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the 31st day 華やかな騎士たち

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 ルリアーナ城に朝が来た。カイは久しぶりに大きなベッドで身体を休め、数日間の疲れを癒した。着替えを済ませると、シンとロキを伴って食堂に向かう。

 ようやく日常が戻ってきたような感覚がしたが、ルリアーナでの任務は残すところ4日に迫っていた。


「あーあ、もうすぐこの国を離れるのかあ……。結局殿下はルイス様と結婚しちゃうし、このまま俺は国に帰るだけだし」
 ロキがそう言いながら不満そうにサラダを食べている。シンは苦笑いしながら、
「もともとそのつもりで支えるって言ったのはどこの誰だよ?」
 と突っ込んだ。

「どうでも良いが……殿下に対して余計な好意は持っていないだろうな……?」
 カイがじろりとロキを睨んだので、シンは隣で冷や汗をかく。

「まあ、普通に好きですよ。別にどうなりたいとかは考えていません。ただ、支えたいというだけですから、気にしないでください」
 ロキはそう言って、気にせずに食事を続けている。それを聞いたカイは難しい顔をした。

「本当だろうな? ロキに限ってそんなことがあるか? 本来なら雇用主にそんな感情を抱いた時点で、この任務を外すところだぞ?」
 ロキという男がそんな割り切った形で女性を支えるなど、カイには信じがたい。
「本当ですよ」
 ロキはあっけらかんと答えた。

「それに、もう殿下と居られる時間も殆ど残っていないんですよね?」
 ロキは寂しそうに言ってオレンジジュースを飲んでいる。

「まあ、そうだな……あと、最終日の夜に城下町に行きたいと言われている」
 カイが言うと、
「で、それは団長がちゃんとエスコートするんですよね?」
 とシンがニヤニヤとカイを見ていた。

「最後くらいは……仕方ないな」
 カイが少し面倒くさそうにため息をつくと、
「結局最後の日に殿下が一緒に過ごすのは、団長かあ」
 と、ロキはカイを睨んだ。

「余計なことは考えるな。あと4日、悔いの残らないように任務を果たすだけだ」
 カイは水の入ったグラスを持ち上げ、2人に乾杯を促した。

 それを見て、シンも水の入ったグラスを掲げる。ロキはオレンジジュースの入ったグラスを2人のグラスに当てた。
 朝の食堂に似つかわしくない、グラスがぶつかるカチャンという音に、周りが驚いて注目している。

「この任務が終わったら、シンが家庭に入る前に飲みに行きますよ」
 ロキがニヤリと笑うと、
「望むところだ」
 とカイも口角を上げる。
「俺は、酒の量はセーブしますからね」
 シンは少し引き気味に笑った。

 3人が楽しそうにする姿に、ルリアーナ城の使用人たちは憧れの視線を送っている。
 異国から来た騎士たちは、いつも華やかな雰囲気を纏っていた。
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