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the 33rd day 内示
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その日の朝、ハウザー騎士団の3人は朝食を終えて自室に戻ってきた。カイは使用人から1通の手紙を受け取ると、差出人を見て驚いた。
「ハンからだ」
シンとロキも驚いて、カイの近くに集まる。ルリアーナから姿を消したハンが、このタイミングで手紙を寄越したことに緊急性を感じずにはいられなかった。
『親愛なる弟、櫂へ
突然驚かせてゴメンね。君の元を去ってから、母の実家があるパースに身を寄せて少しゆっくりしていたんだ。
弟は知っていると思うけど、パースはポテンシアに攻められて、あっさりとポテンシアの領地になってしまったよ。
僕のいる土地を治めることになったのは、ポテンシアの第2王子、ユリウス・ポテンシアという暴君で、元パース人への迫害が問題になってきている。今、僕は君をかつて雇っていた元領主・ブライアンの下で護衛業に雇われているけど、領地内の治安を考えると、僕だけではとても見ることはできていない。とにかく、このままじゃいけない状況が続いてる。
もし、弟がルリアーナの仕事を終えて、パースに立ち寄ることができるなら・・力になってくれないか。報酬は、しっかりと出そうだよ。
追伸、ブライアンは『騎士物語』の印税で潤っているらしいから、弟の希望は何でも聞いてくれると思う。
君の大切な兄、氾楊賢』
「ハンは、パースに居たのか……」
カイはそう言うと、パースの状況に頭を抱えた。
「ハンが書くと軽いけど、現地は相当ひどいことになってるんでしょうね」
「ルイス様のお兄さんは、やっぱり傍若無人な方なんですね……」
ロキとシンは手紙の内容にパースの置かれた状況を読み、いよいよポテンシアの統治による支配者から被支配者への理不尽な政治が始まったのだと悟った。
「俺はここの任務が終わったら、そのままパースに向かうことにする。ロキは会社が、シンは結婚の準備があるだろうから、2人はブリステに戻ってくれ」
カイはそう言うと、ハンへ返事を書き始めた。
「団長だけで、大丈夫ですか……?」
シンは心配して自分も付いて行こうとしたが、
「余計なことは心配しなくていい。ここで仕事を取ったらリリスに一生言われ続けるぞ」
とカイに忠告され、反論できなかった。
「とうとう、対ポテンシアの流れができてきましたね。俺も、戻って仕事の体制を整えないと……。パースとの貿易は今まで通りではいられないかもしれない」
ロキは、自国の会社の現状を気にし始めていた。
カイは机でハンに返事を書きながら、
「いよいよ、ここでの仕事の終わりと、終わった後のそれぞれの仕事がハッキリしてきたな」
と2人に声を掛ける。
「パースに向かったら、なかなかブリステには帰れないかもしれない。申し訳ないが、シン、留守中を頼むぞ。そろそろシンに副団長の職を与えようと思っていたから、丁度いい機会だ」
カイの言葉に、シンは驚いた。
「副団長……ですか? ハンの方が、俺よりもずっと強いですけど……」
シンが戸惑っていると、
「何言ってんだよ、ハンに副団長が務まるわけないだろ。団長の言う通り、シンが副団長を務めるのには俺も賛成です。きっと、みんな賛成だと思いますよ。誰よりも人望があるからね」
とロキはシンの肩に寄りかかった。
「なんだよ、それ……。でも、ロキに言われると自信がつくな。ありがとう」
シンは突然の内示に戸惑いと嬉しさで頭が下がっていたが、
「これから、本部宛に辞令を出すから、この任務が終わり次第頼むぞ、副団長」
とカイに声を掛けられ、気を引き締めた。
「はい、団長。留守中は、任せてください」
シンがそう言ってカイを見たまま胸に手を置く。
「いいね、かっこいい副団長の誕生だ」
とロキは嬉しそうにシンを冷やかした。
「ハンからだ」
シンとロキも驚いて、カイの近くに集まる。ルリアーナから姿を消したハンが、このタイミングで手紙を寄越したことに緊急性を感じずにはいられなかった。
『親愛なる弟、櫂へ
突然驚かせてゴメンね。君の元を去ってから、母の実家があるパースに身を寄せて少しゆっくりしていたんだ。
弟は知っていると思うけど、パースはポテンシアに攻められて、あっさりとポテンシアの領地になってしまったよ。
僕のいる土地を治めることになったのは、ポテンシアの第2王子、ユリウス・ポテンシアという暴君で、元パース人への迫害が問題になってきている。今、僕は君をかつて雇っていた元領主・ブライアンの下で護衛業に雇われているけど、領地内の治安を考えると、僕だけではとても見ることはできていない。とにかく、このままじゃいけない状況が続いてる。
もし、弟がルリアーナの仕事を終えて、パースに立ち寄ることができるなら・・力になってくれないか。報酬は、しっかりと出そうだよ。
追伸、ブライアンは『騎士物語』の印税で潤っているらしいから、弟の希望は何でも聞いてくれると思う。
君の大切な兄、氾楊賢』
「ハンは、パースに居たのか……」
カイはそう言うと、パースの状況に頭を抱えた。
「ハンが書くと軽いけど、現地は相当ひどいことになってるんでしょうね」
「ルイス様のお兄さんは、やっぱり傍若無人な方なんですね……」
ロキとシンは手紙の内容にパースの置かれた状況を読み、いよいよポテンシアの統治による支配者から被支配者への理不尽な政治が始まったのだと悟った。
「俺はここの任務が終わったら、そのままパースに向かうことにする。ロキは会社が、シンは結婚の準備があるだろうから、2人はブリステに戻ってくれ」
カイはそう言うと、ハンへ返事を書き始めた。
「団長だけで、大丈夫ですか……?」
シンは心配して自分も付いて行こうとしたが、
「余計なことは心配しなくていい。ここで仕事を取ったらリリスに一生言われ続けるぞ」
とカイに忠告され、反論できなかった。
「とうとう、対ポテンシアの流れができてきましたね。俺も、戻って仕事の体制を整えないと……。パースとの貿易は今まで通りではいられないかもしれない」
ロキは、自国の会社の現状を気にし始めていた。
カイは机でハンに返事を書きながら、
「いよいよ、ここでの仕事の終わりと、終わった後のそれぞれの仕事がハッキリしてきたな」
と2人に声を掛ける。
「パースに向かったら、なかなかブリステには帰れないかもしれない。申し訳ないが、シン、留守中を頼むぞ。そろそろシンに副団長の職を与えようと思っていたから、丁度いい機会だ」
カイの言葉に、シンは驚いた。
「副団長……ですか? ハンの方が、俺よりもずっと強いですけど……」
シンが戸惑っていると、
「何言ってんだよ、ハンに副団長が務まるわけないだろ。団長の言う通り、シンが副団長を務めるのには俺も賛成です。きっと、みんな賛成だと思いますよ。誰よりも人望があるからね」
とロキはシンの肩に寄りかかった。
「なんだよ、それ……。でも、ロキに言われると自信がつくな。ありがとう」
シンは突然の内示に戸惑いと嬉しさで頭が下がっていたが、
「これから、本部宛に辞令を出すから、この任務が終わり次第頼むぞ、副団長」
とカイに声を掛けられ、気を引き締めた。
「はい、団長。留守中は、任せてください」
シンがそう言ってカイを見たまま胸に手を置く。
「いいね、かっこいい副団長の誕生だ」
とロキは嬉しそうにシンを冷やかした。
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