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the 32nd day 見直した
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ロキの戦力外通告を受けたカイは、至福の図書館時間を切り上げて城でレナの護衛に入った。カイはシンと護衛が交代になる旨を伝えたところ、シンに明らかに残念な顔をされた。
「いや、俺だって交代しなければならないのは不本意なんだが?」
「……なんで団長がロキにダメ出しされてるんですか……」
シンはぶつぶつ言いながら図書館に向かう。折角サラと共にレナの護衛に入っていたのに、また図書館に行くのかと文句が抑えられなかった。シンは残り少ない王女の護衛を楽しんでいたらしい。カイが図書館の調査業務から外されたと聞いて明らかにガッカリしていた。
カイがシンの代わりにレナの護衛に入る。レナは次の来客に備え、資料を読み込んでいるようだ。
「あら? 図書館に行ったばかりじゃなかったの?」
レナが驚いてカイに言う。
「役に立たないと、こちらに返品されてきた」
カイが言ったのを、サラは納得して頷いていた。
「やり手の騎士団長様にも、得意じゃない仕事があるのね」
レナはそう言いながら嬉しそうにカイに笑った。
「いや……得意じゃないことはない……。と、思うんだがな……」
カイが微妙な顔で反論しようとすると、
「団長に調べものは、向いてませんよ」
とサラが付け加えた。カイがつい自分の興味のある分野の本に夢中になってしまうのは、幼い頃から変わらない。
「いや、この国の国立図書館がなかなか興味深かったからな……」
カイがそう言って言葉を濁す。
「ああ、そうね。なかなか良いでしょ? 建物も、雰囲気も、本の多さも」
レナが得意そうに自国の図書館を自慢したので、王女も国立図書館に行くのだろうかと不思議になる。
「王家の親戚筋は代々学者家系なのよ。図書館は昔から大切にされてきたの。この国は市民の識字率も高いのよ」
「そうなのか? すごいな」
レナの話した内容に、カイは心から驚いていた。カイは領地民に字を教える塾を開いたり家庭教師職を雇ったりしているが、識字率というのはそう簡単には上がらないことを良く知っている。一部の平民層には、教育の大切さがなかなか浸透しないのだ。
「参考に教えてくれ。なぜこの国の識字率は高い?」
カイはレナに尋ねた。
「この国は農業がメインでしょ。農事記録義務があって、全て文字の読み書きができることが基本だからよ」
レナが当然のように言ったのが、カイは理解ができない。
「なんでそれが識字率の向上に結び付いた?」
「子どもが記録係をやれるようになれば、親の助けができるでしょう?子どものころから、そうやって文字を覚えていくのよ」
そう言うと、レナは得意気にカイを見た。
「教育は、国の力になる。はずよ?」
レナはいつも通りの目で得意気に言う。
この国の豊かさの本質は、意外に侮れないのだとカイは知った。
「そうだな。まさか、この国がそこまで豊かだとは思わなかった」
国立図書館も、この国の考える豊かさの上に成り立っているのだろうと、カイは改めてルリアーナという国に感心せざるを得ない。
「見習わないとな」
カイはそう言って、まだまだ自分にはやるべきことが待っているのだろうと、目の前の王女に気付かされる。
「やっぱり上に立つ人が、その辺をちゃんと考えていることが大事なのね」
サラが2人の会話を聞きながら、この国の責任者と自国の領主の姿に目を細めた。
カイは、領地経営の参考になりそうな例がこんな身近にいたのだと、レナを改めて見直していた。
「いや、俺だって交代しなければならないのは不本意なんだが?」
「……なんで団長がロキにダメ出しされてるんですか……」
シンはぶつぶつ言いながら図書館に向かう。折角サラと共にレナの護衛に入っていたのに、また図書館に行くのかと文句が抑えられなかった。シンは残り少ない王女の護衛を楽しんでいたらしい。カイが図書館の調査業務から外されたと聞いて明らかにガッカリしていた。
カイがシンの代わりにレナの護衛に入る。レナは次の来客に備え、資料を読み込んでいるようだ。
「あら? 図書館に行ったばかりじゃなかったの?」
レナが驚いてカイに言う。
「役に立たないと、こちらに返品されてきた」
カイが言ったのを、サラは納得して頷いていた。
「やり手の騎士団長様にも、得意じゃない仕事があるのね」
レナはそう言いながら嬉しそうにカイに笑った。
「いや……得意じゃないことはない……。と、思うんだがな……」
カイが微妙な顔で反論しようとすると、
「団長に調べものは、向いてませんよ」
とサラが付け加えた。カイがつい自分の興味のある分野の本に夢中になってしまうのは、幼い頃から変わらない。
「いや、この国の国立図書館がなかなか興味深かったからな……」
カイがそう言って言葉を濁す。
「ああ、そうね。なかなか良いでしょ? 建物も、雰囲気も、本の多さも」
レナが得意そうに自国の図書館を自慢したので、王女も国立図書館に行くのだろうかと不思議になる。
「王家の親戚筋は代々学者家系なのよ。図書館は昔から大切にされてきたの。この国は市民の識字率も高いのよ」
「そうなのか? すごいな」
レナの話した内容に、カイは心から驚いていた。カイは領地民に字を教える塾を開いたり家庭教師職を雇ったりしているが、識字率というのはそう簡単には上がらないことを良く知っている。一部の平民層には、教育の大切さがなかなか浸透しないのだ。
「参考に教えてくれ。なぜこの国の識字率は高い?」
カイはレナに尋ねた。
「この国は農業がメインでしょ。農事記録義務があって、全て文字の読み書きができることが基本だからよ」
レナが当然のように言ったのが、カイは理解ができない。
「なんでそれが識字率の向上に結び付いた?」
「子どもが記録係をやれるようになれば、親の助けができるでしょう?子どものころから、そうやって文字を覚えていくのよ」
そう言うと、レナは得意気にカイを見た。
「教育は、国の力になる。はずよ?」
レナはいつも通りの目で得意気に言う。
この国の豊かさの本質は、意外に侮れないのだとカイは知った。
「そうだな。まさか、この国がそこまで豊かだとは思わなかった」
国立図書館も、この国の考える豊かさの上に成り立っているのだろうと、カイは改めてルリアーナという国に感心せざるを得ない。
「見習わないとな」
カイはそう言って、まだまだ自分にはやるべきことが待っているのだろうと、目の前の王女に気付かされる。
「やっぱり上に立つ人が、その辺をちゃんと考えていることが大事なのね」
サラが2人の会話を聞きながら、この国の責任者と自国の領主の姿に目を細めた。
カイは、領地経営の参考になりそうな例がこんな身近にいたのだと、レナを改めて見直していた。
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