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the 33rd day 腹の探り合い
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「それにしても、ルイス様とユリウス様で今後のルリアーナとの貿易の話をするって、ルイス様にとっては頭が痛い話ですね。ユリウス様が言葉の通じる方だとはとても思えないんですが」
ルイスの屋敷に来ていたレオナルドが、ルイスに大きな難題を振った。
「レオナルドも、兄上のことはよく分かっていると思うが……。ユリウスは人としての品格に欠ける男だ。そして、あの純粋な王女に会わせていいような人間じゃない」
ルイスは、大嫌いな兄の顔を思い浮かべて、とはいえレナの義兄になるわけだと憂鬱になった。
「ルイス様単身で、ユリウス様と交渉が可能ですか?」
レオナルドの言葉に、ルイスは詰まった。レオナルドは自分と兄の関係について何を知っているのだろうかと恐ろしくなる。
「それは……。話の通じない兄だと言っても、私はルリアーナの王室に入る身だからね」
ルイスは、それがレナとルリアーナのためであれば、憎い兄だろうと対峙するしかないと決心はついている。但し、ユリウスがルイスの話をまともに聞くはずがなかった。
「王女の呪術で、何か使えるものがあればいいですけどね。噂では、他人の心に作用するような術があるんだとか。ただ、対価がいるとか、怖い事も聞きましたけど」
レオナルドが呪術師たちの言葉を思い出し、ルイスに冗談を言った。
「レオナルド……。王女に呪術を使わせる話は、例え冗談にしてもやめておこう。できれば、この先も彼女が呪術師だという事は公にしたくない」
ルイスはそう言うと真剣な顔でレオナルドを見ていた。
レオナルドは、それは国王陛下にも黙っていたいということか、と意図を理解しつつも、
「どうでしょうね? 国内の呪術師や聖職者には既に伝わっていることでは?」
と不敵な笑みを浮かべた。
「それでもだ……。なるべく彼女が狙われる可能性を最小限にしたい。呪術師として何か力を持っているようなことを匂わせて、兄上や父上が動いたら厄介だからだ」
ルイスがレオナルドに念を押すように言うと、レオナルドは眉をひそめて、もう、手遅れじゃないかと言いかけてやめる。
「随分、大切にされていますね。婚約者のことを」
ルイスはレオナルドが何を言いたいのだろうかと表情の裏を読もうとするが、レオナルドの心は全く読めない。
「今更そんなことを言うなんて、どうした……?」
ルイスは、レオナルドが何か悪いことを企んでいるのではないかと、急に背筋が凍る。
「ユリウス様がそれを知ったら、どんなことを言ってきますかね……?」
レオナルドは冷たい目でにこりと笑った。
確かに、その情報が国王の耳に入っていない保証も、レオナルド以外の間諜が情報を掴んでいない保証もない。
ルイスは、今はレオナルドからゆすられているのだろうか? と息をのんだ。
「もともとあの人は、すこぶる女性の扱いも趣味も悪いから……。彼女が直接侮辱されなければ、私は何を言われても気にならないが」
ルイスは、なるべくレオナルドに表情を読まれないように言った。
「なるほど……。さすが、陛下のお気に入りなだけありますね。僕や陛下の考えと全く違うところは、面白いとしか言いようがない」
第二王子のユリウスは無節操で下品な男だが、何を考えているかやどんな思考になるのか分かりやすいところがある。それに比べ、ルイスは国王の考えが及ばないような選択をすることは確かだった。
「そんなところを褒められても、嬉しくないな」
ルイスは飄々としたところを崩すことなく、レオナルドに笑いかけた。
レオナルドはその笑顔を見て、この王子の心を掴んだルリアーナの王女のことを思い出していた。
ルイスの屋敷に来ていたレオナルドが、ルイスに大きな難題を振った。
「レオナルドも、兄上のことはよく分かっていると思うが……。ユリウスは人としての品格に欠ける男だ。そして、あの純粋な王女に会わせていいような人間じゃない」
ルイスは、大嫌いな兄の顔を思い浮かべて、とはいえレナの義兄になるわけだと憂鬱になった。
「ルイス様単身で、ユリウス様と交渉が可能ですか?」
レオナルドの言葉に、ルイスは詰まった。レオナルドは自分と兄の関係について何を知っているのだろうかと恐ろしくなる。
「それは……。話の通じない兄だと言っても、私はルリアーナの王室に入る身だからね」
ルイスは、それがレナとルリアーナのためであれば、憎い兄だろうと対峙するしかないと決心はついている。但し、ユリウスがルイスの話をまともに聞くはずがなかった。
「王女の呪術で、何か使えるものがあればいいですけどね。噂では、他人の心に作用するような術があるんだとか。ただ、対価がいるとか、怖い事も聞きましたけど」
レオナルドが呪術師たちの言葉を思い出し、ルイスに冗談を言った。
「レオナルド……。王女に呪術を使わせる話は、例え冗談にしてもやめておこう。できれば、この先も彼女が呪術師だという事は公にしたくない」
ルイスはそう言うと真剣な顔でレオナルドを見ていた。
レオナルドは、それは国王陛下にも黙っていたいということか、と意図を理解しつつも、
「どうでしょうね? 国内の呪術師や聖職者には既に伝わっていることでは?」
と不敵な笑みを浮かべた。
「それでもだ……。なるべく彼女が狙われる可能性を最小限にしたい。呪術師として何か力を持っているようなことを匂わせて、兄上や父上が動いたら厄介だからだ」
ルイスがレオナルドに念を押すように言うと、レオナルドは眉をひそめて、もう、手遅れじゃないかと言いかけてやめる。
「随分、大切にされていますね。婚約者のことを」
ルイスはレオナルドが何を言いたいのだろうかと表情の裏を読もうとするが、レオナルドの心は全く読めない。
「今更そんなことを言うなんて、どうした……?」
ルイスは、レオナルドが何か悪いことを企んでいるのではないかと、急に背筋が凍る。
「ユリウス様がそれを知ったら、どんなことを言ってきますかね……?」
レオナルドは冷たい目でにこりと笑った。
確かに、その情報が国王の耳に入っていない保証も、レオナルド以外の間諜が情報を掴んでいない保証もない。
ルイスは、今はレオナルドからゆすられているのだろうか? と息をのんだ。
「もともとあの人は、すこぶる女性の扱いも趣味も悪いから……。彼女が直接侮辱されなければ、私は何を言われても気にならないが」
ルイスは、なるべくレオナルドに表情を読まれないように言った。
「なるほど……。さすが、陛下のお気に入りなだけありますね。僕や陛下の考えと全く違うところは、面白いとしか言いようがない」
第二王子のユリウスは無節操で下品な男だが、何を考えているかやどんな思考になるのか分かりやすいところがある。それに比べ、ルイスは国王の考えが及ばないような選択をすることは確かだった。
「そんなところを褒められても、嬉しくないな」
ルイスは飄々としたところを崩すことなく、レオナルドに笑いかけた。
レオナルドはその笑顔を見て、この王子の心を掴んだルリアーナの王女のことを思い出していた。
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