちらかというと支払って、援助までしているんだよ。そこのお姫様のためにね」
ロキが示した先には、レナの姿があった。団員はいつか見たカイの連れだとすぐに気付く。
「団長の彼女さんじゃないですか!」
「なんかそれ聞くとイラっとするなあ・・みんな、その認識なんだ」
ロキは、団員にレナを紹介しているのかと、カイの行動に驚く。
(不器用な男だと思っていれば・・)
「こんにちは。報告で聞いたのだけれど、ブリステの兵士が操られたって」
「ああ、そうなんです、拘束してますけど・・正気じゃなくて」
「連れて行ってもらえる?」
レナが当然のように申し出たので、どうしてだろうと疑問に思いながらカイの部下はレナを案内した。ロキは納得いかない顔をしながらも、心配でレナの後に続く。
そこには、手枷、口枷、足枷を付け、自由を奪われた兵士の姿があった。1人ではない、3人が同じように拘束され、手枷と足枷から伸びた鎖で大木に括られている。その姿は、およそ人の扱いではなく、その顔からは焦点の合わない視線がどこかに向かっていた。
ロキは一目で、3人が普通ではない状態になっていることが分かった。危険を察知し、レナを引き寄せて近付けないようにしようとする。
「大丈夫よ、ロキ。私には術式が視えているから」
レナはロキから離れると、3人に掛けられた術を解く方法を考え始める。
「まずは第一段階・・」
レナはそう言うと、正気を失わせている術を解除する。拘束された3人の顔つきが変わった。
「周りに無差別に攻撃をしているのは・・呪詛ね」
レナは3人の姿に頷くと、ブリステで有名な歌を歌いだす。
♪
たとえば そこに花が咲いたら
きっとあなたは 思い出すはず
たとえば そこに雨が降ったら
きっとあなたは 思い出すはず
それはとても ちいさなこと
それはとても おおきなこと
ちょうど歌劇で覚えたばかりの歌の一節に、レナは呪詛を解く力を込めた。
ロキは、レナの声と共に3人の兵士の顔から殺気や狂気が消えて行ったのをはっきりと認識する。
「その歌で、術が消えるのか・・?」
歌われたのは長い歌謡曲の一部だけだったが、レナが歌っただけで奇跡のようなことが起きたのだ。
「どんな歌でも良いのよ。相手が知っている曲の方が効くと思うけれど。メッセージが術の狙いに近ければ尚良いかしらね」
レナはそう言って何てことないように笑う。
ロキとレナを連れて来た団員は、その一部始終に言葉を失っていた。このまま正気を失って死へ向かうのかと思われていた味方は、すっかり元に戻ったようだった。
レナは、「もう拘束はなくても大丈夫よ」と全員に笑顔を向けると、何でもなかったようにその場を去った。
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